第9話 冒険者ギルド
ー野営地近郊の森のー
アニスたちが野営をし、食事をている広場から7キロほど離れた暗い森のん中でそれは起きていた。
シュツ! ザンッッ! 「ギャア―ッ」
暗闇の中の斬撃と悲鳴、日の落ちたこの暗い森の中で戦闘が起きていた。
「リアムがやられた! くそう、どこから襲って来る」
「隊長、これで8人目だ!、もう撤退しましょう!」
「だめだ、我々は天帝様よりの勅命を受けたエリート部隊だぞ、何の成果もあげられず撤退などできん!」
「しかし、このままでは全滅です」
「とにかく防御陣形で相手を探しだすんだ!」
「ハ、わかりました!」
森の中にいたのはフルプレートメイルの鎧を着た兵士達であったがその容姿が少し違う、切り倒された者の兜が脱げ、顔立ちを見ると頭に耳が生え、腰には狼のようなシッポが生えていた。そう彼らはこの大陸の者達ではなく、三大陸の一つ イグニシア大陸 の獣人帝国の兵士である。先の騒動のあった アグニ大陸 に先遣隊として調査に来た者たちであった。
シャッ!シャッ! 「ウグッ!」「ガッ!」同時に二人の兵士が倒れそれと同時に頭上に火の玉が現れ彼らの上に降ってきた。
「う、うわあ―ッ」
「こ、これまでか。天帝様申し訳あ...」
部隊の隊長と残りの兵士たちは降ってきた火の玉に焼き尽くされてしまった。全滅である。
闇の中にそれはいて、人には聞こえぬほどの小声で語っていた。
「ルシュ様、獣人国の者らは全滅です」
「ん、後始末が終わり次第、パルマへ向かう」
「わかりました」
闇の中にいたのはシャザルゲンの部隊で、パルマへ行く道中の遭遇戦になったのである。
夜が明け朝日が昇るとアニスたちは野営をかたずけ出発の準備をした。それぞれが動き出して、マゲラルに向かうのはアニスと女性冒険者パーティーの「ロフティードリーム」だけで、馬車と荷馬車の二つのグループはほかのまちへ、男女のパーティーはこれから依頼をしにさらに森の奥へとバラバラに野営地を後にした。
野営地から半日の距離だったのですぐにマゲラルの門の前に着いた。
昨晩よりアニスと仲良くなったソフィーが並んで歩いて、色々と教えてくていた。
「これがマゲラルですか」
「そうだよアニスちゃん、こっちの門から入るんだけどアニスちゃんは身分証明とかわかるものは持ってるの?」
「ううん、持ってないですね」
「じゃあ、ちょっとした検査と入市税の銅貨三枚が必要だけど大丈夫?」
「はい、銅貨の方は持ち合わせてますから、あとは検査だけですね」
「なら大丈夫ね、さあ行きましょ」
そう言って門の中に入っていった。彼女達は冒険者カードを見せるだけですんだがアニスは個室に案内され軽い尋問と検査を受け、すぐにそこから出てきて町に入ることができた。
「意外と早かったのねぇ。いつもはもうちょっと時間がかかるのに...」
「すぐ終わりましたよ」
アニスの認識阻害が働いたことにより検査や尋問をした兵士も興味なく、すぐ通したからである。
「じゃあこのままギルドに行こうか、私達も報告があるしアニスちゃんも登録するんでしょ」
「そうですね、では一緒に行きます」
ー冒険者ギルドー
アニス達は冒険者ギルドの建物の前に来ていた。
「これがギルドですか、大きいですね」
「でしょう、さあ中に入りましょ」
そう言ってギルドの扉を開き中へ入って行った。昼間直なので他の冒険者はそんなにいなかった。
ギルドの建物の中に入ってアニスは思った、(どの世界のギルドも建物内は似たり寄ったりだな)と。いくつもの異世界を見ているアニスにとって当たり前の風景であった。受付は正面、向かって左に依頼ボードと酒場、反対の右には買取カウンターと医療所、受付横の階段を上がって2階には職員及びギルドマスターの部屋、依頼ボード横の下に降りる階段で地下闘技場という図柄である。
