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眠ったセカイと眠り姫  作者: 杠 音韻
7/17

七話 天使との邂逅

「うぅ………頭痛いぃ………追い付かれる………って………眩しっ」

気が付くと、晴天の空。

真っ白い雲に、真っ青な青空。

清々しい涼しい風が鼻を(くすぐ)る。


「ここは…………山!? なんで山ァ!?」

目の前に聳えるのは緑一色の山。田んぼ。

一言で言えば、田舎だ。

「…………どうなってんだこれ…………!? い、意味わかんねぇ…………」

雲の隙間から途切れ途切れに出てくる太陽が俺を照らす。


「ねぇ、そこの人………」

「は、はぃっ!!!」

「そんな………畏まらなくていい」

唐突に声を掛けられる…………って誰!?

ま、まさか……本当に起きている人がまだ居たのか……!!

「そ、そんなマジマジ見ないで………初対面………」

彼女……と言ってもまだ幼い、小学生低学年位の背の高さ女の子が俺を見据えている。

だ、誰だこの子………つか、何で起きてるんだ?

「えと………君の名前は?」

「人の名前聞くとき、先ずは自分から」

く………妙に大人びてる女の子だな………


「ぼ、僕は北谷(きただに) 拓也(たくや)………です」

「そう………たくやって呼ぶ」

「そ、そう…………それで、君の名前は?」

「そんなに聞きたいの…………たくやはロリコン」

「ロリ…………ご、ごめん」

な、なんだこの子……小学生低学年とは思えないな。


「私は國枝(くにえだ) 梨子(りこ)……りこちゃんでーす」

り、りこちゃん…………

「え、えと………両親は何処に居るの?」

「………皆寝てる。ぐーぐー寝てる。私だけ起きた。皆、皆、すやすや………ずっと寝てる」

「じゃぁ、なんで梨子ちゃんは起きてるの?」

「私はずっと起きてた。気付いたらお母さんも、お父さんも、寝てた」

ずっと………起きてたのか?

ずっと起きてたって事は、まさかラジオの影響を受けてないって事か………?

「私はずっと一人ぼっちだった。………でも、たくや居た。たくや起きてた」

「僕の所にもまだ沢山起きてる人は居るよ、って………ここは何処? 何県!?」


「ここは群馬県………そういえば、なんでたくやはここで寝てたの」

そ、そうだ………俺は何でここで寝てたんだ………?

そもそも群馬県って………さっきまで東京に居た筈じゃ………


「………あ!!! もうこんな時間………始まる………たくや来て!!」

梨子ちゃんは俺の腕を引っ張るなり、走りだす。

が目の前に広がるのは田圃と山と小さな家とも呼べない古民家。

「ちょ!? 始まるって何が!? いてててて!! 引っ張りすぎだってぇ……!!」

「始まっちゃう………眠り姫………始まっちゃう………!!!」


《眠り姫》


眠り姫って……………まさか………!!


辺りは、いつの間にか紅に染まっていた。

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