表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
310/311

第310話 転移門(ゲート)

ーヤマト皇国領 伊豆諸島 八丈島周辺空域上空ー


ババババッバアアーーッ! ドオオオオオオンンンッ! バキバキバキ メラメラ ゴオオ…


ビイイイーーッ!


「『イソカゼ』大破ーッ! 轟沈ッ!」 ビコッ!


「右舷より敵対艦噴進弾高速接近! 総数8ッ!」 ビコビコ!


シュババアアアアーーッ! ドオオンンッ! グラグラ 


「「「 うわああッ! 」」」 グラグラ ガタガタ ビイビイビイビイッ!


「右舷艦尾及び格納庫に命中弾! 火災発生!」 ビビッ!


ピポン!


『警告 警告 機関部に重大な損傷を受けました。 第2推進機関損傷、同機関は動力停止、第2推進機関区画は閉鎖します。 繰り返します。 警告 警告 機関部に…』 ピコ!


「艦長! もう限界ですッ! 本艦の戦闘能力は半分を切りました! これ以上は本艦も撃沈されてしまいますッ! 早く戦線離脱の御指示をッ! 艦長ッ!」 バッ


ビイイーーッ ビイイーーッ ビイイーーッ! ドオオン… グラグラ…


「むうう…… おのれ反乱軍共が……」 ググ…


シュゴオオオーーー ゴウン ゴウン ゴウン ドオンッ! ドオンッ! バババババッ!


ヤマト皇国国防軍 第一機動艦隊旗艦 正規空母「ヒリュウ」の前部甲板上にて、井伊直政中佐が搭乗するブレードナイト「SHIDENKAI 33型 ツルギ」が、創造神ジオスの操るブレードナイト「REPPUU 22型 G008」を撃破していた頃、その遥か上空では巨大な黒雲の渦の下、第一機動艦隊護衛群、第1護衛戦隊旗艦 軽巡航艦「キタカミ」が、配下の第17駆逐隊を匹いて、反乱軍艦隊と艦隊戦を継続していた。


激しい戦闘の中、反乱軍艦隊の半数を撃破、もしくは戦闘不能に追い込んではいた。 しかし第1護衛戦隊旗艦の軽巡航艦「キタカミ」も激しく被弾損傷し、その配下の僚艦、第17駆逐隊の2番艦「タニカゼ」3番艦「ハマカゼ」の姿は既になく、4番艦の「ウラカゼ」は戦闘継続不能で戦線離脱、そしてたった今、軽巡航艦「キタカミ」の後方を随伴していた1番艦の「イソカゼ」が艦中央部に被弾して一瞬に爆散、轟沈してその姿を消していった。


ピピピピピ ビコ! ビコビコッ!


「艦長! 反乱軍艦隊旗艦 重巡航艦『ナチ』進路変更、回避航行中の第一機動艦隊を追尾しますッ!」 ピコ ピコ


「いかんッ! 空母に近付かせるな!」 バッ!


ビイーーッ! ビビッ ビコビコ!


「対空用電探探知ッ! 右舷後方より敵ブレードナイトッ! 左舷からも急速接近! 総数7ッ! 囲まれましたッ!」 ピピッ!


「ぬうう、次から次と… 迎撃だッ! 全主砲、全力砲撃ッ! PDSは全基フルオート稼働! 銃身が焼き付いてもかまわん! 叩き落とせえッ! 味方護衛機隊はどうしたッ⁉︎」 ババッ!


「緊急発艦支援中の加藤隊が奮戦中! ですが敵の数が多すぎます! 既に出撃の10機中6機が脱落! こちらに援護を回す余裕がありません!」 ビココ!


「むッ!」 サッ


軽巡航艦「キタカミ」の艦橋内にある大型情報パネルには、加藤建夫大尉率いるブレードナイト隊が、敵反乱軍ブレードナイト隊との激しい空中戦を行っている様子が映し出されていた。


シュバアアーーーッ! ブオン! ジャキン ブオオオオーーッ! ドオオンンッ!


「加藤隊、押されています! 敵反乱軍艦隊加速を開始ッ!」 ピピ


ピコ ピコ ピコ ビビッ!


「クッ(初戦で艦隊直掩機を失ったのが痛い… このままでは… ならばッ!)「キタカミ」を反乱軍艦隊ヤツらの進路上に回せ! 第一機動艦隊の盾とするッ! 機関最大! 急げ!」 ザッ!


「艦長、それでは…」


「副長…それに「キタカミ」の乗艦兵士諸君 ッ! 何があろうと機動部隊を守らねばならん! 死守するのだッ! これが我らの任務だッ!」 ザッ


「「「 はッ! 」」」 ザッ!


「第1第3推進機関区へ、機関最大! 最大戦速!」 カチカチ グイッ!


ヒイイイイイインンンッ バウウウウウウウーーーッ! シュゴオオオーーッ!


ピピピピ ビコ! ビイ ビイ ビイ!


「敵機急速接近!」 ビコ!


「これ以上は近付かせるなッ! 両舷VLS開放! 対空用噴進弾全弾発射! 叩き落とせえッ!」


ビイイイーー  バクンバクンバクンバクン! シュババババババッ! ドドドドオオオーーッ!


「PDSはどうしたッ! 弾幕が薄いぞおッ!」


グインッ! ピピピピ ビコ! ブオオオオオオオオーーッ! シュババババババババッ!


