第42話 新たなる波紋
ー外周都市エスタ キッチン山猫亭ー
キッチン山猫亭 肉料理専門の冒険者ご用達の大きな食堂に、5人組のグループが食事もせず座っていた。店員が注文を取りに行くと、彼はメンバーを見て固まってしまった。そこには、今まで見たこともなかった美少女たちが座っていたからであった。1人は大柄な筋肉質の男、後は女性たちのなのだが、一人は栗色のポニーテールの魔法使いの少女、その隣にグレーのショートヘアの弓使いの少女、だが彼が目を止め、動きを止めたのは、彼女たちの前に座る2人の美少女だった。青みがかった白銀色、セミロングヘアの少女と光黄金色、セミロングヘアの双子の少女だった。しばらく彼は立ち止まっていたが、男に後で呼ぶといわれカウンターへ下がって行った。
「つまり、こいつはお前の妹で、この町で会う約束をして会いに来た、と言うわけか?」
「ん、そうだマシュー、私の妹、ソフィアだよろしく頼む」
「Lst.ソフィアです。お姉さま共々よろしくお願いします」
ソフィアには、通常どうり行動する様に指示を出し、彼女はそれを守っている様だった。過剰な姉反応は抑える様にそれを守らなければ同行はなしと、ただ、私に危害が及ぶ時は任せると言うことになっている。
「おお、いいぜぇ、だがよう、お前の強さはいやって程知ってるが、妹の方はどうだ?一緒について行って大丈夫なのか?」
「ん、それなら大丈夫だ。ソフィアは私に匹敵するほど強い、マシュー、気を付けろよ!この子は本当に強いからな」
「な、お前と同じくらいだとォ?ってまあアニスの妹だからなあ、ありえるかあ」
「Lst.お姉さま、この者の先ほどからの言動、お姉さまに失礼です!この場で処理をしても?」
ソフィアが腰の神器に手を伸ばそうとしていた時アニスが止める。
「だめだめえ!ソフィア落ちついて、ちょっとこっちに来なさい」
アニスはマシュー達から離れた場所で、これまでの経緯とこれからの振る舞いをソフィアに教えた。納得したソフィアを連れて、元の席に着く。
「妹にも納得させたから、マシューもいいかな」
「おう、それじゃあ乾杯と行こうか、おおい店員!エールだエールを5ッな!」
「はい、ただいまお持ちします」
乾杯の後、食事が来て皆で騒いでるとき、マシューが言った。
「ペアなら、いらなかったが、トリオになったんだ、パーティー名がいるなあ」
「ん、パーティー名だと?いるのかそんなの?」
「Lst.集団行動する団体の呼称ですお姉さま」
「ん、でどんなのがいいんだ?」
「私達は『エンジェルベル』って言うパーティー名だよ」
「マシューはパーティー名の付いた集団にいた事はないのか?」
「ああ、ずいぶん昔にな、『草原の風』って言うパーティーにいたが、全滅して以来ずっとソロでやって来たんだ。お前と組んだのはほんと久しぶりなんだ」
「ん、そうか、ではパーティー名だがどうする?」
「俺はどんなのでもいいぜ、お前がパーティー入れば構わん」
「ん、じゃあ『おかしなマシューと仲間達』か『飲んだくれマシュー隊』とか」
「Lst.私は『お姉さまと一緒』とか『お姉さまは最高』とか」
「ごめんなさい、俺が悪かった。何でもいいは無しでお願いします」
「ん、では『ワルターラスター』でどうか?」
「ほう、意味あんのか?」
「ん、私がいた所の言葉でな『輝く世界』と言う意味だ」
「『輝く世界』かいいな、それ!よしそれで行こう!」
パーティー名が決まり食事の後、マキ達とはそこで別れギルドに行って、パーティー名とソフィアの冒険者登録を済ませた。ここにパーティーメンバー3人の、『ワルターラスター』と言うパーティーが誕生した。
「それじゃあ、次の街へ行くかあ、2人ともしっかり外套を被ってろよ、目立つんだからな」
「ん、次はなんて言う街なんだ」
「Lst.この街の先には、「政令都市 ガルア」があります」
「お、よく知ってんなあ、さすがアニスの妹だ!」
「Lst.マシューさん、私の事はお姉さまの妹ではなく、ソフィアとお呼びください」
「お! 俺の事をマシューさんか、いいねえ、そう呼んでもらえるの」
「Rej.私は呼びたくないのですが、お姉さまの前ですから、本当はなら『さん』付けなし、呼び捨ての『マシュー』または『飲兵衛』とか『ウジ虫』と呼びます」
