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第305話 反乱軍遊撃艦隊の実情

転移門ゲート発動数刻前 青ヶ島海域上空ー


第一機動艦隊上空に転移門ゲートが出現する数刻前、ここ父島要塞から離れること約300Kmの青ヶ島海域上空を反乱軍遊撃艦隊12隻が、自分達を討伐に来た皇国軍第一機動艦隊を迎え撃つ為に父島要塞から出撃、進出していた…


シュバアアアアーーーッ ゴウンゴウンゴウン ゴゴゴゴゴ……


ー反乱軍遊撃艦隊旗艦 重巡航艦「ナチ」ー


ピ ピピ ピコ ピコ


ダンッ!


「馬鹿なッ! それは本当に月詠様の御命令なのかッ⁉︎」 バッ


『ふん、当然であろう… よいか、貴様たちはただ月詠様が出した御命令どうりに艦隊を動かし、我らを討伐に来た愚帝卑弥呼を崇拝する愚かな輩、敵の第一機動艦隊を攻撃、殲滅すれば良いのだ』 ピッ


反乱軍遊撃艦隊旗艦 重巡航艦「ナチ」の艦長兼艦隊司令の【宇喜多秀家】少将は、父島要塞司令部にいる反乱軍総司令官【明智光秀】上級大将と艦長席にある秘匿通信用小型通信モニターで会話をしていた。 艦長席周辺は時と場合によって遮音力場が働いており、高官達同士の会話は周囲にいる兵士や下士官達にはまったく聴こえない様になっていた。


これはどの国の艦艇も用いている標準装備で、作戦内容や重要な会話を他者に漏らさない措置でもあった。


「しかしッ! 勇者であるヒカル殿は行方不明、麾下の機動戦力もその大半を失った今、制空権のない我が艦隊だけで機動部隊に突入し攻撃をするなど愚の骨頂! 無駄に兵と艦隊戦力を失うだけ! このまま敵の第一機動部隊に接近攻撃に向かう前に、我が艦隊は敵に捕捉されて全滅は必至だッ! 光秀! 貴様にはそんな事も分からんのかッ⁉︎」 バッ


『秀家よ… 貴様、上官の俺に歯向かうのか?…』 ピッ ジイイ…


「うッ!… (おのれ光秀め… ついこの前まで私と同期で階級も同じだったヤツが… 月詠様に取り入って階級が上がり、総司令官になった途端に横柄な態度になりおって…)」 ググ…


『うん? どうした? 返事がないぞ秀家… まあ貴様と俺との仲だ、ぞんざいな言いようは目を瞑ろう。 だがこれは、上官であるこの俺の… いや、月詠様の御命令なのだぞ? さっさと命令を復唱し、実行せよッ!』 ピッ ニヤア…


「うう…」 ギュウウッ


遊撃艦隊司令の宇喜多秀家少将は、両手の拳を強く握り締めながら、秘匿通信用小型モニターに映る反乱軍総司令官の明智光秀上級大将を睨んでいた。


『秀家よ、再度申し渡す。 これは月詠様からの御命令…言わば勅命なのだ!  何人もこれに異を唱えることは許さん! たとえ全滅の可能性が高くとも、貴様たちは月詠様の忠実な兵なのだ。 そう、いわば私を含め、我らは全て月詠様の忠実な駒なのだ!』 ピッ


「なッ! 総司令官… いや光秀! それは一体どういう意味だ⁉︎ 確かに我らは月詠様に賛同し、天帝卑弥呼に対して反旗を翻し挙兵した。 だがそれはこの国を、ヤマト皇国の未来を思ってのことだ!」 バッ


『そうだったな… それがどうした?』 ピッ


「どうしただと? 分からないのか光秀ッ⁉︎ 国とは民あってこそ成り立つのだぞ! その民のために先立って、国のために身体を張って戦う我ら兵士を、月詠様はただの駒だと見ているのかッ!」 グッ!


『ふん! 何を言い出すかと思えば戯れ事を… よいか秀家、兵などはただの消耗品なのだ。 生きている間は主君に仕え役にも立つが、死んで仕舞えばそれまで、何の役にも立たん。 民もそうだ、あやつらはこの国、ヤマト皇国を栄えさせ、皇国民を増やし、新たな兵を生み出す… それこそが民のあるべき姿であり存在価値なのだ』 ピッ


「光秀! 貴様本気かッ⁉︎ 本気でそう思っているのかッ!」 ガタッ!


『ああ、当然だ! 民など皇国の国力を維持しつつ、さらに発展繁栄させ、人的、物的資源を恒久的に得るための単なる道具であり、生産と労働力を提供する言わば働き蟻の様な存在なのだ。 どうだ【宇喜多秀家】よ? 貴様も皇国民あれら全てが駒に見えてこないか?』 ニヤア ピッ


「なッ⁉︎ うう… (狂っている… 月詠様も明智光秀こいつも…)」 グググ…


『ふふふ… 理解できたか? さあ、宇喜多秀家少将! 命令を実行するのだ!』 ニヤア ピッ


「…ッ!(光秀こいつ、本当にあの光秀か? まるで別人ではないか… くそ… こんなはずではなかった、こんなはずでは… 我らの理想は… これではいったい、何のために我らは卑弥呼様を…… )」 ギュウウ… フリフリ


艦長席で、艦隊司令であり艦長の宇喜多秀家少将が、反乱軍総司令である明智光秀上級大将から命令を強要されていた時、艦橋内に警報がなった。


ビイーーッ! ビイーーッ! ビイーーッ!  ビコビコ!