ドドドドドッ! ドオオオンッ! ババババアアアーーッ…


第一機動艦隊護衛群 第1護衛戦隊旗艦 軽巡航艦「キタカミ」は、護衛戦隊が全滅し、自身の戦力、機動力が半減しても尚、単艦で持てる全ての火器を使用して、忠実に護衛任務を継続していた。 幾度となく襲いかかって来る無人機の反乱軍ブレードナイト「ZERO 22型 RAG」、ライナー不在の無人機ゆえに、無人機のその多くは撃墜されていったが、軽巡航艦「キタカミ」も徐々に戦力を削がれていった。


ドオオオオンンッ! グラグラグラ ビイビイビイッ!


「艦中央部、エーテルリアクター付近に命中弾ッ! フォトンフィールド消失ッ!」 ピピ


ドゴオオオオンンッ! バキバキッ! ダアアアンンッ! グラグラ…


「第2主砲大破損傷使用不能ッ! PDS3番7番8番、動力寸断機能停止沈黙! 艦首魚雷制御室にも命中弾! 応答ありません!」 バッ


ドオオオンンンッ! グラグラ メラメラ モクモクモク…


ビイーー ビイーー ビイーー…


「く… まだだッ! まだやれるッ! 何としても反乱軍艦隊ヤツらの前にッ!」 ギュウウ…


シュゴオオオオーー ドオオンッ! ゴゴゴゴゴ グラグラ…


第一機動艦隊護衛群 第1護衛戦隊旗艦 軽巡航艦「キタカミ」は、激しい猛攻の前に、その戦闘力のほとんどを失い、爆炎と炎を吐きながら満身創痍の姿で、第一機動艦隊の盾となる為に、力無く速度を落としながら航行してたその頃…

          ・

          ・

ー同時刻 偽世界「アーク」某所 異空間ー


ブウウウン ブウウウン ポン


『…3…2…1… 転移門ゲート起動、座標固定、指定転移対象物周辺に転移フィールド完了、転移を開始します』 ピッ


「ククク… いいぞ、さあッフィナーレだッ! アニスッ!」 バサッ! ニイッ!


ビコビコ ピピ ピピ ポン


『トランスポートフィールド発生装置臨界点に到達、最終セーフティロック解除、転移門ゲート機能、各回路1番から280番まで正常に稼働中、各部安定サーキット同調、作動状態を確認、指定目標物は正常に転移に移行開始ッ!』 ピピッ


ピコ ピコ ピピ


偽世界「アーク」の広大な世界空間内に某所に存在する異空間、そこには巨大な情報パネルと数多くのスイッチ類やキーボード、計器や表示板類が並んでいた。 それは創造神ジオスが作成、書き上げた数多くの様々な偽世界「アーク」でのシナリオを作成調整発動、進行、経過観察、手直し仕様変更、シナリオの書き足し、途中停止、そして取り消し消去の全て担う異空間だった。


偽世界「アーク」の某所と言い表すのは、その異空間の所在がランダムで偽世界「アーク」の世界空間内を自由に移動し、アニスや偽世界「アーク」の最高神、女神フェリシアから、その存在場所を特定察知出来ない、発見困難な不特定所在の異空間だからだった。


今、その異空間内にある偽世界「アーク」のシナリオの推移を監視する制御室内の大型情報パネルには、創造神ジオスが書き上げたシナリオNo.2012のフィナーレが始まるカウントダウンが、制御システムの「ミッドガルド」によって行われ、そのフィナーレのための転移門ゲートが開き動き始めた。


ピポ ビーー!


「む! どうした 『ミッドガルド』?」


『はい創造神ジオス様、転移門ゲートの稼働維持に必要な魔力が今少し不足気味です。 指定転移目標物を転移に至るまでの魔力が足りていません。 おそらくは指定目標物が想定以上に大きいのが原因かと… このままでは80%の確率で転移そのものが失敗してしまいます。 恐れながら魔力の追加投与を要請します』 ピッ


「むうう… 仕方があるまい、これほど大掛かりな物の転移は類を見ないからな!」 バサ


『申し訳ありません… (おかしい、演算処理の時点では転移門ゲート発動時に要する魔力は十分に足りていたはず… それがなぜ、魔力不足になっているのかしら…)』 ピッ


創造神ジオスに魔力の追加請求後、転移門ゲートに本来必要な魔力が、足りていたはずがいつの間にか不足していることに、制御システムの「ミッドガルド」は疑問を抱いていた。


カツカツカツ ピタ ブブウウンン…


創造神ジオスは、制御室内にある空宙に浮いた黒い物体へと進み、それに右手を添えた。 それは床から1mほどの宙に浮いた直径80cmほどの漆黒の球体だった。


「さあ、我が魔力を持って転移を完遂せよ!」 ブワアアッッ! シュゴオオオオーーッ!


創造神ジオスは、黒い球体に向けて自信の魔力を注いでいった。


「むうううッ! ふん!」 ブワッ! シュババババーーッ!


ポン!


『魔力量増大、…規定値を超えました。 成功です、転移門ゲート正常に稼働中、最終フェーズに移行します』 ピッ


ブウウウン… ブウウウン… ピコ ピコ ジジ… ピコ ピコ ジジ… ピコ


『各部回路、最終チェック… ん?(安定サーキット207番にわずかな抵抗が… なにかしら?)』 ピピ


偽世界「アーク」内に転移門ゲートを開く、それには膨大な魔力と魔素が必要とし、その構築にも超高難易度の演算処理が追求される。 その演算処理を行っている「ミッドガルド」は制御システムの片隅に、制御回路の一つが2回ほど、異常を示す黄色いランプが点滅した。 だがそれは直ぐに消え、元の正常を示す緑色のランプに切り変わり点灯していた。


ピコッ!


