第82話 ジオスと四人の女神達
―ラグナレク神々の時間内ー
「私をあなたのお嫁さんにしてくださいッ!」
「ええーーッ!」
ジオスは突然の告白に声を出して驚いた。
「だ、ダメですか?」 ウルウル
「ちょ、ちょっと待ってね、その前にやらなきゃいけない事があるから」
「は、はい♡」
そう言うとジオスは、制御コアのままのシンシアに向かって、手をかざした。
「シンシアッ!」 パアンンン!
そこには先ほどとは違う装いでシンシアは現れた。武器を持たず、白いフォーマルドレスを着た清楚な美少女姿であった。
「制御コア個体No.C01 シンシアここに!」 ブン!
「ん、そのまま少し待て」
「はい」
ジオスはシンシアに対し手をかざした。
「{本来あるべき能力を!全てを我が意に!}」 パアアーッ!
「うッ!」 キンッ!
「どうだシンシア、今、私がお前を改変した。不具合はないか?」
「はい、全ての機能が向上され、問題なく稼働可能です」
「ん、では制御コア個体No.C01シンシア!」
「はい、我が主!ジオス様」
「統合コアシステムのソフィアと情報を共有、この国のために尽くせ!」
「了解いたしました。これより、制御コア個体No.C01シンシア、統合コアシステムのソフィアと情報を共有、ここ王都の制御に入ります」
「ああ、たのむぞ」
「お任せくださいジオス様!」 シュンッ!
シンシアはその場から姿を消し、王都中央制御室にむかった。
「さて、次は自分だな、まずは何故、元の俺になったんだ? ん〜、こうか? 違うな、こうか? これでもない、ん~、ああ、こうだッ!」
ジオスは自分の体をくまなく調べ、現在の状況を導き出した。
「そうか、この体は...やはり......」 ふう~
ジオスはそのすべてを知りため息をしながら情報を整理する。
「(基本はアニスのまま、その上から、ここら空間の元素が集まって俺ができたのか。たぶんアクシオンとの戦闘で起きた莫大な魔力や元素のせいだな。ラグナレクを解除した途端、元のアニスになるって事か)」
さらにジオスは自分に対して、思考錯誤する。
「(本調子ではないな、元の力の18%くらいか? だが、今の俺ならできるな。こうして、ああして、よしッ! あまり長い時間は無理か、アニスの身体だからな。これで解除後、アニスになっても1時間位は、この姿に戻ることができる!)」
「あのう...ジオス様?」
「ん、 ああ、すまない、ミリアネスだったかな」
「はい! 貴方様だけのミリアネスです♡(キャ)」
「え、え〜と、その件なんだが、なんで?」
「はい、私はオーブに変えられ消えてしまう存在でした」
「ふむふむ」
「それで、消えそうな意識の中思ったんです! 『誰か助けて! 助けてくれたのなら一生付き従います』と」
「ほう、それで?」
「はい、私はジオス様に今、助けられました。 助けていただいただけで無く、体まで頂きました。もうジオス様に私は一生付き従う事しかできません!」
「お、おう、それでお嫁とは?」
「私が一生付き従うと言うの事は、常にジオス様と一緒という事です。男女が常に一緒という事は…その…つまりです…ね、…その…け、結婚…と言うか…夫婦..あ〜恥ずかしいです!(キャ〜もうダメえ〜)」
「な、なるほど、辻褄は合ってるわけだ」 ウン
「では! 私とけっ…」 グイッ
「「「(Rej)まちなさーいッ‼︎」」」 ババッバッ!
ミリアネスがジオスに告白しようとしたその瞬間、その場に3人の女神達が高速移動で現れた。
「ね、姉様!…(いいところなのに…)」
「にゃ、にゃあ! だ、だれにゃ? 知らない男の人がいるにゃ!」
「そ、そこの男ッ! 妹から、ミリアネスから離れなさい!」バッ
「Lst. 貴方! 直ちにそこから離れ、そこの者を解放…し……お姉さま⁉︎」
「にゃ! ソフィアはとうとうダメになったにゃ! よく見るにゃ、アレは男の人にゃ! ジオス様は女の人にゃ、 やれやれにゃ」
「Lst. ミ〜ウ…」 ピキピキピキ
「なんにゃ…ミギャアアッ‼︎」 ぐわっッ メキメキ!
ミウはソフィアに頭を鷲掴みされ、悲鳴をあげていた。
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「Rog. ジオス様、お見苦しいところをお見せして、誠に申し訳ありませんでした(ハア〜♡ 男性姿がこんなに素敵なんて!)」
「にゃッ! ジ、ジオス様ッ⁉︎(カッコイイにゃ!)」
「え! でも男の人ですよ!(あら、よく見ればいい男♡)」
「Lst. あなた方は知らないかもしれませんが、この御姿が本来のジオス様です♡」
「おう!この姿は初めてじゃ仕方ないよな。覚えておいてくれ」
「「「「(Rog)はいッ♡」」」」
「本当にお姉ちゃんはあ、私のジオス様に失礼ですよ!」
ピシイイイーーッ!
ミリアネスのその一言でその場の空気が張り詰めた。
「Rej. 今、聞き捨てならない言葉を聞きましたが…」 ギンッ
「ミリアちゃん…何を言ってるのかなあ〜?」 ギロッ
「にゃあ? この女はへんにゃ! ジオス様から離すにゃ!」シャー
「Lst. さあ、詳しく説明しなさい!」 ババッ!