「む! 何事だあ!」 ガタ バサッ!


『うん?』 ピッ


反乱軍総司令官の明智光秀との密談中に、突然艦橋内に警報が鳴り響き、宇喜多秀家少将は艦長席から立ち上がり、将官位を示すマントを翻して艦橋要員に叫んだ。


「先行する早期警戒潜空艦『ロ108』より入電!」 ピピピ


「電文、『ワレ、オオガタノテキカンヲミユ』です!」 ザッ


「索敵警戒を任せた早期警戒用潜空艦か…」 むう…


ビイビイビイビイッ! ビコ!


「センサーに感あり! 艦隊前方方向より高速で接近する大型の熱量を感知! 大型の艦影を電探に確認!」 ピコピコ!


『ぬッ⁉︎』 ピッ


「むうう… 高速で接近する大型の艦影… 観測員確認しろ、詳細報告!」 ガタッ! ババッ!


「はッ! 方位0000艦隊正面ッ! 距離168000ッ! 高度3200! 速度… え? そんな… そ、速度150ノットで移動中ッ!」 ビコビコ!


「なッ⁉︎」 ガタッ!


『… ふむ』 ピッ


ピピ ピピ ビコ! ビコビコッ! ポン!


「接近中の高速大型艦艇、エリア191から当方エリア196に侵入、ヘディング287/12、速度さらに増速155ノット! マークポイント1、オレンジアルファ、チャーリーッ! 敵艦です! 本艦隊に向け速度を上げ、急速に接近中!」 ビコビコ!


「馬鹿な! 速度155ノットを出す艦だと… ありえん! その様な速度を出す艦艇がこの世界の、どの国にも存在しない… いや、あるはずがない! ブレードナイトではないのだぞッ! 観測員、再測定しろ!」 ババッ!


「はッ!」 カチャカチャ タンタン 


ピピピピ ビコビコ! ポン!


「再測定! 速度155ノット間違いありません! 当該艦1隻ッ! 進路変わらず、距離144000! さらに急速接近! 約5分後には艦隊砲戦可能距離に達します!」 ピコピコ!


「そんな… 」 ガッ…


ピコ…


『ふむ… 超高速を誇る大型の艦艇だと? (まてよ… いやまさかあれが動くはずないのだが…)』 ピッ


ビイーーッ ビイーーッ! ビコ ビコ!


「敵艦さらに速度増速ッ! 高速接近ッ! 速度160ノット! 距離138500ッ! 司令ッ!」 ピピピ


「クッ! 全艦隊戦闘配備だッ! 主砲展開、砲撃準備! 艦隊鶴翼陣形! 艦種識別!」 ババッ!


「「「「 はッ! 」」」」 ザザ!


ゴウンゴウン シュバアアアアーーーーッ ウイイイインン カシュン! ゴゴゴゴゴ…


反乱軍遊撃艦隊全艦が、旗艦の重巡航艦「ナチ」を中心に左右に分かれ鶴翼陣形をつくり、各艦は主砲を起動して、砲撃体制に入っていった。


ピピ ピコピコ ビビ! ポン!


「艦種識別! SIFおよびデーターリンク照合、接近中の大型艦艇はヤマト皇国国防軍 大陸艦隊総旗艦、超重巡航艦「ヤマト」ッ!」 ビコ!


「ヤ、『ヤマト』だとおッ⁉︎ 我が国の総艦隊旗艦ではないか… しかし、の艦は未だ動けなかったはず… だが、それが動き出し出撃してきた… な、ならば、艦に乗っておられるのは御館様… 織田信長元帥閣下ではないかああッ!」 ダンッ!


反乱軍に加担はしたが、宇喜多秀家少将にとって… いや、このヤマト皇国国防軍の軍隊全てにおいて、織田信長元帥は畏怖と尊敬の絶対的存在であり、強烈なカリスマ性を持った指導者で、国防軍の象徴ともなっていた。 だがそんな織田信長元帥も、天帝卑弥呼には絶対の忠誠を貫いている。

          ・

          ・

          ・

ーヤマト皇国国防軍 大陸艦隊総旗艦 超重巡航艦「ヤマト」ー


シュバアアアアアアーーーーッ  ゴオオオオオオーーーッ ピ ピ ピ


ビコ!


「現在『ヤマト』は最大戦速で航行中、艦内異常なし、速度160ノット!」 ピピ


「作戦空域、エリアマップ変わります! エリア191からエリア196にシフト! 父島要塞管制区空域に入ります!」 ピコ!


ビイイーーーッ!


「閣下、先程より長距離センサーに反応のあった、進路前方の艦影群に動きがありました」 ビビッ! ピポン!


「うむ… で、あるか!」 ふん!


ピピピ ビコ ビコビコ! ポン!


「方位、艦進路正面0000、エアリア196、距離116000、高度3200、速度32ノット、マークポイント12、ブラボーガンマ! イエロー28 チャーリーッ! 敵反乱軍艦隊です! 艦隊中央に重巡航艦『ナチ』を確認! 敵艦隊移動を開始しました。 左右に展開中! 鶴翼陣形です!」 ビコビコ!


