第8話 リリの正体
若干の微エロが含まれます。ご注意ください。なお、今回はベットシーンではございません。
………いい匂いがする。なんで女性は女性ってだけでこう幸せな匂いがするのだろうか。
さらにリリはボクっ娘だけどしっかり女であった。今俺はリリに抱きつかれている。俺の顔のすぐ横にリリの顔がある!それだけじゃない。
それはつまり……俺の胸にリリの美!と思われるアレが押し付けられているのだ!アレが‼︎感触がヤバイ!柔らかいのがよくわかってしまう‼︎首は締められていないのに苦しくなってきた。離れて欲しいはずなのに離れて欲しくない!なんだこの矛盾は⁉︎
俺は女の子に耐性など持ってないのだ。俺の歳を覚えているか?18だぞ18!そんなお年頃だから仕方ないじゃないか。
「イタッ⁉︎」
いきなり首すじに痛みが走った、ナイフで刺されたのだろうか?つかのまの幸せだったのか…
チュゥゥゥゥ……
…死んでない?落ち着いて首もとに集中するとそこまでひどくないらしい。むしろ吸われてる?吸われてるの⁉︎
そう、リリは一心不乱に勇希の首すじを吸って舐めていた。舌先が首すじをなぞる。舌使いがなんとも言えない。ペロペロチュウチュウしている。息づかいも先ほどと変わらず乱れたまんまだ。
俺はもう、なすがままにされていた。
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どれほどの時間が経っただろうか?リリはやっと俺から離れた。残念で仕方ない…まずは身体を起こすところから色々始めようか。
リリが少し離れたところでじっとしている。
押し倒されむ前から既に顔が赤くなってはいたが今はその時以上に紅潮している。
「え…と、リリってもしかして魔族は魔族でも……」
「ボクは吸血鬼だよ。ヴァンパイアとも言うね。ボクは普通の食事をもちろんするけど、それとは別に血を飲まないと生きられないんだ。動物の血でもいいんだけど力も湧かないし、またすぐに血を飲みたくなっちゃうんだよね。」
やっぱりか。もしかすると魔族はリリのように生きていく上でなんらかの条件があるのかもしれない。それが人族に害をなす、ということも魔族が人族に避けられる要因の1つなんだろう。
「ボクは人族に紛れて生活してるから自分が吸血鬼ってバレないように限界まで血を飲まないようにしてたんだけど、トマトジュースでごまかしたりしてね。はぁ、やっちゃったな〜、ボクを助けてくれたユウキにキバをたてちゃったよ。」
リリもリリなりに後悔しているのだろう。こちらが聞かなくても、説明してくれた。
「へぁ〜、リリって吸血鬼だったんだ、そりゃ血を吸われても仕方ないよね。けど一言言ってくれれば心の準備とかできたのにさ、いきなりはビックリだよ。まったく。」
………………会話が止まった。
「あれ、どうかした?時間停止してるっぽいけど?おーい」
リリは一定時間ごとに時間が止まる自分ルールでもあるのだろうか、いつぞやのように固まっている。
「……なんで元気ピンピンなの?ボクが吸血した人っていつもはだいたい貧血とかで気を失ったり動けなかったりするのに、ボク普段以上に血を吸ったと思うんだけど?」
「そんなこと聞かれても知らん。血を吸われたのなんて初めてだし、あれじゃね?俺人一倍血の気が多いんじゃね?ダルくも何ともないし。だからほら、落ちつこーぜ。」
勇希にはあずかり知らぬことであるが、リリが吸った血の量は、およそ1.5リットル。人の血液の総量は体重の13分の1と言われており、総血液の3分の1を失うと生命の危機と言われている。勇希の体重は63キロであるから、総血液量は約5リットル。リリが吸血した血液量がどれだけ危ないかわかっていただけるだろうか?少なくも元気ピンピンで居られるはずがないのだ。
1.5リットルも吸血したリリもリリである。よほど血に飢えていたのだろう。そんなこともあって、リリは勇希に2度救われたことになる。
この人はどこか人族とは違うのかもしれない。そんなことを思いつつ、リリは胸の内にある思いが浮かんでいた。
この小説はR15指定でございます。エロ要素が苦手な方は、ご注意ください。
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