「え〜っと、私、ジオス様と結婚します!お嫁さんになります!」ニコ
「「「(Rej)はああッ⁉、」」」
ミリアネスの発言に3人の女神達は動揺を隠せなかった。
「Lst. ジ、ジオス様には、私という者がおりますの!」ザッ!
「ちょっとお、姉の私をさしおいて結婚? しかも相手がジオス様? バカも休み休み言いなさい!」
「にゃ、にゃにゃにゃあ!」
「わーわーきゃーきゃっ!にゃにゃん!ウガー…….」
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女神たちの喧騒を聞きながら、ジオスはラグナレク内から王都、アダムの様子を見ていた。
「人がいなくなった王都か、シンシアに任せた以上、そう言う訳にもいかんな…」
ブンッ バッ! キラキラ...
ジオスは異空間より、一つの光るコアを取り出した。
「このラグナレク空間内には、まだ大量の魔力や元素が満ちている。私を完全体にするにはまったく足りないが、この王都の人達を復元するには足りるだろう。これと今の私なら...」 シュイイイン!
そう言うと、ジオス空高く大空に舞い上がっていった。
「Rej. ジオス様? いったい何を..」 ジッ
ソフィアのみジオスの行動に気づき、その動きを見ていた。
「ん、ソフィア、気が付いたか。ホイッ!」 ブンッ!
「Lst. ッ‼︎」 パッ!
「よッ! ソフィア!」 グイッ
「L.Lst. ジ、ジオス様ッ‼︎(キャ、キャアア! ジオス様に抱かれてる!)」
ジオスは遙か高空から、地上にいたソフィアを自分のそばまで転移し彼女を片腕で抱いた。
「ん、落ち着け。いつもの冷静なお前になれ」 ニッ
「R.Rog. す、すみません!」カア~
ソフィアは珍しく顔を赤らめてジオスに答えた。
「見ろ!ソフィア」 サッ
ジオスが指さしたそこには、巨大な建造物がたくさん立ち並ぶ王都「アダム」の街並みがあった。そこには嘗て多くの人々がにぎわいを見せていた街なのだが、今はアクシオンによりすべての人が元素還元され無人の王都になっていた。
「Rej. まさかッ‼ ジオス様できるのですか⁉」
「ん、今の僕には雑作もないことなんだ!」
「(Lst. な、なんて方なの⁉ 王都全部の王族、貴族、兵士に平民、そのすべてを元に戻す。人口約500万人の命を甦させるなんて! ジオス様、貴方は一体どのような存在なのですか?)」 ガタガタ
「ん、そう怯えなくてもいいんだよ! 僕は僕のしたい事をするだけだから」
「「Rog. はい、わかりました。(『僕のしたい事をするだけだから』そんなに簡単ではないのですよジオス様、したいと思っても、それに見合う力がなければ何も出来ません。それをいとも簡単にこなす、あなた様はどれだけ力をお持ちなのですか?)」
「まあ見てな、この特殊コアとここら一帯にある莫大な魔力や元素、そして僕の特殊能力でやって見せてあげる!」
そしてジオスはソフィアを腕に抱いたまま、王都の全人口を復活させる秘技を使い始めた。足元の下の方で、相変わらず3人の女神たちが騒いでいた。
「じゃあ、始めようか。 ふんッ!」 ブン!バシュウウウーーーン
そう言うと、ジオスは光り輝くコアを、、思いっきり空中に投げた。そしてそのコアにジオスは秘技を使った。
「{我、ジオス創生創造者が命ず! 源魂なる宝玉よ、この場に漂う全ての魔力、全ての元素をその内に取り込め!それらを全て生ある者のために改変せよ!}源始創生!《ヴァンアレン.グラン.エステーション!》」
ギュヲオオオオンンンッ‼︎ パアアアアアアアーーッ!
空高く、空中に投げられたコアは、貪欲なまでにその周りの魔力や元素を吸収しだし、しばらくすると、このラグナレク内に残っていたその全てを吸収してしまった。その状態でコアの中で何かが変化をしておりもすごい光を出し始めた。 その状態でジオスは原始創生魔法を使った。 魔法を受けたコアは眩い光を発しながら四方八方へ爆散していった。
シュウウウウウ……
「ん、ソフィア終わったよ」 ニコ
「Lst. では、王都の人々は…」
「ああ、全て、漏れなく生き返ったさ!」 グッ
握り拳を作りジオスはソフィアに笑顔で言った。
「R.Rog. ほ、本当に生き返ってる!人々が、王都の者全てがッ!」
ソフィアがラグナレクの外世界、王都を見ると、そこには多くの人々が時間を停止したまま立っていた。そう、ジオスは王都全ての者を、約500万人を生き返させたのであった。
「Rog. 凄いです!凄すぎます!ジオス様あッ‼︎」 ギュウッ!
ソフィアは感動のあまり思いっきり、ジオスに抱きついた。
「おう!まあな、こんなもんだろ? 俺なんて」 ニカッ!
「「ふふふッ(アハハッ!) ハハハハッ!」」
そこには抱き合った2人の男女が大笑いをしていた。
いつも読んでいただきありがとうございます。
次回もでき次第投稿します。