第295話 歪んだ最強勇者
ー第一機動艦隊旗艦 正規空母「ヒリュウ」甲板上−
ドオオオオオオーーーンッ! ジャギインッ! ギギッ! バリバリバリッ! ゴオオオオーーッ!
ググググッ! ギリギリ バチッ! バチバチッ! バアアアーー
「へええ、 やるじゃないかサトシ、この僕の神剣攻撃を受け切るとは大したもんだよ」 グッ! ギリッ! バチッ!
「ふん! お前もなヒカル! はあああッ!」 グイッ! シュバッ! ビュンッ!
「おっとッ! あはは! 残念だったなサトシ! そんな聖剣の攻撃なんか僕にはかすりもしないさ!」 シュバババッ!
「なら、これはどうだあッ!」 シュババババッ!
「あはははは! 遅い遅い!」 シュンシュン! シュバッ!
キンキキン! ガッ ギイイインッ! バチバチッ! バッ! ビギイインンンッ! シュンシュンッ! バキインッ! バリバリッ! ドゴオオオオーーーンンッ! ブワアアアッ!
神剣と聖剣を持つ勇者同士の高速移動術《縮地》を使用した高速剣の応酬、正規空母「ヒリュウ」の広大な甲板上では、高速移動術《縮地》による高速移動音と共に激しい剣撃の音と、それに伴う剣撃の威力で火花や放電現象の後、そこに起こる魔力爆発が、至る所に現れていた。
ザッ! シュバババババーーッ!
「あははははッ! サトシッ! さすがは同じ勇者なだけはあるね、僕の動きについて来れたのはお前が初めてだよ!」 シュババババッ! チャキッ! ブンッ!
「ふッ! この程度の動きなんて勇者の俺たちなら当然だ! そうだろヒカルッ⁉︎」 シュンッ! シュバババッ! ビュンッ!
「ククク、この程度ねえ… じゃあこれはどうかなッ!」 ビュンッ! シュバッ!
「なッ! このッ!」 ビュンッ!
ガキイイイインンッ! ドオオオンンンッ! バチバチッ! パラパラパラ…
「あはッ! また僕の攻撃を受けたッ! 凄いじゃないかその聖剣! 僕の神剣とここまでやり合って刃こぼれ一つしていない… なあ? それ本当に聖剣なのかサトシ?」 ギリギリッ! バチッ!
「ああ、紛れもなく聖剣だよ! ヒカル、お前も覚えてるだろ? この偽世界『アーク』に降り立った一番最初、各国に召喚された俺たちがその時その身に装備していた武器、神様からもらった武器をッ!(まあ俺の聖剣はその後、アニスさんにへし折られて再新生してもらった聖剣だけどね)」 ギリッ! バチバチッ!
「うん? …ああッ! あの時の聖剣かあ! ククク、これの事だろ? サトシ!」 ニヤッ シュバッ!
すると、勇者ヒカルは左手を背中に回したかと思ったら即座にそれを振り抜いた。 勇者サトシは即座に体が反応しその身を後ろへと跳ねたが、勇者ヒカルの剣捌きが速く、その刃が勇者サトシの腹部を襲った。
「うわッ!」 ババッ! ザシュバッ!
ザザザアアーーー ピタ…
「あああ惜しいッ! もうちょっとでその胴体を真っ二つにできたのに、かすっただけかあ… 踏み込みが足りなかったのかなあ? ねえサトシ!」 ククク ニイイ チャキ!
「く… に、二刀流…か… しかも神剣と聖剣… チートすぎる能力だな…」 うう… ポタポタ…
「あははは! 痛い? 痛いよねえサトシ! 聖剣できられた感想はどうだい?」 ニヤアッ! ビュンビュン!
「サトシッ!」 ザッ!
「く… だ、大丈夫だスズカ、この程度すぐ治せる! 《ヒールッ!》」 パアアンッ! シュバ! シュウウ…
勇者サトシは即座に治癒の魔法を使用し、腹部の傷を瞬時に治してしまった。
「ちッ! 勇者特有の能力の一つ、治癒の魔法か… 僕もお前も、勇者は皆んな持ってるんだったな! まあ僕たち召喚勇者が強い秘密の一つだけど、やはり一撃で仕留めないと決着なんかつかないかあ」 シュザッ ピタ! トントン
ポワッ シュワワワアア…
「よし! 完治した!」 グッ!
「ふうう、よかった… サトシ! あまり心配させないでよねッ!」 ファサ
「ああ、ヒカルの二刀流攻撃に驚いただけさ! 次は当たらない!」 ニッ!
「よし! 頑張ってサトシッ!」 グッ!
「ああッ! まかせろスズカッ!」 チャキッ!
「ふんッ! いちゃつきやがって… 何が『次は当たらない』だ! 僕の剣捌きにも追いつけてなかったくせに、見てろよおお… サトシを倒し吸収したら、次はスズカだ! スズカはそうだなあ… クク、僕の言いなりにしてやる…」 ククク… ニヤア ジャキンッ!
