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第72話 アトランティア事変

―アトランティア法王国 地下神殿ー


王城の際にある建物の最下層に位置する地下神殿、そこに向かって今階段を走り降りているのは、アトランティア法王国第三騎士団団長のトランであった。彼は最下層の神殿にいると思われる自分の叔父、三賢者のカソードに会う為に、階段を駆け降りていた。やがて地下神殿の入り口にたどり着き扉を開く。


「おい!叔父貴!いるか?俺だ!トランだ!」 バンッ!


「何者だ貴様は?」


そこには元老院の三賢者、「アノード」、「カソード」、「グリッド」の3人が虚ろな目で椅子に座っていた。


「はあ?、冗談はよせよ叔父貴、俺だよ俺、あんたの甥のトランだ!」


「トラン?そんな者わしゃあ知らん!」


「おい、ふざけるなよ!アノード爺、グリッドさん、俺を知ってんだろ?」


だが2人ともトランのことは知らないようで、首を横に振っていた。


「わしを爺と呼ぶが、わしはそなたを知らぬ!」


「わしも知らんな、さあ部外者は出て行ってくれ!」


「そ、そんな、三人共どうしたんだよ….ガッ!」 グサッ!


三人共、トランのことを知らないようだった。その時だった、トランの背中に一本の剣がトランを襲った。


「な、こ…これは⁉︎」 ポタッ ポタポタッ!


剣はトランの体を背中から腹部まで貫き、トランの血が床に落ちていった。


「おう!悪いなあトラン!急所を外しちまった。痛えかあ?」


トランの背後から男の声が聞こえてきた。


「お、おまえ…は、炎帝ッ!…【炎帝・爆炎のガルブレス!】…ク…」


「はは、久さしぶりだな、【雷帝・衝撃のトラン】ってその傷だあ、またすぐに、さよならか?ククク」


「な、なぜ…お前が…こん…なことを…」


「ん~、まあ五天位の仲だ、教えてやるよ!」


「ちょっとお! ガルブレス、しゃべっちゃっていいの?」


そこにまた一人が、神殿の奥から現れた。


「いいじゃあねえか、知らない仲じゃあないし、雷帝こいつはもう、もたねえよ」


「ま、まさか…君まで!【冥帝・幻惑のヘルフィス!】…」


「はあ~い、トランお久しぶり!」


「き…君だ…な…叔父貴達を…あんなふうに….クッ…」 ポタポタ


「ご名答! お爺ちゃん達には、私達の傀儡になってもらったの」


「な..なぜ?…」


「頼まれたからよ!」


「おい! それは言っちゃあいけねんじゃねえのか?」


「そうだっけ〜」


「あとは俺が喋る、おまえは黙ってな!」


「フン、まいいわ、手短にね。この後もやることがあるんだから」


「おう!で、冥途への土産だ、これはな、ある方のご指示なのさ」


「あ…ある方って…まさか、…」 ポタポタ


「フフフ、そうよ。そのまさかよ!」 コツコツコツ


階段の上の方からまた一人現れた。ブロンドヘアの髪の長いスラッとした女性が現れた。


「「「紅玉様!」」」


今、このアトランティア法王国の王は法皇である【アトラス・ディオ・アトランティア】である。だが、これは代々受け継がれている王族の血筋と言うだけの王座であり、実質この国を牛耳っているのは、この【紅玉】と呼ばれる存在の者であった。彼女は建国時から、彼女の選んだ者を王族とし、ともにこの国を収めていた。


「トラン、悪いけどあなたには反逆者として死んでもらうわ。アトラスと、その王族を殺した罪でね!ふふふ」


「こ…殺した罪⁉︎…ま…まさかッ…紅玉様ッ! ウウッ!」 ポタタッ!


「相変わらず聡明ね。そう、今ごろアトラスも王族一族と共に黄泉の国へ旅立ってるわ」


彼女は自分が選んだ一族、アトラスの一族の抹殺を指示していた。


「な…なぜアトラス様達…や私を…」ポタ


「そうね、アトラス達王族にはこれまでよくやってくれたわ」


「ではなぜ?…」


「彼らの役目はもう済んだの、だから消えてもらうわけ」


「では…私は?…クウッ!」 ポタタタッ!


