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第68話 ミラージュナイト謁見

ー宿屋 リーフー


夕食時も過ぎ、今アニス達は宿屋のマシュー達の部屋にいた。そこには先程捕獲した黒装束の者達が一緒にいた。


「ん、つまり私達を監視して、その動向を探って報告していたと言うことか」


「ああそう言うことだ、これも国の勤め!ご容赦願いたい」


「マシュー、どう思う?」


「まあ、大国ならではの事だろうな。どこの国でも同じ事はしてるさ」


「ん、じゃあ聖王国とかディアル皇国もか?」


「ああ、当然だ!それが危機管理能力というヤツだからな、やってない国なんてないぜ」


「そうか、当たり前の事か..」


「我々は国境出入国管理部隊だから、誰が我が国を入国、出国したかを報告する仕事を受けている」


「それにしては俺達をじっくり見ていた気がするが?」


「当たり前だ! 我が国の騎士と一緒に入国する冒険者パーティなんてそう無いからな!監視強化対象になってるのさ」


「あ、俺達の所為でしたか、アニス様すみません!」


なぜ監視されてたのか分かった「エインへリアル」の面々はアニス達に頭を下げた。


「ただ、貴方ら全員、私の常識が通用しないのだが?」


「ん、どういう事だ?」


「まずそこの騎士、我らは隠蔽スキルと隠密スキルをフルに使って、さらにあんな高い所の見えにくい場所にいたのに、一瞬で近づき一撃の元、同胞を一人捕らえた事は、普通できない。その騎士は本当に我が国の騎士か? もう一つ、そこの獣人の娘!君には驚いた、彼が1人に対し君は我々3人を同時に捕らえた。君は一体何者なんだ?」


「今まで見てたんだろ?少しは分かってんじゃあねえのか?」


「わからないんだ!そこの我が国の騎士達4人も、貴方達冒険者パーティーの4人も、どちらも鑑定ができないし見れないんだ! ただ鑑定するとある一文が現れるだけなんだ」


「あん? 一文? なんだそりゃ!」


「言っていいのか?」


「ん、構わないぞ!」


「今もだが、貴方達全員同じ一文が表示されている。それがこれだ」


『汝我を観ることなかれ!汝の行為は万死に値する!故に、汝に神の神罰を与えんとす!汝に神の加護があらんことを!』


「うわあ、こんなの見たらみんな逃げ出しちゃうね」


「ああ、だから部下達には見せてない。罰を受けるなら私1人でいいからな」


アニス達はここまでの話し合いで、この者達を離すことにした。


「今回は見逃すけど、次はないから」


「ああ、肝に銘じておく。では…」 ババッ


黒装束のの者達は闇夜に去っていった。




ーアトランティア法王国 王城謁見の間ー


王城の謁見の間には、現法皇【アトラス・ディオ・アトランティア】が玉座に座り、そのそばに側近達が数人立っていた。そこに1人の人物が現れ、玉座の王の前に膝をつき平伏した。


「王よ、『ミラージュナイト』のサドレスただいま御前に!」


「うむ、報告を聞こう!」


「ハッ 先日夜半、指示対象と接触、会話をしその実態を確かめてまいりました」


「で、どうであった?」


「ハッ まずは冒険者パーティー、『ワルターラスター』ですが、恐らくこの世界最強のパーティーかと」


その報告を聞いて王よりもその側近が声を上げた。


「この世界最強だと!戯言を申すな!」


「グラウス控えよ!」


「ハッ!申し訳ありません!つい」


「よい、報告を続けよ」


「ハッ! 彼のパーティーには、大剣使いの【閃光のマシュー】、ミドルダガー使い双子の姉、銀髪の少女【アニス】、双剣使い双子の妹、金髪の少女【ソフィア】、短剣使い獣人山猫族少女、【ミウ】の4名がいます」


また側近が王より先にしゃべった。


「なんと、【閃光のマシュー】と言えば白金等級、アーベントの冒険者ではないか!其奴が一番強いのだな?」


「控えよとゆうに!」


「ハハ!」


「私の見立てではそうではないようです」


「理由は?」


「ハッ、私の部隊4名のうち私を含めた3名が、先程報告した、短剣使い獣人山猫族の【ミウ】に一瞬で一撃をもらい捕まりました。それだけでもこの獣人は【閃光のマシュー】より強いと判断します」


