第51話 エインヘリアル
ー政令都市ガルア近郊ー
俺はマシュー、聖王国カルナの冒険者だ。今、政令都市ガルアの郊外にある丘の木の下で、相棒の妹、ソフィアから紅茶をもらい飲んでいる最中、その相棒のアニスがとんでもない事を言ったので、口に含んだ紅茶を吹いてしまっていた。
「お、おい!アニスッ!元に戻すってよお、..俺の時みたいに...その......なんだあ.....」
「ん、マシュー、なんだ? ハッキリしろ」
「お、おう! その...アイツらと...く、口を..口に..チューするのかッ⁉︎」
「はあああッ⁉︎ しッ しないしないッ! あ...あれは....あれは...おまえと..だけ.......だよ」カア
アニスは赤くなりながら、最後の方は小声でこたえた。それを聞いたマシューは、ほっとしたのか笑いながらアニスに言う。
「そ、そうかあッ! うん、ならいいッ! とっとと治してしまえッ! ハハハハッ!」
「ん、くそう、ましゅうめえっ!...恥ずかしいじゃあないか!...バカ...」プク
アニスは気を取り直しいて、分遣隊隊長のタレスとカソダに向き直った。そして彼らを元の状態にしようとした時、側にいたマシューから声がかかる。
「なあアニス」
「ん、なんだ?」
「隊長の方は腕を治すんだろ、だけどコイツは、なにもかも失ってるって事は、ヤツの中に『聖痕』がデキちまっててよ、またそれを治療するのか?」
「ん? 彼には『聖痕』なんて、ついてないぞ!」
「え、でも、この前、おまえ言ったじゃあないか、『私がつけた聖痕は、全てを失う』って!」
「ああ、アレはこれ、この神器「アヴァロン」で私のスキルと一緒に傷つけた時だけだ」
「今回は違うのか?」
「ん、スキルのみで能力を全て奪った」ニイッ
「(な、怖えよおおっ!)それ、お願いだから俺に使わないでね」
「Lst.私だったら即使用しますけど!(そのスキル、私にもあれば..)」
「お願いします、いじめないでください」
こんな会話をしているマシュー達を見て、隊長のタレスは笑いながら思った。
「ハハハッ(このパーティーは強いはずだ。雰囲気がいい)」
「ん、じゃあ元に戻すからいいかな?」
「ああ、よろしく頼む、いや頼みます」
「ん、ソフィア、彼の腕、ちょうだい!」
「Rog.今、ストレージから出します」
すると、ソフィアの右手には彼、隊長タレスの右腕がそこにあった。
「な、お、俺の腕が出てきた⁉︎」
「ん、私のソフィアは、こうしていろんな物を、保存、収納ができるんだ」
「Lst.私のだなんて...お姉さま、ありがとうございます♡」
「なんかよう分からんが、すごいスキルを持ってるのだな」
「ん、お陰であなた達を治せる。さあ、まとめて治してしまおうか、そっちの2人もここに来て」
「「え、俺達もですか?」」
「そう、少しだけど怪我してるでしょ、隊長さん達とまとめて一度にやるから」
「「わかりました」」
分遣隊の騎士4人は、一箇所に集まり、アニスの指示を待った。
「では、隊長さんは、自分の腕の切り口を合わせて持ってて、他の人はそのままでいいから」
「わかった、自分の腕を持つなんて、変な気分だな」
「ん、では、始めるよソフィアッ!手伝って、周辺警戒とフィールドをお願い!マシューは護衛を!」
「おう、任せとけ、思いっきりやんな!」
「Rog.了解しました。《リング!》..(パアッ!)..この周辺に隔離フィールド形成!《サーチ!》..(ササアー)... ここら周辺に私達以外の生命探知なし、お姉さま、いけます。発動どうぞ‼︎」
「ん、ありがとう、じゃあ神聖魔法発動!」 パアンッ!
ソフィアの作った隔離フィールドの天井に白い魔法陣が現れた。
「この世界を作りし創造創生の神よ、今、その力を用いて彼の者達の傷を癒せ、失われし力、今呼び覚まさん! この者達に再び力を、勇気と祝福を、創生神聖復元魔法!《サーファング.グラン.レストロジイ!》」
キュウウウンンッ.......パアンッーーッ‼︎
アニスが呪文を唱えると、隔離フィールド内全てが光の中に埋まった。分遣隊騎士やアニス達、皆が全部光の中にいた。暫くして光が収まり、そこにはアニス達7人がいるだけになっていた。
「Lst.全て終了、隔離フィールドを解除します。周辺地域に異常は見られません」
「お、終わったか、すげえ眩しかったな! おいどうだ、元に戻った身体は?」
「う、腕が、私の腕が元に戻ったぞッ! それになんだ、体が軽い?いや、これは以前と違って体の動きが良くなってる気がするぞ」
「隊長ーッ!俺、俺も力が戻った気がします」
「俺もです、怪我がすっかり無くなりましたし、なんか、体が変わったみたいに感じるんです」
「自分もです!身体が変わった感じがわかります!」
法王騎士の4人はそれぞれ自分の体の様子を語った。
「ん、成功したと思う......ぞ...ん?あッ!.....あ〜....」
「Rog.さすがは、お姉さまです。ですがちょっとやり過ぎたのではないでしょうか」
「は、なにがだソフィア、アニスの何がやりすぎたんだあ?」
「Lst.マシュー、あの者達を鑑定できますか?」
「鑑定? 出来るけど見るのか?」
「Rog.見たほうが早いです。驚かないでください」
「わかった、《鑑定》.......はああああっ!なんじゃこりゃあああッ!」
ーアトランティア法王国騎士タレスー
