第292話 「青龍隊」偵察と初陣
ー正規空母「ヒリュウ」所属「青龍隊」ー
ヒイイイイイイイイインンーーー シュバアアアアアーーーッ シュンッ! シュシュンッ!
第一機動艦隊司令、南雲忠一中将より強行偵察任務を受けた井伊直政中佐率いる「青龍隊」7機が、高度800mまで下げ、何もない海上を、敵編隊を求めて高速飛行していた。
ピーーーッ
『マスター、現在チャートNo.017 エリア166 御蔵島と八丈島との中間点、間も無く目標の敵ブレードナイト部隊と遭遇します』 ピッ
「よし! 001、強行偵察任務だ、奴らのセンサーに見つからないように近付きたい、指示をくれッ!」 カチカチ タン!
『了解ですマスター、では2分18秒後に編隊をダイブ、高度18m、速度720ノット、方位修正左にSS18° 2分後にSW16° にハンドオーバー、右に方位修正をお勧めします!』 ピッ
「了解だ! まかせろ! 各機、聞こえたな? 今から2分後に速度を上げ高度を下げる、遅れるなよッ!」 グイッ!
『『『 了解ッ! 』』』 ピピッ!
『こ、高度18mッ⁉︎ しかも速度720ノットでッ⁉︎』 ピッ
『か、海面上を戦闘速度で? 俺たちに、できるのかッ⁉︎』 ピッ
『た、隊長ッ! 陸上じゃないんですよッ! 高度18mを速度720ノットでなんて、海に落ちたら一瞬でおしまいじゃないですかッ!』 ピッ
井伊直政中佐のライナー支援啓発システムが出した指示に、第一小隊のアラン、マイロ、ジェシカの3人は指示通り操縦する事など造作もない事、容易く出来るため即座に返事を返したが、第二小隊の学徒動員兵である三井准尉と柴田、山下曹長の3人は、陸上ではない初めての高速海上低空飛行に戸惑いと恐怖を感じていた。
『マスター、ダイブ開始まであと1分30秒です』 ピッ
「三井ッ、柴田ッ、山下ッ! しっかりついて来いッ! 遅れるなよ! これはお前たちの実戦を兼ねた訓練でもあるんだ!」
『『『 訓練ッ! 』』』 ピッ
「そうだ、よく覚えておけよ! 海上では機体を隠す場所がない、高度を取れば敵のセンサーに捕捉されすぐに見つかってしまう、だが高度を下げて海面すれすれを移動すれば、3000mの高空にいる奴らからは肉眼での捕捉はほぼ不可能、索敵センサーも海面の波で電波が撹乱され、こちらも容易には捕捉ができないはずだ!」
『そ、そうなんだ… 了解しました中佐殿ッ!』 ピッ
「いいかッ! 敵に見つからず接近し、偵察任務を強行するッ! できるだけ高度を下げ、高速で敵センサーを掻い潜り、取れるだけのデーターを取って旗艦『ヒリュウ』に報告するんだ! まあ、俺が強行偵察に入ったらお前たちは周囲警戒と迎撃に集中しろッ! 俺の指示通り動け! でなければ三井ッ、柴田ッ、山下ッ! お前たちはここで死ぬぞッ!」 ギンッ!
『『 ひッ! 』』 ビクッ!
『死ッ⁉︎ そんな…』 ガクガク ピッ
「現状をよく見ろッ! もうここは安全な訓練場じゃあないッ! 戦場だぞッ! 敵に見つかれば奴らは容赦無く攻撃してくる、できるだけお前たちを守るつもりだが偵察をしながらだ、俺にも限界はある。 その時は自分自身でその身を守れ! 敵に対し躊躇するな! 撃たなければ撃たれるぞッ! 一瞬の判断を誤ればお前たちは撃ち落とされ死ぬことになるんだッ!」 ギュッ!
『し、死ぬ? 俺が、俺たちがここで死ぬ? うう…』 ピッ ググ…
『隊長…』 ピッ ガクガク…
ピコ
『マスター、あと1分です』 ピッ
『三井准尉、大丈夫だよ!』 ピッ
『え?』 ピッ
『隊長だけじゃない、僕らもいるんだ!』 ピッ
『そうよ、私たちが一緒にいてあげるから心配しないで』 ピッ
それは、アラン達第一小隊、アトランティア帝国の3人の英雄達からの通信だった。
『お前ら…』 ピッ
『三井様! ここまで来たらもう後戻りしてる暇などありません!』 ピッ
『じ、自分も覚悟を決めました!』 ピッ
『柴田、山下、お前たち…』 ピッ
『『 さあッ! やりましょう! 』』 ピピッ!