「ふん! 反乱軍共め、やはりこの空域におったか」 ニヤ


「閣下… 御館様には敵の位置をご存知だったのですか?」


ヤマト皇国国防軍 大陸艦隊総旗艦、超重巡航艦「ヤマト」に、総司令官の織田信長元帥の副官として、その場に豊臣秀吉上級大将が乗艦し、側に仕えていた。


「で、ある! フフフ、猿よ、わしは生まれつき感が鋭くてな、幼き日よりわしには敵対する者共の所在が手に取るよう…に…… 」 ギロッ!


「御館様?」 サッ


「むうう、あやつ… 目障りだな…」 ジイイ…


艦隊総司令官の織田信長元帥は、副官担当の豊臣秀吉上級大将と話していた時、突然、凛とした顔を正面の進行方向に向けたまま微動出せず、目線のみ何もない左舷方向に向けてつぶやいた。 そして…


「砲術長!」 バサッ!


「はッ」 ザッ!


「左舷だ! おおよそ10時の方向… ここから3800ないし900の位置ッ! そこに敵が潜んでおる! 目障りだ! それを叩けッ!」 バサッ!


「はッ! って、え? さ、左舷⁉︎ 観測員!」 アタフタ


「捉えました! 微弱ですがセンサーに感あり! 方位1022! 距離3820至近! SIF照合… 反乱軍、敵小型潜空艦と思われます! 数は1ッ!」 ビコビコ! ピピ!


「音紋照合! 艦特定! 我が国のロ型潜空艦、『ロ108号潜ッ!』」 ビコビコ!


「で、あるか」 ギン!


ピピピ ビコ!


「機関音聴知! ロ型潜、『ロ108』機関始動開始! 後退を始めました!」 ピピ ピコ ピピ ピコ


「むう… 猿!」 ジロ!


「なッ なにをしておる砲術長! 御館様… 総司令官閣下の御命令であるぞ! 逃すな! 左舷VLS開放! ヘッジフォッグMk15追尾対潜弾全弾放て! 方位は左舷1022、 距離3800から3900の範囲へ散布攻撃!」 バサ!


副官の豊臣秀吉上級大将は、的確な支持を砲術長に与え、密かに潜んでいる反乱軍の潜空艦に対し攻撃を命令した。


「はッ! 艦橋砲術長よりCIC! 左舷VLS開放! ヘッジフォッグ54式追尾対潜弾装填! 方位1022、距離3800から3900の領域を散布攻撃、急げ!」 ババッ!


ポン


『CICより艦橋、了解、左舷VLS開放! ヘッジフォッグ54式追尾対戦弾装填、全弾発射!』 ピッ!


バクンバクンバクンッ! ピ シュババババババアアーーッ! ドドドドドオオオオオオーーーッ!


超重巡航艦「ヤマト」の左舷側にあるVLS発射管から多数のヘッジフォッグ54式追尾対潜弾が発射された。

          ・

          ・

ー反乱軍早期警戒潜空艦「ロ108」ー


ピコン ピコン ピコン コンコンコン…


「艦長、長距離センサーに反応! 左舷前方に高速で接近する大型の熱量を感知、四軸以上の大型艦と推定します。 方位1022 、距離3600、速度150ノット高速! 進路、父島要塞方面!」 ピ ピ


「なッ 150ノットだと⁉︎」 ガタッ!


「十数秒後に本艦真横を通過します!」 ピピ ピコ ピコ!


「むうう… 父島要塞に向けてか… 間違いない、敵艦だな。 至急、遊撃艦隊本部に打電! 『ワレ、オオガタノテキカンミユ!』だ!」 バッ


「はッ! 直ちに!」 カチカチカチ ピ ピピピピピ ピピ


ピコン ピコン ピコン コンコンコン…


「艦長、これ以上の接近は当艦に危険が及びます。 直ちにこの空域から撤退をした方が…」


「副長、分かっておる。 ロ型潜である本艦の武装、攻撃力では何もできん! 艦隊本部へ報告後、直ちに反転! 急速後退! この場を離れる!」 バッ


早期警戒艦である小型のロ型潜空艦の「ロ108」は、速度を落とし、後方への後退準備に入った。


ピコン ピコン ピコン シュバアア… ゴンゴンゴン ゴオオーー…


ビイーーーッ!


「むッ⁉︎」


「接近中の大型艦より探信波! 発見されましたッ! 大型艦に発射反応あり! こ、これは…… 対潜噴進弾ッ! 多数が当艦に向けて急速接近飛翔中ッ!」 バッ! ビイビイ ビコビコ!


「馬鹿な… なぜ、こうも容易く… はッ! いかんッ! 遮蔽フィールド解除、回避だ! エーテルベント開け! アップトリム60! 緊急ライズアップ! 艦回頭180°転舵ッ! 機関最大、最大戦速ッ! 躱せええッ!」 バッ


ビイビイビイビイ!


「はッ! エーテルベント解放! アップトリム60°、艦浮上ライズアップ! 遮蔽フィールド解除! 機関室! 機関最大、最大戦速!」 ピピ グイイイ!


ブウウン… ピコン ピコン コンコン ヒイイイインンッ! バウウウウウーーーッ!


「回避行動! 艦回頭180°転舵、面舵一杯ッ!」 グイイッ!


ピコン ピコン ギュワアアアアーーッ! ググググウウウーー ゴゴゴゴ…


「「「 わああッ! 」」」 ガシャンッ! ガタガタガタ ゴオオオーーッ!