《名前》 タレス→タレス・デル・ガルア
《種族》 ヒト属→超人種
《性別》 男
《年齢》 27歳
《称号》 テンプルナイツ→エインヘリアル
(法王双剣騎士→女神の守護騎士)
ジステッド8→照合比較不能により破棄
《職業》 分遣隊隊長→女神の守護騎士隊長
《レベル》Lv45→Lv95
《体力》 14020→52800
《魔力》 13800→48600
《俊敏》 14200→38500
《攻撃力》13600→42020
《防御力》17000→48500
《魔法属性》火、土→聖、光、火、水、風、土
《各種耐性》痛覚耐性、麻痺耐性 → 全属性耐性
《各種異能》痛覚無視、剣術Lv10、魔術Lv10、加速Lv7→縮地Lv10
特殊効果付与の右腕(別名 神の右腕 《ダールハンマー》)
《状態》 正常 女神の従者 アニス崇拝者筆頭
《所持武器》双刀人造聖剣「シスバルタス」→双刀神剣「ブルトファング」
マシューはただ呆然と彼らを見ていた。
「どうしたマシュー? 我々の体が何か変なのか?」
「お前ら、今自分のステータスよく見てみろ。たまげるぞ!」
「ステータス? わかった。おいお前ら、自分のステータスを確認しろ」
「「「は、《ステータス!》.....‼︎‼︎」」」
「「「「これはなんだあーーッ‼︎」」」」
分遣隊騎士達4人は、自分のステータスを見て絶叫した。
ーアトランティア法王国騎士カソダー
《名前》 カソダ→カソダ・デル・ガルア
《種族》 ヒト属→超人種
《性別》 男
《年齢》 24歳
《称号》 テンプルナイツ→エインヘリアル
(法王魔剣騎士→女神の守護騎士)
ジステッド10→照合比較不能により破棄
《職業》 分遣隊騎士→女神の守護騎士
《レベル》 Lv38→Lv90
《体力》 10800→45800
《魔力》 12000→43360
《俊敏》 10020→38120
《攻撃力》 12800→39800
《防御力》 9280→35980
《魔法属性》水、風→聖、光、水、風
《各種耐性》痛覚耐性、麻痺耐性→全属性耐性
《各種異能》痛覚無視、剣術Lv6→Lv10、魔術Lv7→Lv10
加速Lv6→縮地Lv10
《状態》 正常 女神の従者 アニス崇拝者
《所持武器》人造魔剣「キュロス」→神聖剣「カルウェナ」
ーアトランティア法王国騎士アノンー
《名前》 アノン→アノン・デル・ガルア
《種族》 ヒト属→超人種
《性別》 男
《年齢》 23歳
《称号》 テンプルナイツ→エインヘリアル
(法王聖剣騎士→女神の守護騎士)
ジステッド11→照合比較不能により破棄
《職業》 分遣隊騎士→女神の守護騎士
《レベル》 Lv37→Lv90
《体力》 10020→45600
《魔力》 11500→42400
《俊敏》 10800→36800
《攻撃力》 10030→37800
《防御力》 8800→39010
《魔法属性》火、風→聖、光、火、風
《各種耐性》痛覚耐性→全属性耐性
《各種異能》痛覚無視、剣術Lv5→Lv10、魔術Lv4→Lv10
加速Lv6→縮地Lv10
《状態》 正常 女神の従者 アニス崇拝者
《所持武器》人造大聖剣 「パスツール」→大神剣「ディアルバスター」
ーアトランティア法王国騎士テルゾー
《名前》 テルゾ→テルゾ・デル・ガルア
《種族》 ヒト属→超人種
《性別》 男
《年齢》 19歳
《称号》 テンプルナイツ→エインヘリアル
(法王騎士→女神の守護騎士)
ジステッド15→照合比較不能により破棄
《職業》 分遣隊騎士→女神の守護騎士
《レベル》 Lv34→Lv89
《体力》 8900→42860
《魔力》 7980→39880
《俊敏》 8200→41000
《攻撃力》 8680→39070
《防御力》 6980→40200
《魔法属性》土、風→聖、光、土、風
《各種耐性》痛覚耐性→全属性耐性
《各種異能》痛覚無視、剣術Lv5→Lv10、魔術Lv4→Lv10
加速Lv5→縮地Lv10 (隠蔽Lv10)
《状態》 正常 女神の従者 アニス崇拝者
《所持武器》ミスリルダガー→オリハルコンダガー
(ダブルダガー、神剣「クラム・ソラム」)
「.........................はッ!」
しばらく放心していた彼らは我に帰った。
「レ..レベルが...それよりも、我々は女神様の守護騎士になってる⁉︎..俺たちは今、法王騎士、テンプルナイツからエインヘリアルになってしまったんだああッ!」 ジタバタ!
「隊長おおっ! 気を確かにいいっ! って俺もどうしたら分かんねええッ!」 オロオロ!
「エ、エインヘリアルなんて称号、聖堂図書の記述にしか、のってない、空想上の称号だぞ!」
「隊長おおッ! お、俺達、種族も変わってるんですがああ! 俺たちどうなってしまうのですかあッ‼」
元分遣隊騎士達は戸惑いを隠せず、今後どうしたらわからない様子だった。それを見ていたマシューがアニスに言う。
「アニス、お前ええ〜、どうすんだよ!コイツら」
「ん、...よし!お前達、まずはここに座れ!これからの事を色々話し合う!」
丘の木の下で、今アニス達と後日、女神直属最強戦士「フェスタールの4元帥」(フェスタフォース)と世間に呼ばれる者達の話し合いが始まった。
いつも読んでくださりありがとうございます。
次回もでき次第投稿します。