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眠ったセカイと眠り姫  作者: 杠 音韻
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十四話 曇り空

「うぅ…………また酔っちゃった………バレないようにしなきゃ………」

「ばーれーてーるーよー」

「ひぃ!? すいませぇん…………もう限界ですぅ…………おめめがくらくらぐるぐるうぉぇ」

「ギャー!? 志熊ちゃん瀕死!! HPゲージが真っ赤になってる先輩停めてー!!」

荷台から飛び降り、助手席のドアを開けると今にも死にそうな顔をした志熊ちゃんが力無く横たわっている。

こ、この車酔いはどうした物かねぇ…………

「仕方ない、当分は車での移動は控えた方が良いかもな」

「そうみたいっすね~、この調子だと志熊ちゃん本人が可哀想ですし…………」


「す、すいません………私の為に遅れちゃって…………日が暮れる前には市民館に戻るつもりだったのに、今日の放送はもう………」

そう言って潤んだ瞳を下に向ける。

志熊ちゃんのサポーターの北谷くんも居ないし、先輩は先輩で全部背負っちゃう感あるし。

何だかんだで、男共が一番情けない気がする。

いや、北谷くんには悪いか。

「いやいや~食料調達も出来たし、ゆっくり帰ったって良いよ~? 星がキレイだしさ…………」

「美香……………あぁ、星がキレイだな」

荷台から見上げる星空はとてもキレイだった。

都会とは全く思えない一面の星空、東京でここまで見えるなんて………


「…………だいぶ楽になった気がします、我慢できますので急ぎましょう!」

ミネラルウォーターを口から離し、再び助手席に乗る志熊ちゃん。


「それで…………さっきの話の続きはどうなるんだ………純粋に夢を見てるだけってどういう事だ」

荷台に寝転がってる私に向けて先輩がそう言う。

まったく、先輩はせっかちだなぁ。

「せんぱぁい、志熊ちゃんが近くに居るんですし弁えましょうよ…………何度も言いますけど、志熊ちゃんを傷付ける訳にはいかないんです、とっとと運転しなさい」

「………………帰ったら聞かせて貰うからな」


私達は、帰り道へと出発した。




カタンカタン、ゴトン。

揺れ動く車の荷台で寝転がると肩が凝るな。

助手席を覗くと志熊ちゃんがすやすやと寝息をたてている。

だいぶ、遅くなっちゃったもんね。


「なぁ、そろそろ聞かせて貰っても言いと思うんだけどな」

「先輩が帰ったら教えて貰うって言ったんでしょうが…………それに、志熊ちゃんがもし起きちゃったらダメじゃないっすか~」

本当にせっかちだな…………違うな、何が知りたいんだ?

私はふと空を見上げる。

さっきまで満天の星空が顔を覗かせてたが、今にも雨が降りそうな黒雲が空をまた黒く塗り潰している。


「お前…………本当に何を見たんだ………?」


「先輩こそ、何を隠してるんでしょうかね~?」


夜は益々更けていく。

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