佐々側高の卑劣な手口
守が亡くなって1年が経った。
瞬太は名川高校のサッカー部に入っていた。
理由は守のように12時間も特訓したくなかったからだ。
顧問の前で退部を告げた瞬太は走っていった。顧問はまだ固まってる。
「うわぁ!!ここが野球部か」
30人ぐらいはいる部員が大きな声で素振りしたり、キャッチボールをしてる。
「部長、どこだろ?」
瞬太がキョロキョロ見てたら、ある光景を見てしまった。
キャッチボールで一人が相手を通り越したり、そのボールを取ってきた人が投げたらまた通り越したり、素振りも波が描くような素振りをしてたり、バットが足に当たってもがいてたり、練習もしない奴がいたりと、野球部は守が死んでからメチャクチャ弱くなっていた。
「なんだよ、これ…」
瞬太がこの状況を見て唖然としながら言った。
すると、見る限り一番必死な人が瞬太を見つけて、走ってこっちに来た。
「き、君は守の弟かね?」
多分部長だろう。部長はばてて座った。
部長がさっき居たところから瞬太の所まで30メートルくらい。なぜ疲れるんだろうと瞬太は思った。
「みんなぁー!!守の弟が来たぞ―――!!」
部長が必死に叫ぶと全員が瞬太の方を見て、なぜか帽子を取った。
しかも、部員の一部の帽子がニューヨーク・ヤンキースの帽子だった。
「部長、ここ、名川高校ですよね?」
ありもしない状況にもう混乱してる瞬太が、苦しまぎれに問いかけた。すると、部長はすんなりと答えた。
「何言ってるんだよ。ここは、名川高校だよ。校門を毎日見てる?」
「じゃあなんだよ、このありさまは!?素振りとかみんなピシッとしてただろ!?高校野球の時はみんな揃ってただろ!!」
瞬太は暴れた。それを3人ぐらいで止めた。
「みんな、みんな佐々側高校がやったんだ」
部長が言うと、瞬太は暴れるのをやめた。
「まあ聞いてくれ。佐々側高校に敗れた後、そいつらにザコと言われた。それから始まったんだ。帽子もザコにはヤンキースでいいとか言って4個ぐらい持ってったり、グローブを燃やされたり、いろいろされた。それでこうなったんだ」
瞬太は部長の話を聞いていくうちに、拳を強く握ってた。
「許せねぇ…兄ちゃんを殺したり、名川高校の野球部をグチャグチャにしたり。本当に許せねぇ…。よし!!オレはあいつらを甲子園で倒す!!」
「と、ゆうことは?」
部長が聞いてきたので瞬太は答えた。
「野球部に入部します」
「よっしゃああ!!」
部長と部員たちは喜んでる。
「ところで、顧問は?どこ行ったん?」
「それは……………」
実は名川高校の顧問は、凄く野球の腕がよくて、半分は顧問のおかげで準優勝になったものだ。
だが、それを佐々側高校に聞かれてしまい、不景気でも生き残るぐらいの給料に引き寄せられて辞めてしまった。
そして、野球部の顧問はほとんど不登校の笠置先生になってしまった。
「………また、佐々側高校に、取られたんだ…………」
瞬太は自前のグローブをはめた。
「練習、しましょう」
「うおおお!!」
部員たちは走っていった。
ここは佐々側高校。
野球部が凄く豪華だ。マシーンも3台用意されている。
名川高校の顧問だった長谷川先生も部員たちにせっせと教えている。
偉そうに誰かが出てくると、全員が何かが迫ってくるようにあせってくる。
「監督、お疲れ様です」
長谷川が言うと、監督は長谷川に近づいて何か言った。
「ちょっと、職員室に来てくれないか?」
監督の後に長谷川先生がついていく。
「名川高校も駄目だねぇ。君がいなければあんなに弱いなんて」
長谷川も名川高校の部員にはあきれていた。
「まったく、そうですねぇ」
「で、エースの守君が死んだのは知ってるかい?」
「えっ、死んだのですか?」
「ああ、しかも今年はその弟、瞬太が来ている。そろそろスカウトした方がいいな」
「そうですね」
「また、殺すか」
二人はハハハと笑っていた。
部員も揃って笑っていた。
瞬太はやりきれない気分でいた。