『………』 ググ…
ピコ
『マスター、ダイブ開始まであと30秒、カウントダウン開始』 ピッ
『分かった… やるぞッ! やってやるッ! 中佐殿! 指示をお願いします!』 ビッ グッ!
『13、12… マスター、10秒前です。 8、7、6、5…』 ピッ
「ふッ! よし! 全員俺に続けッ! 遅れるなよッ!」 ピ ピッ! ギュッ!
『『『『『『 はいッ! 』』』』』』 ピピピッ!
『2、1ッ! マスターッ!』 ピッ ビコッ!
「よおっし! 全機ダイブ開始ッ!」 グイイッ!
ヒイイイイイインンンッ! バウウウウウーーッ! シュバアアアアーーーッ!
『『『『『『 了解ッ! 』』』』』』 グイイイッ! ギュウウッ!
ヒイイイイインンンンッ! バウウウウウーーッ! シュババババアアアーーーッ!
ビュンッ! ビュンビュンッ! ババババッ! ギュウウウウンンッ!
「青龍隊」7機のブレーのナイトがスラスターを全開にして、800mの上空から海面スレスレの18mの高度まで一気に急加速で降下して行った。
ゴオオオオーー シュババババアアアアーーーッ! ビュンビュンッ! ビュンッ!
「ううううッ!」 ガタガタガタ ビリビリビリ ピ、ピピピ!
急降下で振動する操縦席内、その正面メインモニターの隅にある高度表示計の数字が瞬く間に減っていった。
『降下速度720ノット、高度500m』 ピッ
ギュウウウウウウインンンッ! シュババババアアーーッ!
『降下速度780 ノット、高度300m』 ピッ
ガタガタガタガタ ビリビリビリ!
「う、うう… 体が…」 ググ…
『准尉ッ! 気をしっかり持て! 正面に集中しろ!』 ピッ!
「は、はいッ! く、くそおおッ!」 ググッ!
『ううう… こ、こんなッ!』 ピッ グググ…
『あ… 腕が…』 ピッ ググッ ギュウッ…
急降下により発生する強力な擬似重力に、学徒動員兵の三井准尉ら3人は必死に耐えていた。
ガタガタガタ ギシギシ ピ ピ ピ
「隊長機より各機へ、高度100で逆加速だッ! 準備ッ!」 カチカチ タンタン ピコ!
『『『『『『 了解ッ! 』』』』』』 ピピッ! カチカチ ピコ!
ギュワアアアアーーーッ! ピ ピ ピ ピピピピ! ビコッ!
『降下速度800ノット、高度100m、マスターッ! リバース開始ッ!』 ピッ
「おうッ! 全機逆噴射ーッ! 速度を落とし高度18mに着けええッ!」 カチ グイイッ! ギュウウッ!
『『『『『『 了解ッ! 』』』』』』 ピピッ! グイイイッ!
バウウウウウウーーーッ! ドオオオオーーッ! ガクンッ! グググッ ババババアアーーーッ!
高度100mを過ぎたあたりで、7機全機が逆噴射で急降下速度を急激に落とし、機体を海面上18mの高さへと持っていった。
「いいぞッ! 全機そのまま水平方向に最大加速ッ! スティックを引けッ! 機体を引き上げコース変更7.228ッ! マーク18アルファッ!」 グイッ!
『了解です中尉ッ! 後に続きますッ!』 ピッ グイッ! バウウウウウーーーッ!
バババッ! シュバアアアアーーーッ!
『へええ、良い機体じゃないですか、反応がいい!』 ピッ グイッ! バウウウーーッ!
『ええ元々の設計がいいのね、これなら行けそうだわ!』 ピッ ニコ グイッ! バウウウウウーーーッ!
ギュンッ! シュバババアアアアーーーッ! ドウウウウウーーッ!
