20. 第6戦 対ノリッジシティ・ホーム
ブックマーク、評価、いいね増えてきておりびっくりしております。毎日投稿できないこともありますが、引き続き宜しくお願いいたします。
@シティ・グラウンド 選手ロッカールーム
レオン・龍馬・エドワーズ
週末に行われたEFLカップ(カラバオカップ)1回戦対ポーツマス(3部)を3-1で勝利したノッティンガムフォレストは、中3日の行程でリーグ第6戦対ノリッジシティをここホーム:シティ・グラウンドで迎えた。
ノリッジシティFCはここ数年でプレミアと2部を毎年行き来しているチームだ。2シーズン前に2部優勝で昇格したかと思えば、昨シーズンはプレミア最下位。
ノッティンガムフォレストが開幕戦で戦ったサウサンプトンと共にプレミアからこの2部リーグへとまた戻ってきた。
では、弱いチームなのかと言われれば…弱くはないが強くもない…と言った微妙な立ち位置といえる。
まあ、2部に定着するノッティンガムフォレストよりは格上と言えるだろう。
『パンパンッ(柏手の音)みんな顔上げて後半は気持ちを切り替えてくれ! 』
前半45分が終了し、試合は0-2とビハインドでハーフタイムを迎えた。
ノリッジシティの不動のSTブッカ選手が2Gと波に乗っていて手が付けられない現状だ。STブッカは2シーズン前のノリッジシティ優勝時も2部リーグ得点王でシーズン30得点を挙げ、昨シーズンもプレミアで11得点と要注意選手として試合前からマークしていた選手だった。
『前線はSTブッカさえケアできれば他はそれほど怖くない。後半、ウイングスに代えてリュードがCDMとしてSTブッカを抑えるんだ。カップ戦の疲労が多少あるとは思うが、運動量豊富なリュードのほうがマンマークには適しているだろう。
CDMが下がって3バック的な陣形になる場合は両SBで攻撃参加を積極的に狙ってくれ。
後半途中からLBは脚を活かせるコール・ウェンディを投入することを考えているからそのつもりで。
……よし、時間だ。気張って行けよ!!! 』
『『おうッ!!! 』』
——————
@ノッティンガム市内 スポーツパブ
ジョルナン・ケラー (ノッティンパブ 店主)
『親父さん! 追加のビールくれッ! 』
『はいよぉ〜』
歴史あるノッティンガム城の近くに居を構えるこの古いイングリッシュパブは、平日の夜だというのに仕事帰りのノッティンガムフォレストファンで盛況だ。
近年のチーム成績の向上と新監督でここノッティンガム出身のイングランドの英雄、レオン・龍馬・エドワーズが監督に就任してからパブの売り上げも鰻登りだ。
23-24シーズンは開幕から連勝、負けなしという結果で今夜も勝利の美酒を掲げようとやってきたお客達。それが今夜は厳しい現実を突きつけられていた。
『ノリッジと同じくプレミア陥落のサウサンプトンに勝ったから今夜も勝てると思ってたんだがなぁ……』
カウンターで俺と向かっているウチの常連客が苦い顔でビールを掲げてそう言った。
『まだ後半があるからな。わからねぇぞ? どうやら監督の愛弟子、リュード・ミケルが出るみたいだ』
『親父さんが言ってるのは今シーズン昇格したCMの子か……たしか、同じポジションでプレーしていた監督がユースから4年かけて育てたって評判の子かぁ。相手エースを止められるかねえ』
『キングは子育てが上手いって評判だからねぇ。フォレストの鉄人ジョナサン・ネヴェスや小さき司令塔マルティン・オーウェン、あとは移籍しちまったがアーセナルのステファン・ジェラードは監督が生まれ変わらせた、育てた選手達だ。ミケル君だってきっとブレイクするぞ』
『そういえば、親父さんは監督の選手時代からの大ファンでしたね。道理でその弟子達にも詳しいわけだ。ハハハッ』
『まぁそんじょそこらのファンには負けないかもね。このパブでいっつも試合観てるからな。ハハハッ』
『おっ!ミケル選手が出てからパタリとノリッジシティの攻撃が停滞しはじめましたね。STブッカをマンマークできっちり消してるようだ』
『残り時間で逆転できるといいが……』
『まぁ開幕からここまで勝ち続けてきたんだ。負けが1つくらいついたところで長いリーグ戦なんだ、また勝てばいいんですよ』
『そうですなぁ。フォレストは昇格を目指すチームになったんだ。一つの試合で一喜一憂しているだけのチームじゃなく、シーズン通してどれだけ勝ち点を取れるか考えるようなチームになったんですねえ……』
『親父さんが現役のうちにフォレストがプレミアに戻った姿が見れそうで楽しみだな』
『たしかに…楽しみです』
試合はそのまま0-2でノッティンガムフォレストは敗北。後半投入されたリュード・ミケルがきっちり仕事を果たし追加得点を与えなかったものの、守勢は覆せず、反撃とは行かなかった。
しかし、格上相手に試合を壊さず戦った若手のプレーを観た私たちフォレストファンの胸中は、昇格という明るい希望が灯ったままだった。