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第84話 異次元世界「アーク」

ー異次元世界「アーク」ー


「よう! 新人かい? よろしくな!」 ニカッ!


「な、マ、マシューッ!」


ジオスは彼を見た途端、ジオスのよく知っている人物の名を叫んだ。


「あ? ちげえぜ! 俺の名は、【ディラン】、【ディラン・デニス・ドライアース】、ここの第3騎士団の団長をしている」


「マシューじゃなかったか」


「お前、名前は?」


「ああ、俺の名前はジオス! ただのジオスだ」


「ジオスか、わかった」


「なあ、あんたに聞きたいことがあるんだが」


「なんだい?」


「ここの第3騎士団の団長は【トラン】って奴じゃなかったか?」


「ん? ああ、【軍神トラン】の事か」


「【軍神トラン】?」


「そうだ、彼は英雄さ!」


「英雄?」


「そうだ、今から100年くらい前だったかな、数万の魔族軍に挑んで、その命と引き換えにこの国を守った英雄だ」


「ふむ、そうなのか(やはり100年程後の世界か?)」


「なあ、今お前が言った【マシュー】って言うのは、俺のひいじいさんの事か?」


「ん、その人はどうなった?」


「ああ、凄い人だったらしいぜ! 俺が生まれる前に逝っちまったがな」


「そ、そうか(この世界のマシューはもういないんだ)」


「そうだ、」


「ん、何か他にもあるのか?」


「ああ、俺の婆さんが言ってたな、『マシューは、晩年、どこかの少女を探し続けてた』と、よくわかんねえけどな!」


ジオスは思った、この世界のマシューは多分アニスを知っている、そして突然いなくなったアニスを最後まで探していたんだと。


「ん、ありがとな! じゃあこの資料貰ってくぜ!」


「魔王討伐か?」


「ああ、そう頼まれた」


「俺の第3騎士団も全滅寸前だった魔王だぜ! いけるのか?」


「ん、問題ない」


「なあジオス!」


「ん、なんだ?」


「お前、なにもんだ?」


「俺か? 俺はこの国に召喚された勇者らしいぞ!」


「そうか……気をつけて行けよ!」


「ああ、じゃあな」 バタン!


ジオスはその部屋を出て城外に向かって歩き出していた。そのジオスが出ていった部屋に残ったディランはジオスの背中を見て思った。


「(勇者だあ? 馬鹿言ってんじゃねえよ! お前、それ以上の存在だろ! なんだよ『鑑定不能』って、法皇はなんてやつを召喚しやがったんだ! 魔王が可愛く見えるぜ!) フウ!」 


ディランはその鑑定スキルでジオスを見た、しかし鑑定スキルでは何も見えなかった。それだけジオスの力が大きいという事を知り、その結果そう思った。


ジオスは資料を片手に場内にある大木の木陰にやってきた。 そこには小さなテーブルと椅子が3つ置いてあり、ジオスはそこに腰掛けて資料の中身を見た。


「魔王ねえ、要するに魔族領の王様って事だろ。 ふむ、『歴代魔王より魔力が大きく魔法も強力なのが多彩にある』か、従えている兵は、魔人に召喚獣、それとワイバーン? ああ、飛竜か、まあ普通の国の軍隊と変わらんな! 強いて言うならば、魔王の側近連中が得意体質ばかりってやつだ。 普通の兵士じゃ、まず勝てねえだろうな」


ガサッ!


「勇者さま、準備はできましたか?」


「ん? ああ姫さんか」


「姫さんではありません! 【セレス】ですッ!」 プン!


「ああ、セレス! セレスちゃんね!」


「『ちゃん』はいりません!普通にセレスとお呼びください!」


「わかった、わかった、じゃあセレスすまんかったな」


「はい、それで結構です。それで準備はどうですか?」


「ん、いつでもいいぜ! なんなら今から行くか」


「え! でも勇者さま」


「なあ、俺もその『勇者さま』ってのやめてくれるか?」


「ではどの様にお呼びすればよろしいでしょうか?」


「俺の名前はジオス! だからジオスでいい」


「そ、そんなあ、恋人でもないのに呼び捨てなんて…」


「誰が恋人だ、俺がいいって言ってんだからいいの!」


「はい、では..ジオ..ス..(うわわ、恥ずかしいですう〜)」


「おう! それでいい、これからそう呼んでくれ!」


「はい、わかりました♪」


「じゃあ、行ってくるわ」 バッ ザシザシッ!


