表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
眠ったセカイと眠り姫  作者: 杠 音韻
10/17

十話 正体

「うぅ……………酔いましたぁ………」

「へぇ!? ちょ、ちょっと志熊ちゃん大丈夫!? 先輩一旦停めて~」

「お、おう…………どうした? 気分悪いか?」

車酔いが激しいようで、マトモに車では移動出来そうにない…………最初から言ってくれればいいのに。

さっきまで無理矢理助手席に二人で乗ってたから、私は軽トラック荷台に乗り、助手席に志熊ちゃんを座らす。


外を見る限り、まったく異常は感じられない。

誰一人居ない道路には、ポツンと車が停まっているだけ。

酷い有り様、世紀末みたいだ。


「もしも~し、起きてますかぁ~い?」

コンコンと窓を叩くが、中でぐっすり眠っているサラリーマンは寝息を返すだけ。

薄気味悪い。

真っ昼間だってのに、都会の象徴のビル群の影が恐ろしく見える。

「おーい美香、なんか飲み物探して来てくれないか?」

「か弱い乙女を一人で行かせるんですか~!? 無視すんなムッツリスケベ~!!」

仕方ない、コンビニを漁るか…………次いでに食料も持ってこう。


流石都会なだけあって、すぐにコンビニは見つかったが…………怖い。

暗すぎる。

「お邪魔しまぁ~す………誰も居ないっすよねぇ~?」

応答は返ってこない。


居ないって事だ。

「ミネラルウォーターと…………コッペパン………うひゃ~温いぃ………キンキンに冷えたコーラが飲みたいねぇ~」


《ゴソッ…………》


………今、なんか音が聞こえた気がする。

レジの奥のバックヤードからだ。


まさか、起きてる人がいるかも…………だよね。

バックヤードの扉を開けて、回りを見渡す。

段ボールが山積みになっており、やはり中は暗すぎる。

「なんだ………結局誰も居ないじゃない死ねゴキブリ!!!!」

咄嗟の判断で地面に這いずってたゴキブリを蹴り潰す。


ふぅ………気持ちいい。


謎は解けた、帰ろう。

だが、バックヤードの扉を閉めようとするが、何かに引っ掛かって良く閉められない。


な、なんだ?

「立て付けが悪い扉ね………せいっ」

少し行儀が悪いが、渾身力で扉を蹴る。



「う゛あ゛……………う゛う゛う゛……………」



へ?

な、なに今の音………って言うか……声!?

もう一度閉めきったドアを恐る恐るゆっくり開く。


そこには―――――――。




「…………美香の奴、遅いな。……どうだ? 少しは良くなったか?」

「はい、有難う御座います。だいぶ楽になりました!」

あれから十分は経ったと思うが、一向に来る気配は無い。

しくじった、あんな破天荒な奴を一人で行かせた俺が悪かったな…………


毎度毎度、俺の不注意じゃないか。


北谷くんもそうだ。

俺って奴は…………

「でも、少しぐらい仲間を信用したらどうですか?」

唐突に、志熊ちゃんが喋り出す。

独り言だと思うが………仲間を信用………か。


思えば、してなかったのかもな。

「ありがとう、なんか目が覚めた気がするよ」

「へ!? あぁ……えーと……どういたしましてです……」

向こうから一人の影が見える。

あれは…………美香だ。


「遅いぞ美香、何やってたんだ………」

見ると、美香の服は所々破けホコリが被っている。

美香は下を向き、俺達を見ようとしない。


「ど、どうしたんですか美香さん……?」

「な、何があったんだよ……お前…………」



スッと美香は前を見据え、潤んだ瞳と裏返った声でこう言った。

「分かったんだ、アイツら………化け物の正体が」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