「本当はあなたも彼ら同様、動いてもらうつもりでした。 だが、貴方はアトラスに近づきすぎた。あなたに、アトラスを殺せと言ってもたぶんしないでしょう。だからアトラス共々、消えてもらう事にしたのです」


「ウグ…だがアトラス様には…強力な…護衛が…付いている…そうそうアトラス様は…やられはしない!ハアハア…」 ポタポタポタ


「まあ、アイツらなら造作もねえ事だぜえ! 王の周りの『インペリアルフォース』や『ミラージュナイト』なんて相手になんねえしな!」


「あ…アイツら?…ほ…他の五天位もか…」ポタポタ


「ああ、【蒼帝・撃烈のグリフィス】、【極帝・絶滅のゾラ】この2人だ。特に【ゾラ】のヤツは怖えぜえ、俺でもアイツとだけはやりたかねえわ!勝てねえしな。 そんな2人にかかりゃあ王族なんてあっという間だろうぜ!」


「ア、アトラス様…ククッ…」 ポタポタ


「そろそろ限界みたいね、 では…さようなら…トラン…」  ザシュッ!


「あ…….」  バタッ


【雷帝・衝撃のトラン】はここ地下神殿にて、紅玉の手により絶命した。しばらくして、彼の体は元素還元して消えていった。


「では、他の方達の様子を見てきましょう。早く体制を整えねばなりません」


「あのう、紅玉様」


「なんですか、ヘルフィス?」


「なぜこうも性急にことを起こしているのですか?」


「あなた方にそれを知る必要はありません! 指示通りにしなさい!」


「はい、申し訳ありません!」


「おい、行くぞヘルフィス!」 バッ!


「ええ!」 タタッ!


ふたりは地下神殿より出ていった。


「早く準備をせねば! でないとあの人が、彼の方が来てしまう!…」


彼女はそうつぶやいた後、その場から一瞬で消えていった。



ーアトランティア王城 通路ー


「ぎゃああーッ!」 ドサッ


「おのれえ、このお方を忘れたのかあッ!グリフィス殿!」


「ああ、もちろん忘れてないよ。アトラスだろ?」


「貴様あ、王に向かって呼び捨てとは何様のつもりだあ!」


「べつにいッ 何様なんて思っていない。僕には様をつけて呼ぶ人は1人しかいないんだ、それはあんたじゃあない! それだけさ!」


「アトラス様、ここは私が引き止めます。アトラス様はこのまま奥へ!」


「わかった、すまん!」ダダダ!


「あ、アトラスが行っちゃう。お前邪魔、そこをどけよ!」


「ふん、私は王直属、「インペリアルフォース」のクリード、ここでお前を仕留める!」チャキ!


「じゃあ僕は君を押し通るね!」 グッ!


「ウヲオオオッ! 《超加速!》聖剣技い!《ジャスティス.フラッグ!》」

 シュンッ!


「ん〜、遅いよ〜、《超加速!》聖帝剣技!《ベルドラ.バスター!》」

 キュンッ!


ビシンッ! ザンッ! バシャアアーーッ


その一瞬後、そこには「インペリアルフォース」のクリードが、胴体を切られ倒れていた。


「フン、「インペリアルフォース」の技量で我らに勝てるわけなかろうに」 ブン!


彼は自分の剣を一振りし血糊を飛ばす。やがてクリードの体は消えていった。


「さて、アトラスはどこに行ったのかな?」 ザッザッ


彼は剣を片手に、法皇アトラスの行方を探し始めた。 が、その先の方で悲鳴が聞こえた。


「ありゃ、 先を越されちゃったか。まあ、いっか!」


彼は悲鳴の聞こえた方向へ歩いていった。




「ハアハア、なんとしても生き延びて、トランに合わねば! 奴らに対抗できるのは同じ天位の位を持つあやつしかおらん!」


アトラスは1人、城内の通路を走っていた。


「《ブロウブ!》」 ヌボヌボン!