なぜなら不登校の笠置先生を毎日登校させるように説得するように部長に言われたのだ。
「はぁ、めんどくせ」
と言って瞬太は石を蹴った。
勢いよく石が飛んでる前に人が立っていた。
けっこう、でかい石だ。
「危ない!!」
瞬太が叫んだがそれを無視してまだ立っている。
瞬太がもう知らないと思って目をつぶってしゃがんだ。
鈍い音がした。
その音が瞬太の心臓をもっと動かしてしまう。瞬太はそっと見た。
その人は石をキャッチしていた。それを見て瞬太は安心した。
「すいません。大丈夫ですか。手」
その人が石を落として手でパンパンとした。
「大丈夫ですよ。慣れてますし」
「えっ、昔野球選手だったとか!?」
「いや、5歳ぐらいから野球はやっていたのです。今はコーチをしています」
「もしかして、今暇とか?」
「はい、そうですけど」
「あの、是非名川高校のコーチをやってくれませんか?お願いします!!」
「なっ、名川高校!?君、名川高校の野球部!?」
「そうですけど何か?」
「いや」
「あなたはまさか…」
「はい、私は笠置です。」
瞬太は突然の事に驚いていた。
「ど、どうして、不登校になってしまったのですか!?」
瞬太が聞くと、笠置は下をうつむいていた。
「実は…佐々側高校に言われて…」
「えっ!!」
長谷川が退職して笠置が野球部の顧問になった時の帰り道。
「ついに、ついに私だけが顧問の部活が!!しかも、得意の野球なんて」
すると、前に3人ぐらいの人がいた。
「?誰だ?」
3人は笠置に近づいた。
「こんばんはぁ。名川高校の笠置先生」
「このユニフォームは、佐々側高校か?」
「まあまあ、佐々側ショートコント!!」
はあって感じの笠置は立ち止まった。
「部活終了後の名川高校のみなさん」
2人が出てきた。
「マジかよぉ。次の顧問は笠置かよぉ!!」
「メチャ最悪!!」
「佐々側高校も長谷川と一緒に持ってけばいいのになー」
「誰ももらわないだろ」
「ハハハハハハ!!」
「サンハイ、佐々側高校!!」
3人は走っていった。
笠置はずっと立っていた。
「ひでぇ」
瞬太はあまりのことにひでぇしか言えなくなった。
「で、本当に名川高校の人はそんなこと言ってたのかな?」
「いえ、みんな笠置先生を待ってます」
「そっか」
「では、来てくださいよ」
「分かった」
その返事を聞くと安心して走っていった。
「おーい、君の名前は」
「オレは、福沢瞬太です!!」
「福沢!?」
瞬太は走っていった。
「福沢、か」
「よかったぁ。笠置先生来てくれるんだって」
「マジよかった」
「あれ、あれ佐々側の奴と笠置先生じゃん」
太田と倉木が歩いていると、笠置を囲んでる佐々側高がいた。
「笠置先生。行くんですね。学校」
「あんなに言ったのに」
「私は、おまえらの事は信じない!!私は野球をしたいんだ!!」
笠置は佐々側高の奴らを睨んだ。
「うるせぇ!!二度と学校に行けない体にしてやる!!」
一人を中心に笠置に殴る蹴るの暴行を加えた。
「おい、これやばくないか!!」
二人は見つめあって頷いた。
「行くぞ!!」
それを合図に二人は走っていった。
「おい!!何してるんだ!!」
佐々側高は二人が出てきてちょっと焦った。
「うるせぇ!!おまえらも二度と野球ができない体にしてやる!!」
倉木と太田は殴られていくうちに、だんだん力が弱くなりどんどん殴られた。
1時間後。
「こんぐらいでいいか。帰るぞ」
「ああ」
佐々側高は帰っていった。
3人はボコボコにされた。
笠置はヨロヨロしながら立ち上がって言った、
「だ、大丈夫か?」
倉木と太田も立ち上がった。
「だ、大丈夫すよ」
「そ、そうですよ」
「野球、できるか?」
「はい」
「よかった」
笠置はグラッとして倒れた。
「先生!!先生!!」
翌日、笠置は来ていた。
「笠置先生!!大丈夫ですか」
「ああ、それよりも佐々側高はひどいな。あいつらを倒そう」
「おおおおおお!!」