「ふう… 全く歪んだ考えだなヒカル」 ザッ フリフリ
「そうかい? 僕はそう思わないけどねえ…」 ニヤニヤ
「ヒカル、お前まだ本気じゃないだろ?」 チャキ
「ふッ ククク、ああっははははははッ! そうだ! その通りさサトシ! よく分かったね?」 ジャキッ!
「そんなの戦ってみればわかるさ、バレバレだよ! 高速移動術《縮地》こそ使ってはいるが、神剣はただ振ってるだけだ! さっきの『エクスカリバー・エクスプロージョン』だって神剣の付与能力だ、神剣の技じゃない。 咄嗟に聖剣も使用してきたけど、それもそうだ… 両剣とも剣技なんか使ってないだろ?」 ザッ
「正解〜、さすがは勇者サトシ、よく見てるね。 そうかバレバレかあ… なるほど、確かに… まあ僕が剣技を使ってその気になればあ、お前なんて一瞬で倒してしまうのさ… この世界に跡形も残らないほどにねえ」 ニヤア… ググッ シュバアアアッ! バチバチッ!
「ふッ! 相変わらず自信満々なヤツだなヒカル、そんなにお前の剣技は凄いのか?」 サッ チャキ!
「ああ凄いさ! なんたって僕の剣技は神様から授かった最強の剣技なんだ! 最強の勇者である僕に相応しい神剣を使った最強剣技、神級剣技だッ!」 ババッ! シュババババアアアーーッ!
「神級剣技だとッ⁉︎(アニスさんから教わってた剣技も神級剣技だ、神様の剣技とアニスさんの剣技か… どれほどの違いがあるか分からないが、いい機会だ! 試してみたい!)」 ギュウッ!
「ははッ 驚いたか? 聖剣止まりのお前たちと僕は違うんだ! さっきの打ち合いもサトシ! お前の力量を見極めるための軽く流した打ち合いさ! 僕は全然本気を出してないんだよ!」 グググッ! ゴゴゴ シュウウウウ……
「ふッ そうか… そうだな、俺もそうだヒカル! 俺も本気じゃなかったさ! だが、次はお互い本気で行くぞッ!」 ググッ! シュワワアアッ! ババアアーーッ!
神剣と聖剣での最初の連撃戦、勇者サトシとヒカルの2人は相手の武器とその力量を測る為の威力攻撃であった。 魔法も剣技も使用しない剣のみで打ち合う鍔迫り合い… だが、そんな連撃戦でも勇者の力で神剣と聖剣である。 その威力は凄まじく、周囲に膨大な魔力風と熱に放電現象、それらを含んだ爆発と爆炎が広大な正規空母「ヒリュウ」の甲板上に巻き起こっていた。
ゴオオオーー バチバチッ! ドオオオン… ザザアアアーー
「あはははは、本気でかあ… 言うねえサトシ! まあ確かに、こんなお試し程度の剣の攻撃じゃあ、僕たち勇者にはなんの意味もないからね」 ニイイ トントン
「ああ当然だな、今のでお互いの力量も見極めただろ? 次は勇者らしく行こうか?」 ジャキッ!
「あはッ! 勇者らしくか… なあサトシ、それって魔法あり、剣技や体術、スキルに特殊能力、勇者の持てる全てを使っての事かな?」 ズイッ!
「そうだ! お前をこのままにしては置けない! ヒカル、お前は危険だ! その行動は間違ってる! それを俺は止めるッ!」 ザッ!
「うん、いいだろう… サトシ、僕に本気を出させた事、あとで後悔しても知らないよ?」 ニヒ!
「ああッ!」 バッ!
「ふふん、じゃあ、行くよ… さよならだサトシ… 消えてしまえッ!」 グッ!
「むッ!」 グッ!
「「 《縮地ッ!》 」」 シュババッ! シュンッ!
ビュオオオオオオーーーッ!
勇者サトシと勇者ヒカル、2人は同時に高速移動術《縮地》を再び使用して、その場から一瞬で消えた。
ババババババーーーッ! ビュンビュンッ! シュバッ!
「あはは! どこまでついて来れるかな? いくよサトシーッ! 《ファイヤー・ランスッ!》」 シュバッ!
キン! ボウッ! シュドドドッドドオオオーーッ!
「はあッ! 《ウォーター・ランスッ!》」 シュバッ!
シュイン! ボコ シュバババババアーーーッ!
バシバシッ! ジュワッ! バアアアアーーーンンッ! バババッ! ドオオンッ!
「へええ、やるねえ… さすが勇者、じゃあ次だ! どんどんいくからね! 《アイシクル・スフィア》《バーン・バレット》《グレイ・ディ・ファイヤーッ!》」 ザッ! シュバッ! キュインッ! ゴオオオンンッ!