「うあッ! 何だこれはッ!足がとられる!」


アトラスの足元が、突然粘りの強い泥と化し彼の足にまとわりついて動きをとめた。


「な、これはトラップか?」


「いいえ、拘束魔法ですよ法皇様」


彼の前の方から1人の少女が現れた。水色のセミロングヘア、水色の瞳に白いワンピースを着た、見た目16歳ほどの少女であった。


「お、お前は、【極帝・絶滅のゾラ】!」


「はい、こんにちはです」


「お前までもが、叛逆するのかッ⁉︎」


「う〜ん、叛逆ではなく、整理整頓って言われてるんだけどなあ」


「整理整頓⁉︎ ふざけるな!だれがそんな事を言った」


「はい、それはもちろん…」 スッ


ゾラは人差し指を上に立てて表現する。自分達の上の存在だと。


「ま、まさか…そんな…」


「はい、そこ迄です。では行きますよ! 聖帝剣技!《ブラム.パレリアス!》」

 キュンッ!


アトラスに向けてゾラが剣技を放った瞬間、その間に割って入った者いた。


「帝級剣技ッ!《イージス.ゼル.エッジ!》」シュンッ!


キイイイン!


「アトラス様をやらせる訳にはいきません!」


「おお! サドレス!」


アトラスを守ったのは、「ミラージュナイト」のサドレスであった。


「王よ、早くそちらに!」


「すまん、そちがいて助かったぞ!」


「これもミラージュナイトの務め!ささ、早く」


「ん〜、逃すなって言われてるんだけどなあ、ホイッ!」 パシューッ!


ダアアンンッ! バラバラバラバラッ


ゾラはアトラスが逃げようとした方向の通路を無詠唱の魔法で破壊してしまった。


「これでよし! さあ、覚悟してくださいね」


「なんて魔法だ! 王よここは私が相手をします離れていてください!」


「うむ!」


「へえ、法皇様の前に貴方をやらなくてはいけないのですね」


「フッ、できるかな。コレでも「ミラージュナイト」、タダではすまさん!」


「じゃあ行くね」 ファアアアッ


ゾラの周りの空気が変わっていく。それを見てすかさずサドレスは攻撃を仕掛けた。


「先手必勝!《超加速!》 帝級剣技!《バルバンス.ランスッ!》」

 シュン!ドオオオッ!


「ふふ、《超加速!》 聖帝剣技!《インゼム.ベルク.アルシオン!》」

 ヒョッ! ビュヒョオオオンッ‼︎


パキイインッ!


2人の剣技がぶつかりその場の時が止まったかのように静寂なひと時があった。そして一瞬でそれは解放される。


「ウワアアアッ!」パキパキパキッ!


「終わりですね!」


サドレスの身体は凍り付き、両腕はすでに無く、徐々に頭の方まで凍り始めていた。


「ア、アトラス様、も、申し訳ありません!…自分はここまでの様です!…どうか、お逃げ…….」メキメキメキパキンッ!


サドレスは完全に凍って、氷の彫像になってしまった。


「サドレスッ!」


「さあ、貴方の番ですよ。法皇様!」 ニコッ!


「ぎゃああッ!」…….




「お〜い、済んだのかいゾラ?」


「ええ、今終わったとこよ、グリフィス」


「これか? 法皇だったの?」


「そう、紅玉様は元素還元する前に凍らせておけって言ったからそのとうりにしたのよ!」


「じゃあ、持っていこうか」


「頼みますねグリフィス!」


「いいよ、さあみんな待ってると思うから」


「ええ、急ぎましょ!」


ヒュヒュンッ!


2人はアトラスの氷付けを持って高速移動した。


「ふふふ、順調にいってますね、コレで後顧の憂いも無く彼の方と合間みれますね…」


「紅玉様!」


「なんですか?」


「法王国第一騎士団が標的と遭遇、臨戦態勢に入りました!」


「では、そのまま攻撃を! 相手の力を見るのです」


「了解しました!」


「さあ、どう動きますか?冒険者達…いや、…ジオス様」




いつも読んでいただきありがとうございます。

次回もでき次第投稿します。

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