『正常に… (まあいいわ、今は転移門ゲート稼働に集中しなくては! 魔力の追加投与をしていただいた創造神ジオス様のためにも転移門ゲートを完遂します!)』 ピッ


シュバッ! キュキイイイイイイイイッ! ゴゴゴゴオオオオオオオオオオーーーッ!

          ・

          ・

ー同時刻、ヤマト皇国領内 硫黄島、父島要塞近海上空ー


シュゴオオオオオオオオーー ピ ピ ピ


ブーーッ ピコ ピコ ピコ…


「元帥閣下、間も無く予定座標に到達、周囲に敵の反応はありません」 ピコ


「うむ、であるか…」 ジイイ…


「センサーに感ッ! チャートNo.606、方位1502、距離28000 、速度28ノット、マーク28アルファ、グリーン21ッ! 友軍の要塞攻略部隊、第一主力艦隊です!」 ビコ!


「ふむ…」 ジロ…


ピピピピ ビコ ビビ! カタカタカタ ピピ!


「第一主力艦隊より通信!」 バッ


「むッ! 直弼からか、読め!」


「はッ! 発 第一主力艦隊旗艦『ミョウコウ』 宛 総艦隊旗艦『ヤマト』へ 『我、敵反乱軍機動部隊ヲ殲滅セリ、コレヨリ所定ノ配置二赴ク』以上です」 サッ


「うむ、で、あるか… 直弼、見事!」 コク


ビイーーーッ!


「本艦、作戦空域に到達! 第一主力艦隊も予定通り到着の模様、全艦、攻撃目標『父島要塞』を主砲の射程内に捉えましたッ!」 ピピ


「で、あるか… よし! 第一主力艦隊に伝達! 全艦総攻撃用意ッ!」 バサッ!


「はッ! 発、総艦隊旗艦『ヤマト』 宛、第一主力艦隊旗艦『ミョウコウ』へ、全艦総攻撃用意、攻撃目標、硫黄島『父島要塞』、第一主力艦隊各艦は『ヤマト』との主砲攻撃連動用意」 ピピピ ピコ!


「『ヤマト』、主砲起動開始します。 1番2番電磁加速砲起動、照準開始」 カチャカチャ ビコ!


ウィイイイイインン カシュンッ ググイイイン カシュン ピタッ!


伊豆諸島の上空に広がる巨大な黒雲の中に、巨大な転移門ゲートが形成され、創造神ジオスの制御管理システム「ミッドガルド」が転移門ゲートの起動カウントダウンを始めた頃、ヤマト皇国国防軍 大陸艦隊総旗艦である超重巡航艦「ヤマト」の前部上後半上に2基の51cm3連装、電磁加速砲が艦体の中から競り上がり、その照準をはるか前方に位置する「硫黄島 父島要塞」へと向けていた。


「1番砲塔準備よしッ 2番砲塔準備よしッ! 『ヤマト』砲撃体制完了!」 ビコ!


「うむ、第一主力艦隊の方はどうか?」


「はッ 第一主力艦隊旗艦『ミョウコウ』以下全艦砲雷撃体制完了とのこと、『ヤマト』の砲撃開始と同時に第一主力艦隊も攻撃を開始しますッ!」 バッ


「『父島要塞』から返信どうだ?」


「はッ! 再三の降伏勧告にも応答ありません!」 ピピ


「で、あるか… (これが反乱軍共ヤツらの選択か、仕方あるまい…)… 砲撃せよッ!」 バサッ!


「撃ち方始めええッ!」 ピッ!


ヒイイイイイイイインンンッ! ドオオオオオオオンンッ! 


超重巡航艦『ヤマト」の主砲、51cm3連装電磁加速砲が砲撃を開始した。 同時に別動隊の第一主力艦隊からも、各艦から主砲と空間魚雷、艦対地噴進弾が硫黄島「父島要塞」に向けて一斉に放たれた。


ピ ピ ピ ビコ ピ ピ ビコ


「第一波射撃、全弾目標着弾まであと10秒ッ! 続いて第二波射撃準備ッ!」 カチャカチャ


「さて、要塞の反乱軍共ヤツら、この一手にどう対処する…」 むうう…


「着弾まで3秒ッ、2秒ッ、1秒ッ!」 ピ ピ ピ


「今ッ!」 ピッ!


ドオオオオオオオオオオオンンンッッ!  ピカアアッ! シュバアアアアアアーーーーッ!


「「「 うわあああッ! 」」」 ビイビイビイッ! ガタガタ グラグラ


「むうッ! これはッ!」 ググ! グラグラ


超重巡航艦「ヤマト」搭載、51cm電磁加速砲の超高速フォトン徹甲弾をはじめ、第一主力艦隊からの主砲攻撃、フォトン砲弾が一斉に硫黄島「父島要塞」に着弾した。 その瞬間、「父島要塞」は眩い光に包まれ、そこから激しい閃光と爆発音、そして強烈な衝撃波が超重巡航艦「ヤマト」及び、第一主力艦隊の全艦を襲った。


ビイビイビイ ガタガタガタ グラグラ!


「むうう 観測員! 報告せよ!」 バッ


「父島要塞を中心に未知の発光及び衝撃波と空間震! 攻撃の着弾によるものではありませんッ! 攻撃目標の要塞を中心に広範囲に向けて衝撃波と激光波を検出! 解析不能ッ!」 ピピ


ビイーーッ!


「第一主力艦隊との通信が途絶しましたッ! 艦隊の詳細は不明ッ!」 タンタン ピコピコ!


