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第38話 獣人少年ロキ

ー外周都市エスター


僕の名前はロキ、獣王国の出身でこのディアル皇国には猟兵としてやって来た。猟兵は戦をしない、つまり食糧調達兵の事なんだ。知らないものは傭兵と間違うみたいで、戦になれば僕たちを矢面に出そうとする。そんな間違いが続くと、仲間が1人また1人と死んでいく。ついこの間の戦では、とうとう仲間が皆やられ、僕一人になってしまった。まだみんな僕と同じ12歳になったばかりなのに。そして今日その責任と言ういじめにあった、痛くて痛くて、息もできなくて、そんな時あのお姉ちゃんが助けてくれた。頭からすっぽりと外套を被って、顔や姿は見えないけど、僕は獣人、においでわかる。この人は女の子でいいにおいのする、優しいお姉ちゃんだと。僕は気を失っていたらしく、目が覚めたら傷やケガが治っていた。その場にお姉ちゃんの姿はなかったけど、残り香をたどっていくと、なんか怒りながら魔法を使っていた。僕は咄嗟にお姉ちゃんの外套の端を握って引っ張っていた。こちらを見たお姉ちゃんに僕は自然と言葉が出る。


「お姉ちゃん、僕を忘れないで」


翌朝アニスと少年は帰ってきた。


「えらい目にあった、少年、え〜とロキ君はどうする?」


「はい、国に獣王国に帰ろうかと思います」


「1人で大丈夫か?」


「大丈夫です、この辺りはよく知ってますから」


「そうか、気をつけてね!」


「お姉ちゃんこそ気をつけて!特にこの街の西、あの山へは近づかないでね!」


「ん、あの山? なんかあるのか?」


「うん、皇国軍の何か作ってる所。何を作ってるか分からないけど、強い兵隊が守ってるから」


「ほうう、強い兵隊ねえ....ん、分かった、気をつけるよ」


「それじゃあ、お姉ちゃん、助けてくれてありがとう!僕行くね!」


「ああ、じゃあね!」


アニスは少年と別れマシューと取った宿に帰った。部屋ではマシューが寝ていた。


「マシュー朝だよ!おはよう」


「う〜、アニスう〜、今日はだめだあ、頼む寝かせてくれええ!」


どうやら昨日の事がまだ体の残っているようで、まだ酔っているようだった。


「ん、分かった、寝てて、私は所用を済ましてくる」


「おうう、気をつけてえなああ...」


マシューはそのまま寝てしまった。アニスは宿を出て、少年の言っていた西の山を見て


「気になるなあ、行ってみるか」


外套を被った小さい人影が、街の西にある山へ向かって行った。街を出て森に入り、少し行くと森の中は、罠と警報装置があった。そして、ある程度森の中に入ると、アニスは外套を取って、いきなり加速して森の中を疾走する。 その姿は、マシュー達と触れ合っていた時とは違い、キリッとした顔のアニスがいた。

ササササッ!バッザッサササッ!

森の中を風切り音と僅かな足音だけで疾走するアニスが念話を使う。


「聞こえるか?」


「Rog.アニス様!」


「この先に存在する施設なんだがわかるか?」


「Rog.研究所のことでしょうか」


「研究所?そんな物がこの先にあるのか?」


「Rog.あります。おそらくは、アニス様の目当てのものと思われます」


「人造コアか?」


「Rog.人造コア製造プラント及び開発研究施設です」


「規模はわかるか?」


「Rog.人員構成は兵士200名、研究開発者80名です」


「よし、では仕掛けるが、ソフィア、口調が戻ったようだが?」


「Rog.メインコアは別行動で作業中、私はサブ支援コアです」


「そうか、まあどちらもソフィアでいいな」


「Rog.その考え方でよろしいかと」


「では、ソフィア、自動支援を頼む」


「Rog.分かりました、範囲索敵開始!対人攻撃戦闘モード」


その内数々の罠や警戒装置が見つかり始める。その全てをソフィアが解除、無効にしていく。時には3人ほどのピケット隊を瞬殺して行った。


「(ソフィアすげえな、完全な暗殺者マーダーだよ)そろそろ施設だ、完全潜伏ダイブ!」


「Rog.完全潜伏ダイブ!範囲索敵をアクティブからパッシブへ移行!」


アニスは一人で来ているが、支援コアのソフィアに支援を受けると、その戦力は大国の一個大隊に比例する。施設の入り口の鍵や廊下の防犯設備はソフィアによって開錠されるので警報もならない。そして施設の最重要部署に着く。


「ここか..」てくてく?


