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眠ったセカイと眠り姫  作者: 杠 音韻
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六話 天に召される時

「志熊さんと広瀬さんは………?」

「大丈夫だ、美香はあれでも腕っぷしは俺より強い」

「俺と北谷君はバリケードを張りに行こう」

ば、バリケード………そんなにすることは無いと思うが………

さっきのアレ、人間だったけど人間じゃなかった。

人間とは、また違う。

例えるなら、ゲームとかドラマに出てくるゾンビに近い。

「もう、これは現実なんだ。今の俺達にはアイツらから逃げる事しか出来ないんだ」

音無さんはそう言って木材を片手に歩き出す。


なんで市民館に木材があるんだ…………?

「音無さん、この木材どうしたんですか?」

「え? ………あぁいや……そ、そこら辺にあったんだよ……」

「そうっすか………」


音無さんは懐中電灯片手に先に進む。

外には街灯の明るさも無く、射し込むのは月明かり。

だが、月明かりの届かない角に入るとそこは完全に真っ暗になる。

「北谷君、ここから先は暗いから注意しろよ」

「は、はい………」


奥へ進むと、黒い空間が懐中電灯によって照らし出される。

市民館の見取り図によると……ここは事務室だ。

「………最初からこの市民館には誰一人居なかったのか? まるで何かを悟ったように………」

「い、いえ……それを知るのは恐らく志熊さんだけかと……」

「そうだよな…………」

その時、ひんやりと俺の肌を触る風。

部屋の中は良く見えないが、風が通っているようだ。

「音無さん、今風が………」

「風? …………気のせいじゃないのか? 先に行くぞ」

強引に話を切ったように聞こえたのは、多分気のせいだろう。


この市民館は地下があるようだが、地下への階段が見当たらない………このB1Fってなんだ?

「強化ガラスか………どうして市民館にこんな………気のせいか………バリケードの必要は無さそうだな」

と、音無さんは切り出し、今来た方向へ戻る。

な、何しに来たんだよ…………

「外には…………誰も居ないみたいですね………」

「…………本当に、SFとか、ホラーとか、そんなレベルの話になってしまった……という事か」

信じたくもない。

けど、あんなのを見た今、芝居だなんて思える筈もない。



「今日も………何も無しか…………」


その時。


《バリーン!!!!》

「な、なんだ今の音は!?」

長い廊下の、今来た方向。

俺達の真後ろで何かが割れる音………いや、確実にガラスが割れる音。

廊下の奥には、月明かりに照らされる人影。


人間か…………またアイツか。

「北谷君は美香達を連れて先に行け」

「そんな………マンガじみた事良く言えますね、俺も戦いますよ」

「バカ、お前はまだ高校生だ、このぐらい俺一人で………」


「って、こっち来てますけど!?」

「ちょ、逃げろ!!」

追い掛けてくる影は、右手に何かを持っている。

長い棒…………バットか?

バットを持つゾンビなんて聞いた事ねぇぞ!!!


ま、まずい………追い付かれる………っ!!


「北谷君っ!!」

《バコン》

後頭部に激しい鈍痛。

な、殴られたのか…………!?


意識が遠退く。


「神様ぁ…………」

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