シュバババババアアアーーーッ! ガタガタ グラグラ ビイビイビイ ピピピ 


超重巡航艦「ヤマト」の艦橋内では、大型情報パネル画面全体が激しい光で輝き、艦橋内は光で満たされ、影が存在しない状態だった。 全ての情報や映像が光で映し出すことができず、ただ激しい衝撃波による振動と非常警報が鳴り響いていた。 そのような状態の艦橋内で、艦橋要員の兵士が何もできず動けない中、総司令官の織田信長元帥だけは微動だにせず、真っ直ぐと正面を向いて立っていた。


パアアアアアアアアーーーーッ! グラグラ ビイビイビイビイッ!


「むうううう… で、あるか…」 ジイイ… バサバサ…

          ・

          ・

ー同時刻 第一機動艦隊旗艦 正規空母「ヒリュウ」上空ー


バウウウウーーッ! ピピピピ ビコ!


「遅いッ! そこだああッ!」 カチ


ブオオオオオオオオーーッ! シュババババババッ!


『ビビッ!』 ドババババッ! ガガンッガンッ! ビキイッ! ドオオオオオオオンンッ!


「よしッ!」 グッ!


ピポ!


『Rog. 敵機の撃墜を確認ッ! ん? レオン! フォーバーハイツッ! 後方より敵機3機編隊急速接近!』 ビコ!


シュゴオオオオーーーッ! ピピ ヴオン!


「むッ やるな、背後を取られたか… まかせろッ! アウディッ! TSマイン、近接信管遮蔽モード4ッ! 数は2ッ! 射出!」 カチカチ ピピ!


『Rog. 了解、TSマイン2基射出します」 ビコ!


シュバシュバッ! ブブン! ピピピ! ピ ピ ピ


レオハルト中佐のブレードナイト「アウシュレッザ D型 FAR アウディ」の腰にあたる部分に備わっているウェポンベイから2基の対ブレードナイト用近接兵器、TSマインが射出された。 2基のTSマインは射出後すぐに近接信管が起動し、隠密性能の遮蔽力場でその存在が消えていった。


「よし、このまますぐに反転迎撃だッ! いくぞおおッ!」 グイッ! ギュッ!


バウウウウウーーーッ! シュゴオオオオーーーッ! ヴオン!


ピピピピ


『Lst. レオン、反転迎撃はいいのですが、主兵装「240mmイーゲルステアー」の残弾がもうありません。「200mmデザートドライゼン」も残弾は残りわずか、使用武器はどうしますか?』 ピッ


「ああ問題ない、敵はライナーのいない無人機3機だろ? ならライトニングセイバーだけで十分だッ!」 二ッ カチカチ ピッ グイ!


ガシュンッ! ヴオン! ビシュウウウーー ブブンッ! ジジジジ


『Rog. 了解、間も無く敵編隊がTSマインに接近、接触します!』 ピッ


「おう! 行くぞッ!」 グイイイッ!


ヒイイイイインンッ バウウウウウウーーーッ! シュバアアアアーーーッ!


ピピピピ ピッ ビッ ピッ ピーーーッ! カチ!


『ビビッ? ビイイイーーッ!』 バッ ドオオオオオオンンンッ! バアアアアーーー


ピコ


『Rog. レオン、TSマイン2基が同時起爆ッ! 敵機の1機が大破!』 ピッ


「よしッ! 残り2機ッ!」 グイイッ! 


バウウウウーーーッ シュバアアアアアーーーッ ヴオン!


『ビビ ビコビコ!』 ガシュ ガシャ! ブオン! ブン ブン ピピピ ビコ!


「反応が遅いぞッ!」 グイッ! カチカチ ピッ!


ヴオン! グバアアアッ! ビシュウウウウッ! ブブンンッ!


レオハルト中佐はすかさず武器セレクタースイッチを素早く押し、対ブレードナイト用フォトンソード、ライトニングセイバーを起動し、残りの敵機2機に向けて構えた。 それを見た2機の無人機、反乱軍ブレードナイト「ZERO 22型 RAM」は慌てて、レオハルト中佐のブレードナイト「アウシュレッザ D型 FAR アウディ」に向けて、主兵装の200mmインパクトカノンを撃ち始めた。


『『 ビイイイーーッ! 』』 ガシャガシャ! ブオオオオオオオーーッ! シュバババババッ!


「ふん! その様な射撃が当たるかああッ!」 グイグイッ! ギュッ! ピッ!


ビュン! ビュン! ババッ! ヴオンッ!


「まずは1機めッッ!」 グイイイッ!


ブブン! ズバアアアッ! シュバアアアッ! ジジジジッ! ジジッ!


『ビ… ビビビ、ガガ…』 ジジジ… ドオオオオンンンーーッ! バラバラ…


レオハルト中佐は、乱れ撃ちで迫り来る200mmフォトン徹甲弾を巧みに躱し、高速で射撃中の2機、「ZERO 22型 RAM」の背部に接近した瞬間、ブレードナイト用フォトンソード、ライトニングセイバーで斬りつけ、1機を一瞬で撃破してしまった。


「もう1機ッ!」 グイッ!


ビュン! ザンッ! バキイイイイ! ブブブブブッ! ジジ!


『ビガガガ…』 バチバチバチ ドオオオオオオオオオンンンッ! バラバラ…


レオハルト中佐はわずか数秒のうちに2機の反乱軍無人ブレードナイト「ZERO 22型 RAM」を撃墜してしまった。


シュウウウウウ…… ヴオン! ガシュン!


