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眠ったセカイと眠り姫  作者: 杠 音韻
13/17

十三話 発進

「なんでページがここだけ破られてるのかは分からないけど………先が気になるな……」

「…………そういえば、皆が眠っちゃったとき、私もほんよんでた」

皆が眠った時、この本を読んでた?

もしこの本が何らかの眠らせる能力を持っていたら、それは完全に否定される。

そもそも、群馬まで眠らせる範囲があるとしたら…………


その先は考えたくもない。


「と、とりあえず、破けたページを探さないと………!!」

「た、たくや、どうしてそんなに必死なの………?」

「皆を起こさせる糸口があるかも知れないからだよ、この本の続きに!!」

そうだ、破けたページの次はどうなってるんだ?

破けたページ先を見てみる。




真っ白だ。

何も書いてない、何も書かれていない真っ白な紙。

それ以降のページもその先ずっと真っ白だ。

「真っ白………次のページ、ない………」

梨子ちゃんがゆっくりページを進めながらそう言う。

辺りはもう既に真っ暗になっており、月明かりと星明かりが眩しい。

田舎の空って、こんなキレイなんだ。


「また………振り出しかぁ……」



「たくや、いこう」

「へ?」

唐突に梨子ちゃんがそう呟く。

俺に聞こえる様に、だが消えそうなか細い声で確かにそう言った。

「ずっと皆眠ったままより、皆起きたほうが、いい」

泣きそうな声で続ける。


「ずっと……おほしさまと一緒なんて、やだー、やだよー」

そう叫びながら、俺の胸に抱き付く。

小さな身体からは啜り泣く声と子供らしい我が儘が聞こえる。


そうだよ、小学生が独りぼっちに耐えられる訳が無い。

俺はそっと抱き締めた。



「ほら、たくやも行ってきますって言って」

「う、うん。えーと、それではお父さん、お母さん、娘さんは僕が大事に守りますっ!!」

「行ってきますは?」

「行ってきます!!!!!」

晴天の朝、まだ九月だがだいぶ寒い朝、俺と梨子ちゃんはお父さんとお母さんの前に正座している。

お父さんとお母さんを布団に寝かし付け、深々とお辞儀をする。

「お父さん、お母さん、ちょっとお出かけしてくる、すぐに、帰ってくる」

本当に、なんて力強い子なんだ。


大きな玄関の前で再び大きくお辞儀をし、軽トラックのエンジンを付ける。

運良くガソリンは満タン、視界も良好、天候も最高。

気分も。


『サイコー!!』


「たくや、なんで行かないの? うごいてない」

「う、うん…………実は、運転した事無いんだ………」

「え」

………………。


「このグラン○ーリスモと頭文○Dで培ったドライビングテクニックを見せてやるぜぇ!!」

「やだやだ、たくや降ろしてうわぁロリコンに連れてかれるー」



騒がしい軽トラックっはノロノロ発進でゆっくり、ゆっくり進みだした。

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