ドバババババババアアーーーッ! シュンッ ビュンッ シュバアアッ!
「うわッ! 《サンダー・スフィア》《ウィング・スラッシュ》《イーゲル・シュナイダーッ!》」 ザザッ! シュバッ! ヒュインッ! キュパンッ!
シュドドドドドオオオーーーッ! バババリッビッ! シュンシュンッ! ビュババッバッ!
ズドオオオオオオンンンーーーンンッ! バラバラバラ パラパラ パラ…
「ふうう、なんて無茶苦茶なやつだ! 魔法属性なんかバラバラじゃないか!」 モクモク ヒュウウ…
ボオオオーー モクモク バアアア…
シュバッ! ブワッ! ビュン!
「うッ!」 ザッ!
「あはははッ 油断したなッ! もらったぞサトシーッ! エクスカリバー神級剣技ッ!《ブラッディッ!・ブロッサムーッ!》」 シュヲオオーーッ! ヴンッ! ドゴオオオオオーーーーッ!
お互いの様々な魔法がぶつかり合い、その威力を相殺し合った時の爆炎と煙で視界が悪い中、その爆炎の中から勇者ヒカルは神剣「エクスカリバー」を振り上げながら突如現れ、勇者サトシに向けて斬りかかってきた。
「くッ! させるかああッ! 神級剣技ッ!《アルテナ.グラン.バスターッ!》」 シュバアアーーッ!
ヒュバッ! ドゴオオオオオーーーッ!
「なッ、なにいいいッッ⁉︎ サトシが 神級剣技だとおッ! うわッ!」 バッ!
「うおおおおおおッ!」 ドオオオオオーーーッ!
ギュワアアアアアアアーーッ! ビシイイッ! ドガアアアアアアアーーーーーンンッッ!
「サトシッ! きゃああーーーッ!」 ブワアアッ! バババアアアーーッ! バサバサバサッ!
ブワアアアーーーッッ! ドドドドッドドオオオーーーーッ! バリバリバリッ! バアアアーー…
・
・
ー第一機動艦隊旗艦 正規空母「ヒリュウ」艦橋内ー
ドオオオンンッ! グラグラグラ
ビイイーー ビイイーー ビイイーー!
「「「「「 うわああああッ! 」」」」」 バチバチバチッ! ガタガタガタ
「うう… こ、これは何事だあッ⁉︎」 ビリビリビリ バサッ!
ビイイーー ビイイーー ピコ ピコ ポン!
「当艦艦首甲板上にて異常魔力爆発発生ッ! 第12区画表面、第一装甲板大破剥離ッ!、8番9番PDS機能停止! 当区画は動力寸断! 火災発生中!」 ババッ! ピッ ピコ!
「第一装甲板が破られただとッ⁉︎ 対艦噴進弾の着弾か? それとも敵ブレードナイトの体当たり攻撃なのか? フォトンフィールドはどうしたあッ⁉︎ PDSはなぜ迎撃しないのだッ!」 バサッ!
ピピピ ビコビコ! ピッ
「違います! 外部からの攻撃ではありませんッ! フォトンフィールド内の艦体甲板上、魔力爆発中心付近で何者かが高速戦闘中!」 ピッ
「なにッ! 映像を出せ!」 サッ
「はッ! 映像出します!」 カチカチ ピッ
ブウウンンッ パッ!
正規空母「ヒリュウ」の艦橋内にある大型情報パネル内に、正規空母「ヒリュウ」の艦体前部甲板上に、片膝をついて着座停止中の黒いブレードナイト「REPPUU 22型 G008」と、神剣と聖剣が起こした魔力爆発で第一装甲板がめくり上がり、煙を吐いている辺りにいる3人の人影を映し出していた。
ピ ピ ピ ブウウンンッ ブウウンンッ!
「なッ⁉︎ これはッ!」ガタッ!
「「「「「 おい! あれって… そんな… 勇者…か? 」」」」」 ガタタ ザワザワ…
「我が国の反乱軍側についた勇者ヒカルと… 聖女アニス様がお連れした勇者サトシ殿とスズカ殿か…」 ジイイ…
「司令! いかがいたしましょう⁉︎ すぐに援軍でも!」 ザッ ババッ!
「ならん! 手出しは無用だッ! いや、我々では手出しなどできぬか… 行けば迷惑をかける、足手纏いだ! 勇者相手に我らは無力! 反乱軍勇者ヒカルには同じ勇者のサトシ殿とスズカ殿に任せる! 各員は上空から接近攻撃してくる敵ブレードナイトの迎撃に専念せよ!」 ババッ!
「「「「「 はッ! 」」」」」 ザザッ! カチャカチャ ピッ ピピ ピコ!