第一小隊、アトランティア帝国の英雄、アラン、マイロ、ジェシカの3人は高速急降下から最も簡単に機体を制御し、高度18mまでの高度を取ると隊長機の「SHIDENKAI 21型 H001」の後を追い、3機編隊のまま720ノットの高速で追従していった。そして第二小隊の三井准尉らも…
ババババババアアーーッ! ガタガタガタ… ヒイイイイーーー… ピ ピ ピ
「ハアハア… 高度18ⅿ! や、やった! できた! できたぞッ! 401ッ!」 ギュウッ!
ピコ!
『はいマスター、現在、海面上高度18ⅿ、速度720ノット、隊長機と同高度を維持飛行中ッ!』 ピッ
ヒイイイイイイイーーッ! ブオンッ!
「ふむ、上出来だ、三井准尉ッ! それと柴田ッ、山下ッ、お前らもなッ!」 ニイ
『ハアハア、ありがとうございます隊長… もうだめかと思いました』 ピッ
『うう…こ、怖かったああ…』 ピッ
シュバアアアアーーーーッ! ピ ピ ピ
「よし、お前らそのまま俺について来いッ!」 グッ!
『『『 はいッ! 』』』 ピピッ!
「さてと、001ッ! 状況報告だ!」 グッ!
ピコ
『はいマスター、現在、当部隊は海面上高度18m、速度720ノットで飛行中! 第一小隊は3機編隊のまま当機左舷を飛行中、第二小隊は当機後方にて編隊が解け、各機単機飛行中、全機機体に異常ありません』 ピッ
「よしッ!(むうう… 学生たちは兎も角、第一小隊の3人は『ZERO』は初めて乗る機体だったはず、それをこうも容易く操縦するとは… さすがはアトランティア帝国の英雄だな、急降下後の機体姿勢、隊長機との位置取り、全て完璧だ…)」 ジイイ…
バウウウーーッ! シュバアアーーッ! グググッ! ビュンビュンッ! ビュンッ!
井伊直政中佐のブレードナイト「SHIDENKAI 21型 H001」を先頭に実戦使用の修練機、6機の「ZERO 11型」の強行偵察部隊「青龍隊」は、中佐の指示通り海面上18mの位置を高速の720ノットとという速度で飛んでいった。
・
・
・
ー八丈島上空、反乱軍ブレードナイト部隊ー
ヒイイイイイインンン シュバババババアアアアーーーッ
ブオンッ! ピ ピ ピ
「あははははッ! いいねいいねえ、これだけのブレードナイト、どう使おうか迷っちゃうなあ、どうしようかなあ」 ククク…
シュバアアアーー ビュンビュンッ! ビュビュンッ! ゴオオオオーーーッ!
井伊直政中佐率いる強行偵察隊、「青龍隊」が高度18mという低空飛行で飛んでいるその前方上空3000mを、勇者ヒカル率いるブレードナイト106機の大編隊が、ヤマト皇国国防軍の反乱軍討伐第一機動艦隊旗艦、正規空母「ヒリュウ」を攻撃する為に飛んでいた。
ピコ
『マスターヒカル、現在当機は八丈島上空を通過、目標の機動艦隊まで約18000mです』 ピッ
「了解だ、このまま進んで、空母を沈めてやる! なあ『REPPUU』、これだけブレードナイトが居るんだ、空母の一つや二つ簡単だろ?」 ニイイ
『マスターヒカル、残念ながら少し難しいかと思われます』 ピッ
「ええ〜ッ? なんでだよ? これだけたくさんのブレードナイトがいるんだよ? できないの?」
『はい、マスターヒカル、要塞から引き連れて来たブレードナイトは拠点防衛型局地戦闘用の「ZERO 32型」45機、そこへ先ほど編入されたブレードナイト「SHIDENKAI 22型」60機は迎撃戦闘機、両者共に戦闘機なので空母など艦艇を攻撃、撃沈は不可能です。 それを目的とするには戦闘機でなく爆撃機や攻撃機でないと出来ません』 ピッ
「へええ、そうなんだ、なんで?」
『マスターヒカル、ブレードナイトと違い、空母など全ての艦艇は駆逐艦に至るまで強固な防御力とフォトンフィールド、対空装備および艦を護衛する為のブレードナイトを保有しています。 戦闘機の攻撃兵装では撃沈は不可能、艦艇攻撃には爆撃機や攻撃機が装備する対艦兵装が必要となります』 ピッ
「ふ〜ん、お前の装備、300mmインパクトカノンでもダメかな?」 ギュッ ギュッ!