「おいアニス!お前の妹、俺に対して厳しくねえかあ、あれ⁉︎」
「ん、..普通だな!うん普通だ」
「Rog.普通です!あなたに対して普通です!普通やめますか?」
「お願い、マシューでいいです。飲兵衛、ウジ虫はやめてください」
「Rog.わかりました、これよりあなたを呼称、マシューと呼びます」
「なあアニス」
「ん、なんだ?」
「お前の妹、ソフィアだけどなあ」
「なんだ、ソフィアがどうかしたか?」
「話し方いつもあんなか?」
「そうだな、しばらく人に触れていなかったからな!」
「そ、そうか、なら仕方がないな」
アニス達3人は街道を歩いて進んでいった。一方その頃大陸中央に存在する大国『アトランティア法王国』、その王城の中にある、とある施設の中で、3人の高位神官服を着た老人たちが話をしていた。
ーアトランティア法王国 地下神殿ー
「聖王国の件はいかにする」
「そのままにしてはおけんな」
「では、行動をおこすか?」
「いや、まだ早いのでは、ディアル皇国の事もあるしのう」
「報告では、巨大翼竜部隊が動いたが、全滅したと報告があった」
「全滅?そんなことがあるのか?」
「普通は何人か生き残るのだが、此度は一人残らず帰らなんだ」
「何があったのだ?」
「わからぬ、ただ一瞬、信じられんほどの魔力量が計測された」
「ぬ、それはどれほどかのう?」
「我が国の諜報魔力部の施設にある測定器がの、あの一瞬、3.9メルテランの魔力を計測してぶっ壊れたわ」
「なにいいッ! 3.9メルテランだと? メルガノンじゃあなくてメルテラン?何かの間違いじゃないのか」
「いや、間違いない、6基あるすべての機械がその数値を出し、壊れて停止しておったわ」
「以前の異常計測値が 1.3メルテランだったがそれを遥かに超える数値とは」
「やはり動いた方がよいかのう」
「わしから法王様に報告し許可をもらう、直ちにあの者たちを出せ」
「我が国最強の者達か、天位を持つ者達『インビンシブル・ナイン』か」
「そうだ事は緊急を要する」
「そうだ、彼の地の神聖なる力は、我がアトランティア法王国が所持しなくてはならない!」
「そのとうり! あれは神聖なる神の力、下賤な者に渡してはならない!」
「ではそういう事で」
3人は立ち上がり右手を差し出して誓いの言葉をつぶやく。
「全ては、我が法王アトラス様のために!『グロウリイ・アトランティア!』」
アグニ大陸最大の国家が動き出した。
ーディアル皇国 政令都市 ガルアー
外周都市エスタを出て5日、アニス達は何事もなく 政令都市 ガルア に着いた。途中のキラスク高原でマシューとソフィアのレベルアップに2日を要しての到着であった。
「よし、着いた着いた!まずはうまい飯と酒そして風呂だな!」
マシューはすこぶる機嫌が良かった。それと言うのも2日前、アニス達の地獄のような猛特訓のおかげで、自分のステータスアップや欲していた自分の剣技《グランツ.カッツエ》の中段技、『昇端剣技』の《グランツ.ゼル.カッツエ》を習得できたからであった。ソフィアも剣技と魔法を数多く取得していた。これにより、パーティー『ワルターラスター』の実力は大幅に大きくなった。
「よう!アニス先に行っていい宿を探してくるぜぇ!」バッ! タタタタタ!
マシューは門をくぐるとそのまま走って行った。
「全くマシューはしかたがないなあ。ソフィア疲れてないかい?」
「Rog.少しですが大丈夫ですお姉さま、お姉さまこそ疲れてませんか?」
「ん、ありがとう、大丈夫だよこれくらい!」
2人は外套を頭から全身に被っており、周りからは容姿がわからなかった。そのため、騒がれもせず街中に入って行った。
「Lst.お姉さま、あれは何でしょう?」
「ん、どれ?」
「Lst.そこの路地の奥です。木箱が落ちているのですが、何やら動いているのです」
アニス達は路地の中に入り無造作に置いてある木箱を見た。ゴソッゴソゴソッ!
「う、動いたあああッ!」
「Lst.動きましたねえ」
アニスは木箱に近づき、木箱の周りを調べたら、その一部からヒモの様なものが出ていた。それを見てアニスは一言言った。
「なんだこれ?」
アニスはその木箱に興味を持ち始めた。
いつも読んでくださりありがとうございます。
次回もでき次第投稿します。