表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/13

発明 厨二王女

初回限定 一挙二話投稿SP 第二弾をお楽ししみ下さい

 その頃、ギーマ=アーケイディア王国・王城・アポロニール国王の執務室では、家臣たちが入れ替わり立ち代わり出入りし、いつものように忙しく業務を遂行していた。

 ただでさえ忙しいのに、この雷鳴は()()()()のせいで余計にややこしい話が増えると、嫌な予感しかもたらさなかった。


「陛下。王母陛下が離宮よりいらっしゃいました。嵐の件のようです」

「あの嵐なら、姫のせいだ。心配することはないと伝えておけ」

「解ってますよ。解っているからこそ様子を見に来たのですよ。もう楽しみで楽しみで」

「お母さま。先触れを追い越してこないで下さい」


 当人が直接来るのは、異例であり、少々礼儀に反した行為だ。

 そして次々と…


「陛下。軍務大臣がいらっしゃいました。この嵐の件です」

「あの嵐なら、姫のせいだ。心配することはないと伝えておけ」

「解っていらっしゃるようです。解っているからこそ、相談があるとか」

「陛下。宰相閣下が~」

「陛下。公爵家の~」

「陛下。御用商人の~」


 各界からの来訪者の知らせに、何回も同じ答えを返し、そして常に同じ事を返される。

 度重なる“天丼”に王のイライラは募っていき、最後で遂に限界が来た。


「陛下。城下の者たちが次々と王都から避難を始めています。」

「あの嵐なら、姫のせいだ。心配することはないと伝えておけ」

「解っています。みんな解ってるから避難してるんです」


腰に佩いた王家の宝剣を外すと、張り扇を握りしめ大股で尖塔に向かっていった。


 ☆


 ここは王城地下の一室。姫の研究室兼工房兼ダンジョン。

 

「行くわよ」


 姫様は、巨大ならせん状滑り台に上った。上から滑りおり、途中のブラックボックスに入り、出てくる時は普段着とそれようの白衣に着替えは終わっていた。

 姫様の発明品『全自動お着替え君三号』だ。通常はお付きのメイドが数人がかりで数分間で着替えさせるのだが、無人・数秒間ですむ。


「さあ、行きましょう」

「えーっと、これが凧型22号。鳥型53号。今度は昆虫型ですか?」

「そう。空を飛ぶのは鳥と凧だけじゃないからね」


 6歳より空を飛ぶ夢にとり付かれてから数年、実験用の模型も順調に増え続けていた。


「前々から聞きたかったんですけど、もう【変身(シェイプチェンジ)】は完璧なんでしょう?わざわざ乗り物の開発なんてしなくても」

「魔力を使わない。又は極力使わない。が私のモットーよ」

甲虫型(ビートル)蝶々型(バタフライ)トンボ型(ドラゴンフライ)、全部1号ですね。魔獣型は一つもないですね。(ドラゴン)型とか天馬(ペガサス)型とか」

「実物見たことないからね。おとぎ話では詳しい原理が解らないし。話を聞く限り航空力学的にありえない形状だらけなの」

「その航空力学とやらも、姫様が言いだした話でしょ?どこまで正確なのですか?」

「まぁこの世界ではまだ確立されてない学問だけどね…そうね…一度実物を見てみるのも…」


姫はトンボ(ドラゴンフライ)を見つめながら考え込んでしまった。


「ドラゴンフライ…ドラゴン」


 マーガレットは嫌な予感に冷や汗が噴出した。いや、予感ではない。リンゴが熟せば木から落ちる…くらいに外れない予想。経験則からくる確信だった。

 そして引き起こされる騒動が、不用意な自分の一言から始まったのだとバレたら…冷や汗が止まらなくなった。


「で、新発明てのはどれですか?」


なんとか誤魔化そうとしたその時…


ドヤドヤドヤ


 王様が10数人のVIPを引き連れて地下室にやってきた。

一度尖塔に上って地下まで下りてきたので完全に息が上がっている。なぜか王母様だけは平気な顔をしている。


「あら、お父様。何か御用ですか?それはともかく、みなさま運動不足のようですわね」

「うるさい!こんどは何をやらかした!」

「まぁ失礼な。まだ何もしておりませんわよ

 ただ実証実験がまだなので、軍か騎士団に協力して頂きたく存じます。

 またしても私の発明品が世界を変えてしまいますのよ

 フフフフ…ハハハハハ…ドワ~ハッハッハッ!!!」


「あれさえなけりゃ素直に功績を誉めてやるんだが」

「天才とナントカは紙一重とか」

「やっぱりあの事故のせいでしょうか」

「水晶爆発事件ですか」

「他にも色々爆発させてますからね」

「それ以外も何度も頭打ってますからねぇ。飛行実験とか加速実験とか」

「グスッ、おいたわしや姫様」

「そこ、本人の目の前で失礼な相談してんじゃないわよ#」


 父である国王や国の上層部の貴族の前では被った優雅な仮面(ネコ)も、すぐに剥がれる姫であった。



以後、週一回更新を最低ラインに、出来たら週3~4くらいでマイペースで行きたいと思っております

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