「ちょ、ちょっとお待ちください!ジ..オス..」


「ん、何だ?」


「武器も防具も無しで、1人でいかれるのですか?」


「ん、なんで?」


「な、なんでって、魔王軍ですよ、沢山いるんですよ!」


「ん〜、俺1人の方が楽でいいんだが」


「せめて、護衛の者を数人つけてください!」


「(え〜、めんどくせえ〜)じゃあ1人な」


「3人ッ!」 


「はい⁉︎」


「3人ついて行きますッ! いいですね!」


「え〜〜ッ!…」


「いいですねッ‼︎」


「は、はい、いいです」


「やったーッ! じゃあ正門で待っててください!すぐ行きますから」


そう言ってセレスは足早に城へ駆けて行った。


「ん、今『すぐ行きますから』って言ったか? まさか、あの姫さん一緒に来るつもりじゃあないだろうなあ」


ジオスの感は当たり、セレスは自分用の軽鎧と剣を持って、2人の護衛と共にやってきた。


「ジオス様、お待たせいたしました。この3人で行きます」


「ハア〜、やっぱりか、本当に行くの?」


「当然です!」


「なあ、お前達、セレスの護衛だろ! 止めなかったのかよ?」


「無理です! 姫のお言葉は絶対ですから!」


「私も同意見です! 勇者様は気になさらずに行動してください。姫は我々2人がしっかり護衛いたします」


ジオスがセレスを見るとものすごくドヤ顔をしていた。


「どうなっても知らないぞ!」


「もちろん、責任は取らせません!」


「ハア〜、じゃあ行こうか」 ザッ


「ハイッ! ジオス様♪」 テクテク


ジオス達4人は、魔王討伐のため場外へと出て行った。


「ん、情報が正しければ、国境沿いの街が魔王軍の最前線になってるな」 ザッザッ


「国境の街というと、「アスラ」でしょうか?」 テクテク


「はい、姫様、そのとうりでございます」 ジャッジャッ


「なあ、セレス」 ザッザッ


「はい! なんでしょう」 テクテク


「おまえ、戦えるのか?」 ザッザッ


「え~と、剣での戦いはあまり得意ではなく、魔法の方で戦います」 テクテク


「魔法ねえ、どんなのができるの?」 ザッザッ


「え~と、主に火炎系の魔法ですね」 テクテク


「火炎系ねえ、それって、バレット? スピア? ランス? それともアロー?」ザ!


「え! え~と、そのお...ぼ、ボールです...」 テクピタッ!


「あ~ うん、なんとなく知ってた。(そうだよなあ、城の中にいるから、そんなもんだよなあ)」


「で、でも!魔法神官様は『筋がいい!大魔法士になれますよ』って言ってました!だからきっとものすごい魔法が使えると思います!」


「う~ん、 おい!そこの護衛1ッ! ちょっとこっちこいッ!」


「は、はい、何でしょう..があッ!」 ガバッ!


ジオスは護衛の一人を羽交い絞めにして質問した。


「おい、今のを聞いたか?」 グイイイ


「ばい、ぎぎまじだ」 グッ!


「お前ら、エリスを甘やかしすぎだろ!、あんなんすぐ打たれて死んじまうぞ!」


「で、でずがら、ばればれがびめざまのだでになっで、おばもりじまず!」グイ


「はあ~」バッ!


ジオスは護衛を放し解放した。


「ゲホゲホゲホ」ザザ


「まあ、お前たちの覚悟は分かった」


「ジオス様、キムラ―に何をしたのですか!」


「ん、戦士の心構えをちょっとな」


「キムラー、そうなんですか?」


「は、はい姫様、勇者様に教えを受けました」


「ならいいですけど、あまり無茶な事はしないでくださいね」


「ん、わかった」


このような感じで、6日後、ジオス達は国境沿いの街、「アスラ」のひとつ前の街、衛星都市「アルゴン」に到着した。


「(はあ~、俺1人なら1分でここに転位できるんだがなあ)」


「はあ~、今日は宿に泊まってお風呂にはいれるわ」


「ああ、好きにしてくれ、俺はちょっと情報を仕入れてくる」


「わかったわ、さッ 行きましょう!」


「「はッ!」」


エリス達3人は宿屋街へと消えていった。


「さて、(ここもすでに魔王軍が落としてんじゃあないのか?)」


ジオスはこの街に入ってから、人々の様子が明らかにおかしいのに気が付いていた。


「うん、あそこか、この街の領主邸、あそこから嫌な魔力がバンバン出てるな、魔王じゃなさそうだが行ってみるか」


しばらく歩いて、この街の中央に鎮座する、領主の邸宅の門の前にやってきた。門の両横には門番が立っており、ジオスの姿を見るや、持っていたヤリをジオスに向け怒鳴ってきた。


「貴様あ!ここより先は領主様の屋敷である!早々に立ちされいッ!」シュリン


「ん、知ってる。その領主に用があるんだ入れてくれる?」


「ふん、貴様のような人間、誰がここを通すか!」ザザッ!