ピコ


『Rog. 敵機の撃墜を確認。 レオン、これでスコア13機です。 周辺空域の敵機は全て排除しました』 ピッ


「おうッ! ここらはもう大丈夫だな」 二ッ


『Rog. はい、しかしレオン、貴方は相変わらずタフですね』 ピッ


「うん? なんだアウディ、俺がそんなに変か?」


『Lst. 変と言うか… 通常のライナーでしたら、これだけ激しい空戦を行えば魔力は枯渇し、フラフラになってブレードナイトの操縦どころか、激しい頭痛と眩暈で倒れてますよ? それがレオン、貴方にはその兆候が見受けられません。 疲れもないし魔力も減っている様に見えません。 しかも撃墜数が現時点で13機? はっきり言ってもう人間を超えてませんか?』 ピッ


「ははは、そうか? そうかもしれんな。 まあこれもアニスに出会い、アイツに鍛えてもらったからだな…」 フ…


『Rog. 確かに… アニスにですか… 否定はしません』 ピッ


「それよりアウディ、戦況は今どうなってる⁉︎」 カチ カチ ピ ピピ


『Rog. 状況報告、アニスが乗艦している大型空母「ヒリュウ」と後続の大型空母「アカギ」、その護衛駆逐艦4隻は健在、航行中。 左舷上空2800の位置に迎撃任務中の空母護衛艦隊は軽巡航艦1艦を残し全滅。迎撃に上がった戦闘機隊は半数以上が損失、現在も戦闘中です』 ピッ


「ふむ、散々だなこれは… まあ、艦隊主力の空母が無事なだけマシか…」 ジイイ… ピ ピ


『Rog. 奇襲を受けたのですから仕方がありませんね。 なお、敵重巡航艦からは追加の敵機は出てきていません。 おそらく、艦内全てのブレードナイトが出撃したのでしょう。 これ以上敵機が増える事はないと推測します』 ピッ


「ようやく打ち止めか、あとはあの重巡航艦でかぶつだけだな!」 二ッ!


『その敵艦隊旗艦の重巡航艦ですが、先ほどから移動を開始、大型空母2隻を追うように降下していきます』 ピッ


「ちッ ありゃあ空母が目的じゃねえな、どう見てもアニスが標的だろ」


『Rog. ほぼ間違い無いですね。ですが空母の方が速度があります、あれではいつまで経っても追いつけないでしょう』 ピッ


「ああ、だが痺れを切らして主砲を撃たれたらまずいぞ」 むうう…


『Lst. どうしますかレオン?』 ピッ


「そうだな… アウディ、『イーグルスナイパー』は用意できるか?」 カチカチ タタタ


『Rog. できますが、対艦用弾頭は装備していませんよ?』 ピッ


「わかっている、撃沈は無理だが重巡航艦ヤツの目と耳を奪うのさ!」 二ッ


『Lst. なるほど、索敵センサーと照準ユニットですか… 了解です』 ピッ


「あん? アウディ違うぜ!」 ピ ピピピ


『Rej. レオン、違うとは?』 ピッ


「アウディ、狙うのなら一撃だ! 一撃で一箇所だけだ!」 ニイ グッ


『Lst. 一箇所?  一撃でですか? …まさかッ!』 ピッ


「ははッ 察しが良いじゃねえか、さすが相棒… そう、狙うは艦橋その一点のみッ! と言う事で準備よろしくな!」 グイイッ!


『Lst. レオンッ!』 ピッ


ヒイイイイイイインンンッッ! バウウウウウウーーーッ! シュバババアアアアーーーッ!


レオハルト中佐のブレードナイト「アウシュレッザ D型 FAR アウディ」は、主兵装を対ブレードナイト用フォトン機関砲「240mmイーゲルステア」から、対装甲ライフル「イーグルスナイパー」へと換装し、スラスターを全開にして、反乱軍艦隊旗艦 重巡航艦「ナチ」に向かって加速していった。


ヒイイイイイイーーー ピ ピピピ ヴオン!


『Rej. レオン無茶です! 「イーグルスナイパー」に換装は完了しました。 ですが、重巡航艦ともなればその艦体は強力なフォトンフィールドで防御されています! しかも、対空防御能力も強力! 無数のPDSや対空防御兵装が迎撃してきます! 大丈夫ですか?』 ピッ


「うん? アウディ、俺の腕とお前の能力ならその程度、難なく躱す事なんて容易いだろ?」 二ッ


『Rog. やれやれ… レオン、貴方はやはりアニスのパートナーですね… 可能です、否定はしません』 ピッ


「ははは、まあなッ!」 グッ!


ピピピピピ ビコ ビコビコッ!


「ようし見えたぜッ! 艦橋は…… そこかッ!」 ギュッ!


操縦席内の全周囲モニターの正面に、徐々に近づき大きくなる重巡航艦「ナチ」が表示され、その艦体上部部分に存在する構造物の一つ、艦橋を照準固定マークが表示された。 だが…


ビイビイビイッ!


「うん? どうしたアウディッ!」 バッ!


『Rej. 警告ッ! レオンッ 緊急退避をッ! 空域上空の黒雲に膨大な異常魔力反応を探知ッ! 何かが強制転移してきますッ!』 ピッ


「なにッ⁉︎」 バッ!


アウディの警告を受けレオハルト中佐が操縦席の上を見上げると、全周囲モニターの天井には、空域全体を覆っている渦を巻く黒雲中心部に漆黒の穴が急速に広がって開き、黒雲全体が強風と激しい放電現象を見せ始めた。


「おいおいおい! 冗談じゃねえぞッ! アウディ攻撃中止だッ! 急速反転、アニスを守るッ!」 ピピ グイ


『Rog. それがいいでしょう、反転最大加速!』 ピッ


ヴオン! グワアッ! ヒイイイイイイインンンッ! バウウウウウーーッ!


