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プロローグ
いつからだろう。あの人を無意識に目で追っていた。あの人との他愛のない会話が楽しくて、いつも高揚している自分がいた。
もう、女としての賞味期限も間近に迫っているし、況してや私は結婚をしている。しかも二度目の結婚だ。
子供は、自分の命よりも大切だし、夫に対しても何ら不服などあるはずもない。
子煩悩で、私のことも変わらず思いやってくれている。
何より、家族のために懸命に働いてくれて、守ってくれている。
傍目からはきっと、何不自由ない家庭に見られているかもしれない。
私もそう思っていたのに・・・
それなのに、自分の気持ちに気づいてしまった。
私は、あの人が好きだ。 抱きしめて欲しい。 どこかへ連れさって欲しい。
恥ずべき恋の始まりだった。