表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/311

第86話 ジオス VS 魔族魔人2

ー異次元世界「アーク」ー


ビュビュウウーッ! パラパラッパラ…


そこは以前領主邸があった場所だった。今は2人の男が使用した超神級剣技の威力で更地と化してしまっている。そんな場所の中心、事の元凶を作った2人の男が、神剣と魔剣の鍔迫り合いをして、お互いの出方を見ていた。


ギリッ! ギギッギリッ! ググッ! ギャギッ!


「…グッ..ググッ!..私と同じ剣技とはな、流石に驚いたぞ!」 ギリッ!


「んッ..クッ!..ああ、俺もだよ! あんた凄えな!」 ギリッ!


ジオスの放った超神級剣技と、アゴンの放った鬼神級剣技が、初作、初動、構え、技名に発動詩、神剣に魔剣、全て違う物であったにもかかわらず、発動した剣技は瓜二つ、全く同じ太刀筋に威力だったのだ。 お互いの威力が衝突したその威力は、単に2倍3倍ではなく、2条倍3条倍と威力を増して、2人を中心に、彼らの周りへと噴き出した。 その結果、領主邸は跡形もなく吹き飛んでしまっていた。


「(何だこの強さは? 召喚された勇者と言っていたが、そんな物ではないッ!、大叔母上が言っていた伝説の絶対覇者ではないのか?)グッ..」 ギッギリッ!


「(ん、コイツ本当に魔人か?、凄え技量に魔力だ!、超魔人級の「デューク」、いや、魔王級「アークロイアル」だと言われてもいいくらいだ! うん、アゴン、お前、間違いなく最強だよ、物凄くすごく強ええ!) グクッ!」 ギリッギギッ!


それぞれの思惑を持ちながら、鍔迫り合いをしていた2人は此処ぞとばかりに、同時に力を込めて、お互いを押し合いその場から離れた。


「「ウオオオッ!」」 グイッ! ババーッ! ザザアアアーーー!


2人は間合いを取り、それぞれの神剣、魔剣を相手に正対し再度構え、次の攻撃技に備えた。


「ふむ、ジオス、さすが勇者だ、やるではないか、いや..勇者以上か..」 チャキ!


「そいつはどうも、あんたも凄えぜ! ただの魔人じゃあないんだろ?」 チャキ!


「ふ、知りたいのであれば、私に勝つことだな!」 グッ!


「ん、そうだな、そうさせてもらう!」 グッ!


初撃と剛撃、2手の攻撃の次は3手目、2人は次の攻撃に入る。


「見せてもらうぞジオス、お前のその戦技!」 ジリ


「ん、存分に!」 ジリ


そしてジオスとアゴンは、間合いを少しずつ詰めていき同時に動いた。2人の持つ超高速の戦技で!


「行くぞ!ジオスッ‼ 魔戦技ッ!《塵破!》幻魔帝級剣技!《ガレア.ザム.ザッパーッ!》」シュッ!フィイイインンッ!


「おう! 神戦技!《刹那!》神聖近接剣技!《バーゼル.グラン.リッパーッ!》」シュンッ!フョオオオ―ッ!


2人は、お互いが持つ『この場で最も有効な剣技』と判断した高速接近剣技でぶつかり合った。大技の後は、手数の多い剣による乱打戦であった。 乱打と言っても、乱れ打ちではない、超達人級の2人の高速剣技である、正確に相手に致命傷を与えるであろうと思われる剣戟の嵐であり、それを2人は高速で攻撃、防御を行っている。 まさに神業の域に達した戦技であった。


ギャンッ! キキンキキン! シャンッ! シュイン! ビュンッ! ビュン!


「フンッ! ハッ! ほう!私の剣をここまでいなすとは!..」 シャッ!


「んッ! よッ! なに、あんたもなっと、ハッ..」 キンッ!


「ハハハッ! ではこれはどうだ、《ヴェルメルト!》」キュイン! バババババウン!


「ハッ!ダッ! え?おっとお!《グレイシャス.エッジ!》」キイン! シュババババッ!