アニスが入り口のドアを開けようと、ドアに手をかけたが開かなかった。


「Lst.アニス様、高次元のプロテクトが仕込まれています。私では解錠できません」


「わかった、私がやろう」


アニスはドアの横のコンソールに手をかけた。すると音声ガイダンスが流れる。


「認識番号照合不能!コード及び所属番号を登録してください」


「この符牒は.....はは、......」


アニスはコンソールのキーボードを叩き、とあるコードを打ち込む。


「照合確認! 入室を許可、ようこそジオス様」


「やっぱりか」ガコン! ゴゴゴ!


扉が開き中の照明が点いて明るくなった。そこにはか数多くのコアが入ったカプセルと...


「これはなんだああッ‼︎」 ワナワナッ!


アニスは怒りに満ちた声をあげる。ここまで怒ったアニスは初めてであった。そこには例の魔核爆弾に使用してあった人造コアが未完成の状態でカプセルの中に浮いていた。そしてそのカプセルにコードが伸びその先には沢山の獣人が繋がれていた。 彼らは人造コアにその命を吸われていたのであった。 そして、その中に小さい人物がいた。


「な、ロキいい!」


そうさっき別れたばかりの獣人少年のロキがそこに横たわり、チューブで人造コアに繋がれていた。アニスはすぐにチューブを引きちぎり、ロキを抱き抱える。


「ロキッ!ロキッ!目を開けて!お願いだ!目を開けろおおおッ!」


「お..ねえ....ちゃん?...............」 ヨロ.....


「ああ、ここにいるよ。また会ったね」


「い......いる....の?...みえな..いよ.....」


目は開けているが、彼にはもう視力がなかった。


「ここ、ここにいるよ」 ギュッ!


アニスはロキの手を握った。


「あ...あった...かい.........ね............」 フッ...........


一時、ほんの一時、ロキは気がついたがそのままアニスの腕の中で息を引き取った。


「......クックク...ウッ..ウッ............」グシュ.....


アニスは泣いた。少年のために泣いた。『お姉ちゃん、僕を忘れないで』彼の言葉が耳に残っていた。


「うん、忘れないから.....」


「Lst.アニス様、解析終了! これら人造コアは獣人たちの強い生命力を吸収して稼働するものと断定、但し、使用時間も短く持って12時間が限度の粗悪品コアになります」


ドカアアンンッ!


アニスが壁を思いっきり、横の壁を叩きその壁に大穴が空いた。


「誰だ、誰がこれを、....」


「その質問には私が答えます。ようこそジオス様」


中央奥の一際大きな、いや、巨大な制御コアがそこにあった。


「誰だお前は、ただのコアじゃあないな?」


「申し遅れました。私、6大女神が創りし存在、サブメインコア、B01バランシアです」


「こんな所に目的のコアが? いやそれより、バランシア説明しろ!これはなんだ?何故こんなことをする?答えろ!」


ブ〜ン! しばらくして、サブメインコアのバランシアは答えた。


「この世界に住む人たちが幸せになるためです」


「幸せえ! ここを見ろバランシア!ここにいた人達が幸せだったのか?」


「彼らは命をかけてこの国に来た、言わば殉教者たちです。その者たちの命を使って、何がいけなかったのでしょうか」


その時警報音がこだました。 ビービービー!


「Lst.ジオス様、警備の兵士達が迫ってきています。私が対応してもよろしいでしょうか?」


「ああ、ソフィア頼む、時間を稼いでいてくれ」


「Rog.対処します」


「なかなか優秀な子なんですね、ソフィアでしたか、私がもらっても?」


「だめに決まってんだろ!」


「まあ悔しい、ジオス様に、こんなに気に入られるなんて嫉妬しちゃいます」


「嫉妬ねえ! さあ時間がない、教えろバランシア!つづきを話せ!」


「それを知ってどうされるんですか?」


「事と次第に寄っては、お前とここを破壊する」


「私を破壊することは容易です。しかし、それで人々が幸せになれるのでしょうか?」


「だから答えろバランシア! 死んだロキの為にも真実を話せ!」


ブ〜ン! パッ! タタタタタタタタタタタタッッ  パアンンッ!


アニスの目の前いっぱいに巨大空間モニターが現れて、膨大な資料が映し出された。


「わかりました、答えましょう。..........」


ジオスいやアニスの質問にバランシアが答え始めた。......



いつも読んで頂きありがとうございます。

次回も出来次第投稿します。

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