小型潜空艦「ロ108」は、超重巡航艦「ヤマト」の攻撃を緊急回避するために、回避行動には妨げになる膨大な魔力とエーテルを大量に消費する遮蔽フィールを解除し、全力で逃走するために艦体を大きく傾けながら向きを変え、スラスターを全開に噴射して逃走に入った。 しかし…


シュルシュルシュルシュルッ! ピッ ピピピピ ビコ! シュバッ! ドオオオオーーッ!


「対潜弾、当艦にロックオン! 総数18ッ! 回避不能おおーーッ!」 バッ ビイビイビイビイッ!


「クッ… ここまでか…」 ググ… ビイビイビイビイビイッ!


ピピピピピピッ! シュバババアアアーーーッ!


「「「 わああッ! 」」」 ババッ!


ビイビイビイビイッ! ピーーーーッ!


「あ、あああッ! たッ!対潜弾! 直撃来まッ…」 ビコ!


ドゴオオオンンンンンッ! ドカドカッ! グバアアッ! ドオオオオオオンンン! 


バキバキバキ メラメラ ドドドドド… グワアアアアンンッ! ドボン ドボン! ボコ…


全長85mほどの小型艦であるロ号潜空艦「ロ108」は、多数の対潜弾をその艦体に浴び一瞬で轟沈、艦長以下25名の乗員とともに消え、その破片は海へ落下して海中へと沈んでいった。

          ・

          ・

ーヤマト皇国国防軍 大陸艦隊総旗艦 超重巡航艦「ヤマト」ー


ピピ ピッ! ポン!


「攻撃目標に命中、反応消えました。 敵艦撃沈!」 ビコ!


「「「 うおおおッ! 」」」 ザワッ!


ロ型小型潜空艦「ロ108」を一撃で撃沈したことに、超重巡航艦『ヤマト」の艦橋内は歓喜にざわついた。


「控えよ!」 バサ! ギロ!


「「「 総司令官閣下! 」」」 ザワ… 


「反乱軍に加担し、志は違えど以前は同朋、友軍だった者たちぞッ! 戦いに敗れ、消えゆく者たちに敬意をはらえッ!」 バサ!


「「「「 はッ! 」」」」 ザッ!


総司令官、織田信長元帥の声に、敵艦を撃沈して歓喜にざわついていた艦橋要員全てが姿勢を正し、すでに撃沈され姿の見えないロ型小型潜空艦「ロ108」に向け敬礼した。


「御館様…」 ササッ


「ふッ、これでお互い位置が分かった事だしな、遠慮はいらんぞ月詠… このまま進軍! 主砲の射程内に入り次第、直ちに砲撃開始、敵反乱軍艦隊を殲滅するッ!」 バサッ


「「「「 はッ! 」」」」 ザザッ!


シュバアアアーーーーッ! ゴオオオオオーーーーッ!


ヤマト皇国国防軍 大陸艦隊総旗艦、超重巡航艦「ヤマト」は、総司令官の織田信長元帥指揮のもと、唯1艦で反乱軍遊撃艦隊に向け突進していった。

          ・

          ・

          ・

ー反乱軍遊撃艦隊 旗艦、重巡航艦「ナチ」ー


ビイーーッ


「早期警戒艦『ロ108』反応消失! 識別信号をロスト、撃沈された模様!」 ピピ


「総旗艦『ヤマト』、さらに接近! 速度変わらず、距離118000ッ!」 ビコ!


「全艦隊、陣形整いました! 全艦主砲発射体制!」 ピコピコ


「むうう… (相手はあの織田信長元帥閣下だ… ここで食い止めねば要塞までがらあきだ、一気に攻め落としに来るぞ!)」 ドサ!


ポン


『ククク… そうだ… それで良い(ヤツの守り手札が減ったと言うことだ… ) 秀家よ、これは好機だぞ』 ピッ


「はあ? これのどこが好機だと言うのだッ! 貴様も聞いたであろう光秀! 相手はあの織田信長元帥閣下だぞッ! その座乗艦、総艦隊旗艦の『ヤマト』が尋常ならざる高速でこちらに近づいているッ! しかも、隠密性の高いロ型潜空艦をあっさりと見つけ出し、即座に撃沈してだ!」 ザッ


『ふん! 落ち着くのだ秀家、今近づいてくる総艦隊旗艦の「ヤマト」は、おそらく機動部隊を守る護衛の要、主力護衛艦だったはず。 それが守る機動部隊を離れ、こちらを迎撃するために高速で接近しているのだ… これがどういう意味かわかるか?』 ニイ… ピッ


「機動部隊を離れた… 護衛艦が離れた… 機動部隊は丸裸ということか!」 ガタ!


『そうだ、信長のやつは機動部隊を切り捨てたのだ! この好機を逃す手はないぞ?』 ピッ


「むッ!(光秀こいつ、元帥閣下を呼び捨てに…) だが、160ノットもの高速を出す信長元帥閣下の『ヤマト』が迫っておるのだぞ? それをどうする? そもそもどうやって『ヤマト』から逃げ切り、機動部隊に攻撃を仕掛けろというのだ!」 ダン!