『はいマスターヒカル、当機標準装備の300mmインパクトカノンは対ブレードナイト用です。 ブレードナイト相手でしたら一撃で粉砕できます。 しかし、空母のような大型艦艇のフォトンフィールドを貫通し、艦艇の装甲を破壊、撃沈する事は不可能です』 ピッ
「なんだそうかあ、どうしようかなあ…… ん〜…」 ポリポリ…
勇者ヒカルは、操縦席内で頭を掻きながら第一機動艦隊への攻撃方法を考えながら、すぐ近くを飛ぶ一機のブレードナイト「SHIDENKAI 22型」を見てある事を思いついた。
「うんッ! あはは、いい事を考えた! そうだよ、そうしよう!」 ポン
『マスターヒカル、どうかされましたか?』 ピッ
「うん? いや、ナイショだよナイショ! ククク、僕は勇者最強なんだッ! 僕の力を使えば…(ククク、空母に乗り込んで空母ごと僕の支配下にしてやるッ!)」 ニヤアッ
『マスターヒカル?』 ピッ
「ああ、『REPPUU』、とりあえずこのまま警戒しつつ敵艦隊まで飛ぶんだ!」 サッ
『了解しました。 あとひとつ、ご報告があります』 ピッ
「なんだい? 教えてくれるかな?」
『はいマスターヒカル、センサーの外れに微かな機影が、敵艦隊からの別動隊かと思われます』 ピッ
「へええ、別動隊かあ、皇国のヤツらもやるじゃないか! で、どこかな? ん〜… ここからじゃ見えないか…」 グッ キョロキョロ
勇者ヒカルは、操縦席の全周囲モニターの隅から隅までを見渡し、別動隊のブレードナイトを探した。 だが、彼の目にはそれらしきものは見ることが出来なかった。
『マスターヒカル、当部隊の前方下方、チャートNo. 017 エリア166 マークポイント7 速度720ノット、海面上を7機の反応の捕捉、今、拡大表示します』 ピッ
ブウウンン ピ ピピピピ ビコビコ!
ヤマト皇国国防軍の最新鋭秘匿機、次期主力艦上戦闘機「REPPUU」の操縦席内にある全周囲モニターに、サブウインドウが開き、そこには海上スレスレを飛ぶ7機の機影がはっきりと映し出され、その機体の機種名まで表示されていた。
井伊直政中佐の「青龍隊」は、索敵センサーに引っかからないように低空飛行を行ったが、秘匿最新鋭機、次期主力艦上戦闘機「REPPUU」の最新型索敵センサーからは逃れる事が出来なかった。
「あはッ! 見えた見えたッ! へええ… 1、2、3… 確かに7機だ、凄いねえ、丸見えじゃないか!」
『最新鋭機の私にとってこの程度、当然の機能、造作もない事です』 ピッ
「ええっと… 『SHIDENKAI』と『ZERO… 11型?』、なんだアイツら、『ZERO』シリーズの初期型? 実戦仕様の修練機? ククク… 『SHIDENKAI』以外は練習用の旧型機じゃないか、あはははッ!」
『マスターヒカル、機数と機種、それにこの高低差、おそらく別動隊は偵察が任務と推測します』 ピッ
「あははは、偵察かあ… 偵察部隊にいちいち下に降りるのも面倒だよなあ… ブレードナイトの数も足りてるし… 」 う〜ん…
『ではマスターヒカル、無視しますか?』 ピッ
「いや、僕が偵察とはいえ、敵を見逃すわけないだろ? このまま周りをウロチョロされるのもうっとおしいし、邪魔だから消えてもらう! 後方の20機ッ!」 ピッ!
『『『『『 ハイ、勇者ヒカルサマ 』』』』』 ピピッ!
「あいつらに絶望を見せてやるんだ! 邪魔者を消せッ!」 バッ!
『『『『『 ハイ、勇者ヒカル様ノゴ命令ノママニ 』』』』』 ササッ! ピッ!
ブオンッ! ババババッ! バウウウウウーーーッ! シュバアアアーーーッ!