「むうう… (頼みは貴方方だけだ、サトシ殿、スズカ殿…)」 グッ ジイイ…
第一機動艦隊旗艦 正規空母「ヒリュウ」の艦長で機動艦隊司令官でもある南雲中将は、艦橋内にある大型情報パネルに映る3人の勇者達の戦いの行く末を見ていた。
・
・
ー第一機動艦隊旗艦 正規空母「ヒリュウ」前部甲板上ー
モクモクモク メラメラ パンパンッ! バチ バチバチ! ヒュウウウウ…
神級剣技のぶつかり合い、その威力は正規空母「ヒリュウ」の第一装甲板を破壊し大穴を開け爆発した。 その威力の爆炎と煙が晴れてきた時、そこには勇者ヒカルと勇者サトシの2人がお互いの神剣と聖剣を構えた状態で立っていた。
ザザッ! ビュン! チャキッ!
「馬鹿なッ! 僕の神剣攻撃と同等の威力だとッ⁉︎ サトシ! なんだその聖剣はッ⁉︎ どうしてお前如きが神級剣技を使えるッ⁉︎ どうなっているッ⁉︎」 バチ バチバチッ! グググッ!
「ふッ! ヒカル、俺だって勇者なんだ、お前が使える様に俺だって会得さえすれば神級剣技くらいは使えるさ! それよりどうしたんだヒカル? 最強の勇者、最強の神剣剣技じゃなかったのかな?(すっげえ… アニスさんが最新生してくれた聖剣、それと教えてくれた神級剣技、なんてえ威力だ…)」 二ッ パリッ パリッ… チャキ!
「うううッ… くそッ くそおッ! ぼ、僕は最強なんだ… 誰よりも強い最強の勇者なんだぞ! 神様に選ばれた勇者なんだああッ! そんな聖剣なんかに負けるもんかああッ!」 ズバアッ! バババアアーーーッ!
「神様か… なあヒカル、神様はなんでこの偽世界「アーク」に俺たちを召喚したんだろうな?」 ザッ
「ふんッ! そんなの僕が神敵を倒してこの世界を救い、この世界を僕が治めろっと言うことに決まってるじゃないかッ! これは全て神様が決めた事なんだ! 行くぞサトシッ!」 シュバッ!
「ヒカル、お前… アニスさんが言った通りか… (ヒカル、気づいてないんだろうな、お前は神様に騙されているんだぞ? だがそれも言っても、もう遅いか…)」 ググッ! シュバッ!
「あはははッ! 今度のはさっきのとは別ものだあッ! 神様の神敵殲滅用の剣技だ、とっておきの剣技だったが仕方がない! これでも喰らえサトシーッ! エクスカリバー神級剣技ッ!《アブソリュート・テラ・テンプテーションッ!》」 ビュバッ!
ギュオンッ! グワッ! ドゴオオオオオオーーーーッ!
「はああッ!(仕方がないですよねアニスさん、使わせてもらいます!) 神級撃滅剣技ッ!《ヴァーティカル.グラン.シュバルツパイザーッ!》」 シュバッ!
キュインッ! パアアンッ! ドッゴオオオオオオーーーッ! ピキッ!
ギュウウウウンンンーーッ! シュババババアアアアーーーッ! バキイイイインンッ!
神剣と聖剣、お互いの剣が超大な魔力を纏い、莫大な破壊威力を伴った神級剣技がぶつかり合った。
ビビビッ ギガガガガガッ! バチバチッ! ギリギリギリッ!
「サ、サトシッ! お前えーーッ!」 グググッ! バリバリバリッ!
「うぐぐッ! やべッ! せ、聖剣が…」 グググッ! ババババ ピキピキッ!
シュバババババアアアアーーーッ! バチバチバチッ! ビキキッ!
2人の勇者は再び神剣と聖剣での鍔迫り合いになった。 一見互角に思えたが、勇者サトシの聖剣に、少しづつヒビが入り始めた。
「あ、ああ… だ、だめ… サトシッ! 剣を引きなさいッ! サトシーーッ!」 バッ!
ババババババアーーーッ! バチバチッ! ビビビビッ!
「わ、悪いスズカ、引けない! うう、剣が持ちそうもないや」 ニコッ! バキイインッ!
ドゴオオオオオオオオオンンンーーーッ! ブワアアアーーーーッ!
「「 うわああああッ! 」」 バアアアアーーーッ!
「サトシーーッ! きゃああッ!」 ズバアアーーッ!
打ち合って鍔迫り合いになっていた神剣と聖剣、勇者サトシの聖剣が技の大きさに耐えきれずヒビが入り折れた瞬間、特大な魔力爆発がそこに起きた。 勇者の3人はその凄まじい爆発の中に姿を消し、見えなくなった。
ドオオオオオオオオーーッ ブワアアーーー モクモクモク…
・
・
・
ーヤマト皇国国防軍 総艦隊旗艦 超重巡航艦「ヤマト」ー
ゴウンゴウンゴウン シュゴオオオーーー ピ ピ ピ
「元帥閣下、前方38800の空間点に第一機動艦隊、現在反乱軍ブレードナイト部隊と交戦中、護衛艦数隻が大破! 被害甚大、救援要請が出ています」 バッ
「で、あるか… 砲雷長、主砲の準備をせよ、一気に反乱軍どものブレードナイトを殲滅する!」 バサ!
