妖精、変態事件だと・・・戦慄する
帰れる家が無いってどういう事だろ?
そういえば周りを見る限り町も無い。それどころか村や他の人も居ない所で一人の少女・・・これは事件だ!それか家出かな?それなら家が無いのも納得だよね。
名探偵の僕に掛かれば直ぐに解決さ!
取り合えず聞いてみようかな。
「お家が無いの?もしかして家出かい!?」
「違うよ。わたし神殿で面倒見てもらってたんだ。」
神殿って子供の面倒見るところなのかな・・・。余計な事する神様を祀る所だと思っていたよ。
「アンは神殿で住んでたんだから家は神殿じゃないの?」
「そうだったんだけど、この間わたしが欲しいって言って知らないおじさんが迎えに来たんだ。ザックさんがエミリーさんは良い人だからお世話になりなさいって・・・」
え!アンが欲しい知らないおじさんって完璧な変態だね!
でもエミリーさんって女の人の名前に聞こえるけどなー。それにザックさんって誰?
「アンちょっと止めて。ザックさんとかも分からないから落ち着いて順番に説明してくれる?」
「うん。えっとーわたしは小さい頃から神殿に住んでいて、そこでザックさんに他の皆とお世話してもらってたんだ。それで前から私を気に入ったエミリーさんって女の人の養子?に欲しいってザックさんの知り合いが話して来たんだって。」
うんうん。取り合えず変態おじさんじゃ無くて安心だね。
「それじゃぁー、エミリーさんのお家のおじさんがアンを迎えに来たんだよね。なら、そこに送って行こうか?」
「だめ!!エミリーなんて人居なかったもん・・・起きたら怖いおじさんが何人か居てて、わたしの能力見せろって言われたの。初めはエミリーさんはまだ来てなくて能力確認かなって思ったから全部見えるようにして見せたらおじさんたちが驚いてて・・・その後で待ってるように言われたから椅子に座って待ってたら、新しいおじさんと4人で部屋に戻ってきて奴隷がとか高くとか言いながら近寄って来て抑えられそうになって・・・」
僕の手に余る大事件だよ!!
本当に事件なんだけど。先程までの笑顔とは変わってアンはその時の事を思い出して怖いのか暗い表情になっちゃうし・・・
多分逃げて来たのだろうからこんな所で停まってる訳には行かないよね。
「アンはそこから逃げて来たのだろ?それなら近くの町まで僕がついて行ってザックさんって人に一緒に話してあげるよ。途中でゴブリンやコボルト位なら簡単に倒してあげるから大丈夫さ!」
「だめだよ。スラちゃん話しちゃんと聞いてたの?」
「ぅん?もちろんじゃないか!!町まで行く途中の魔物は僕が何とかするし、ザックさんにエミリーさんと違う所に連れてかれて危なかったってちゃんと説明してあげるよ!」
アンはいったい何を言ってるんだろ?
停まってたらアンが危ないだろうに変な顔して僕を見てくる。
「うーん、簡単にまとめたら親切な女の人がアンを引き取って自分の子供として育てる。所が迎えに来たのは僕を捕まえようとする人と同じ悪い人でアンは悪い人から逃げて来た。逃げてる途中ゴブリンに襲われていて危なかった所に僕が来た。それでお話ししながら歩いていたら僕に質問されて停まって答える。
結果、停まってたら悪いおじさんが来るから早く町に行くべき。これでどうだい!?」
うんうん。完璧だね!
腰に手を当ていつものポーズしながらアンに聞いてた事を主張して、簡単にまとめてあげる。
それなのに変な顔を呆れる様な顔に変えて歩き出した。
「あのね、わたしはザックさんから聞いてエミリーさんって人の所に行く事になったんだよ?それで見送られて馬車に乗ったら知らないうちに寝ていて、気が付いたら山小屋みたいな所に居たんだよ。」
「だから迎えに来た人が、違う人だったってことだよね?」
「違うと思うの。見送ってくれた時ザックさんとそのおじさんは知り合いみたいだったの。だから小屋で起きた時に能力見せろって言われても断らなかったんだから。そうじゃなきゃ能力は人に見せないでしょ?」
えっ?能力って見せないのが普通なんだ・・・森に居た時は見せてって言われたら見せてたのに。
ちくしょー!それぐらい教えてくれても良かったのに!魔物退治とかやって皆に認めてもらえるように頑張ってた僕の努力はいったい・・・
もう出てきたから良いけどね。
それよりもザックさんと迎えの人が知り合いなら話は変わってくるな。
ふむふむ。
そうか!これが正解なのか!
「分かった!犯人はザックさんだな。それならアンが帰れないのも分かるからね。これで一件落着じゃないか!はっはっはー」
「スラちゃんって抜けてるね」
失礼な。ザックさんが怪しいのじゃないのか?
「わたしはザックさんがそんな人だと思いたくないけど、どう考えても怪しいもの。だからわたし帰る所が無いの。」
そうか・・・ザックさんが悪い人だったら帰れないので家がないのか。
確かに何も解決していないな。呆れる様な顔をしながら話していたアンがまた暗い顔に戻ってしまった。
僕と同じで帰る場所がない小さな女の子を放って置けないから、この難事件を解決してあげよう!
大丈夫さ。ちょっと魔法でビビらせてやればコボルトみたいに逃げてくさ。あっ、逃がすんじゃなくて真実を喋ってもらうんだった。
「任せて!!僕に掛かればなんだって直ぐに解決だよ。よし!早速ザックさんに本当の事を話してもらって、お嬢ちゃんのお家を取り戻そー。この名探偵にお任せあれー」
アンにそう言って飛んでいる速度を上げて行ったのだけど、後ろの方からアンに大声で止められる。
「スラちゃんそっちじゃ無いよー。それに元々わたしだけの家じゃないし、ザックさんがあの人達に騙されただけかも知れないから・・・後わたしはお嬢ちゃんじゃ無いよ!!」
何でこっちに歩いてたのかとかザックさんがどうとかよりも聞き逃せない事を僕は聞いた気がした。