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第62話 光の中の決着

 ーアトランティア法王国街道ー


 あれは今から3年前、山猫族の里にアトランティア法王国の兵士たちがやって来た。彼らの目的は里の者で優秀なスキル持ちを連れ出すことだった。 里長の娘であった私と妹のミウは、生まれ持った特殊スキルを持っていた。それを法王国の奴等にバレないように、父様は、私たちに封印の神器を渡した。 それは首にはめるチョーカー型の封印具で、つければ全てを包み隠しその者の能力を下げてしまうアイテムだ。外すには神器なため、神か女神様もしくはそれ以上の者の力が必要となる物だった。私は妹のミウにそれをつけた。ミウは何かわからず喜んでいた。次に私自身にはめようとした時、父様の部屋から悲鳴が聞こえて来た。法王国の兵士が入り込み父様を尋問していたのだった。私はチョーカーを着けずに父様の部屋に入り、その場で法王国の兵士に捕まった。兵士の中に鑑定ができる者がいて、私はすぐにバレ、連れ出されようとした時、父様が兵士たちに斬りかかって逆に斬り伏せられた。私は父様に駆け寄った時、父様は私に自分のスキルと剣技を譲渡し、息絶えてしまった。その場をあの子、ミウが部屋の外で見ていた。ミウからすれば、私が父様を殺したように見えたのであろう、ミウはそのままどこかに隠れてしまった。その後私は法王国で、そこの特殊兵として育てられた。法王を崇拝させられ私は変わってしまった。そして今、ここで妹のミウと戦っている。


「「ウオオオッ!」」 キンッ! ピカッ!


2人の大技がぶつかる。その大きさとお互いのレベルがさらに大きな破壊力をその場に出現した。


「「グググッ!」」


「にゃッ! ミウッ! さらにいくにゃッ!『ルミナスライト』よ!」


「にゃ!ミアッ!わたしだって!『カラミティナイフ』!」


「「神剣開放ッ!《《リミット.オフーッ!》》そのすべてをだせッ‼︎」」


その剣技を言った途端、お互いの神剣はさらに発光の力を強めた。


「「猫技!瞬光抜刀牙!最終技‼︎《《テルミッド.グラン.カッツェーッ‼︎》》」」


ギュアアアンッ!  カッ‼︎


もう目の前がただの真っ白い世界しか見えなかった、ただ手に伝わるお互いの神剣の存在のみ認知できた。やがて、次第に力の拮抗がズレ始める。それは、お互いのレベルによるズレだった。


「(ミウ、あなた、その力は…….そう、女神様に….ミウッ!離れにゃッ!)」グイッ‼︎


「うにゃあッ! ミアーッ!」バッ!


ミアはミウの力の本質を見た。そして遂に拮抗が崩れる瞬間、ミアはミウを最後の力を出して押しやった、そして2人のその場に強大な閃光爆発が起こった。


ピカンッ!グワアアアアンンーーーーッ‼︎


辺り一面が眩い光の渦の中に溶け込み、その時の轟音も大きすぎて認知できないほどだった。……やがて色のある世界景色が見え始め。音も聞こえ始めた。


「ん、終わったかな」


「Rog.おそらくは、ッ‼︎ お姉さま!緊急です! ミウの生命反応が微弱すぎます!」


「ん、わかった!…あそこだ! ソフィア急ぐよッ!」 バッ!


「Rog.了解ですお姉さまッ!」 バッ!


2人はミウがいるであろう所に急いだ。そしてそこには、獣神剣「カラミティナイフ」は砕け散り、全身傷だらけの小さいミウが横たわっていた。


「早く治療しなきゃ、この世界をつくりし創造創生の神よ!今この者に再び立ち上がる力を!神聖高位魔法!《リバイバル.ヒール!》」 パアンッ!


神々しい光がミウの身体を包み、やがて消えていくと、そこには傷一つない元のミウが横たわっていた。


「にゃ⁉︎….」


「ん、ミウ、気が付いたか?」


「Lst.全く、心配かけすぎですよ」


「ア…アニス様?…ソフィア?…………ッ!」 ガバッ!


ミウはいきなり起き上がり、周りを見渡し走り出した。


「どこ!どこにいるにゃッ! ミアーーッ!」 タタタ


ミウは辺りを走り回りミアを探していたが、その場にミアの姿はなかった。


「Lst.お姉さま...」 スッ


ソフィアはここから少し離れた緑豊かな小高い山を指さした。


「ん、そこにいるらしい...重症...いや...」 フリフリ...