「はッ! 主砲発射準備ッ! CIC、射撃目標を捕捉せよ!」 バッ
「CIC了解、51cm電磁加速砲1番2番起動!」 カチカチ ピピ
ビーー ビーー ビーー ガコンッ! グイイイイイインン カシュンッ!
超重巡航艦「ヤマト」の艦体前部甲板上に、3連装51cm電磁加速砲塔が2基競り上がり、砲撃体制に入った。
「砲塔展開、1番から3番、4番から6番、各砲身充填開始、砲撃用フォトンリアクター始動!」 ピ タンタン ピコ
ヴヴヴッ バチバチ ビリッ!
「ふむ… この一撃で終わりだな! そうであろうアニス」 サッ
ヤマト皇国国防軍総司令官の織田信長元帥は、ヤマトの主砲起動展開を見て満足げにアニスに語りかけた。が…
「むッ! アニス? おらぬではないか! アニスめ、あやつはどこに行きおったのだ? 厠にでも行ったか?」 キョロキョロ
先ほどまで織田信長元帥の側にいた、青みがかった白銀髪の少女、聖女と呼ばれるアニスの姿は忽然と消えていた。 織田信長元帥は艦橋階下の兵にアニスのことを尋ねた。
「誰か! アニスを見なかったか?」
「「「「「 聖女様? お前見たか? いや見てないぞ! 私どもは見ておりません! 」」」」」 ザワ! フリフリ
艦橋内にいる大勢の兵は、誰1人としてアニスの姿を見た者はいなかった。
「むうう… で、あるか… アニスのやつめ、いったいどこに行きおったのだ…」 キョロキョロ
・
・
ー超重巡航艦「ヤマト」中枢部ー
テクテクテク ピッ プシュウウウ… テクテクテク
ピ ポン!
『アニス様、艦橋を離れて宜しかったのですか?』 ピッ
「ん、ちょっとそれどころじゃ無さそうなんでね」 テクテク ザッ
『前方に位置する正規空母「ヒリュウ」にいる勇者たちの事ですね?』 ピッ
「ん! さすがヤマト、気づいていたんだ」 コクン
『はい、先ほどより正規空母「ヒリュウ」より、膨大な魔力反応が現れました。この偽世界「アーク」の者には会得できないほどの高密度な魔力です。 計算上、これ程の魔力をもつ者は勇者以外いないものと推察しただけです』 ピッ
「ん、その勇者の1人、私が技を教え与えた1人がね、ちょっと無茶をしたみたいなんだ。 まあ相手が相手だから仕方がないけど、ちょっと見に行ってくるよ」 ニコ
『なるほど、中枢から正規空母「ヒリュウ」に向けて転移をするんですね! 確かに、転移を人に見られるのはあまり良くありませんからね、さすがですアニス様!』 ピッ
「ん? 転移? しないよ」 ブンブン
『え? 正規空母「ヒリュウ」に行かれるのですよね?』 ピッ
「そうだけど転移なんかしないよ。 そもそも今の私には転移なんて出来ないから」 サッ
『は? あのうアニス様? アニス様の事は、創造神シュウゴ様からお聞きしていますが、アニス様は全ての神の頂点に、その身を置く存在なんですよね? それは最上の神という事になるのですが、神ならば転移など、瞬間移動などは容易に出来るのではないのですか?』 ピッ
「ん〜まあ神ならねえ、でも私は違うよ? 私は神なんかじゃないからね。 だから今は転移、瞬間移動なんて出来ないんだ。 まあ、特にこの身体じゃあねえ… シュウゴが何を言ったか知らないけど、今の私は出来ないんだ」 サッ
『失礼ながらアニス様… アニス様はいったい…』 ピッ
「ん、話は後でね。 ちょっと急ぎたいからさ、ヤマト、君の装備の一つにある転送装置を使わして欲しいんだ!」 サッ
『なるほど、転送装置ですか… 確かにそれならば瞬時にアニス様を正規空母「ヒリュウ」に送り届けることが可能ですね』 ピッ
「ん! よろしく頼むよヤマト」 ニコ
『わかりました、ではこちらへ』 ピコ!
ポン!
