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眠ったセカイと眠り姫  作者: 杠 音韻
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十五話 道しるべ

「たくや、まだ着かないの? 車おそい」

「こっちだって真剣に運転してるんだけど、スピード出し過ぎたら危ないし………」

未だに田園風景から抜けない田舎道を軽トラックで走り回っている………が、進行方向すら分からない。


つまり。


行く宛も無くガソリンが切れるまで突っ走ってるだけなのだ。

俺は案外方向感覚は前から良いようで、大体迷子とかには悩まされないのだが、県まで越えるとなると……

その前に、一番嫌なのが家に戻って来れなくなる事だ。

一番してはいけない。

「たくや………お腹へった、ごはん食べたい」

「あ………そうだね、そういや僕もここに来てから何も食ってなかった………」

色々と必死になって空腹とかを通り越した悟りを拓いてしまった。


だが、見る限り田園。

畑と山と小さな家、そしてコンビニ。


コンビニ!?




「うわぁ、こんな田舎にコンビニが普及してるだなんて………」

「コンビニ、何それ」

「コンビニ知らないの? 食材とか色々売ってるお店の事だよ」

「ふぅん………ご飯買うー」

買うって………梨子ちゃんは助手席から飛び降りるなりコンビニに駆け出す。

が、扉は開かない。

「こ、このドア重たい………ぐぐ」

「この扉は押して開くんだよ」

どうやら梨子ちゃんは扉を全て右とか左に引いて開く物だと認識していたようだ。

そうやってドアを押してみる。

「おお…………たくや天才………ロリコンのくせに」

「ロリコンは余計だよね」


中は結構蒸していて大体腐ってるみたいで、コンビニの中は異臭を放っている。

「うぅ……臭い」

「無理しなくて車に戻っていいよ?」

と言うと首を振って付いてくる。

コンビニにも乾パンや災害時非常食は売っている様だ。

俺は取り敢えず乾パンとミネラルウォーターを三つ持ってコンビニから出る。

「まってたくや、お金払ってない」

と梨子ちゃんが俺の服の袖を掴む。

お店だからお金を払わないといけないとは分かってるけど………

仕方無い。


「一万円置いて来た!! これで大丈夫!!」

「おお………たくや太っ腹…………ダイエットしなきゃ」

「別に太ってないけど…………え、太ってる?」

出てくる時に次いでにラジオと地図も買ってコンビニを後にする。

ちっちゃいハンドマップみたいな奴だが、少し広げて確認してみる。

「これから僕達は東に向かうんだ………東………東………」

うーん、全く地図が読めない。

ぶっちゃけ地図なんて見たことは無かったが、ここまで読みにくい物だとは思って無かった。


「たくや、こっち側が東。たぶん、この道をまっすぐ」

梨子ちゃんは地図を指差し、次に今走っている大きな道を指差す。

そんな梨子ちゃんの表情はいつもと変わらない様にも見えたが、少し真剣に見えた。

「よし!! ご飯食べてまた出発だ!!」

僕は地図をくるくると仕舞い、荷台に飛び乗る。

梨子ちゃんもオドオドしながら荷台に乗っかり乾パンを食べ出す。



期待と不安を込めた僕らの旅は、まだまだ続く。

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