第13話
第十三話
先の戦でおきた国宝が動き出したという珍事はまたたくまに世界に知れ渡り、モトの名を世界に知らしめた。
なにせ、現国王の中でも扱えたものはおらず。
なにより、過去に国宝を使用できた人物ですら一人として確認されていないのだ。
いつしかモトは双剣と国宝を扱うため
「双剣神」という名で自国のみならず他国からも一目置かれる身になった。
これほどの名誉の中、モトは先の戦をニセ禅師にこう話している。
「あの戦で戦闘したらあくという騎士は、次に対峙した時、今の私が国宝を使おうと勝てる見込みはありません。」
異常な言葉にニセ禅師は表情ひとつ変えずに疑問を投げかけた。
「なぜ、そう思う?」
「彼はロードオブヴァーミリオンを所持しておりませんでした。」
ロードオブヴァーミリオン
のびた国に伝わる最強の武器の一つ
そのロードオブヴァーミリオンを所有するものに与えられるのびた国の称号こそ、闇獣。
ロードオブヴァーミリオンは誰かがつくった武器ではない。
闇属性のものが
「最も愛する人」を手にかけた武器こそがロードオブヴァーミリオンとして姿を変える。
愛が深ければ深いほど、愛する人が多ければ多いほど、その色はより漆黒に近づいていく。
愛するという感情を貪りながらロードオブヴァーミリオンはその強さを巨大化させていく。
「そうか・・・・もういい、下がれ。」
そういわれるとモトは静かに部屋をでていった。
(もしかしたらと思ってたんだが・・・・やはり、国宝を扱えるモトでも勝てないと言わせるか。)
椅子に寄りかかりながらため息をついたニセ禅師は天井を見つめてあることに気がついた。
「あいつ、『今の私が』って言ったな・・・・・。」
彼の口元が自然に緩んだ
モトは城から離れた建物に来ていた。
その中にはN^3もいる。
二人の目の前にある大きなクリスタルの中には見慣れた二人の人間が・・・。
双方とも片腕が根元までなくなり、ほかの部位にいたっても生きているのが不思議なくらいの形をしていた。
「傷が癒えるまで・・・・とは言っても、この体の中身はからっぽだ。」
「命を糧に力を・・・・。」
「だが、二人ともすべてを出したわけではない。その証拠に体は完全に呪物に飲み込まれていない。」
「なら、何か別のもので補えば。」
「かわりがあるかどうか。」
言葉のあとにN^3は建物を出て行った。
「見つけてみせる・・・なんであろうと。」
その場を去る黒い瞳に迷いは無い。