「ん? あの部屋?」 スッ
『はい、転送ルームです』 ピッ
テクテクテク ブシュウウ… ブウウン ブウウン
そこは薄暗い部屋で、その中央に人を転送する事ができる6人分のパレットが6角形状に並んだ転送装置が備わっていた。 探査救助船である「ヤマト」の標準装備で、さまざまな異世界の中に存在する星々に、人を転送、回収する為の装置であった。
テクテクテク トントン タンッ! ファサ…
『準備はよろしいですか? アニス様』 ピッ
「ん!」 コクン
『では、座標は正規空母「ヒリュウ」の艦首甲板上に…… 確認しました。 座標固定! 転送を開始します!』 ピッ
ヒュウウウンンッ! シュバッ! ヒュウウウンン…
『転送終了… アニス様、ご武運を…』 ピッ
アニスの姿は転送装置から一瞬で消えていった。
・
・
・
ー第一機動艦隊旗艦「ヒリュウ」甲板上ー
ドゴオオオオンンッ! メラメラメラ ゴオオーー モクモク…
勇者ヒカルと勇者サトシの神剣と聖剣を使った最大級の神級剣技、その時に起こった勇者サトシの聖剣が威力に耐えきれず限界を超え暴発した結果、大爆発を起こしていた。 彼らがいた辺りには巨大な炎と爆炎、強い魔力風が巻き起こっていた。
モクモクモク ヒュウウ…… ザッ ヨロ… カランッ! ガシャ!
「うう… 」 ポタポタポタ… ググ…
「サトシッ! ああ…そ、そんな、あなた腕がッ!」 ササッ!
「はは… ミスったよスズカ… 痛てて、まさか自分の聖剣が暴発するとはな… うう…」 ドサッ ポタポタ…
爆炎の中から血を流しながら現れたサトシには、右腕が上腕付近から消え無くなっていた。
「は、早く治癒の魔法をッ!」 サッ タタタ
勇者スズカが片腕を失った勇者サトシに駆け寄った時、さらに爆炎の中から勇者ヒカルが現れた。
モクモク ヒュウウ… ザッ ザッ ザッ チャキ!
「ああ〜驚いたあ、すっげえ爆発だったねえって、うん? あは! あははははッ! サトシ! なんだお前、右腕がないじゃないか! しかもそこに落ちてるのは聖剣か? 折れてるッ! 折れてるよウケるッ! 神様からもらった聖剣を折ってやがるぜッ! やはり僕は最強の勇者だ! サトシ! お前は勇者として失格だなああッ! ああっはははははッ!」 ニヤニヤ!
「うう… ヒカル…」 ヨロ ポタタタ…
「ううッ! 笑わないでヒカルッ! 私は絶対あなたを許さないわッ!」 ギュウッ! ジャキン!
「よ、よせスズカ… 今のヒカルは強い、今は… うう…」 ポタタタタ…
「いけないッ! サトシ早く《ヒール》をッ! 待って、私がやるからッ!《ヒールッ!》」 バッ パアアアンンッ!
シュウウウ… ポタポタポタタタ!
「えッ! そんな… 治らない… 血が止まらないわッ! どうして…」
「スズカ… ダメなんだ… この怪我に《ヒール》は効かない… 治癒ができないんだ… うう…」 ググ ポタポタ
「そんな! なんで⁉︎ なんで勇者の治癒魔法が効かないのよ!」 バッ!
「ククク、そんなの決まってるだろ?」 ザッ
「ヒカルッ!」 ザッ
「無駄無駄! 教えてあげるよ、神剣で切られたり刺された傷は神の力の魔法、《ヒール》じゃあ治らないんだぜ? ましてや神剣とやり合った聖剣の暴発だ! 最強の僕は平気だけど、弱っちいサトシにはキツかっただろうね」 ササッ
「なッ! そんな! それじゃあサトシはッ!」
「うう… 」 ポタポタ… ググ…
「そう! その失われた右腕はもう治らないさ! 永遠に片腕なんだ! そんな姿じゃ勇者の称号は剥奪だね」 ニイッ
「ヒカルーーッ!」 ギュウウッ!
「あははは、いい叫び声だよスズカ! だからもうサトシなんか諦めてさあ、僕のものになったらどうだい? サトシはもう終わだよ! 無様な姿を晒すのは嫌だろ? 最強の勇者の僕が苦しまないようにしてあげるよ」 ニヤア! シュバッ! ジャキン!
「ふざけないでッ! サトシは私が守るわッ! あなたなんかにサトシを殺らせはしないッ! 指一本でも触れたらただじゃ済ませないわよッ!」 ビュンッ! チャキ!
「うう… スズカ…」 ヨロ… ポタポタ…
「大丈夫よ、サトシは少し休んでいてね」 ニコ ファサ…
「ククク… いやあ、いいねえ! ますます君を僕のものにしたくなったよスズカ! そうだな、サトシの目の前でスズカを僕のものにしてやろう! それから一思いに殺ってあげるよ」 ニヒヒ… ギュウッ!
「ふんッ! ヒカル、あなた本当に最低な男ね! でも忘れたの? 私たち勇者にあなたの能力は効かないわッ!」 グッ!
「うん、そうだったよねえ… でもね、その体に直に触れて、直接能力を使ったらどうなるのかなあ?」 ニヤニヤ
「なッ! この最低なセクハラ男… 私の槍で叩きのめしてやるッ!」 ヒュンヒュン ビュンッ!
