第40話 コアVSコア
―研究所 コア施設ー
ここコア施設は地下の大空間だった。天井高は約10m、広さは、縦横とも200mはある広さであった。その中の高さ3mほどの円柱型人造コア製造カプセルが50基ほどん並んでいる、エネルギー吸収カプセルと繋がって。その空間内で、2人の女性が尋常ではない高速剣技で刃を交えていた。
ババッ!シュンッ!シャッ!シュンッ!キンッ!キキンッ!キュンッ!シュンッ!
両者の高速移動音と空を切る剣捌きの音、たまに剣同士がぶつかり合う音が、この大空間にこだまする。どちらも相手の剣撃を紙一重で交わし、時には体術を使って攻撃をする。一進一退の攻防が続く、まだどちらも一撃を与えていない、貰ってもいない。B01バランシアが大技の右回転で神剣「ペリュース」を振り抜く、が、ソフィアも同じ右回転で神器「ガルバリオン」を2刀同時に振り抜く! 両者の剣は超高速になりお互いが受け合って弾かれた。両者はその反動で後方に回転しながら地面に着地した。
ギャリイイイイン!クルクルクルッ!ザザアアアーーーッ‼︎
「フフ、量産型制御コアにしてはよく動きます。個体名ソフィア、賞賛に値します」
「Rej.個体No.B01バランシア、私はジオス様より既に量産型制御コアの枠を逸脱しました。既に通常値を遥かに超える能力を有しています」
「そう、では個体名ソフィア、本気で行きます」
「Rog.個体No.B01バランシア、同意します」
お互い通常剣技では勝負がつかないので、次の攻撃体制に入った。
「覚悟はいいですか? 個体名ソフィア」ブンブンッ!チャキッ!
B01バランシアは、神剣「ペリュース」を大きく回して構える。
「Rog.準備完了! 個体No.B01バランシアいつでも...」クルクルッ!パシッ!
ギュッ!
ソフィアも神器「ガルバリオン」を両手共小さく回転して持ち替えた。これはジオス、いやアニスが本気を出す時の癖が彼女にも出たようだった。
「ソフィア、俺と同じ剣の使い方だ」
そして、両者同時に動く。
「「《縮地!》 神級剣技!《シャルデン.バッシュ》」」
ビュンッ!ビシイイッ!キイイイインンッ!
2人は全く同じ剣技を発動した。当然、相打ちになる、そのことにお互いが驚く。
「な、何いいいいッ!」
「R、Rej!」
それを見てアニスは語る。
「当たり前だろ、同じコア同士、初撃は皆同じ剣技を使う。だが、2手目は違うな、さあどうする」
2人は再び、距離を取り剣を構えた。そしてB01バランシアから剣技が発動する。
「次は当てますよ、《縮地》 神級剣技!《ブリッツ.ファングッ!》」
キンッ!ビシュッ!
バランシアの姿がぶれて消える、今まで以上に速い動きでソフィアに襲いかかった。それに対しソフィアも剣技を使い迎撃態勢をとる。
「Rej.剣技迎撃!《縮地》 神級剣技!《イージス.エッジッ!》」キュンッ!
ソフィアが使った剣技は以前アニスが使った剣技であった。《ブリッツ.ファング》は刀身を透明化して剣撃の軌跡が見えないステルス剣技、かたや、《イージス.エッジ》は超高速のカウンター迎撃剣技、その勝敗は一瞬で決まった。
キュリイインッ!ザンッ!ビュシュウウッッ! ドザサアアッ!
そこには、双刀神器で神級剣技を繰り出し終えて構えて立っていたソフィアと、左腕を失い片膝をついたB01バランシアがいた。そして双刀の両手剣を同時にビュンッ!と一振りしてB01バランシアを見る。
「ウグアアアアッ! 私の、私の腕があああ!」 ワナワナ
「Lst.個体No.B01バランシアに通達、貴方の戦闘力は30%ダウンしました。戦闘維持は不可能と断定、降伏して下さい」
その結果を見てアニスはまた語る。
「まあこんなもんだろうな、バランシアの剣技はあくまでも高速からなるただの斬撃、しかしソフィアのアレは私の剣技、完全防御のカウンターアタック、負ける訳が....えッ?..ちょっと待てよ、なんでソフィアが私の剣技を使えるんだ? え、え〜と........あッ!あああッ‼︎ し、しまったあああああッ!どどど、どうしよう〜.....まあ、い、いいかな、うん、いい、いいや。がんばれえ ソフィアア〜..」
何やら1人で自問自答しているアニスであった。2人の戦いはまだ続いていた。
「いいえ、まだよ!個体名ソフィア、私が女神様から貰った力見せてあげる」
するとバランシアの体が光り、失った左腕が再生した。そして神剣を鞘に納め今度は魔法攻撃に切り替えてきた。
「剣での勝負はあなたに一日の長がありますね、ですが魔法ならどうでしょう」
バランシアは右手を差しだし、魔法をソフィアに放つ。
「個体名ソフィア、これで最後です!《ヘルダイム.シェフィールドッ!》」
パアンッ!バババババッババッ!