『まあ聞け、接近する信長の「ヤマト」など相手にするな、捨て置け、俺に考えがある。 貴様は機動部隊を攻撃するのに専念するのだ!』 ピッ


「なッ⁉︎ 正気か? 総艦隊旗艦の『ヤマト』は艦隊の真正面に向かって来ておるのだぞッ! 全面戦闘は避けようがない! それを光秀、貴様は戦闘もせず捨て置き、機動部隊に向かえだと? そんなことが可能だと思っているにか! バカも休み休み言え! 信長元帥閣下が我らを見逃すと思うか? 貴様の考えなど聞いておる暇などないわッ! 俺は接近中の総艦隊旗艦『ヤマト』、信長元帥閣下との全力戦闘に集中させてもらうぞッ!」 バサ!


『ちッ やれやれ… これだから人間どもは…』 ピッ フリフリ


「は? 光秀、貴様今なんと?」 ザッ


『もうよいッ! やはり貴様ら人間は我々が作り上げた全ての世界にとって害悪! 融通の効かぬ厄介な存在だと言うことがよく分かった』 ピッ


「光秀… 貴様いったい何を言っている…」 カタ…


ビイーーッ! ビコビコ!


「司令! 接近中の総艦隊旗艦『ヤマト』さらに接近! 間も無く艦隊砲撃戦可能距離に入ります! 対艦噴進弾、射程内に入りました!」 ピピピ ビコ!


「うッ!」 グググッ


『どうした秀家? 信長が来るぞ? さっさと命令したらどうだ? 撃てと… 撃たなければ貴様が撃たれるぞ!』 ニヤ… ピッ


「なッ⁉︎ ち、(違う! やはりこいつは光秀ではない…)… 一つ尋ねたい…」 ギュウ…


『まったく… 緊急時になんだ?』 ピッ


「貴様… 光秀ではないなッ⁉︎ 貴様はいったい誰だッ⁉︎ 」 バッ


『…… フッ ククク、ああっははははは!』 ピッ


宇喜多秀家少将に問われ、秘匿通信用モニターに映る明智光秀上級大将は大笑いを始めた。


「貴様ッ!」


『はあはははッ はは… ふうう… 秀家、なぜ私が光秀ではないと思う?』 ピッ


「やはりそうか… そんなこと、知れたことではないか… 我らは決起して愚帝卑弥呼に反乱を起こしはしたが、御館様… 織田信長元帥閣下には反旗を翻した覚えはない! やむおえず、今は敵対してはおるが御館様を呼び捨てなどは決してしない! 本物の光秀もそうだ… だが貴様は違う、馬脚を現したようだな光秀の偽物め!」 ザッ!


『ククク、さすがは織田信長の家臣団… 秀家よ、貴様の言う通り、私はお前の知っている明智光秀などではない』 ニヤ ピッ


「むうッ!」 ジッ!


『いや、そうだな… この身体は明智光秀の姿形だが精神、中身が貴様の知っている明智光秀ではないと言った方が良いか… もうすでに明智光秀という人間はどこにも存在しない、この偽世界「アーク」より完全消滅していると言うことだ!』 サッ ピッ


「だ、誰だ貴様はッ⁉︎ 光秀の身体を使って何をしようとしているッ⁉︎」 ギュウウッ!


『ククク、そうだな… (シナリオは筋書きどうり進行している… 未だ反乱軍勢力にはアニスの力も及んではいない… 反乱軍勢力こやつらは未だ私の支配下にあると言うことか… ならば…)いいだろう、いい頃合いだ、シナリオもほぼ予定通りに進んでいることだしな』 ニイイ  ピッ


「シナリオ? シナリオとはなんだ⁉︎」 ザッ


『フッ それを聞いてどうする? 事は既に動き始めておるのだ。 だが、まあいいだろう、お前だけに話してやろうではないか、秀家… いや、人間ッ!』 ニイイッ! ピッ


「に、人間!」 ザッ


『聞くがいい… お前も含め、反乱軍勢力の全てが我が手駒となって消える筋書きになっている… そう… 月詠も、艦隊や要塞の人間も全て、反乱軍のお前たちはその意思に関わらず私のシナリオに従い、同胞を憎み合い、戦い合うのだ。 そして最後は国ごと全てが消え去る… 我が宿敵 アニスと共にな!』 フハハ… ピッ


「は? (全てが消え去るだと? 宿敵アニス? なにを言っているのだコイツは…) 貴様は誰だッ! 名を名乗れえッ!」 バン!


宇喜多秀家少将は、司令官席のデスクを思いっきり叩き、秘匿通信用小型モニターに映る明智光秀上級大将を名乗る男に質問した。


『フッ いいだろう、宇喜多秀家… いや、ヤマト皇国の民、人間よ! だがその前に…』 シュンッ! ピッ


ブワアアンンッ! キイイインンッ! パアアアアーー ピタッ!


「こ、これはッ!」 キョロキョロ


秘匿通信用小型モニター内の明智光秀上級大将を名乗る者がモニター越しに右腕を振った瞬間、宇喜多秀家少将を除いて、すべての時間が停止した。 宇喜多秀家少将は艦橋内を見渡し、自分以外が全て止まっているのに驚いていたその時、いきなり背後から声が聞こえた。


「これで話しやすかろう」 パアアンンッ! フワフワ…


「なッ!」 クルッ ババッ!


