気まぐれ妖精の人助け
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新設1248年
見渡す限り短めの草が生い茂っている平らな大地。
野生の動物が慌ただしく何かから逃げている。
気分良く調子はずれな鼻歌を歌い、太陽の光を反射しキラキラと輝く腰まである長い髪を躍らせる、身体半分程の真っ白な羽根でひらひらと蝶の様に舞っている妖精は、興味深々な様子で動物たちが走って来た方に目を向けると、ゴブリン達に追いかけられている肩より少し伸びた赤い髪を必死に走って乱している少女を見つけ、近づいていく。
少女の体力は今にも切れそうになっており、妖精は一応少女の前まで行き声を掛けて見る。
「ねぇねぇー、大丈夫かい?」
誰がどう見ても限界に近いであろう少女には、答える余裕などないだろうが突然目の前に現れた小さな生き物に驚いて倒れてしまった。
直ぐ後まで来ていた、少女と変わらない大きさのゴブリン達が好機とばかりに、手に持つ棍棒などの武器を振り上げ襲い掛かる。
妖精もいきなり倒れると思わなかったのだろう。唖然と少女を透き通るような緑の瞳で見つめていたが、ゴブリンの武器が少女に当たりそうになったので、慌てて風魔法の攻撃でゴブリン達を20m位後方へと吹き飛ばした。
「危なかったね!ゴブリンは僕が倒しちゃったよ!」
驚かせて倒れたのに、そんな事は関係ないとばかり自分の手柄を報告する。
この妖精には罪悪感などないのかもしれない。
少女は妖精が手柄を報告しているうちに立ち上がって後ろを振り返り、髪と同じ真っ赤な右目と蒼天の様な青い左目を大きく見開いて、ゴブリンが飛んだであろう場所を眺めていた。
妖精は返事がないので、少女の前に回り込みもう一度手柄を主張する。
「聞いてるのー?ゴ!ブ!リ!ン!やっつけたよーー」
腰に手を当て、反っくり返りながら少女をエメラルドの宝石のような目で見つめてくる、黄緑の半袖シャツに緑の半ズボン妖精を見てすでに何度目か分からない驚きの後、少女は頬を染め倒れた時に汚れた茶色のワンピースを掃いながらお礼を言う。
「天使さん!ありがとう!」
そう言って少女の整っている顔は笑みを浮かべ、妖精に向かって嬉しそうに頭を下げるのだった。