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妖精は魔法を教える

 草原からバードハートの町への街道



「それにしても・・・」


 隣を歩くアンを見ながら僕は思う。


「アンが14歳にしては小さいよね。ゴブリンも倒せない14歳って・・・ぷっ」

「小さいのは仕方ないの!ザックさんがわたしを神殿に連れてきたは小人の女の人だから、多分母親だろうって言ってたもん」

「えーーそれでも大体12歳過ぎれば、どの種族でも野良ゴブリンの1体や2体倒せるのに!」

「わたしは戦い方なんて知らないし、ザックさんも出来るなら冒険者よりお勉強して町の中で安全に暮らした方が良いって言ってたの」

「14歳ならレベルも10ぐらいはあるはずじゃん!何で5しかないの?」


 20歳くらいまでは大体どの種族も身体の成長速度は変わらないので、レベルの平均は分かっているのだ。それなのにアンのレベルは低すぎる。普通に生活していたらそれくらいはあるはずなのに。


「魔物とか倒したことないもん。それにザックさんも分からないって言ってたし、レベルは低いけど総合力はお友達より少しだけ低かっただけだから、問題ないよって言ってたよ」


 確かにレベルにしては強いけど・・・ハーフだからなのかな?


「町に居たら魔物なんて入ってこないのか。村なら結構入ってくるって言ってたんだけどね」

「わたしは生きてる魔物なんて初めて見たよ」


 凄い!なんて箱入り娘。うん?箱じゃなくて町入り娘?なんか怖い

 僕なんて森の皆の為にどれだけゴブリンとコボルトを倒したことか・・・

 他にも弱い魔物ばかりだけど沢山倒して来たからね!名探偵でありながら700年近くの熟練魔物ハンター!僕の凄さは留まる所を知らない。

 仕方がないからアンを少し鍛えてあげようか。


「それじゃ魔物倒して簡単にレベル上げちゃおうよ!僕が魔物を呼んでくるよ!!」


 そう言って飛んで行こうとしたんだけどアンに大きな声で止められた。


「待って!わたし魔物なんて倒せないよ。武器も無いし魔法だって使えないもん」


 魔法の才能があるから忘れてた。才能あるなら少し教えたら簡単なのぐらい使えるよね?たぶん


「じゃー僕が魔法教えてあげるよ!魔物倒してレベル上げれば友達よりも強くなれるよ!」

「わたし強くなれなくても良いのだけど・・・」

「あまいね!妖精の蜜より甘いね!レベルが上がれば総合力が上がる。総合力が上がれば生活も楽になるのさ!!重たい物も何のその、あらほらっよっとちょちょいのちょいっさ!」


 胡散げにこっちを見てくるけど本当だよ。妖精にしかした事無いけどね!


「うーん。でも、そんな簡単に魔法覚えられるの?」

「この僕に掛かれば余裕だよ。僕の住んでた森でもこの時だけは人気だったからね!!」


 ちょっとその時の事思い出して泣きそうだよ。でもアンは少しやる気ありそうな顔に変わってるから自虐もなんのその。


「それじゃーおで・・・」

「スラちゃんどうしたの?」


 突然黙ってしまった僕を見てアンは心配そうにこちらを見ている。

 そういえば村ではおでこにキスしてたんだけど、あれは皆了承してから来てたので良いけど・・・嫌われないかなー?おでこだから大丈夫だよね!


「あ、あのね!おでこにチューしてもいい?」

「なんでチューするの?」

「妖精は魔法名とか使ってないからさ。僕、森を出てから知ったけど ファイヤーーとかサンダーー 

 とか叫んでるの聞いて笑っちゃったよ。」


 その時の事を思い出し少し可笑しくなる。

 森でそんなことしてたらいい笑い者だよ!僕の扱いなら笑い者しか良かったかも。

 そういえば皆んなが魔法名みたいなの僕が子供の子供の言ってた気がするんだけど・・・?ちがったかな?


「ふふっ それでも掛け声みたいなのは要るけどね」


 えい!や!とー!おりゃ!うりゃーーーー!

 などなど言いながら色々な魔法を使う。

 それを僕をアンはキラキラした瞳で僕が魔法を使う姿を見ている。街中じゃあまり見れないだろうから分かるけど、それでも鼻高々だね。

 自慢の腰に手を当て仰け反るポーズをして、最後に僕の後ろをキラキラさせながら爆発させる。


「ドヤーーーーー!!」

「すごーい!わたしも魔法使いたい!お願い!スラちゃん教えて」

「よしよし。アンにそんなにお願いされたら仕方ないよね?この世界一の大!魔法使いに掛かればあっという間にアンも魔法使いの仲間入りさ!さーお嬢ちゃんのおでこを僕にささげな!キラッ」


 アンはちょっと困った顔をしてたけど、そんなのはお構いなしにおでこに突撃する。

 ゴチン!

 そんな音がしたと思ったらアンの足元に落ちていた。気を抜いてたからガードの魔法が切れてたみたい。

 アンもおでこを押させ、涙目になりながらうずくまっている。

 あっ、赤いパンツだ。

 ちょっと気まずいけど、今のままじゃ使えないしもう一度しないとダメだよね・・・


「ごめん。ちょっと勢い付けすぎたよ。次は大丈夫だから!後おでこも治してあげる」


 そう言ってから癒しの魔法をかけ、ついでにアンの古いケガとかも治してあげる。服もピカピカさ!

 取って置きのこの効果の高い魔法は使ったらかなり疲れるので普段は使わないけど、今回は僕が悪いからサービスだよ。

 魔法の効果が凄いのが分かったのか、ゴブリンに追いかけられてこけた膝などもワンピースを捲り上げて確認している。

 だからパンツ・・・まーいいか。


「ほら!痛いの無くなったでしょ。勢い良くぶつかったお詫びに色んな所も治したからね」

「わぁ~・・・」


 聞いてるのか聞いて無いのか、小さな声を出しながら呆けてるアンのおでこに今度こそゆっくりと近づいて手をどけてもらい口付ける。


「ぶちゅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーちゅっ」

「ぇ!」

「思ったよりちょっと涎が付いたのと、おでこに赤い痣が付いたけど良いよね?虫刺されにしか見えないから大丈夫さ!さぁこれで君も魔法使いさ!」


 またおでこを抑え、真っ赤な顔で僕を見てくる。そんなに恥ずかしかったのかな?

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