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土産土  作者: カツオ
1/4

準優勝校名川高校

長いけど読んでください。お願いします。

緊迫した野球会場、チアリーダーがぼんぼんを振って、エールを送ってる。

ベンチでは監督が手を組んで何かを祈ってる。

ピッチャーがボールをぎゅっと握りしめながら見つめている。

キャッチャーがストレートのサインをとっている。

ピッチャーがうなずく。

「さあ、ピッチャーが投げる準備をしています」

ピッチャーが滑り止めを手にまぶす。

バッターが唾を飲みながら、バットを強く握る。

監督が手を組んでいる。

ラジオのアナウンサーも緊張の一瞬を見ている。

客席が応援する。

ピッチャーが客席を見渡す。

「バッターも緊張の一瞬を見ています」

応援の声が聞こえる。

バッターも今までを振り返っている。

バッターは前を向き、ホームラン宣言のジェスチャーをする。

ホームラン宣言の直後、観客がワーワー言っている。

「ホームラン宣言をしたぁ!!」

ラジオの人も手に汗が出ていく。

観客がしずまる。

ピッチャーが振りかぶって投げた。

「振りかぶって投げたぁ〜!!」

とおなじみの言葉をラジオのマイクに吹き込む。

バッターにどんどんボールに近づいてく。

バッターが大きく振り、芯におもいっきり当てて、遠くに飛んだ。

「お〜っと!!これはホームランか!?」

ボールがセンターを越えようとする。

センターがスパイクで土をおもいっきり踏んで飛び、ボールをキャッチした感じで降りてきた。

センターがグローブを見ると、打った跡がしっかり残ってるボールがあった。

「やった!取った!!!!」

「ゲームセット!!」

審判がサインして叫ぶ。

「うおおおおお!!!!」

と勝利したチームがセンターに向かって走ってく。

いきなり、真っ暗になった。

そう、テレビの高校野球だった。

「くそぅ、佐々側高校、うぜぇ」

高校1年の瞬太が呟いた。

佐々側高校は今年の高校野球の優勝校だ。

で、さっきのテレビで見た高校野球は今年のが映ってる。

「兄ちゃんの高校を侮辱しやがって…」

瞬太の兄ちゃん、守の高校は名川高校で今年の高校野球の準優勝校。

佐々側高校は名川高校をザコと侮辱している。

「母さん、兄ちゃんは何処行ったん?」

居間にいる母さんに瞬太は訪ねた。

「今日も特訓よ」

瞬太の母はテーブルを拭きながら答えた。

守は佐々側高校にザコと言われてから、毎日12時間ぐらい投球、打つ、走る、守るの練習をしている。

雨でもかかさずやってたら、39度という熱を持って帰って倒れたが、まだかかさずやっている。

瞬太は守が特訓している所に弁当を持ちにいった。

「兄ちゃん!」

「瞬太か、弁当か?」

守は最近

「か」

が口癖になっている。高校生の象徴だ!と守は言っている。本当に

「か」

が口癖は、高校生の象徴なのか?

「弁当だよ」

「今日のおかずは何なのか?」

日本語がよくわからない。

「卵焼き、鮭、ウィンナー、ミニグラタン、おしんこたぶんそうだよ」

瞬太もなぜしってるんだろう。

「幕の内!?」

ミニグラタンは幕の内なのだろうか?

