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第65話 酒場紛争

ー衛星都市アルゴンー


アニス達一行は、昼過ぎに衛星都市アルゴンに着いた。そこでもマシューが宿屋を手配し、それが済むとまた飲み屋街に消えていった。


「ん、奴の体には血ではなくアルコールが流れてるんだ、きっと!」


「Lst.お姉さま、この後どういたしましょう?」


「ん、夕食時まで少し街中に出て情報集めをしようか」


「にゃ!自由行動にゃ!」


アニス達三人は町中に入って行った。


ー酒房 デンデンー


ここは冒険者や旅人が集まる酒場「酒房 デンデン」の店の中、そこは100人が入れる大酒場で、その一角にマシュー達はいた。


「おう、皆酒は回ったかな、じゃあかんぱあ〜い!」 カチンッ! グビグビ


「「「「かんぱあ〜い」」」」カチンッ! グビグビ


「ん〜ッ!うまいッ‼︎ ふぃ〜、ああこれだよこれ、長旅とあのソフィアの地獄特訓、その両方の疲れがパアッっと取れるぜええ!」


「プハア〜ッ いやほんとですね、マシュー殿、旅はともかくとして、あのソフィア様の地獄特訓!、今思い出しても身震いしかしません」


「全くだよなあ! 俺たちよく生きてたと思うよ」 ゴクン


「あのうマシュー殿」


「ん〜、なんだ?」 グビグビ プハア〜


「ここで我々だけ宴をしていて良いのでしょうか? そのう、アニス様達の警護とか」


「ああ〜! それね、大丈夫大丈夫!」 グビッ!


「良いんですか?」


「あのなあ、よく考えてみッ! あのちっせえミウにさえ俺達誰も勝てないんだぜ! そこにあのソフィアとアニスだ! あいつらを襲った奴ら、皆死んじゃうよ!」 グビグビ


「ん~ 確かに、襲った奴が哀れでしょうがない」 グビ


「まあ、法王国ってんだから、治安はいいはずだぜ!きっと」


「そう願いたいものですなあ..」 チラ


タレスはマシューと話しながら目線だけ横にした。そこには銀鎧を纏った法王国の正規騎士団が数人入ってきたからだ。


「おう!おやじい!おかわりだあ! それとなんかつまむもん頼む!」


「ヘイッ!まいどっ!」


「ん?どうしたんだタレス?」


「マシュー殿、あそこを」 スッ


タレスはマシューにある一団を指差し教えた。


「なんだあアイツら、銀ピカの鎧なんざ着て戦争にでも行くのか?」


「隊長!アイツらまさか….」


「ああ、そのまさかだ」


「む、どうしたんだお前ら?」 ゴクン


マシューは酒も飲まず、急に静まり返った「エインへリアル」の連中を見て尋ねた。


「マシュー殿、奴らは法王国の騎士団の連中です」


「じゃあ、お前達の仲間じゃないか」


「マシューさん違います!」


「は? だって騎士団なんだろ?」


「マシュー殿、騎士団は騎士団でもあそこにいるのは奇数騎士団、それもあのエンブレムは法王国第三騎士団のマーク! トラン様の騎士団だ」


「た、隊長、トラン様ってあの大貴族【トラン・ラ・ドーラ】侯爵で第三騎士団団長のトラン様ですか?」


「そうだ!」


「ふ〜ん、でアイツらの中にそいつはいるの?」


「え?….いえ、あの中にはいません。あれは第三騎士団の一小隊でしょう」


「小隊ねえ、…」 グビグビッ ゴクン!


「おやじい、おかわりだあ!」


「ヘイッ 今すぐッ!」


「ま、俺らには関係ねえや! さあ飲もうぜ!」


「そうですな、気にしてもしょうがないですしな!」 グビグビ ゴクン


「お、良い飲みっぷりだぜ!よし、お前らも飲め飲めッ! アイツらは関係ないッ! 俺たちは今、自由だあッ!」


「「「おおーッ!」」」 グビグビッ ゴクン! プハア〜!


マシュー達は気を取り直し酒を飲みながら、旅や特訓の話で盛り上がって行った。変わって先程の騎士団小隊12名は完全にからみ酒であった。


「なんでこんなとこまで来て演習なんだよ! ムカつくぜ!」


「まあまあ小隊長殿、さあ一杯どうです。気が紛れますよ」


「おう分隊長!気がきくねえ!」 ゴクゴク


「そうそう、飲んでなきゃやってられません!」 ゴクゴク


「しっかしよう、今回の演習はなんだ? 第一小隊だけで俺たちは適当に演習してろって、こんな所でなにしろってんだあ?」


「私が聞いた所、団長達第一小隊は無断行動をしている分隊を征伐に行くとか何とか」


「なんだそりゃ、どこの分隊だそれは?」 ゴクゴク


「確か第六の派遣分隊だったとおもいます」


「第六だああ! 弱小騎士団の腰巾着どもかあ!」 ドンッ!


