8.フレンドリーマッチ 後半
@シティ・グラウンド
レオン・龍馬・エドワーズ
さぁ後半のスタートだ。後半の変更メンバーはこれだ。
【IN】
RW ケンゴ・タナカ
ST ファビアン・シルバーノ
CB ブランズ・ホワイト
【OUT】
RW マーカス・ブレイディ
ST グラム・ゴールドスミス
CM ハリー・ウィングス
【ポジション変更】
CB → CM リーマス・ブライト
若手を中心にメンバーチェンジしたが軸となるCMネヴェスなどは換えが効かない。
オーバーワークは怪我にも繋がるためシーズン開幕までにここをなんとかする必要があるな……
『コール・ウェンディ!20分前後でLBスミスと替わるぞ!アップしといてくれ』
『はいッ!!! 』
『ウェンディはLMFとして入ってもらう。3-4-3にシステム変更だ。ラスト15分、中盤に選択肢を増やしてより攻めてみよう』
正直チーム全体の「数字」ではノッツカウンティは格下だ。
1番高い選手でも相手STランスタッフの「73」が最高値。「数字」が高い方が必ず勝つわけではないが、ここで追加点を取れるようなチームじゃなければ昇格を目指せない。
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ファビアン・シルバーノ 視点(ST)
後半スタートから10分。試合は前半と同じくポゼッションで勝るうちのチームが有利に進めているが、中央の守備が固く俺がシュートで終わる形に持っていけない。
グラムさんのようにフィジカルが強くない俺ではクロスの的となることができない。
かといって下がってボールを受けてもPAまで突破することがなかなか難しい……バイタルエリアで勝負するか、うまく抜け出してキーパーと一対一に持っていくか……
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ブランズ・ホワイト 視点(左CB)
ノッツカウンティは前半とあまり変わらない戦術みたいでなかなか攻めきれないなぁ。
ここは前半のブライトさんみたいにサイドに相手を引きつける動きをやってみるか。
『よしッ!モノマネだっていいんだ。やってやる。』
俺は前半のブライトさんの動きを思い出しながら、少しフィールド左に寄りつつLBスミスさんやLWハーグリーブス君と連携を取りながらセンターラインを越えて行った。
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ジョナサン・ネヴェス 視点(左CM)
『おーっと、ブランズがブライトさんの真似してらぁ』
前半の得点パターンを思い出して同じ動きをしてみようとしたのか……たーだベンチに座ってたわけじゃないってことねぇ。
だが、相手もバカじゃねぇからな。前半みたいに簡単に逆サイドを空けはしないだろう。
『よっし、俺が突破すっか』
CBブランズから高めに位置をとったLBスミスにボールが渡り、相手右CMFがプレスに来たところを少し下がって受けにきたLWハーブグリープスに素早くパスが出る。
慌てた相手RBがハーグリーブスに着こうと前に出るが、そこが狙い目。
空いた裏のスペースに俺は走った。
『ハーグッ!!! (俺の)前に出せッ!! 』
叫び声に反応したハーグリーブスが相手RBの傍から軽くパスを出すのが見えた。
そのままゴールライン近くまでボールを持って上がり、PA内に侵入しようとするが1番近い相手CBと一対一になった。
だがこれでゴール前にSTファビアンとOMFオーウェンもいるため3CBとの前線枚数不利はなくなった。
ここは止まらず流れでシュートまで行くべきだ!
そう感じた俺はCBに正対すると、すぐ右脚の逆エラシコで相手を置き去りにしゴールに向かって一閃、右脚を振り抜いた。
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ファビアン・シルバーノ 視点(ST)
あっという間のでき事だった。
それまで攻めあぐねていたのが嘘のような速攻だった。CBブランズからのボールはLBスミスさん、LWハーグリーブスさん、最後にCMネヴェスさんの3パスでシュートまで来たのだ。
そして目の前でネヴェスさんは逆エラシコで相手CBを置き去りにしてシュートを放った。
綺麗な弧を描いたシュートはゴール右隅に向かって進み、
『ガーンッッ!! 』
ゴールポストが大きな音で揺れてボールが俺の前に返ってきた。
俺は「綺麗なシュートだったな……入れば……」と思いながら冷静にボールをゴールへ押し込んだ。
『おぉーしゃぁー!!!! 』
沸き立つシティ・グラウンドと同じくらい自分の中でアドレナリンが放出する。
『クッソォ〜。な〜んであれが入らんのやぁ』
『ネヴェスさん! あざっすッ!! 』
『よぉ〜く俺に感謝しとけよぉ!? ……まったく、完璧な突破だったっちゅうのに……』
文句を言いながらも笑顔のネヴェスさんを観て、みんなで慰めながら自陣に戻るのだった。
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@インタビューブース (試合終了後)
レオン・龍馬・エドワーズ
試合はその後、LBスミスに変えてLMFコール・ウェンディを投入。343にシステム変更した結果、バイタルエリアからのシュートが増加。
ノッツカウンティの守備が固くキーパーのスーパーセーブも何度かあり、ゴールにはならなかったがコーナーキックの機会が増えた。
結果的には後半43分、ネヴェスのコーナーキックからCBブランズの長身を活かしたヘッドで3点目。
試合はそのまま終了した。
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試合結果:3-0 (ノッティンガムフォレスト勝利)
(内容)
・前半22分
ゴールドスミス選手の豪快なパワーシュート
グラム・ゴールドスミス 1G
マーカス・ブレイディ 1A
・後半15分
ネヴェス選手の鮮やかな抜け出しからのシュートは惜しくもゴールポスト直撃。直後、こぼれ球をシルバーノ選手が冷静に押し込む。
ファビアン・シルバーノ 1G
ジョナサン・ネヴェス 1A
・後半43分
ネヴェス選手が蹴ったコーナーキックを長身ホワイト選手が叩きつけるような強烈なヘッドでゴール
ブランズ・ホワイト 1G
ジョナサン・ネヴェス 2A
MOMジョナサン・ネヴェス
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『監督、就任初勝利おめでとうございます。どのようなお気持ちですか』
『正直ホッとしました。シーズン開幕前とはいえ良い形で試合を進められたのがよかったと思います』
『前半活躍した選手を後半入れ替えましたがどのような意図があったのでしょうか』
『今日はフレンドリーマッチです。全ての選手に機会を与えたいと思いました』
『来週末に行われるもう一戦、どのように挑みますか』
『来週の試合にはまた今日とは異なるメンバーで挑む予定です。たくさんの声援、ありがとうございました。この街の皆さんの応援に感謝します』
『監督、ありがとうございました。続いては本日のMOMに輝いた……』
インタビューブースをネヴェスに明け渡し、まだファンサービスをしている選手達の元に合流しよう。
『まずは勝ててよかった……』
フレンドリーマッチとはいえ初勝利は感慨深い。
この調子で開幕戦も迎えたいもんだ……
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