宇喜多秀家少将が声のする方に振り向いた先に、わずかに空中に浮かぶ明智光秀上級大将の姿があった。


「秀家… いや人間よ、よく聞くがいい… 我が名はジオス! この偽世界『アーク』を創造創生し、お前たち人間を含め全てを管理し、その行く末の筋書きを、シナリオを書く全知全能の最強神! 【創造神ジオス】である!」 ピカアアッ! ブワアアンッ シュバアアッ!

 

「うおおッ…… かッ 神だとおッ⁉︎ 」 バババアアーーッ!


空中に現れた明智光秀上級大将の身体が激しい光に包まれ、魔素とエーテルが纏わり、その姿が変わり始めた。 やがてその光が治ると、そこには、漆黒のマントにジャケットとズボン、黒いブーツを履き、腰には一本の黒刀を帯刀した、銀色の瞳に金髪を靡かせた高身長の青年の姿があった。


バサバサバサバサ… ザッ!


「な…これが… 神の姿か!(いや… コイツは… 本当に神なのか?)」 スッ…


「控えよ人間!」 バサッ! ギイイン! シュバッ! ピッ


「うおおおッ!」 パアアッ! ガシャ! ザッ!


宇喜多秀家少将は、創造神ジオスの言葉を聞いた瞬間、自分の意思に関係なくその場で正座をし、頭を下げて平伏し、土下座の状態になった。


「ふん、人間風情が…」 ジロ…


「うぐぐぐ… (こ、これが神の力か… 身体が動かぬ…)」 グググ…


「人間よ、お前が知りたがっていたシナリオ、これから起きる事の顛末を教えてやろう」 ニイイッ


「て、顛末…」


「そうだ、我がシナリオに基づいた変える事のできぬ未来の事象… これから始まる、お前たち人間の終わる様をな!」 バサバサ…


「は? あ… なにを言って…」 グググ…


「ククク… よいか人間? この後、お前たちは………」 バサ…

          ・

          ・

創造神ジオスは、これより先に起こるであろうシナリオの全貌を、宇喜多秀家少将に話聞かせた。


「……。 これが我がシナリオによる、お前たち人間の行末、すでに決まった事の顛末、これは遥か昔より決まっていた運命なのだ」 ニヤ


「創造神ジオスよ! なぜそれを俺に聞かせる」 ググ…


「知れたこと… 秀家、貴様のシナリオはここまでだからだ」 ニヤ


「うぐぐ… ここまでだとッ⁉︎ そ、創造神ジオスよ! この世界を創造し我らに繁栄をもたらした神が、なぜその様な事をするッ⁉︎ うう… (くそ! 身体の自由がきけば…) あ、貴方には慈悲というものがないのかッ⁉︎」 グググ…


「慈悲? 慈悲だと? お前たち人間にか? クッ ククク… ああっはははははははッ! ああっはははははははッ!」 バサバサバサ!


「なッ!」 ギュウ!


「はあっはははは…… フッ 人間よ、元々この偽世界「アーク」は私がある目的で創造し作り上げた偽りの世界に過ぎないのだ。 そこにお前たち人間が私の許可も無く、いつの間にか現れ、数を増やし繁栄していったのだぞ。 なぜ、そんなお前たち人間にこの私が… 創造神であるこの私が慈悲を与えんねばならぬ?」 バサバサバサ…


「し、しかし…」 ググ…


「黙れえッ!」 シュバッ!  バリバリバリッ!


創造神ジオスは、床にひれ伏しながら質問をしようとした宇喜多秀家少将に、電撃の制裁をした。


「ぬおおおおッ!」 バチバチバチ!


「フンッ! 反論は許さぬ!」 ギン! シュパアン!


「ううう… 身体が…」 シュウウ… シュウウ… パシ パリ パリ


「まったく、お前たち人間がなぜ、私が創造した偽世界に現れたのかはわからん。 だが私が創造した世界に現れた以上、私の管理下に置き、お前たち人間の行動を全て把握、操作して、私のシナリオ通りに動くようにしたのだ。要するにお前たち人間は単なるに駒すぎん! 慈悲など不要! 自惚れるでない!」 ジロ…


「我らが… 単なる駒… だと…」 ググ…


「そうだ、お前たち人間などどうでも良いのだ! 私にとって最大の敵、唯一無二の仇敵であり障害、私の自由を奪いそれを邪魔する存在、それがアニス! 彼奴だけは完全消滅させねばならんのだ!」 バサバサ…


「そんな… では我々は、この世界は、世界に住まう全ての者は、神… 創造神の仇敵である、アニスなる者を消すためだけに存在しているというのかッ⁉︎」 グ…


「その通りだ! 何も無い、荒廃した世界ではアニスに気取られてしまう… 罠であると… だから、実り豊かな大陸と幸多き広大な大海を作り、大気や気候を調整した。 するとどうだ、お前たち人間が現れ、やがて数を増やし繁栄して国を作り、偽世界『アーク』全域に広がっていったのだ」 サッ!