アニスは首をゆっくり横に振った。


「Lst.お姉さま、ミウはどういたしますか?」


「ん、連れて行こう、あの子の姉だ...」


「Rog.そうですね...ミウッ!こっちへッ!」


ソフィアは探し回っているミウを呼んだ。


「にゃんだソフィア、今私はミアを探すのに必死にゃ」


「ん、ミウ、そのミアに会いに行くよ。ついて来て」


「アニス様はミアのいる所を知ってるのかにゃ?」


「Rog.お姉さまも私も知っています。今から行くのであなたを呼んだのですよ、ミウ」


「いくにゃ!まだ決着はついて無いにゃ」


「ん、そうか、そうだな...じゃあ2人とも私につかまってくれ」


「「Rog.はい(にゃ)」」


「じゃ行くか、《ベルザー.ベルト》!」 ヒューン


アニス達は小高い山に向かって飛んでいった。


緑豊かな森の中、小鳥のさえずりも聞こえる心地よい場所に彼女ミアはいた。


「ハアハアッ!...ウグッ..ハアハア...」ズリ...ズリ...ズリ..


森の中の地面を、身長90㎝程度のミアは、両足を膝からと、右腕は幻影神剣「ルミナスライト」と共に肩から失っていて左腕だけを使い這っていた。身体全体も傷だらけで、左目もあまり見えていない、痛覚だけはスキルのおかげでなかった。大技同士、威力や破壊力は同じ技なのだが、2人のレベル差が運命を分けた。ミウは傷だけで済んだが、ミアの方は弾け飛んだ威力に体の四肢を引き裂かれ、ここまで吹っ飛ばされてしまった。


そんな体を使い必死にミアが目指していた物は、彼女のもう少し先にあった、小さなスズランの花だった。やがて彼女はその花に左手で触り、涙をながした。


「ミ...ミウの好きな花だ...あの子...喜ぶかなあ...ウッ..ウウッ..」


その様子を、上からアニス達は見ていた。


「ミウ、降りていいかい?」


「にゃ...」 コクン


「じゃ降りるよ」 スー


3人はミアのそばに降り立った。それに気づいたミアは仰向けに倒れ笑顔を見せていた。


「ミウ...強かったね...もう...大丈夫.だね..ハアハア」


「ミア姉ちゃん...私..私......」


「ミウ...て..手を出して...渡したい..ハアハア..物...がある..」


ミウはミアの残った左手に手を差し出した。そしてミアは猫族の秘術を使う。


「ミウ..受け取って《エリネン.トランファ》..」 ポワ~ン


それは嘗て2人の父が死ぬ間際にミアに施した術で、ミアのすべてを今度はミウに譲り渡す術であった。そう全て、それはミアの命も含まれる。


ミウにはミアのこれまでの記憶や知識、スキルや剣技、体技に武術。そして生命力、彼女ミアがミウに融合するがごとくの究極の術だった。やがてそれが終わるころ、ミウは姉ミアの事を理解した。


「お姉ちゃんッ! わたしッ!...」


そう言った時、ミアは左手でミウの言葉を制した。


「ミウ...今まで...ごめん...ね...ハアハア..あなたのこれから...を応援する..ね」 フッ


そこまで言いミウの姉ミアはすべてをミウに授け、この世を去って行った。 やがて小さい彼女の体も元素還元され消えていった。


「おねえちゃああんんッ‼ ワーーッ!」 


ミウはその場で消えてなくなりミアが唯一手にしていたスズランの花を手にとって泣いた。どれほどの時間がたったか、やがてミウは泣き止み、吹っ切れたのかいつものミウに戻っていった。そして落ち着いたころアニスはミウに聞いた。


「ミウ、大丈夫? 貴方これからどうする? 里に帰るの?」


ミウはしばらく考えてから答えた。


「にゃ、大丈夫ですにゃ、ミウの中にはミアお姉ちゃんがいますにゃ、だからミウは、ミアお姉ちゃんの仇をとりたい、父様の本当の仇をとりたいにゃ!だからアニス様と共に一緒に行きますにゃ」


「Rog.よく言いました、それでこそ私の妹にふさわしい」


「にゃあ? 妹?ミウがソフィアの妹?」


「ん、ソフィアは私の弟子みたいなもんだから、その弟子の下、妹弟子って事かな」


「Rog.そうです、ミアの代わりに私がお姉ちゃんになってあげます。光栄に思いなさい」


「にゃ、ソフィアはソフィアにゃ、それ以下にゃ!」


「Rej.よくわかりました。やはりこの生き物は食材だあああッ!」シュキン!


「みぎゃあああッ!」


そんな二人を見てアニスは笑いながら思った。やはりこの2人はこういう関係の方がいいと。


「さあ帰るよ2人ともいいかい?」


「「Rog.はい(にゃ)」」


アニス達はマシュー達がいる所まで再び飛んで行った。



こつんッ!......それはある国の、崩壊への足音だった。







いつも読んでいただきありがとうございます。

次回もでき次第投稿します。

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