「やれやれ、サトシを見てまだわからないのかなあ? お前たち平凡な普通の勇者じゃ、この偽世界最強の勇者である僕に何年かかっても一生勝てやしない! 無駄な足掻きなのさ!」 ヒュン! チャキッ!
「そんなの… やって見なければわからないでしょおッ!」 シュバッ! タタタッ!
勇者スズカは聖槍を両手に、勇者ヒカルに向かって駆け出していった。
「よ、よせスズカあ… 今の君じゃあ…」 フラフラ…
「ククク、思うつぼだよスズカ、さあ僕のものになるがいいッ!」 シュバッ! ダダッ!
「「 《縮地ッ!》 」」 シュシュンッ! シュババッ!
「はあああッ! 聖槍槍技ッ!《グレイ・ヴルヴェルベントーッ!》」 シュバッ!
シュドドドドドオオーーッ!
「ふふん! そんな聖槍攻撃、あたらなければいいだけの事さ!」 シュン バ ババッ!
「くうッ! 攻撃が当たらない! 私より《縮地》の速度が速いんだ」 シュバババババッ!
「あはははは! 遅い遅い! それが本気かい? そこッ!」 シュババッ!
「えッ⁉︎ きゃああッ!」 バシイイッ!
ザザザアアアーーッ! シュバッ!
「うまいうまいッ! よく防いだね! じゃあこれはどうかなあッ! 聖剣剣技ッ!《スラッシュ・ディストラクションッ!》」 キンッ!
ビュンッ! シュドドドドドッドドオオオーーーーッ!
「うッ! 聖槍槍技ッ!《アーテルッ!》」 ヴンッ!
シュババババーーッ! ガンガンッ! キンッ! シュババッ!
「あはッ! どうしたどうしたあッ! スズカ、そんな技じゃあ僕の聖剣攻撃を防げないよ? ほらもっと早く動きなよお!」 ニイイッ! ドドドドドッ!
「うッ! ううッ!」 ババババッ! キンキンッ!
「ククク、それッ!」 グイッ!
ドゴオオッ! ビュバアアッ! ドオオオオーーーッ!
「あッ! きゃああッ!」 バシイイッ! ベキイイッ! ダンダンッ! ザザザアアーーッ!
「スズカッ!」 バッ!
勇者ヒカルの聖剣攻撃を勇者スズカは必死に防いでいたが、勇者ヒカルが少し力を増して攻撃を浴びせた瞬間、勇者スズカの聖槍が中程で折れ、そのまま後方へと吹き飛ばされてしまった。 右腕を失い、血を流し続けている勇者サトシは体が動かず、ただ勇者スズカの名を叫ぶしか出来なかった。
シュバッ! ザッ! チャキッ!
「あははッ! チェックメイトだねスズカ! さあサトシにさよならだね! 僕のものになるんだスズカ」 ザッ ザッ ニヤア…
「うう… い、いや… やめて… 来ないで…」 ガクガク
聖槍を失い、身体中が擦り傷だらけの勇者スズカは、勇者ヒカルのその力の恐怖した。
「ああ… スズカ、知っていたかい? 僕はねずうっと以前から君のことが好きだったんだ! だけど君はいつもヒカルと一緒にいた… 前の世界では僕は非力だった、だけどこの偽世界では違う! 僕は力をつけたんだ! そう、最強の勇者の力を! さあ、スズカ… 僕のもとに来るんだ! サトシなんかより強い僕と一緒になろう!」 ザッ ザッ
「や、やめろおッ! ヒカル! 俺はどうなってもいいからスズカだけは見逃してくれえ! 頼む…」 ヨロ ポタポタ
ザッ ピタ
「はああ? 見逃せだってえ? 死に損ないのお前の言うことなんか聞けないなあ… サトシ、今からスズカが僕のものになるのをそこで見ているんだね」 ニヒヒヒ…
「うう… く、くそう…」 ポタポタ…
「いやああーッ! サトシッ! サトシーッ!」 ブンブン ガクガク
「さあスズカ、これでお前は僕のものだああッ!」 ニヤアア ババアアーーッ!
勇者ヒカルが勇者スズカのすぐ前まで来て、その右腕を伸ばしてスズカに触ろうとしたその瞬間、その場にいたもの全てに思いもよらぬことが起きた。
ヴンッ! キラキラキラ シュバッ! ズバアアアアーーーッ!
「え? うわああああーーーッ!」 バッ! ビュウウウウーーッ!
「きゃあああッ!」 ババッ! バサバサバサッ!
勇者ヒカルと勇者スズカのすぐ横に、突如として空間転送により眩い光と強風が吹き、それにより2人は引き剥がされ、それぞれ別方向に吹き飛ばされてしまった。 そして、そこには1人の青みがかった銀髪と純白のスカートを靡かせた少女、アニスが現れた。
ババババアアアーーーッ! ふわッ! トン… ヒュウウウウ… ファサ…
「ん、とうちゃーくっと、へええ… ここが正規空母「ヒリュウ」の上かあ… うん? あれスズカ、こんなとこに居たんだ」 ファサファサ
「あ、ああ… アニスちゃんッ!」 ババッ!