守は開けた。

「どんぴ〜!!!!」

ドンピシャの略らしい。たぶん。

「兄ちゃん、12時間はやりすぎだよ!」

守は弁当を吐いた。

「ばあか、ザコと言われたからには、こんくらいやんなきゃ意味ねぇだろうがぁ!!」

瞬太はそうなのか?と思った。

「兄ちゃん、ザコって何なのかなぁ」

守の箸が止まった。

守は瞬太は一体何言ってんだろうと思った。

「弱い…だろ」

瞬太は立ち上がった。

「兄ちゃんの学校は弱くねぇよ!!俺が保証するよ!だって兄ちゃんたちは、地区予選を勝ちのこって、甲子園を2位になった!それのどこが弱いんだ!?」

「瞬太、ありがとう。俺たちは弱くない」

「そうだよ!!」

「じゃあ、今日はこれで終わりにするよ」

「うん」

そういって、二人は帰っていった。

翌日、朝3時に守は特訓をしに行った。

それから、13時間後、まだ守は帰ってこない。

「兄ちゃん、遅ぇよ」

瞬太はものすごく心配していた。

「警察に電話しましょう」

瞬太の母と父は頷いた。

隣町の特別競技場。名川高校の練習場でもある場所だ。

守は特訓していた。

なぜかと言うと、スパイクを買いにスポーツショップに行ったら、佐々側高校の奴らがいた。

「ザコ高の奴らじゃん!!どこふらついてんのっ!!ハハハハハ!!」

「うっせぇ!黙れ!!」

守は反発した。

「まあ、ザコは空き地でプラスチックのバットでも振ってな」

守はまた反発した。

「さよならなんだから意味ないだろ!!」

「うっせぇ、サヨナラでも勝ったもんは勝ったんだ」

もう一人が言った。

「まあ、また特訓でもしてな。無理だけど。ハハハハハハハハハハ!!」

佐々側高校の連中は店を出た。

守はやってやるって思って、特別競技場に走っていった。

昨日の出来事だった。

「オレ、探しに行ってくる!!!!」

瞬太は家を出て走ってあの空き地に行った。

だが、守はいない。

「いない、どこだよ!!兄ちゃん!?」

瞬太はいろいろな所を走った。

いつも立ち読みしてる本屋。

いつも器の下に置いて、走って出ていき、毎日食い逃げだと思われてたラーメン屋。

兄ちゃんの好きなバンドがライブをやっているライブハウス。

唯一人型パンが売ってるから守と瞬太がすごくひいきしてたスーパー。

夜の暇つぶしのパラダイスだと守が思ってる100均。全部見たが何処にもいなかった。

「くそ、絶対100均にいると思ったのに…」

瞬太はずっと走ったから疲れていた。

「ほかに練習場って言えば…ああ!!」

瞬太はあることを振り返っていた。

守がたまに佐々側高校のグラウンドの他に行く場所。

「瞬太、特別競技場に行ってくるから遅くなるぞ」

そうだ!特別競技場だ!!

やっと思いついた瞬太は、財布の中身を確認した。

「3600円!行ける!!」

瞬太は道路をずっと見て、タクシーが来たら手をあげた。

「久しぶりの客、いらっしゃいませぇ。どちらまで」

タクシーの運転手が笑顔で出迎えた。

「隣町の特別競技場までお願いします」

「隣町かぁ…」

運転手のテンションが下がった。

が、何か思いつくと、スマイルになって言った。

「3周していい?」

「ダメに決まってるだろう!!」

運転手のテンションが下がった。

「3周!!」

「ダメ」

もっと下がった。


一方、守は投球練習をひたすらやっていた。2、3個のボールには血が付いていた。

「いってー、血豆潰れたよ」

手を振りながら呟いた。

「でも、まだやんなきゃ」

そして、立ち上がった時、………………………………ドクン!!………………。

瞬太はタクシーに乗っていた。あたりは雨だ。

「兄ちゃん、こんな雨に競技場で何をするん?陸上は自殺行為だよ」

タクシーの運転手は瞬太に言ったが、

「大丈夫、心配かけてすみません」

「そう…。じゃ、3周するね」

「ダメ!!」

「なんでさー!?」

何度言ってもしつこかったので、2周させた。

そして、やっと競技場に着いた。

「兄ちゃん!!」

瞬太は叫んで走った。でっかいドアを開けて、中に入ると、

「!!」

守は倒れていた。

「おい!!兄ちゃん!!どうしたんだよ!?なんで倒れてるんだよ!?おい、兄ちゃ…」

守は雨で冷たくなっていた。そして、死んでいた。

瞬太はもうわかってた。

でも信じたくなかった。

3ヶ月くらい平均12時間特訓をしても、1回しか風邪をひいてなくて、野球が強い、瞬太の憧れの守が死ぬなんて思ってなかった。

「兄ちゃん!!兄ちゃん!!兄ちゃん!!兄ちゃあん!!」

滴る雨の時の出来事だった…。

病院では過労と突然の心臓発作が原因の死亡だと言われた。

やっぱり、あの特訓が全ていけなかった。

2日後、守の葬儀が行われた。

瞬太は葬儀中、いろいろな事を考えていた。

守といつもの空き地で弁当が食えない事。

テレビの高校野球で守の顔が見れない事。

そして、もう兄ちゃんと呼んでも誰も来ない事。

瞬太は葬儀中に声を出して泣いていた。

お坊さんがお経を読んでても、おかまいなく泣いていた。

瞬太の母は邪魔された時のお坊さんの顔に怯えていた。

葬儀も出棺も終わって葬儀の片づけをしてた時に、聞き覚えのある声がした。

「へー、守、死んだんだ。ザコいから自殺?」

「うわぁー、ありえそう!!はははははは!!」

佐々側高のやつらだ。守をバカにしてたらしい。

瞬太は一瞬にして怒りが爆発して、佐々側高の方へ走った。

「おい!!おまえら!!」

瞬太が声をかけると、佐々側高のやつらが瞬太の方を向いた。

「ああ、ザコの弟ね。ザコの弟もやっぱりザコかなぁ!!はははははは!!」

「だまれ!!」

瞬太は怒りの形相で佐々側高のやつらを睨んだ。

佐々側高のやつらは一瞬ひるんだ。

「オレは、野球部に入る!!そして、おまえらを倒して、こっちがザコって言ってやる!!絶対だ!!」

佐々側高校はやったろうじゃんとした顔で睨んだ。

次は一気に1年後の話。


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