「あはは、行った行ったッ! やはり僕の能力は最強だね、この能力があればどんな人間も僕には逆らえない! 人を思い通りに動かせるこの能力… うん、これはもう神様じゃないかッ! ククク… そうだ… 今の僕は勇者の枠を超えた存在だ… あははッ! うんもうこれは人じゃない! 神だッ! この世界を僕の自由に出来る神なんだ! ああ、なんて素晴らしいんだ! どいつもこいつもみんな、僕の奴隷だあッ!」 ババッ! バアアーーッ!
勇者ヒカルは完全に自分の能力に自己陶酔していた… 勇者ヒカルの命令で、大編隊の後方を飛んでいたブレードナイト「ZERO 32型」20機が大編隊から離れ、一気に急降下して行った。 「ZERO 32型」のライナー達45名は、元は父島要塞所属のブレードナイト部隊のライナー達だった… だが、今は人としての理性も感情も失い、ただ勇者ヒカルの命令を忠実に聴く人形と化していた…
「さあお前らッ! 人間同士潰しあえッ! 消えてしまえッ! ああっははははッ!」 バッ!
ギュウウウウウウンンンッ! シュババババアーーーーッ! ピ ピ ピ
『『『『 邪魔者ハ消セ… 邪魔者ハ消セ… 勇者ヒカル様ノタメニ… 』』』』』 ぶつぶつ…
ギュウッ! グイッ! ドオオオオーーーッ!
・
・
ヒイイイイイーー… シュババババアアーーーッ!
ピコ!
『マスター、前方上空3000mに敵編隊』 ピッ
キラキラ ゴオオオオーーー……
「おう! 見えてるぜ001! 各機、聞こえるかッ!」 カチ!
『『『『『『 はいッ! 』』』』』』 ピピッ
「俺はこれから最大速度で奴らの中に突っ込み、情報を得たのち離脱帰還する! お前らはここでだ! その様子を観察、記録した後、直ちに全速力でこの場を離れ、空母『ヒリュウ』に帰還しろッ! いいか? スラスターを全開にして全速力で帰るんだ! アラン、マイロ、ジェシカの3人は第二小隊の3人を援護ッ! 頼むぞッ!」 カチカチ ピコ ピコ ピッ!
『隊長、本当に隊長だけで行くんですか? 本来ならば強行偵察は2機、もしくは3機の護衛を付けて行う任務のはずですよ?』 ピッ
『そうですよ隊長、1人でなんて無茶です!』 ピッ
『敵は100機以上ですよ! いくら強行偵察でも護衛もなし行けば集中攻撃を受け、帰って来られませんわッ!』 ピッ
「アラン中尉、マイロ中尉にジェシカ中尉… 確かに本来ならばそうだ! だがすまんな、これが俺に与えられた任務だ! それに、今の現状ではそれができない!」 カチ タンタン ピコ!
『隊長?』 ピッ
「今、この戦場で俺の背中を任せられるのは、お前らだけだ! だが、三井准尉らは初めての戦場だぞ? 初陣のあいつらだけを戦場に残して行く訳にはいかないんだ!」 ピピピピ ビコ!
『隊長…』 ピッ
『すみません隊長… 自分たちが今回初めてで… その…』 ピッ
『『 すみませんッ! 』』 ピピッ
「あん? 何謝ってんだお前ら! 初めてなんて誰にでもあるッ! この俺だって初陣は14の時だ! まだブレードナイトも今のような高性能機じゃなくてな、ライナー啓発、支援システムなんて物もなかった時代だぞ? それに比べたら今のお前らはいい機体に乗れて羨ましいぜ!」 ニイッ!
『『『 隊長… 』』』 ピピッ
ビイーーッ ビイーーッ ビイーーッ
その時、各機の全てのライナー支援システムが警報を鳴らした。
『マスターッ! センサーに反応ッ! 上方より高速急降下機ッ! 機数20ッ! 敵機ですッ!』 ピッ ピピピ ビコ!
「ちいッ! バレてたかッ!」 ギュウッ!
『『『『『『 隊長ッ! 』』』』』』 ピピッ!
「強行偵察は中止だッ! 全機散開ッ! 上昇ッ! 俺に続けえッ!」 グイイッ!