「わあッ! なになに? どうしたの?」 ギュウウ…
「あいつが、あいつがサトシを…」 スッ!
「ん? あいつ? あッ! サトシ、右腕を無くしたのかッ!」
「は、はい… う、すみませんアニスさん…」 ペコ
「はああ… まったくもう、ちょっと待っててね、えっと… まずは 《レプセクション》」 サッ パアアン!
「うッ!」 バタン スウ スウ
「サトシッ!」 ババッ
「大丈夫だよスズカ、サトシには眠ってもらったから」
「アニスちゃん…」
「ん、今は眠らしておいた方がいい、あの傷じゃあ痛いだろうしね! さてと… あの人かあ…」 サッ
アニスはサトシを魔法で眠らした後、風に飛ばされ少し離れたところにいた勇者ヒカルを見た。
「はああ… いきなり一体なんだよお、もうちょっとだったのに、僕の邪魔をしないでくれるかなあ」 トントン
「ん、貴方が勇者ヒカルかな? 私はアニス、よろしくね」 ファサ…
「へええ… アニスかあ、いいねえ… うん可愛いじゃないか」 へへ…
「ん?」
「ねえ君、君もスズカと一緒に僕のものにならないかい?」 パチン!
「へ? ねえスズカ、彼はいったい何を言ってるのかな?」 スッ
「ああ… アニスちゃん、あいつは女の敵よ! 私とアニスちゃんを自分のいいようにするつもりなのよ!」
「ん〜、そうかあ… じゃあ、お断りしますね」 ニコ
「はああ? 君もそれを言うのかい? わかってないねえ、僕は最強の勇者だよ? この世界の誰もが憧れるその人さ、どうだい? 僕の元に来ないかい?」 ニッ
「ん〜 やだ!」 ブン!
「そうかあ… じゃあ仕方がないね、君もスズカと一緒に僕の能力で僕のものにするだけさ!」 ニヤア! ジャキン!
「ええ〜… 凄いねえ、女の子を誘うのに剣を使うの? 野蛮な勇者だねえ、そうか! 勇者はみんなそうするのか! スズカも男の子を誘うのに包丁でも振り回して追いかけまわすんだ!」 スッ!
「振りませんッ! なんで包丁なのよッ! って言うかあ、普通は異性を誘うのにそんな事はしませんッ! してたらそんなの、愛の無い、ただの迷惑行為じゃあないですかあッ!」 ガア!
「あははは、そうだよねえ… じゃあ彼だけがおかしいのかあ」 ふむ…
「うううッ! おかしいと言うなああッ! いいだろう、アニスと言ったな、君は僕専用の奴隷にしてあげるよ!」 ニイイ!
「ん、お断りですね」 ニコ ファサ
「ククク、いくら拒んでもこの攻撃でぼくの言うことを嫌でもきかせてやる!」 ニイイ ザッ!
「アニス様気をつけてッ! 特にヒカルの特殊能力は危険です!」 バッ
「ん!」 コクン
「あはははッ! アニス行くぞお!《縮地》」 シュバッ! ヒュンッ!
「へええ、《縮地》かあ… 」 スウウ チャキ!
アニスは背中腰にある神器、ミドルダガーの「アヴァロン」を鞘から抜き構えた。
「ア、アニスちゃんが… あのダガーを抜いた?」
シュンシュンッ! シュバババババアアアーーッ!
「はんッ! やっぱ普通の女の子だね! 僕のこの早い動きに驚いて動けないでいんだ! ククク、さあ! その身も心も僕のものにしてやるッ!」 バババババッ!
「ん! みいつけた!」 シュバッ! ヒュン!
「えッ? 消え… た?」 キョロキョロ
アニスが高速移動術で近づいてくる勇者ヒカルの気配を感じ、位置を見極めた瞬間、その場から無動作で瞬時に姿を消した。 そして一瞬後…
ビキイッ! ドオオオオオオンンンッ! ブワアアアアーーーッ! バチバチバチッ!
「うわああああッ!」 ドサッ ゴロゴロゴロ ザザザアアアーーッ!
突然勇者ヒカルが叫び声を上げながら、正規空母「ヒリュウ」の甲板上を転げ回り現れた。
シュンッ! トン ザッ ファサファサ
「ん! まずは一撃」 ファサファサ チャキ!
「すごい… やっぱりアニスちゃんは最強だわ」 ギュ
勇者スズカの前には、青みがかった白銀髪と純白のジャケットにスカートを風に靡かせ、神器ミドルダガーの「アヴァロン」を右手に構えたアニスが颯爽と立っていた。
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次回もでき次第投稿します。