第79話 アニス(ジオス)VS C01シンシア 2
―ラグナレク神々の時間内ー
神々の時間、それは人には絶対感知できない空間世界。その空間内を2人の少女が戦っていた。
「ウォオオーッ!ジオースッ!これまでだああーッ!」 ギュウウウンンーッ!
シンシアは、白熱化して、アニス(ジオス)に突っ込んでいった。
アニス(ジオス)はただ構えたまま、近づくシンシアを見ていた。
「…シンシア…おまえ、その技は禁忌だ!」ザッ!
アニス(ジオス)は、神器ミドルダガーの「アヴァロン」の表面に刻まれているヒエログリフをそっと指でなぞる、すると、なぞられたヒエログリフの文字が光りだし、神器ミドルダガーの「アヴァロン」が覚醒しだした。ヒイイイーーンッ!
神器ミドルダガーの「アヴァロン」からは、蒼白の光が溢れ、能力が増していく音がうなり始める、そのダガーをアニス(ジオス)は、逆手に持ちシンシアに備えた。
超高速で白熱を帯びたシンシアはアニス(ジオス)のいた場所にその全身を使って突進し、シンシアがアニス(ジオス)に触れる瞬間、それは起こった!
「ヒヒヒッ!終わりだあああーッ! えッ⁉消え…ギャウッ‼」 ヒュンッ ドギャンッ!
「うわああーッ!」ビュンッ!ダガアアアーーンッ! バラバラッ パラパラ パラ…
「う…クク…アガッ! な、何が起きたんだあ…あ、アイツは…」 ガラッ
シンシアはアニス(ジオス)がいた場所から15mほど先の地面に叩きつけられていた。
「こ、これは一体…はッ…切られてる!なッ!ばッ、バカなあああッ!」ワナワナ
瓦礫と地面から立ち上がり、シンシアが見たその先には、青みがかった銀髪と白い武装コルセットスカートをなびかせ、神々しい蒼白い光をまとった神器ミドルダガーの「アヴァロン」を構えたアニス(ジオス)が、颯爽と立っており、その右足の膝あたりには、僅かながら白い煙のようなものが立ち上っていた。そして、シンシアのお腹のあたりに一筋の剣線ができていた、あの強固なアーマー付きショートドレスが切れていたのだった。
「アチチチ、咄嗟のことで膝蹴りしちゃったよ!」 パッパッ
「なッ、わ..私の付与付き炎熱系最速最強剣技を膝蹴りで吹き飛ばしたと言うのかああ!」
「いや、膝蹴りだけじゃあない。この子も使ってるよ」チャキッ
そう言うとアニス(ジオス)は覚醒中の神器ミドルダガーの「アヴァロン」を見せた。
「ふん、神器と言えどその様な短剣、何ができる!」
「はあ〜、わからんか…」 フリフリ
「なんだとォ...ハッ...ま、まさか⁉...」
シンシアは自分の体と両手を見て、自分の異変に気が付いた。
「ん、気がついたか...」
アニス(ジオス)は、先の一瞬で、シンシアの能力をすべて奪ってしまっていた。
シンシアの攻撃が当たる寸前、アニス(ジオス)は小声で剣技を発動し、シンシアを切りつけながら、そのまま膝に攻撃付与を付けて膝打ちをし、シンシアを吹き飛ばしたのであった。
・
・
・
(ウォオオーー!ジオースッ!これまでだああーッ!)
(ん、今ッ!《刹那!》神級剣技!《エクザ.グラン.ディスパージ!》ヒュイイイン!)シュ!
アニス(ジオス)は、その瞬間、シンシアの認識外の速度で剣技を使った。
シンシアの攻撃をかわし、覚醒した神器ミドルダガーの「アヴァロン」を彼女の胴体に切り付け、その勢いのまま、体の回転を活かし攻撃付与の付いた右膝でシンシアの身体を打ちつけた! シンシアはその膝蹴りの勢いで、蹴り飛ばされてしまっていた。
・
・
・
「ま、まさかお前ええッ!」 グググ
「ん、正解。 シンシア、お前の体に聖痕を付けさせてもらった」
「わ、私の技が…能力や魔法が…….」
その様子を見ていた3人が、それぞれ、言葉に出す。
「まさかあの技は!… なんて恐ろしい技を…」
「にゃ、アレはどういう事なんにゃ?」
「Lst. ミウ、よく見て覚えておきなさい」
「にゃ?」
「Lst.アレがお姉さまの、誰にも避けれない、防御しようのない、瞬間最高最速神級剣技!《エクザ.グラン.ディスパージ》です」
「にゃ! それはどんな剣技にゃ?」
「Lst. どんな相手であれ、お姉さまは相手の能力を上回り、相手に避けようのない一撃を与える。その一撃が相手の能力、スキル、魔法全てを奪う聖痕を付けるという、神界世界最強の神級剣技です」
「にゃあ、誰かにそれを使われたらミウはダメになるにゃ!」
「Rej. ミウ、心配しなくていいですよ」
「にゃ、何故なんにゃ?」
「Lst. フフ、あの技はお姉さまのみ、他の誰にも使えません! だから大丈夫ですよ」
「にゃ!良かったにゃあ」
「(Rog. そう、その技を受けたシンシアはもう女神で無くなる、まもなく彼女はこの世界で動けなくなる。コレで終わりですね)」
ソフィアがそう確信して見ていた。そうしている間に、シンシアの力が徐々に下がっていった。
「ん、お前はもう動けなくなる。コレで終わりだ、シンシア」
「グウウッ ま、まだだあ!私はまだッ….」
「ふむ、その意気込みはよし! だが、お前の時間はもうすぐ止まる。諦めろ!」
「フフ、はたしてそうかな? グッ!」 シュウウ〜
「ん、何かあるのか?、もう止まりかけてるぞ!」
「私にはまだコレがあるんだあああーッ!」 ガバッ!
