表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の弾丸は銀色  作者: ろろんむ
第1章 疑惑
1/17

勇者募集中

「お待ちしておりました。半沢嘉浩(はんざわよしひろ)様」


 紳士のような男性の声だ。ここに来て急に緊張感が増した感じがする。

 俺は男の指示に従って、建物の奥まで歩いた。




 俺の名前は半沢嘉浩。19歳の大学生だ。

 大学生といっても、大した大学ではない。実家から離れた所にある私立大学だ。

 金が掛かるといって最初は入学を反対していた親も、俺がどうしてもやりたいことがあると言ったら了承してくれた。

 詳しいことは親には言ってない。やりたいことが、何なのかも。

 親はそれを今更追及はしてこないし、何せ実家と距離が離れているところに一人暮らししているもので。

 正月以外は帰省しない。


 時刻は午前1時30分。真夜中だ。

 俺はとある建物の中にいる。

 実は俺がその私立大学に通いたかった理由は、これなのだ。

 

 高校2年生の夏、俺は友達とこの辺に旅行に来たことがあった。

 特に目的があるわけではなかったが、その時にちょうどこの辺りを通ったことがあった。

 その時も今くらいの時間帯で、人はほとんどいなかった。

 俺が見つけたのは、『異世界勇者募集中』という謎の張り紙だ。

 異世界だの勇者だの、俺はそういうのに憧れを抱いていた。

 もしかしたら、勇者になれるかも!?


 俺は大学に見事合格し、一人暮らしを始めた。

 その張り紙のしてあった場所と、俺が通っている大学は距離が近かった。

 俺はこの為だけに、この大学を受けた。


 張り紙に書かれた番号に電話をし、俺は色々と手続きを踏んだ。

 

 そして見事、審査に合格し、勇者になることが決定したのだ。

 本当に合格するとは思っていなかったため、最初は焦った。

 だが、ここまで来たからには勇者になってエンジョイしたいではないか。

 そうして俺は、この日、指定された住所まで足を運んでいた。



「あなたがこのたび、勇者になることを志願された半沢嘉浩様で、間違いないですね?」

「間違いない」


 建物の奥に進んだところの個室で、俺は女性に止められた。


「勇者になれるのは審査を経た僅か四名。そのうちの一人にあなたは選ばれました。四番手です」


 四番手か。四番手ということは、俺の合格はぎりぎりだということだ。

 何人が応募したかは知らないが、合格したことは誇っていいんじゃないか?


「四番手です、それでも本当に異世界に行かれますか?」


 どういう意味だ?


「俺を止めたいの?」

「そんなことはありません。最終確認です」

「もちろん、何番手であろうと合格したんだ。俺は勇者ライフをエンジョイするぞ?」

「承知しました。では――――――――」


 女性が俺の額に手を当てると、俺は何だが気持ち良くなり、そのまま意識を失った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