「ふっ、語るに落ちるとはこのことか」 ククク


「貴様あ、何がおかしい!」


「おまえら、魔族だろ!」


「な、何をいって...ヒイっ!」


「いいからここを通せッ! 死にたいのか?」シュギイインンッ!


ジオスはどこからともなく、一振りの神剣を出し、門番の首に添えていた。


「フン!そんな脅しが我らに通じると思っているのか、やってしまえッ!」


「おう!俺が切り殺してやるぜ!」ギラン!


「ん、わかった」 シャンッ! 


「なに!き、消えた⁉︎ 人間..が..へ?..」ぼとッ シュ~


「な、相棒..はへ?..え?..」 ぼとッ シュ~


2人の魔族は一瞬で首を落とされて消えていった。


「さて、行くか」 シュンッ!


ジオスは神剣を異空間に仕舞い、領主低に入っていった。


「お邪魔しますよお」ギイイッ


館の扉を開け中に入ったが、そこに人の気配は全くしていなかった。静まり返った領主邸、入口大ホールでそれは起きた。


「ん⁉︎」


「《ゲルガンブラストッ!》」 パンッ! ボウワアアーッ!


ジオスを中心に、超高温の火柱が上がった!


「ふへへへ! どうだ魔族の魔法の威力は、人間、消し炭になってしまえ!」


「やりましたな!【ガルガ】様 門番をいきなり切り倒した時は愕きましたが、取り越し苦労でしたな!」


「フン! 人間などこんなものだ!恐るるに足らん! ハハハ!」


ジオスを取り巻いている炎の柱はいつまで経っても消えず燃え盛っていた。


ゴオオオッ!……


「ガ、ガルガ様、そろそろアレを消してはどうかと..」


「わ、わかっておる!少し待て、ウ、ウヌヌッ!..」


「ガ、ガルガ様?」


「ゲ、ゲルンよ! 消えぬ!消えないのだ!」


「そんな馬鹿な! ガルガ様ほどの魔力を持ってすれば、あの程度の炎、造作もないことでは..」


ズゴオオオオッ! ガアアアアッ!


さらに炎の柱は太くなっていき、大ホール内の温度が急激に上がった!


「ギャアアアアッ! ガルガ様ッ!ガルガ様あああーッ!」 ジュンッ!


「な!ゲルンッ! クウッ なにが起きておるのだあ⁉︎」


ガルガはそんな状態でも冷静に思考していた。


「(これだけの高温なのに、なぜ館内は燃えない⁉︎ はッ!そうか、広範囲耐熱結界かッ!) グウウッ!身体がもうもたないぞッ!」 ジリジリ ジュウ〜


あまりの高温に、中位魔人「ゲルン」はその身を焼き尽くし蒸発してしまった。この現象にガルガは驚愕の表情で見て恐れおののいた。次は自分なのだと。


「グウウ、こ、このままでは私も限界があッ…」 ジリッジリジリ


「《リ.センシスッ!》」 パアンッ! シュゴオオッ! シュウウ..シュ〜..


あの猛々しく燃え盛っていた炎の柱が一瞬で消え去り、わずかな煙を残すだけになった。 そしてその場には、全身を焼かれ、瀕死に近い状態の高位魔人「ガルガ」が仁王立ちして立っていた。


「グウウ、き、消えたのか? なんて高温の炎だ、信じられん!」 フラッ! ズンンッ!


ガルガは炎が消えた瞬間、痛みのせいか両膝を地面について腰を落とした。


「ん、さすが魔人、あの勢いの炎を耐えたか」 ザッ!


そこには何程もなかった様な様子のジオスが立っていた。


「ん、お前が領主か⁉」 ギンッ!


「ヒイイーッ‼︎」 ガタガタガタ..


ガルガはジオスの一睨みで戦意を喪失し、身体中を震えさせていた。ジオスは静かに、高位魔人「ガルガ」に近づいていった。




いつも読んでいただきありがとうございます。

次回もでき次第投稿します。

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