ビシビシッ!ババッ!ジュッジュジュッ!ジャンッ!


嵐の中のような、高速接近戦のさなか、アゴンは近接専用の攻撃魔法、火炎系の連弾を、魔剣を振りながら放った、それに対し、ジオスも剣撃の応酬のさなか、アゴンの近接専用の攻撃魔法に対し、神剣を振りつつり、氷結系の連弾を放つ! お互い、放った魔法の数も威力も同等、両者の魔法は、中間でぶつかり合い相殺して消えていった。


「ほう、やるではないか。 ハッ! フンッ!」 シャッ! ビュン!


「まあねっ! ハッ! ヤッ!」 キンッ!シャッ!


2人はさらに剣戟を続ける、どちらもまだ、相手に一撃を与えていない。そしてひときわ大きな剣撃を討ちあった後、2人は間合いを取るため一度距離をとった。


「うぬううッ!」 ブンッ!


「おりゃあッ!」 ブンッ!



ガギイインンッ! ババッ! ザザアアー スタッ


「ふむ、私とここまで打ち合えた事、称賛に値するぞ!(この者を相手に、このままでは勝負はつかぬか、一段あげるか..)」 ザッ


「ん、そうだな、俺もここまで打ち合ったのは初めてさ!(もう少し、自分の力を出すしかないか。どんだけ強いんだよ、このイケメン魔族!)」 ザッ


するとアゴンは体の力を抜き身に纏っていた鬼神魔装を解いた。


シュウ~~…


「ん? 何だ、もう鬼神魔装はおしまいか?」


「うむ、このままではジオス、貴様との勝負がつかぬからな! 一段階上げさせてもらうぞ!」


「へ、へえ〜、まだ強くなるんだ。 凄いな(何だよこのイケメン魔族は!一段階あげる? 何段階まであるんだ?)」


「フッ! 誤魔化すな! 貴様もそうであろう?」ニイッ


「ん、知ってたのか(あ、バレてる)」


「ああ、剣を交えればその者の技量は良くわかる。ジオス、貴様はまだ本気ではないな!」


「ん、では俺に本気を出せと?」


「そうだ! ならば私も本気を出そう!」 ザッ!


「ん、仕方がないか、さて..(今は本来の2%位の力なんだが、今、この世界で使える最大値が本来の18%位だ、その半分の9%でも此処ではやり過ぎてしまう。どうする?)ん、5%で行くか」


そしてアゴンが自分の全ての能力を向上させようと自分の中にある魔力を高めた時、ジオスとアゴンの中間に転移魔法陣が現れた。


「では、私からゆ……ムッ! なにいッ!」ザザッ


ブインッ!パアアッン キラキラ…


「お、今度はなんだ?」


シュパアアンンッ! バッ! シャアアアン!


そう、ジオスとアゴンの2人の中間にできた魔法陣から1人のメイド服を着た少女が現れた。栗色のショートヘアで、歳の頃は、14歳くらいの美少女、メイドには相応しくない大剣をその背中に背負っていた。彼女は魔界戦闘メイド【アヴィスランサー】の1人、【大剣,妖精のクリス】と呼ばれていた。その少女をアゴンはよく知っていた。


「何の真似だ、なぜ邪魔をする! 例え誰であろうと、私の邪魔をする者は許さん! 覚悟はできているのであろうな!【クリスッ!】」ギンッ!


そのメイド少女はジオスに一礼してから、アゴンに向き、頭を下げてアゴンに話し始めた。


「お楽しみの最中、申し訳ありません、アゴン様。魔王様より火急のお呼び出しがあり御報告と御迎えに参りました」


「なに、魔王様からの火急の呼び出しだと⁉︎」


「はい、魔王様曰く『緊急召集』との事です」


「『緊急召集』だと、ではアイツらも呼ばれたのか?」


「『緊急召集』ですから当然です」


「ふむ、ジオス!すまないが此処までだ。勝負はまたいずれ付けさせてもらう」 チャキン


「ん、いきなりだな、もう終わりか?(何だあの少女、本当にメイドか?、あの子もかなり強いぞ)」チャキン


「ああ、すまぬな、最優先の呼び出しを受けた。私は行かねばならぬ」スッ バサッ!