『『『 了解ッ! 』』』 ピピッ グイイイッ!
ヒイイインッ! バウウウウーーーッ! シュバアアーーッ! ヴオンッ!
井伊直政中佐の対長機に続き、第一小隊の3機は即座にスラスターを全開にして急上昇を始めた。
ビイイッ ビイイッ ビイイッ!
『マスター上空より敵機! 隊長機と第一小隊は急上昇迎撃を開始! 続いてください。 マスター…』 ピッ
「わ、わわわッ! て、敵だッ 敵が来るッ!」 ガクガクッ!
操縦席内で、警報が鳴り響く中、三井准尉は突然の敵襲に体が萎縮してしまっていた。 初陣で初めて経験する敵との遭遇戦、16歳の彼にとっては無理もなかった。 ただこれは彼だけでなく、初陣である第二小隊全員が同じような状態であった。
『み、三井様ッ! 直ちに戦闘準備です! 上昇してくださいッ!』 ググ… ピッ
『そ、そそ、そうですよ三井様ッ! は、早くッ!』 ブルブル ピッ
「わ、分かっているッ! お前ら行くぞッ!」 グイイッ!
『『 はいッ! 』』 ピピッ
ヒイイインッ! バババウウウウーーッ! シュバアアアアーーーッ!
井伊直政中佐と第一小隊のアラン、マイロ、ジェシカの4人は、急降下接近して来る敵機に対し即座に反応し、迎撃の為に急上昇して行ったが、学徒動員兵で初陣の第二小隊の三井准尉ら3人は迫り来る20機の敵機に恐怖を感じ、一瞬出遅れてしまった。
シュゴオオオオーーーー ピ ピ ピピピ ビコビコッ!
「あれかッ! 001ッ!」 グッ
『マスター、前方より20機が急降下接近中です! 相対速度1400ノット! 機種は「ZERO 32型 IFG」と確認』 ピッ
「『32型のIFG』だと? 要塞所属守備部隊のブレードナイトかッ! しかもたかだか7機に20機だと? 完全にオーバーキルじゃねえか、くそッ!」 ギュウッ!
『隊長、要塞守備部隊のブレードナイトがどうかしたんですか?」 ピッ
「ああ、アラン中尉、32型のIFGは、航続距離の短い局地戦闘機なんだ。 父島要塞からここまでの距離、さらに空中格闘戦なんざしたら、一機も帰れない… 反乱軍の奴ら、死ぬ気でくるぞっ!」
『了解しましたッ! マイロッ! やれるか?』 ピッ
『アラン、準備はできてる、隊長、先制攻撃しても?』 ピッ
シュバーーーーーッ! ジャキンッ! ピタッ!
高速上昇中のマイロ中佐のブレードナイト「ZERO 11型 J224」は、その両手に300mm長射程機関砲を構えていた。
「マイロ中尉! 上昇中に急降下中の敵機を打てるのかッ⁉︎」 バッ
『照準に3機、捕捉してます』 ピッ ピピピ ビコビコ! ピイッ!
『マスター、300mm長射程機関砲、敵機を捕捉中、撃墜可能です!』 ピッ
『だそうですよ、隊長』 ピッ
「むうう(信じられんが200mmインパクトカノンではまだ射程外だ、長射程機関砲は射程は長いが高速で動く標的を捉えるなんざ至難の業! しかも一度に3発が限界、これも英雄の能力なのか?…)」 ジイイ…
『隊長?』 ピッ
『マスター、敵との距離1600mッ! 接近中!』 ピッ
「よしッ! マイロ中尉ッ!」 バッ
『了解、『ZEROッ!』斉射ッ!』 カチッ! ビコッ!
ヒュインッ! ドバババッ! シュンシュンシュンッ! ビュウウウ……
300mm、フォトン炸裂弾が三発、遥か上空へと飛んで行った。 そして、約5秒後… 炸裂弾が消えて行った先に3つの光が輝き、炎の尾を引いて、3機のブレードナイトが落ちて行った。
チカチカチカッ! ドオオオオオンンンッ! バアアアアーーッ!
ビコッ!
『マスター、敵機3機の撃墜を確認ッ!』 ピッ
「すげえ、本当に当てやがった」
『マスターッ! 敵機直近ッ!』 ビイイーーッ!