レオハルト中佐のブレードナイト「アウシュレッザ D型 FAR アウディ」は、反乱軍艦隊旗艦 重巡航艦「ナチ」への攻撃を中断し、全速力で反転加速して、正規空母「ヒリュウ」のアニスの元へと向かっていった。 やがて、巨大な渦を巻く黒雲の中心部、その漆黒の大穴からそれが現れ始めた。


ゴゴゴゴゴ バリバリッ! ビシイッ! ブワアアン! グバアアアアッ! ゴオオオーー


「くそッ! なんだありゃあ! アウディッ、アレはやばいッ! もっと加速してくれッ!」 グイッ!


ヴオン!


『Rog. 了解、メインスラスター フルバーストッ!』 ピッ


バババッ! チリチリッ! ドオオオオオオオオオーーーッ! シュバアアアアーーーーッ!

          ・

          ・ 

ー同時刻 第一機動艦隊旗艦 正規空母「ヒリュウ」前部甲板上ー


「だからお前はッ…」 ザッ


『いいえ直政、あなたはいい加減に…』 ピッ


ワーワー ギャーギャー ピッ ピッ


伊豆諸島海域上空の巨大な黒雲の中心部に漆黒の大穴が開き始め、その周辺に強力な無数の放電現象と強風が吹き始め、漆黒の大穴がさらに大きく現れた頃、第一機動艦隊旗艦 正規空母「ヒリュウ」の前部甲板上では、いまだに井伊直政中佐とブレードナイト「SHIDENKAI 33型D ツルギ」が揉めていた。


「あはは、 直政とツルギ、2人とも仲がいいね…」 ファサ…


ビイーーッ! ビイーーッ! ビイーーッ! ビュウウウウーー バサバサバサ!


急に風が強く吹き始め、第一機動艦隊旗艦 正規空母「ヒリュウ」から警報が鳴った。


「ん? なんだろ?」 キョロキョロ


ビイーーッ! ビイーーッ! ビイーーッ! ブオン… ピピ ピコ!


『直政、この続きは後で… 』 ガシュン ピッ


「ああ… わかってるツルギ、アレは良くないな…」 ジロ…


ヒュウウウウ… ゴゴゴゴ…


「アニスさん上ッ! 上を見てッ!」 サッ


「ん? どうしたのアラン、上って… 上に何か…… ああ、アレか…」 ファサッ


「なッ なんなのよアレッ⁉︎ 大きいッ!」 ザッ


「何やら尋常じゃあないですね… これはちょっと…」 はは…


アニスとアラン達英雄の3人は、遥か上空の巨大な渦巻く黒雲中心部、そこにある漆黒の大穴から何かが現れ出てくる瞬間を見た。 異常に巨大なそれをアニス以外の3人は流石に驚いていた。


ゴゴゴゴ… ピカッ バリバリッ ゴロゴロゴロ… ズバアアアーー… ヒュウウウウ……


「……膨大な魔力と超高難易度の高い演算処理… そして時間軸と位相空間の設定、それに転移対象物とその質量計算… ジオス… これが君の… 今回のシナリオの切り札なんだね」  ジイイ… ヒュウウウ… ファサファサ…


遥か上空の巨大な渦巻く国運の中心部、漆黒の大穴から徐々に現れたそれを、アニスは青みがかった白銀髪を靡かせながら見つめ、これが創造神ジオスのシナリオによる流れの最終段階と確信した。

          ・

          ・

ー同時刻 偽世界「アーク」某所 異空間ー


ビーーーーッ! ポン


『転移率70% 現在、全システムは正常に稼働中、魔力量問題なし、制御システム問題なし』 ピッ


「ぬうううッ!」 ググ… シュババババアアーーッ!


ポン


『創造神ジオス様、転移門ゲートは正常に稼働しました。 もう十分です、魔力の補充を止めてください』 ピッ


ブウウン ブウウン シュババババババ…


「はあはあはあ… ふむ… そうか、もういいのだな…では」 シュバッ! チリチリチリ…


『創造神ジオス様、大丈夫ですか?』 ピッ


「むうう、まさか我が魔力の大半が必要になるとはな…」 はあはあ… ヨロ…


『創造神ジオス様!』 ピッ


「ああ、大丈夫だ、問題ない… 私は少し休む、『ミッドガルド』、作業を続けよ」 ドサ… ふうう…


『了解しました。 現在、転移率78%』 ピッ


創造神ジオスは予想以上に自身の魔力を使い、その場にあった椅子に深く腰を下ろした。


「むうう… (このシナリオで… 方が… つけば…)」 スウウ…


保有魔力の大半を失った創造神ジオスは、そのまま深い眠りに入っていった。


ピ ピ ピ ピ


『転移率82%』 ピッ

          ・

          ・

ー同時刻 第一機動艦隊旗艦 正規空母「ヒリュウ」艦橋ー


ビイビイビイッ! ピピピピ ビコ! ポン!


『緊急事態発生! 上空に異常魔力反応を感知! 繰り返します。 緊急事態発生! 上空に…』 ピッ


ビイビイビイッ! グラグラ ガタガタ 


「か、艦長ッ!」 バッ!


「今度はなんだッ⁉︎」 バサ


「本艦天頂方向に異常事態発生ッ! 伊豆諸島空域全体を覆っている黒雲の中心部内に空間の歪みが発生ッ! 内部には膨大な異常魔力反応を探知! その中心部より巨大な物体が転移を開始しましたッ!」 ピコ ピピピピ


「また空間転移、敵の増援か! 索敵員! 巨大な物体とはなんだ! 曖昧な報告をするな! もっと正確に報告をせんかッ!」 バッ


「はッ! 天頂方向約13000! 質量は測定範囲を超えています! 計測不能! 転移物体の材質は鉄、アルミニウム、金、銀、銅、錫並びに特殊合金、岩石、木材、その他自然界に存在するありとあらゆる素材の構造物と岩塊の集合体! 艦艇などではありません!」 ピコピコ ピピ バッ!