「我々が… 」


「よいか、本来なら私のシナリオにお前たち人間など存在しなかったのだ。 だがお前たち人間は現れ、数を増やし、国を作り、挙げ句の果てに国と国が啀み合い、戦争をする。 これでは無視も出来まい。 だから私がお前たちを管理し、都合の良い駒となるシナリオに書き直したのだ… お前たちを使ってアニスを消滅させる新たな罠のシナリオをな!」 ニイイ…


「なッ⁉︎」


「そうであろう? 世界にとって、人間はなんら利がある存在とは思えん! ならば有効に使って何が悪い?」


「我々の存在が、無駄だと?」 ググ…


「そうだ… 私は見ていた。 お前たち人間は、平気で自然を破壊し街を作り、その範囲を広げていく。 まるで偽世界『アーク』に巣食う寄生虫のように…」 サッ


「それは、より豊かに暮らしをするために…」


「私の創造創生した世界でか? 私にとって、本来人間など無駄な存在、害悪そのものなのだよ」 バサバサ…


「そんな…」


「だが、アニスは違った。 アニスは私が創造した偽世界に現れた人間と手を取り合い始めた、人間どもと馴れ合い、やがてアニスはこの偽世界を私から奪い始めたのだ」 ザッ バサバサ…


「………(またその名が… アニスとは…)」


「偽世界全てを使った壮大な罠を、ありとあらゆる罠のシナリオをアニスは全て書き換え、破棄し、おのれの世界へと徐々に変貌させていく… まるで自分が創造創生したかのようにこの偽世界を… そして、閉じ込められた…」 グググッ 


「は? 罠? この世界全てが罠だと? (ッ! 待て待て待て! 創造神が創造した世界を奪う? 神のシナリオを書き換えそれを破棄? そして閉じ込められた? 閉じ込め… それはまさか封印ではないのか? 創造神をこの世界に? なぜ? ……はッ! まさか… まさかッ! だとすればアニスという存在はッ!)」 バッ


「ここまでかなりの数のシナリオを書いては消し、それこそ何千何万と試しては取り消してきた… 文明も、国も、何度起こしては消し去ってきた事か… そしてようやく、思い通りの偽世界が成り立った所にアニスがのこのこと、この偽世界『アーク』に現れたのだ。 私が作った壮大なる罠とも気付かずになに…」 ギュウウ!


「むう… (創造神が作った罠…か…)」 ググ…


バサッ!


「だが罠だらけの、壮大で緻密なシナリオをアニスは全て躱してきたのだ! 忌々しい!」 ギュウ!


「フッ… ククク… お笑い種だな… 」 ググ…


「うん? 何がおかしいのだ人間」 ジッ


「はは… なにが全知全能の最強神だ… 聞いて呆れる…」 ググ…


「なにが言いたい?」 ジロ…


「創造神を名乗ってはいるが、貴方はその、アニスとやらに遠く及ばないようだな!」 二ッ


「むうう… 人間風情がこの私を侮辱するとは…」 ギュウ!


「フン! 神でさえ恐れる存在がいると初めて聞き知ったからな。 アニスとやらがそうなんだろ?  神である貴様を脅かす脅威の存在なのだと! 貴様はその存在が怖いのだ! そして、その身を守るために アニスという存在を消したい… だから手段として我らを謀ったのだとッ!」 グ!


「ん?  謀った? いや、これもシナリオ通りなのだ、お前たちを謀ったのでは無い… むしろこれは予定通りの事なのだ」 バサ…


「なッ⁉︎… (なんという事だ… 我々は本当に神の単なる駒だったんだ… 月詠様も我らも… 我々は仰ぐ旗を間違えた… 本来ならば天帝卑弥呼様は絶対の存在、それを易々と叛意を持ち、義弟の月詠様に付き反乱を起こしてしまった… だがそれは全て神が仕組んだこと… アニスという存在を消すためだけのシナリオ、策略だったのだ…)」 ギュウウッ!


「ふむ、理解できたか? 話はこれまでだ、そろそろ時間も押し迫っておるようだしな」 ササッ


「そ、創造神ジオスよ! 話はまだ終わってはいない!」 バッ


「ダメだな… 時間だ、お前たちの存在はここまでだ。 ふむ、艦隊の人間… 8723人か、素直に言うことを聞いておれば今少し生きながらえたものを… 残念だったな」  ニイイ サッ


「ま、待てッ!」 ババッ!


創造神ジオスが右手を上に差し出した。


「宇喜多秀家、お前たちのシナリオはここまでだ、この場この艦隊の人間はもう必要がなくなった。 全て消え去り無に帰す… 艦隊は私がアニスの乗る空母ふね転移門ゲートで送り、直接攻撃に当たらせるとしよう」 フフフ


パアアアンンッ! シュバアアアアアーーーッ!


遊撃艦隊旗艦 重巡航艦「ナチ」の上空に漆黒の巨大な渦が巻き起こり、そこに巨大な底の見えぬ暗黒の穴が開き始めた。 空間転移のできる巨大な転移門ゲートの出現であった。


「フハハハハハハッ! 快く逝くがよい! 人間、いや… 宇喜多秀家」 ニヤ ブウウンン パッ!


そう言うと、創造神ジオスの姿が一瞬で消え去り、再び周囲の時が動き始めた。


ゴゴゴゴッゴゴゴッゴオオオオオオーーーッ! パシイッ! ゴロゴロゴロ…


「おのれッ! 創造神ジオスーッ! ガアッ! お、御館様… お気をつけ… を… 我らは… 神の… 通… りに……」 バタン… キラキラキラ ササーー


宇喜多秀家少将は静かに床に倒れ伏し、やがてその意識は消え、少将の身体は徐々に霧散して魔素変換されて消えていった。 この状況は遊撃艦隊全体に及び、艦隊に配属されていた兵士全員の全てが同じように消えていった。


ゴゴゴゴゴゴ ゴウン ゴウン シュバアアーーー ピ ピ ピ ピコ ピコ


無人になった遊撃艦隊旗艦 重巡航艦「ナチ」の広い艦橋内には人の気配はなく、ただ艦を制御する機械音だけが鳴り響いていた。


「ふふふふ… さあ、アニスの元へ行けええッ! 転移先の存在は全て殲滅せよッ!」 バサバサッ! ザッ!


