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魔族側に味方したっていいじゃない  作者: ベルベル
第3章 依頼をこなそう、仲間が増えそう!
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第29話 囮をする覚悟

初のモンスター討伐依頼、それなりに長くなってしまいました。簡潔に的確に文を書くのは難しいです。気づくと無駄に長い文をつらつら書いてます…

ネリド村が位置するのはアリッサムの東側、平原を行ったところでアリッサムから最も近い村である。(それでも馬の脚で2時間だから例えるならば山手線3周分の距離といったところだ)


東側の門の守衛さんに冒険者証を見せて(冒険者証は住人証の代わりとなり、出入が楽になる。これはギルドがその身分を保証しているためだ)街の外に出る。


街を出てからある程度は俺はともかく脚力補助を何もしていないリリが怪しまれないように普通に走った。平原とはいえ多少の起伏はある。門が見えづらくなってきたあたりで魔導式の補助を受けつつ全力で駆けだした。


説明しよう‼︎

今の勇希の走る速度はだいたい時速100キロほど出ている。

ちなみに馬の時速は時速約50キロ、地球最速チーターは約120キロであることを考えると妖精ちゃんのサポートに魔導式ブーツを使用しているのにその程度かと思われるかもしれないが、チーターが最速を維持し続けれるのは1分にも満たないと言われていることを踏まえたらどうだろうか?

仮に時速100キロをネリド村までぶっ続けたとしたら、かかる時間は諸々計算して約1時間。つまり早くつくためにと用意されていた馬の2倍である。

説明以上‼︎


ちなみにリリはといえば、何の補助もなしでしかも何食わぬ顔でユウキのすぐ隣を並走している。何時ぞやみたいにリリを背負って走る姿を思って期待してた自分がいるのは秘密だ。


確かにリリは魔族の中では高位ではあり今は血もバッチリ補給している。が、もしも魔族が本気で人族を滅ぼしにかかったらベッテルとか一部の冒険者しか抵抗できないだろうな、などど思ってしまった。


魔族って忍耐強いな、いや魔族が全て戦えるわけでもないのか?知らんけど。


無言で結構な間走り続けてたら村が見えてきた。これまでに村はなかったしアリッサムから最も近いのがネリド村だからきっとこの村がそうだろう。


「ふぅ、ネリド村に着いたはいいけどどうすりゃいいんだ?リリお願いしていい?」


「任してユウキ。話し合いはボクがやったほうがいいと思うから。とりあえずは村長の家に向かう。きっと村の中心か1番大きな家だと思うからそこに向かおう。」


まったく頼りになるなぁ俺の嫁は。戦闘面では活躍しないといらない存在になっちまうな。


結局のところは村に入った時にいた村人さんに村長さん宅を教えてもらい、村長に会った。本当に村の中心の大きな家だった。


村はところどころ石が崩れ木が折れ、ゴブリンたちの急襲の跡が残っている。襲われてから時間が経っていないということだ。さらわれた女性を助けられる可能性はまだある。


「この村の村長をしておりますヤリムルと申します。まさか今日依頼を出しだというのにもう冒険者様が来てくださるとは思っておらず大したもてなしもできませんで申し訳ありません。そのうえA級の方が来てくださるとは、本当にありがとうございます。」


少しやつれ気味の白髪なおじいちゃんがこの村の村長らしい。老人といっても足腰はしっかりしていて、農業はまだまだ現役って感じだ。それだけにやつれた顔が似合わない。


「もてなしなんて気にしないよ。ボクたちはすぐに巣を潰しに行く気だから。ここに寄ったのはさらわれた人たちの特徴とゴブリンたちがどっちの方角から襲ってきたのかとその規模を教えて欲しいんだ。」


「それではこの村でさらわれた娘は4人、3人は大人で皆黒髪で長く、眼は茶褐色で、服は農業の作業着を着ています。名前はチコマ、ベレミル、ウェルミンです。作業着はこんな服です。残りの1人は15歳のまだ子供で特徴自体は3人と変わりません。名前はラーティアで…私の孫でございます。

私どもも毎年この時期のゴブリンたちには注意しており、例年通りなら村に被害が出ても娘がさらわれるようなことにはなっておりませんでした。しかし今年のゴブリンは数も多く知性も高く感じました。おそらくゴブリンキングが相当なのだと思われます。

それでだと思われますが村の四方から同時に攻め込まれまして、どちらから来たのかはわかりません。申し訳ないです。」


孫がさらわれたのか。そりゃ顔もやつれるわけだ。俺には娘すらいないが家族が巻き込まれたとなれば不安はより大きいだろう。


しかし規模が大きく頭も回り、おまけに巣のだいたいの方向もわからないと来たか、これは困った。


「ゴブリンたちは巣に連れ込んだら5時間以内にはほぼ必ず女性を犯すと言われているんだ。今日の朝にさらわれたということは時間的には無事ではないかもしれない。もちろんボクとユウキは最善を尽くすけど…覚悟はしていて欲しい。」


「…わかっております。我々に村の娘たちを守れなかった以上、冒険者様に無理を押し付けることはできません。私もチコマたちの夫も覚悟はしております。それでもゴブリンの子を産むなど屈辱の極み、もしその場合は…我々の手で屈辱から救います。」


村長との話も終わって村を出た。巣の具体的な場所をつかむことができなかったのでとりあえずは近くの森に向かって歩いている。


屈辱から救うと言ったが、殺すのか。それがこの世界の当たり前なのだとしても俺には耐えられないことだ。最愛の家族に自ら手を下すなんて。


「なぁリリ、とりあえず森に向かってはいるがどうやって巣を見つける?闇雲に探しても時間がかかりすぎるぞ?」


「やることはすごく簡単だよ。ゴブリンを見つけたらボクがわざと捕まり巣に連れていってもらう。それをユウキは尾行して巣を発見し外から、ボクは中から巣を潰す。」


「おいおいまてよ!それはつまり囮をリリがやるってことか⁉︎いくらリリでも危険だろ!」


「ユウキ、こうしないと巣は見つからない。例え規模がありえないほど大きくても少なくとも自分の身を守ることぐらいはできるしね。なによりボクはユウキを信じてる。ボクは信じて待つだけでも大丈夫。でしょ?それともユウキはボクを信用できない?」


リリが覚悟と決意を秘めた眼で俺を見返してきた。

そんなん返事が決まってるようなもんだ。


「分かった。でももしリリに危険が及びそうだったらなによりも最優先でリリを助ける。例えそれがリリ自身で対処できるようなことであってもだ。」


俺も覚悟を決めた。とりあえずリリにそんなことをさせるゴブリンどもは全滅決定だ。

リリは強いです。身体的にももちろん、何よりも精神的な強さが人一倍です。それが魔族であるゆえというのがなんとも言えないところですが。


誤字脱字ダメ出し感想報告大歓迎です。片っ端から直して返信していきます!

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