「じゃあ私達はあっちだから、アニスちゃんは正面の受付で登録してきてね」
「はい、では行ってきます」
そう言って「ロフティードリーム」の彼女達と別た後、認識阻害を解除して1人受付カウンターへ歩いて行き受付にいた女性職員に話しかけた。
「あのう、よろしいでしょうか?」
「はい、今日はどのような御用件でしょうか」
ありきたりな受け答えであったのはやはり皆一緒だった。
「はい、今日は冒険者登録をしようと思って来ました」
「え、あっはい大丈夫ですよ。 ではこちらにお名前と職業をお書きください、その後魔力測定と簡単なテストを受けていただきます」
「テストですか?」
「あ、大丈夫ですよ難しいものではなく、簡単な模擬戦をしてもらうだけですから」
渡された用紙に必要事項を書いて戻し、次に魔力測定をした。
「お名前はアニス様ですね。ではここに手を乗せてください、朝からやっと魔道具が使える用になったんですよ」
「へ、へェ〜ッ (やっと正常になってきたのね)」
カウンターの上に置いてある石板にアニスは手を乗せた。 石板が光りだしアニスの測定を始め、石板の上の空間に魔法映像が現れ結果が表示される。
ヒュウウウウンン! ビビッ! ビッ! ビッ! ビッ!
次々にアニスの情報が表示されていく。 それを見てアニスは(マズイかな)と思ったが、アニスも同時に見ていて、隠蔽スキルで作ったとうりの表示を示していた。
「はい、もういいですよ。手を離して下さい」
どうやら大丈夫のようだと思った時、受付の女性職員が固まっていた。
それに対してアニスは声をかけた。
「あのう、どうしたのですか?」
「ハッ、すみません つい検査結果に驚いてしまって、ってアニス様は何者ですか?このお年でLv 18なんて高すぎます。それに魔力もとても多いですし」
「いえ、私は普通の平民ですよ(Lv18でもすごすぎなんだ、もっと下げておけば良かった)」
「う〜ん そうは見えないんですけど、まあ信用しましょう。では次に階下の闘技場へ行っていただき、こちらの指定した試験官と模擬戦をしていただきます。それに合格すれば冒険者になれます」
アニスは言われた通りに地下へ降りた。地下にしては大きな闘技場があって、その広さは100mほどの円形で天井は2階ほどの高さ、周囲には客席のような椅子が並んでいた。その中には数人の冒険者が剣や魔法の訓練をしている、そんな情景を眺めていたアニスに受付の女性職員がきて説明を始めた。
「それでは改めましてアニス様、わたくし今回アニス様の担当を致します【サイル】と申します。今後とも宜しくお願いします」
「アニスです、宜しくお願いします」
「では早速ですが、アニス様の模擬試験の相手ですが、本日お相手できる試験官が1人しかいなく、やむなくその方にお願いしてしまいますが宜しいでしょか?」
「ええ、構いませんよ」
「ありがとうございます、それでは紹介します。白金級冒険者アーベント【閃光のマシュー】さんです」
紹介された方を見ると、背中に大剣を添えた二十歳後半くらいの青年冒険者が居た。
「今日の試験官の【マシュー・デニス・ドライアース】だ。よろしくな」
「こちらこそ、アニスです。よろしくお願いいたします」
「ほう、礼儀正しいのだな、うんいいね。じゃあ、あっちの控室で準備してきてくれ。あと武器はその控室にある刃の潰してある模造武器を使う、好きなのを選べ」
「はい、それでは準備してきます」
アニスは控室に行き模擬戦の準備をした。そして数分後アニスは外套を纏ったまま闘技場に降りてきて、マシューの前に立った。武器は小型の模造短剣を選んでいた。
やっと重要サブキャラが出てきました。