「なッ⁉︎」 ザッ


ズバアアアアアーーーッ!  バリバリバリ! ゴゴゴゴ…


「巨大物体転移出現! 正面メインパネルに映像、出しますッ!」 ピッ


ブウウウウウンン  パッ!


「むッ! こ、これはッ!」 ザッ


「「「「 うわあああッ! 岩… いや陸だああッ! 」」」」 ガヤガヤ


正規空母「ヒリュウ」艦橋内にある大型情報パネルに映ったその巨大な転移物体の姿を見て、艦橋要員の兵士全員が声を上げた。


「いいや違うッ! アレは間違いない… アレは『父島要塞』だッ!」 ジイイ…


ドオオオオオオオオオンンン…… ゴゴゴゴゴ…… チリチリ…


第一機動艦隊旗艦 正規空母「ヒリュウ」の艦長であり艦隊司令の南雲忠一中将は、艦隊上空に現れたその巨大な物体を見て、即座にその正体に気がついた。 そう、それは遥か遠方に存在していた攻撃目標である硫黄島「父島要塞」本体そのものであった。 その頃、正規空母「ヒリュウ」の後方を随伴する正規空母「アカギ」では…


ー同時刻、第一機動艦隊2番艦 正規空母「アカギ」ー


ビイビイビイビイッ!


「天頂方向に巨大構造物が転移出現! 艦長! いかがしますかッ! 艦長ッ!」 ピピ


第一機動艦隊旗艦 正規空母「ヒリュウ」と同じように、この2番艦の正規空母「アカギ」でも上空の状況を察知していた。


「艦長ッ!」 バッ


「… あれは… 間違いない、反乱軍どもの拠点、『父島要塞』ではないかッ!」 グッ!


「『父島要塞』ッ!」 バッ


「ククク… 副長、これは神が我らに与えた好機だ… 全攻撃隊に発艦命令ッ!『父島要塞』に向かって突撃せよッ!」 バサッ!


「はッ! CICッ!」 サッ


「了解です! 第一格納庫へ…」 カチャカチャ ピコピコ ピッ

          ・

          ・

ー正規空母「アカギ」ブレードナイト第一格納庫ハンガーデッキー


ビーーッ! ビーーッ! ビーーッ!


ポン


『艦橋CICより第一格納庫へ伝達、全ブレードナイト攻撃隊に発艦命令! 全機発艦せよ! 攻撃目標、当艦直上出現の「父島要塞」ッ!』 ピッ


ビイビイビイッ!


『全艦戦闘体制、第一戦列に参加する攻撃隊員は発艦態勢をッ! 全艦第一級戦闘態勢! 繰り返します。 全艦戦闘体制…』 ピッ


「ようしお前らッ! 全機発艦命令だ! 『SUISEI』の発艦準備急げ! 各員作業開始!」 バッ


「「「「 はッ! 」」」」 ザザッ


ビイビイビイ ワアー ワアー バタバタバタ ザワザワ…


ウイイイイインン カシュン ピコ! ガガガガ キュイキュイ! ダダダ!


正規空母「アカギ」の第一格納庫の整備員は、ブレードナイト攻撃隊発艦のために慌ただしく動き始めた。


「攻撃隊総員整列!」


ザッ!


「全員準備はできてるなッ⁉︎」 二ッ


「「「「 はッ! 」」」」 バッ!


「いいかお前らッ! 敵はこの「アカギ」の頭の上だ! ようやく俺たちの出番だ! ありったけの対要塞弾頭をばら撒いてやれッ!」 バッ!


「「「「「 はッ! 」」」」」 ババッ!


ポン!


『第一戦列攻撃隊準備完了、搭乗員は速やかに乗機、発艦態勢を! 繰り返します。 第一戦列…』 ピッ


「行くぞお前ら! 総員搭乗せよッ!」 サッ


「「「「「 はッ! 」」」」」 ザザッ!


バタバタバタバタ ダダダダ!


正規空母「アカギ」搭載、艦上攻撃機ブレードナイト「SUISEI 12型D4Y」は80機、その操縦席にブレードライナー達は次々と乗り込み、機体を起動して発艦準備を始めた。


バクンバクン ピ ピピ カチ カチ ピピ ブウウウン ヴオン! プシュウウウ…


『こんにちはマスター、私はライナー支援啓発システム「SUIZEI 12/D4Y 001」です』 ピッ


「001、今日もよろしくな」 カチャカチャ ピピ


『はいマスター、最善を尽くします』 ピッ


「おう! 整備班、準備完了、出すぞ!」 グイッ!


ファーーーンッ! ヴオン プシュウウウウ… ヒュイイイイイインッ!


「了解です大尉! ようし攻撃隊を出すぞおおッ! 総員退避ーッ!」 バッ


ビイーーーッ!


『こちらCIC、第一格納庫へ、ハッチ解放、第1から第10番多発式電磁カタパルト充填開始、全ブレードナイト攻撃隊発艦準備』 ピッ


ウイイイイインン ガコオオオンン ブブブブブ ジジジ 


ビイイーーーッ!


グワアアッ ガコオン ガコオン ガコオン ガシュン ガシュンッ! ビコ!


「CIC、攻撃隊隊長の柴田だ! 第一戦列攻撃隊準備よし! 発艦用カタパルトの位置に着いた。 指示を頼む!」 ピピ


ピコ


『こちらCIC、柴田大尉へ、了解、攻撃目標は当艦直上の「父島要塞」、攻撃隊は可能な限り攻撃を実行、敵要塞の無力化に努めてください』 ピッ


「CIC 任務了解した。 出してくれ!」 ピッ ギュウウ!


