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24.家族団欒のひととき

「ブックマーク・いいね・評価」ありがとうございます。

読んでいただけていると目に見えてわかるため、励みになります。


今週の更新はこれ一本です……ご了承を。

@ノッティンガムフォレスト 練習用コート

レオン・龍馬・エドワーズ


 バーミンガムでのアウェイ戦での勝利からから二日後。完全オフを挟んで今日の午前中は前の試合の振り返り、午後はポジションごとに分かれてのトレーニングとなっている。


 俺がFW(フォワード)組のトレーニングに就いて、前試合で活躍して魅せたファビアン・シルバーノのフィジカル力の向上に感心していると、視界の端に懐かしい顔が見えた。


『おーい! コウイチロ~!! 』


 そう俺が呼びかけると、コート際のフェンスの向こうに控えめにこちらに手を振る従弟が見えた。


『龍馬くんッ!! 忙しいところごめんね。今日から週末の試合まで取材で来ていて……』


 急いで駆け寄ると焦ったような顔で浩一郎が挨拶してきた。


『いやぁこっち(イギリス)で会えるとは思わなかったよ。いつも日本で会うのが当たり前だったからね。今年は監督就任でバタバタして日本にも行けなかったしなぁ。俺は浩一郎の取材ならウェルカムだよ。今日は浩一郎1人かい? 』


『今日はノッティンガム市内にホテル取って、本格的な取材は明日からだからクルーは市内観光してるよ。僕は練習終わりに龍馬くんに挨拶でもと思ってたんだけど……


 着いた時間が早かったから、施設を見学していたらこのコートで龍馬くんを見つけてね』


『そうか。まだあと1時間ほど練習予定だから、終わったら一緒に食事でもどうだい? うちでエマと子供たちにも会って行ってくれよ』


『急に訪問したらエマさんに悪いんじゃないかな? 』


『大丈夫だよ! 今週、浩一郎が仕事でやってきたらどこかのタイミングで招待するからって伝えてあるからね』


『ありがとう。僕はここで終わるまで練習見学しておくから大丈夫だよ。急に顔出してしまってごめんね』


『プレスパスを既に持ってるならクラブハウス内もある程度自由に見れるから、飽きたらそっちの見学もするといいよ。ウチの施設はプレミア上位陣と遜色無い設備だからね』


『練習中にわざわざありがとう。中も少し見てみるよ。そろそろ戻らないと選手達がこっち気にしているよ? 』


『あーそうだね。じゃ! また後で! 』


 一旦、浩一郎に別れを告げ、俺はFW組の練習へ戻った。


 選手引退後は毎年日本に訪れていたが、監督就任でバタバタしていたので1年ぶりの再会に嬉しくなったな。


 浩一郎は10歳離れた弟的な存在で、オフシーズンに日本で過ごす時にはサッカーを教えてあげたりしていた。


 浩一郎は大学まで真剣にサッカーに取り組んでいて、俺の影響もあってプロを目指したようだ。しかし俺に見える彼の頭上に掲げられた「数字」は日本のプロの「数字」と比べてやや低かった。


 努力が報われることもあれば、報われないこともある。そして、何をするにしても才能が有る、無しで考えれば、有ることに越したことはない。


 浩一郎のサッカーについては、努力だけでその「数字」の差はカバーしきれなかった。


 今は浩一郎の爽やかさ、頭の良さを活かしてアナウンサー、記者として立派に成長しているようで安心だな。


 あと1時間キッチリ練習して、エマや子ども達と会わせてあげよう。


——————

@ノッティンガムシャー 郊外 レオン自宅

レオン・龍馬・エドワーズ


『ただいまぁー!! 今日はゲストを連れて帰ったよぉ〜』


『『パパおかえりぃ〜! 』』


 玄関を開けて帰ったことを伝えると、リビングから息子のウィリアムと娘マリーが走ってお迎えに来てくれた。


『浩一郎さん! 久しぶりですね。ようこそ我が家へ! 夕飯はしっかり作ってありますからね。たくさん食べていってください』


『エマさんありがとうございます。急にお家に伺ってしまってすみません』


 申し訳なさそうに浩一郎はエマに頭を下げた。


『今週来ることは聞いてたから大丈夫ですよぉ〜。ほら! ウィリアムとマリーも挨拶してッ!』 


 さっきから俺に抱きついて離れない2人の可愛い子ども達が元気よく浩一郎に挨拶した。


『『こんばんはコウイチおじちゃん!! 』』


『はーい! こんばんは! 2人ともまた大きくなったなぁ。2人とも今はプライマリースクール(5〜11歳の公立学校)かな? 』


『僕は去年8歳になったから今年からプレップスクール(8〜13歳私立進学校)だよ! 』


『私はね〜5歳だから今年からプライマリースクールに通ってるの!! 』


『2人とも1年会わないだけで立派になったねぇ。マリーちゃんも前に会った時は小さかったのに僕のこと覚えててくれて嬉しいよ』


 たしか前回日本で会った時はまだ3歳だった頃だからなぁ。でもオンラインで連絡を取ったり、携帯で写真を送れるからちょくちょく子ども達は浩一郎の顔は見ているのだ。


『赤ちゃんは元気??? あと涼ちゃんは今日はいないの?? 』


『赤ちゃんはもうおっきくなって今は歩けるくらいだよ。亮一郎って名前だよ〜。涼ちゃんはおうちで子どもの面倒見てるから今回は来てないんだ! 』


 前回子ども達が浩一郎に会った際はまだ奥さんの凉さんは妊娠中だったが、無事子どもは産まれたと以前オンライン通話で報告してくれた。


『ささっ! いつまでもここで話してないで。はやくリビングでご飯食べながらお話ししましょう! 』


『『わーい!! パーティだぁー!!! 』』


 子ども達は浩一郎のために用意されたご馳走が並んでいるリビングに向かってバタバタと駆けていった。


『龍馬くんの子たちは元気でいいなぁ。いずれうちの子もあんな感じになるのかな? ハハハッ』


『大きくなれば、騒がしいけど楽しくなるよ。さっ! 今日は仕事を忘れて、せっかくだから家族で楽しむとしようか! 』


『今日はお邪魔しますッ! 』


 久しぶりの従弟との再会をレオンは家族と共に騒がしく、楽しく迎えたのだった。



3月6日12:00よりレオンの現役時代を描いた『数字の見えるフットボーラー』 〜世界一の選手を目指して〜 を別シリーズとして公開します。そちらは章ごとの更新を行いますので、不定期更新となります。


3月6日は新シリーズも更新がありますが、こちらも最新話の更新をいたします。

更新頻度が落ちますがよろしくお願い致します。

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