「ふむ、仲間の獣人でさえ、そなた達より強いと申すか?」


「御意、あれは人外の強さだと言わざる終えません」


「双子の姉妹の方はどうだ?」


「ハッ この姉妹は良く似てはいますが、性格が全く違い、銀髪の姉はおおらか、金髪の妹は冷静沈着といった具合で、共に恐るべき力を秘めております」


「ほう、双子なのにそれほど違うとはな」


「王に恐れながら忠告いたします」


「王に意見など無礼であるぞッ!」


「良い、その忠告を聞こう」


「ハッ、あの双子、特に白銀髪の姉には絶対に手を出さないよう進言します」


「む、たかが双子の小娘と聞いたがなぜだ?」


「私の危機感知が頭の中で警鐘を鳴らし続けているのです! 特にあの姉の方、恐らく下手に手を出し逆鱗に触れた場合、この国は消滅してしまうでしょう」


「なッ‼︎」


その「ミラージュナイト」の報告は、その場の時を一瞬止めてしまうほど強烈なものだった。


「ば、バカを申すなッ! たかが小娘の1人や2人に、この大国が消滅するようなことができるはずがないわッ!」


「そうだ! 貴様、言っていいことと悪いことがあるのだぞ!今の言葉を取り消せ! 王に大変失礼であるぞ!」


側近達は顔を赤くして、「ミラージュナイト」のサドレスに食ってかかっていった。


「静まれえッ‼︎」


王の一括で皆は静まり返った。


「すまんな、サドレスよ!」


「いえ、私は事実を申したまでです。ただ、この忠告を受け入れて頂ければ幸いです」


「お前のその忠告、しかと受け取った」


「ハハッ、ありがとうございます」


「うむ、ではもう一つの方はどうだ?」


「ハッ! それも報告します。今回の対象と同行している騎士が4人、いずれもが我が国の、第六騎士団所属ディアル皇国方面ガルア分遣隊と判明しました」


「第六? 偶数騎士団の者達か、だがそのような者達がどうしたのだ?」


「王よ、あの者達を侮ってはなりません!」


「どういう事だ?」


「すでにあの者達は、我々の手には負えない存在になっています」


また側近が騒ぎ始めた。


「バカを申すな、第六だぞ!偶数騎士団だぞ!あんな軟弱な連中が、我々の手に負えないだと? 馬鹿も休み休み言え!」


「そうだそうだ! ここには第一騎士団の団長がいる!その者達がこの団長に勝てるはずがないではないか!」


「そうですぞ!サドレス殿、それがし第一騎士団を預かる身!第六のそれも分遣隊などに負けるはずがないではないか!」


「そうですかな? 第一騎士団団長【ケッセル・ド・リンク】侯爵殿」 ニヤ


「貴様あ! 王のお気に入りだからと言ってその不遜な態度!許さんぞ!」チャッ


ケッセルが自分の腰ある剣を手けた瞬間、サドレスの姿が消え次の瞬間、サドレスはケッセルの背中に現れ、彼の首に短剣を当てていた。


「動かないでいただきたいケッセル殿、言っておくが、今回の対象者達は私よりも早いですぞ!それを踏まえて行動してほしい」


ケッセルは腰の剣に手を掛けたまま動けずにいた。動けばたちまち自分の首が飛ぶのが分かっていたからであった。


「そこまでだ!」


王が両者を止めた。2人はその場から離れ、サドレスは元いた場所に、ケッセルはその場に膝をついてしゃがんでしまった。


「サドレス、許してやってくれ。本人も肝が冷えたであろうから」


「ハッ、王の御前でこの様な振舞いをしてしまい、申し訳ありません」


「うむ、良い。 だが先程の分遣隊がそれ程脅威なのか?」


「はい、あれらは既に騎士団の団員という枠を越えつつあります」


「そうか、サドレスよ、今一度そ奴らを監視できるか?」


サドレスは王の申し出に首を横に振った。


「王よ、申し訳ありませんがそれはできません」


「何か訳があるのか?」


「今回、此処にこうしていられるのは、先の白銀色の双子の姉との約束があったからです」


「約束とは?」


「彼女は言いました『今回は見逃すけど、次はないから』というものです」


「つまり、今度見つけたら命はないぞという事か」


「王の見識に恐れ入ります」


「わかった、お前を失うわけにはいかんな。別の者を向かわせよう」


「ハッ!」


「サドレスよ、ご苦労であった下がって良い!」


「ハッ、では失礼いたします」 シュン!


サドレスがその場をさり法皇アトラスは今後のことを考えた。


「(どうにかしてあの者達を取り込めないか)」と


だが、王の意に反して動く者達がいた。コツコツと足早な崩壊の足音が聞こえるようだった。




「マシュー起きろおッ! 朝だぞ!いつまでも寝てんなって…そいつ誰?」


「へ? ア、アニスウーッ! ち、違う これは違うんだあ!」


アニスがマシューを起こしに行くと、マシューはなんと「エインへリアル」のテルゾと抱き合って寝ていた。


「ぎゃあああッ!」ダダダ!


アニスは走って逃げていった。それは崩壊の足音だった。







いつも読んでいただきありがとうございます。

次回もでき次第投稿します。

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