シンシアはどこからともなく取り出したあるものを見せた。それは、手のひらサイズの虹色をしたオーブであった。
「「「(Lst.)え⁉︎ あ、あれはああッ!」」」
「シンシア!お前まさか‼︎」
「フフッ そうだ、これをこうするんだああッ!」 バアアッ!パショオオオン!
シンシアはその手に持っていた虹色のオーブを、自分の体の中に埋め込んだ。すると彼女の体が光り始めた。
「ワアアアアッ! グウウッ! い、いいぞおもっとだああ!」 バババアアッ カッ‼︎
最大限まで光り輝き、一瞬真っ白になって、徐々に光がおさまってきた。その光がおさまった所に1人の少女が立っていた。
「ウググ…ハアハアハア……」 シュウウ〜
「お前、シンシアか?」
「フフフッ 成功だッ! やっと神の力を手に入れたッ!」 バアアッ!
そこにいたのは以前のシンシアではなく、全く別人の女神がそこに立っていた。 髪は赤毛のセミロング、顔立ちはシンシアより幼い美少女で、赤色のショートワンピースに白色のノースリーブジャケット、両手には手首までのナックル付き白手袋、白いストッキングに赤い戦闘用ショートブーツ、手に持ったその武器は、神器断罪剣「ハルバート」が進化した、神器、極炎神剣「ネヴァリスカ」を持っていた。
「シンシア、いや、もうシンシアではないな」
「フッ! そのとうり、私はシンシアではない、ついに本物の女神になったんだ!」
その姿を見て1人の女神が泣き崩れた!
「ウウ…あ、あの赤毛にあの顔立ち…アレは妹の、私の妹、女神【ミリアネス】の姿です!」
「にゃ!それはどういうことにゃ?」
「Lst. ミウ、さっきの虹色のオーブ、アレは女神【ミリアネス】の神の根源元素です。それをシンシアは自分に取り込んで、その力を得て今まさに女神になったのです」
「ウワアアアー! ミリアちゃん…」
エクセリオンはその場で大泣きしてしまった。
「おまえ、ミリアネスにまで手にかけていたのか」
「それは違いますわ、彼女は自ら申し出て、私にその力をくれたのです」
「ん、それを信じろと?」
「まあ、信じる信じないは貴女の自由です。コレで私は神、何者にも私の邪魔はさせません!それは貴女もですよ、ジオス」
「ん、やっぱりお前は消去対象だな」
「フフフ、先ほどとは違いますよ、今の私は『神』なのですからッ!」
「そんな『神』はいらないなッ!」 チャキ
「ん〜、聞き分けのない娘ですね、では、神罰を受けるがいいッ!」 チャキン!
「ん、わかった。 こいッ!」チャキッ
「フフフッ 愚かな娘ですね、神である私に勝とうなんて、お馬鹿さんかしら?」
「ん、やる前に聞いておく」
「どうぞ」
「お前に名前はあるのか?」
「そうですねえ、もう私はシンシアではありません。強いて名乗るなら『神聖神!【アクシオン】』と名乗りましょう」
「ふむ、アクシオンか…疑神には、過ぎた名だな」
「ウググッ 減らず口を…いいでしょう、このアクシオン、神の名を持って貴女を処分します!後悔なさい!」 サッ!
するとアクシオンは持っていた神剣「ネヴァリスカ」に命じる。
「我が神剣「ネヴァリスカ」よ、我と共に眼前の者を打ち果たせ!」ヴォボボボ!
神剣「ネヴァリスカ」は紅蓮の炎を纏い始めた。
「ん、アレがあの神剣の能力か…火炎系ばかりだな」
「さて、覚悟はできまして?ジオスさん?」 ボボボボッ!
「ん、いつでもいいぞ!疑神アクシオンよ!」
「なッ! ぎ、疑神と呼ぶなああッ! 神罰だ、受けろお!《刹那!》神級獄炎斬!《グロブレン.ギラ.レプテーション!》」ビュホオオオンンンーー!
アクシオンはアニス(ジオス)達と同等の速さ、《刹那》を使い、獄炎系の大技を使ってきた。
「《刹那》が使えるのか、だが、その技か……」 ザッ!
アニス(ジオス)は、覚醒中の神器ミドルダガーの「アヴァロン」を逆手に持ち、腰を少し落として剣技に入った。
「なあ疑神、負けても文句言うなよ!」 チャキ!
「クッ!疑神と言うなあああーッ!」 ギュウウウンンッ!
アクシオンはさらに速度を上げ、アニス(ジオス)に迫ってきた。それに対してアニス(ジオス)は、何ほどでも無いように構えた。
アニス(ジオス)とアクシオン、神々の戦いが再び始まる。この神の戦いが後のアトランティア法王国に多大な影響を与える戦いが….
いつも読んでいただきありがとうございます。
次回もでき次第投稿します。