その小隊長の声は酒場全体に響き渡った。 当然マシュー達の耳にも入る。


「アイツらはなあ腰抜けで、少しでも戦場で戦った事があるのかどうかわからん連中だ!騎士団の恥、クズの集まりだ!ハハハハッ」


「しょ、小隊長殿、声が大きですよ。みんなビックリしてますよ」


「本当のことを言って何が悪い、連中に剣なんて振れるかどうか、怪しいもんだぜ!アッハハッ!」


それを聞いて「エインへリアル」の4人はグッとこらえていた。が、1人だけ動き出した。


「小隊長、団長に聞かれたらまずいですよ!」


「はんッ かまうもんか、誰も気にしちゃあいねえよ!」グビグビ…ドスッ!


小隊長のテーブルに巨大な大剣が突き刺さる。


「よお! ずいぶん言ってくれるじゃねえかあ騎士さんよお」


「「「「マシュー殿ッ(さん)!」」」」


小隊長の座る席の空いてる椅子に片足を乗せ、そのテーブル中央に神器「エーテルカイザー」をつき立てたマシューがそこにいた。


「な、なんだ貴様はあ!」


「ん、俺? 俺はマシューくん!よろしくな!」


「何が「マシューくん」だあ!ふざけやがってえ!死にてえのか貴様あ!」


「おうおう、法王国騎士団と言っても結構ガラの悪いのがいるなあッ!奇数騎士団ってのは無法者の集まりなんだな!」


「貴様あッ! 誰にものを言ってるのかわかってるのか!」


「おう、教えてくれよ、お前だれ⁉︎」


「ぬぐぐ!バカにしおって、表へ出ろ!叩っ斬ってやる!」


「お、いいねえ!やろうか」 ニイッ!


2人は、それぞれの部下や連れを引き連れて店の外に出た。店の前はちょっとした広場になっており、そこに異様な光景が現れる。そこには、マシューと4人の私服兵、方や12人の銀鎧を着た騎士達、どう見てもマシュー達に勝ち目が無いように見えた。


「ハハハハッ!どうだあ「マシューくん」とやら、今ならそこで土下座して、その大剣をこちらによこせば不問にしてやる。 さもなくば、お前とそこの連れ共々、この剣で討伐してくれるわ!」


「はあ? アイツ、マジで言ってんのか? 土下座? 俺の剣をよこせだ? なあタレス」 クルッ


「な、なんですかマシュー殿?」 ビクッ


「アイツ、やっちゃっていい?」 ニコオッ!


「「「「へッ?」」」」


「じゃ、やるね!」 グッ!


右手の親指だけ立てマシューは微笑む。それを見てタレス達はただ呆然としていた。


「はッ! だ、だめです!マシュー殿!」 ガバッ!


「あん? なんでだ? アイツもやる気だしいいじゃねえか」 ホレッ


相手を見ると、すでに剣を抜きこちらを、ものすごい目で見ていた。


「いや、だとしてもです!今、その剣でやったらこの辺り更地になっちゃいますよ!」


「あッ! 忘れてた!そんなことしたら店がなくなって酒が飲めなくなるじゃないか。危ねえ 危ねえ!」


「(いや酒や店よりも、アニス様とソフィア様が激怒すると思うんですけど)」


そうこうしている内に、相手の小隊長が仕掛けてきた。


「何をゴチャゴチャと、行くぞおお!我が騎士団きっての技とくと見ると良い!」


「お、なんか仕掛けてくるぞ!」 チャキ


マシューは大剣を構えた。そして小隊長は技を使う。


「《超加速!》騎士剣技!《スファイヤ.ランス!》」 ヒュン!


「おおッ!さすが小隊長早えぜえ!」


「俺には見えなかった。やっぱ小隊長は強いなあ」


後方の騎士達は小隊長の技に感動していた。 がマシュー達はそうではなかった。


「《超加速!》騎士剣技!《スファイヤ.ランス!》」 ヒュン!


「お! 来たか…….って…遅くね?」


「マシュー殿!なんか、あやつの動きがものすごく遅く見えるのですが?」


「あ、やっぱり、う〜、焦ったいなあ!」


マシュー達は気がつかなかった。それは毎度毎度ソフィアの地獄のような特訓の成果であった。ソフィアの指導の中にこんなものがあった、『Lst.いいですか、攻撃を受けたら常に《刹那》を無意識発動するようにしなさい!そうすれば大抵の攻撃はかわせますし、反撃も可能です』と、それを毎回していたのでマシュー達は気付かずに《刹那》を発動していたのであった。《超加速》と《刹那》ではその速度は雲泥の差である、そのためマシュー達には相手が遅く見えているのだった。


そして小隊長はやっとマシューの近くに来た。


「あ〜もうめんどくせえッ!」 ブンッ! ドカッ!


マシューは剣ではなく拳で、接近中の小隊長の顔を殴った。


「ぎゃああああーーッ!」 ビュンッ! ドカアアッ!


小隊長は殴られて、元いた位置に吹っ飛んでいった。


「「「「「はああああ?」」」」」


騎士団の連中は皆何が起きたか分からず、戸惑いの声をあげていた。


「ち! つまらんものを殴っちまったぜ!」


そこには殴ったままの姿勢で立っていたマシューがいた。




いつも読んでいただきありがとうございます。

次回もでき次第投稿します。

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