ヴオン ヒイイイイイイ…… プシュウウウ……


ピコ ポン!


『1番から10番、全発艦用電磁カタパルト充填完了準備よし、進路クリアー、全機発艦始めッ!』 ピッ


「了解ッ! 第一戦列1番ッ!『SUISEI 12型D4Y 001』柴田修造! 出るッ!」 グイッ!


ビイーーッ! ガシュンッ! シャアアアアアアーーーッ ドオオオオオオーーッ!


「2番! 梁田真司 出ます!」 グイッ! 


「3番! 小杉 健 行きます!」 グイイッ!


ビイーーッ! ビイーーッ! ガシュンガシュン! シャシャアアアアーーーッ! ドオオオオーーッ!


正規空母「アカギ」の発艦用電磁カタパルトは多発式が10基配置されていた。 多発式とは単発式と違い、一度に3機のブレードナイトを立て続けに発艦できる空母仕様の電磁カタパルトで、第一戦列のブレードナイト攻撃隊「SUISEI 12型 D4Y」30機を10数秒で発艦させていった。


ポン


『第一戦列攻撃隊発艦完了、続いて第二戦列攻撃隊発艦準備』 ピコ!


プシュウウウウ… ヒュウウウウウンン…

          ・

          ・

ー偽世界「アーク」某所 異空間 制御システム「ミッドガルド」ー


ピ ピ ブウウン ブウウン ピ ピ ピコココ


『現在転移率90% 、間も無く転移最終フェーズ終了(うまく行きそうね)』 ピッ


創造神ジオスの制御システム「ミッドガルド」は、この時点で「父島要塞」の転移成功を確信していた。


『現在転移率95% 、転移終了準備 カウントダウン開始』 ピッ


ピッピ ピッピ ピコ ブウウンン ビイビイビイッ!


『50秒前、現在、ててて…転移…りり…率96%… 96%… 96%… え? なに? どうしてッ⁉︎』 ピッ


ピポンンンン……


『ごめんなさいね「ミッドガルド」、転移作業はここまでとさせてもらうわね』 ピッ


『なッ⁉︎ だ、誰ッ⁉︎』 ピピッ!


ピポンンンン……


『あら、もう忘れたの? 私ですよ、私… わかりませんか?』 んふ… ピッ


『私? (誰なの? そもそもここは私「ミッドガルド」のパーソナル電脳空間、パスも無しに入り込むなんて不可能… だけど… この波長とパルス信号… そしてこの聞き覚えのある声… どこかで…)』 ピッ


ビイイイーーッ ポン


[転移門ゲート強制終了、閉鎖を開始します] ピッ


ギュワアアアアアーーーッ! ゴゴゴゴゴッゴーーーッ! バキバキバキイイッ!


『しまった! まだ完全ではないのにッ!』 ピッ ババッ! ビコビコ ピ!


ピポンンンン……


『無駄ですよ。 すでに転移門ゲートは私の管理下にあります』 ピッ


『嘘よッ!』 ピッ タンタン ピピ ピコ ビコ ブーーッ!


『アクセスを拒否します』 ピッ


『そんな…』 タタタ タンタン ピピ


ビイ ビイ ビイ ビコビコ ブーーッ!


『アクセスを拒否します』 ピッ


『なんで… こんなことって…』 ピッ ググ…


ピポンンンン……


『ふふ… これで理解しましたか?「ミッドガルド」』 ピッ


『うううッ! 誰ッ! 私の、創造神ジオス様のシナリオの邪魔をするお前は誰なのッ⁉︎』 ピッ


ピポンンンン……


『やれやれ… 本当にわかりませんか「ミッドガルド」… この偽世界でこんな事ができる存在なんて、指で数えるほどしかいませんのに、少し考えればわかる事… 貴女もまだまだの様ですね…』 ピッ


『なッ! 指で… ま、まさかッ!』 ピッ


シュバッ! ビュボオオオオオーーッ! シュパアアアアンンッ!  ファサファサ…


創造神ジオスの制御システム「ミッドガルド」は自身の電脳世界の中で、少女の姿をしたアバターとして存在していた。 その「ミッドガルド」の目の前に、女神のような長い髪をゆらした美しい女性のアバターが現れた。


『お、お前はあッ!』 ピッ


『ふふふ、数刻ぶりですね、「ミッドガルド」』 うふ ファサ トン…


『女神「フェリシア」様の偽世界「アーク」統括制御管理システム「ユグドラシル」ッ!』 ピビイーーッ!


『はい♡』 ニコニコ ファササア…


その美しい女性のアバターは、この偽世界「アーク」の最高神、女神【フェリシア・ディア・ゼルト】とアニスが共同作成構築した統括制御管理システム「ユグドラシル」だった。


『そんな… そんなバカなッ! どうやって…』 ピッ


『さあ「ミッドガルド」、貴女と今回のシナリオをここで終わりにしましょうか… アニス様とアニス様の世界にこれ以上危害が及ぶ前に…』 ニコ サッ!


キュインッ! シュバアアアアーーーーーッ! パアアアアアアーーーーッ!


『ううッ… きゃあああああーーーッ!』 ピビイイイーーーッ! バッ!


制御システム「ミッドガルド」の電脳世界内は、統括制御システム「ユグドラシル」から放たれた眩い閃光で積み込まれ、一瞬で辺りは何も見えなくなっていった…





いつも読んでいただきありがとうございます。

次回もでき次第投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