オレンジ色の大きな魔法陣が現れ、中から無数の光の剣がソフィアに向かって襲い掛かった。ソフィアも魔法に対応する。
「Rej.させません!《バルバドール.シルトッ!》」 ファンッ!
ソフィアが魔法を使うと、前面に水色の魔法障壁が現れた。光の剣の威力にしばらくは耐えていたが、遂に崩壊しその矛先をソフィアに向けた。
「Lst.回避不能!ジオス様申し訳ございません...」 パアンンッ!ドドドッ!
無数の光の剣がソフィアに当たる前に、アニスが強力な魔法障壁を張って助けた。
「Lst.ジオス様...」
「ソフィア、交代だ! そこで休んでいてくれ」
「Rog.しかし、私はまだ...」
「いいや、ここまでだ、君はまだ魔法戦がしっかりレクチャーできていない。だから私がやるいいね」
「Rog.この場をまかせます」
アニスはソフィアを下がらせバレンシアの前に立った。
「ジオス様、私はあなたと戦うつもりはありません。どうかお引き取り願えませんでしょうか?」
「悪いな、バランシア、お前は回収破壊対象なんだ。すぐ終わる」
「いやです、なぜ?、わ、私、私は悪くない。悪くない、..悪いのは.悪い?悪....わ、わるわる....悪いのは神だあああッ!」
「Lst.ジオス様、個体No.B01バランシアの倫理回路が異常を期しています、まもなく暴走します」
「やはり、女神の力を受けすぎたか...もう、持たないなこれは」
アニス(ジオス)が出てきて自分を破壊すると聞いた時、バランシアの理性が飛んだのか?又はこれがもとの性格だったのかはわからないが、バランシアは暴走の兆しを見せた。
「ジ、ジオス様を、ジオス様に、ジオ、ジオ..ジオス様さえいなければいいのだあああッ!神級砲撃魔法!《ヴァルダア.カノオネエ!》」
キュオオオーーッ‼ ドオオオンンンッ!
バランシアはアニスに向けて、極大魔法を放ってきた。しかし、アニスはそれをものともせずに対処する。
「ごめんな、B01バランシア、神級魔法!《ファルクス.ハーケンッ!》」キュインッ!
迫りくる極大魔法弾にアニスが魔法を放つ、アニスの頭上に深紅の巨大な魔法陣が光る。それが高速回転する、やがて魔力エネルギがたまっていき、そして....
「《ティルトッ!》」 キュオオオーーッ ドッ!コオオォォォンンーーッ!
アニスの放った魔法はバラシアの魔法を飲み込み、そのままの勢いでバランシアをも飲み込んでいった。その時のバランシアの顔は、少し笑っていたように見えた。
「.....さ....」 シュオオオオオオンンン.....
一瞬バランシアが何か言ったようだが、全て、アニスの魔法の威力の中に消えていった。
「Lst.個体No.B01バランシアの消滅を確認!当初目標の一つが終了しました」
「そうか、ロキ終わったよ」
アニスはそうつぶやいてロキがいた所を見たが、もう彼や他の獣人たちの遺体は消滅していた。以前にも述べたように、この世界や他の世界ではすべて、神の加護や死亡したりすると元素還元されて消滅してしまうのである。
「Lst.ジオス様!」
「ん、なんだいソフィア」
「Lst.ジオス様宛に、メールが届いています」
「メール?だれから?」
「Lst.発信者は、個体No.B01バランシアです、あけますか?」
「ん、たのむ」
「Rog.『ジオス様へ、すべてをジオス様に託します。ジオス様、ごめんなさい』以上です」
「そうか、最後の最後で、元のサブメインコアに戻れたんだな。バランシア」
「Lst.ジオス様この後いかかいたしましょうか?」
「ん、当、研究所は完全破壊、のちに自然を再生処理以上!」
「Rog.ここを退避後に処理いたします。直ちに移動をお願いします」
「ん、じゃあマシュー達の所へ帰るか」
「Rog.了解しました」
その後この一帯が大爆発を起こしたが、のちに調査に入るとただの森があるだけだった。
いつも読んでくださりありがとうございます。
次回もでき次第投稿します。