シュオオオオオオオオオーーッ! ズズズズズズッズズ! ブオオオンン!


遊撃艦隊 旗艦重巡航艦「ナチ」を先頭に12隻が次々と漆黒の穴、転移門ゲートへと消えていった。


「ククク、まだだ… 次はこいつだッ! シナリオのフィナーレを飾るのに相応しい演出になるだろう」 ニヤ バサッ! ブオオオオンンンッ!


創造神ジオスは振り返り、自分の後ろにある物体に右手をかざした…

          ・

          ・

          ・

ーヤマト皇国国防軍 総艦隊旗艦「ヤマト」ー


ビイーーーッ


「閣下! 敵艦隊を捕捉! 主砲発射準備完了!」 ビコ!


「で、あるか… 砲撃用意!」 バサッ!


「はッ! 目標敵旗艦! 重巡航艦「ナチ」ッ!」 ピコピコ ピ!


「素点固定! 主砲エーテルチャンバー臨界点! いけます!」 ビコビコ ピ!


「で、ある! 撃ち方、はじッ…ん?」 サッ 


ビービービーッ!


「緊急警報! 敵艦隊上空に異常事態発生! 強力な放電ノイズと魔素の乱流が発生! 敵艦隊、主砲の照準から離れ上空に移動! 上空の黒雲に引かれています!」 ババッ!


「むうう… なんだあれは?」 ジイイ…


総艦隊旗艦 超重巡航艦「ヤマト」艦橋内にある大型情報モニターには、敵艦隊上空に現れた巨大な渦を巻く黒雲に、反乱軍遊撃艦隊が吸い込まれ消えていく映像が映っていた。 艦隊全てを飲み込んだ瞬間、巨大な渦を巻く黒雲は一瞬で消え去った。


ビイーー! ピピ


「敵艦隊消滅! 完全に反応が消えました! 敵艦隊ロスト!」 ビコビコ ビイーーッ!


ピ ピ ピ ピ ピ


「むうう… で、あるか…」 ザ…


「御館様、いかがいたしますか?」 サッ


「かまわん! このまま前進せよ! 目標は父島要塞、敵反乱軍総大将! 月詠命!」 バサッ!


「「「「「 はッ! 」」」」」 ザッ!


ヒイイイイインンッ! バウウウウウウウーーーッ! シュゴオオオオオーーーーッ!


ヤマト皇国国防軍 大陸艦隊総旗艦 超重巡航艦「ヤマト」は、直前までいた反乱軍遊撃艦隊が消え去った事に気にも止めず、そのままの速度で硫黄島、父島要塞へと直進していった。

          ・

          ・

          ・

ーヤマト皇国領 伊豆諸島 八丈島上空ー


ドオオオンン ゴゴゴゴ  シュバババアアアーーッ!


ビイビイビイビイッ! ビコ! ビコビコ!


「提督! 艦隊上空に敵艦隊!」 バッ!


「むううッ!」 ガタ!


時は元に戻り現在、ヤマト皇国国防軍 第一機動艦隊上空に反乱軍遊撃艦隊が突然現れ、旗艦の重巡航艦「ナチ」を先頭に第一機動艦隊旗艦 正規空母「ヒリュウ」に向けて突進を始めた。 まさに奇襲であった。







カチャカチャ ピッ

「よし! 我がマイルームよ! 私は帰ってきたああッ! 投稿ッ!」 カチッ!

ピコ!

「ん! ユキヤマ、お疲れ様… これで元通りだね」 ニコ

「う〜 長かったよ〜 アニスちゃん、3ヶ月… やっとお部屋がふっかあ〜つ!」

「うむうむ」 ナデナデ

「でもね、エアコンがないの」

「は? なんだそれ? 必要か? 贅沢品ではないのか?」

「アニスちゃん… 日本の気候を舐めちゃダメだよ。 もうエアコンは贅沢品ではないの! あれは、そう! 生命維持装置なんだ!」 バッ

「お… おお、そうか、そうだな、それは必要だな…」 うん…

「はああ… でもね、やはり贅沢は言えないかな、ちょっと我慢なんだ。 冷蔵庫も洗濯機もリサイクル品だからね」

「そうか… うん? ユキヤマ、その手元で使ってる機械、新品ではないか!」 サッ

「ああ、これ? パソコン〜 実はねえ、お姉ちゃんが買ってくれたんだ」 ニコニコ

「なにい! あの修羅の如く恐ろしく厳しいユキヤマの姉がかッ⁉︎」 バッ

「うん、でも修羅って… 確かに曲がったことが大っ嫌いな厳しいお姉ちゃんだけど、優しいよ?」

「そ、そうか… ん、なら良かった。 ユキヤマ、もうこれでしばらく私はいいかな?」

「うん、そうだね… アニスちゃん… 困ったらまた呼ぶよ… じゃあ、私の小説の中へね、またいつか…」

「ん、じゃあ、またね!」 シュバッ……


いつも読んでいただきありがとうございます。

次回もでき次第投稿します。







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