アゴンは外していたマントを付け直し、メイドのクリスに近づいた。


「おいおい、俺との勝負より、此処の領主やお前ら魔族の軍勢はどうすんだよ」


「私には関係ない事だ、我が軍が此処に来る予定はあるが、その結果については私の知る由もない、ジオス、貴様の好きにするがいい」二ッ


「はあ? アゴン、お前此処の、魔族軍の責任者ではないのか?」


「いいや、なぜ上位魔人の私がそんな事をする、私はただ、ジオス、お前を見て戦ってみたかっただけだ」


「そんな身勝手な、じゃあ、責任者は…え、もしかして…」


「うむ、ガルガの奴だ。全ての責任はあやつにある。まあ、奴はもういないし、此処には貴様がいる。だから此処の占拠はできないな!」


「アゴン様、そろそろお急ぎを、手短にお願いします」ペコ


「む、分かっておる、すぐに行く」ガバッ


アゴンは、メイドのクリスをその腕に抱き、魔法を唱えた。


「ではジオス、また会おう 楽しかったぞ!《ゼルバ!》」キイインッ!シュンッ!


アゴンはメイドのクリスと共に、転移魔法でどこかに転移していった。ただ1人更地に残されたジオスは我に帰って周りを見た。


「『グレーターギルスのアゴン』か、上級高位魔人と言ったか、魔族領には結構強い魔人がいるのだな。あとあのメイドの少女、あの子だけでもかなりの使い手と見える。..ん! あッ!やべえ〜、これどうしよう」 ポリポリ


領主邸を吹き飛ばし、唯の更地を見てジオスは困惑していた。


「あ、そうだ、領主、領主はどこだ?」


更地の領主邸の跡地を見ると、地下につながる階段を見つけ、ジオスは躊躇なく階下へ降りていった。 そこには縛られた領主と数人の使用人が、制御コアの前にいた。


「ん、あんたが領主か?」


「ああ、そうだ、私がこの衛星都市アルゴンの領主、【コルドア・ゼン・グラード】だ、助けてもらってすまない!恩に着る」


「ん、そんな事より、領主の…」


「コルドアでよい、なんだ?」


「コルドア、すぐに制御コアを起動させて防御結界を張ってくれ、魔族軍が近くまできているぞ」


「なんと! ではさっそく! 制御コアよ!……」


「ハイ、マスター、ゴヨウケンハ、ナンデショウカ」


「制御コアよ、魔族軍が近づいてきている!これを防ぐのだ!」


「ハイ、リョウカイシマシタ、トシシュウヘンチイキニ、ディフレクターシールドヲテンカイ!ボウギョニハイリマス!」


「うむ、頼むぞ!街の住人には気付かれるな!」


「ハイ、マスター」 ブウウンンッ!


制御コアの発動により、衛星都市アルゴンの週辺地域に、魔法のような強力な防御壁ができた。防御壁を越えられない魔族軍は防御壁を破る手立てもなく、しばらくしたのちに撤退していった。


「いやあ、あなたのおかげで助かった! それに魔人まで倒してしまったとは、何とお礼を言ってよいか。ぜひお名前を教えていただけませんか」 ペコペコ


「俺はジオス、この国の法皇に、魔王討伐を頼まれたものだ」


「そうでしたか、法皇様の...ありがとうございます」


「いや、俺の方こそコルドアの家を壊してしまってすみません」 ペコ


「いやいや、あの、凶悪な魔族魔人に勝てたのですから、屋敷の一つや二つしかたありません、気になさらずともよいですよ」


「いや〜 そう言ってもらうと助かります。では、私は宿の方へ、連れが待ってますので」


「そうですか、また何かありましたら頼ってください!暫くは町のギルド会館にいますから」


「そうですか、ありがとうございます」


そう言ってジオスは宿屋街に歩いていった。




いつも読んでいただきありがとうございます。

次回もでき次第投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