ギュワアアアアーーーッ! ブオン!
「うおッ!」 グイッ! カチッ
ブオオオオオオーーッ! ドババッバババババッッ!
マイロ中尉の長距離射撃の結果に見惚れている隙に、相対速度1400ノットという速度は、数秒で敵味方の距離がなくなる速度であった。 井伊直政中佐は突然目の前に現れた敵機に向けて、200mmインパクトカノンの引き金を引いた。
バババッ! ガンガンガンッ! ドオオオンンンッ! ドガアアアアンンッ! バラバラバラ…
ビコッ!
『敵機に命中! 大破撃墜! さらに敵機! 左翼に3機、上方に5機、6機が右翼に展開中!』 ピピ ピコピコ ピコピコ ピッ!
「エンゲージッ! 敵機はベテランライナーだッ! 囲まれるぞ! 各機散開しろッ! 全力戦闘だッ!」 グイッ!
『『『 了解ッ! 』』』 ピッ
バウウウウウーーーッ! バアアアーーッ! ヴオンッ!
ギュウウンッ! ババババッ! シュンシュバッ! ビュンビュンッ! ダンダンダン! バババ!
あっという間に八丈島近海は敵味方ブレードナイト同士が入り乱れての空中格闘戦に入っていった。
シュッバババーーッ! ブオンッ!
「オ…落トセ… アレハ邪魔者、邪魔者… ハ排… 除…」 ググッ! ピ ピピピッ!
シュバアアアーーー ビコ!
『マスター、後方より敵機、「ZERO 32型』2機が急接近中!』 ピッ
「了解だ『ZERO』追加ブースターを使う、高速戦闘モードッ!」 グッ
『了解しましたマスター、ブースターの連続使用時間は30秒、それ以上は機体が持ちません、注意してください
』 ピッ
「充分ッ! 行くぞッ『ZEROッ!』 『ヴェンダーウイングッ!』」 グイイッ!
バッ! ドオオオオオーーーッ! ギュウウウウインンッッ! シュバアアーーッ!
アラン中尉は自身の魔力を放出し、「ZERO 11型 J218」の能力を大幅に上げ、増速用追加ブースターを全開にした。 急加速で2機の敵ブレードナイト「ZERO 32型」を引き離したかと思えば、急反転して、追ってきていた2機に迫って行った。
ピ ピピピピ ビコビコ ピ!
『マスター、敵機2機を捕捉!』 ピッ
「了解だ『ZERO』」 カチ!
ヴオオオオオオーーーッッ! シュバババババッ! ドドドドドッ!
ドオオオオンンッ! ダアアンンッ! メラメラ バアアアーーッ! ドガアアンンッ!
『2機、撃墜を確認!』 ピコ!
「よし、他のみんなはッ!」 バッ
アラン中尉はあっという間に敵機に機を撃墜し、隊長や仲間の状況を見渡した。
・
・
「よし、『ZERO』アサルトモード!」 ピッ カチカチ ピコ!
『了解ですマスター、前方より敵機!』 ピ ビコ!
「うん、見えてるよ!」 ピピピ ビコビコ! カチ!
ダンダンダンダンッ! バンッ ドンッ ドカドカッ! ベキイッ!
ドオオオンンンッ!
『マスター、敵機の撃墜を確認』 ビコ!
「よしっと、次はッ!」 キョロキョロ
・
・
「遅いわよ! そこッ!」 カチッ!
ヴオオオオオオーーーッ! ドババババッ! ガンガンガン! ベキッ!
ドオオオオオンンンッ!
『敵機撃墜を確認!』 ピコ
「さあ、次はだれ? って、あら、あれは…」 ジイイ…
乱戦状態の中、アラン中尉をはじめ、マイロ中尉、ジェシカ中尉の3人は確実に敵機を撃墜していった。そんな中、少し離れた場所に、三井准尉ら3人が敵機に背後を取られ苦戦しているのを、ジェシカ中尉は気がついた。
・
・
シュバアーーー ギュウウウンン! ババババッ! ババババッ!
「う、わわ、く、来るなくるなああッ!」 シュバッ シュバッ バババッ!
「わああッ! 死ぬッ! 死ぬううッ!」 ギュウウッ!
「柴田ッ! 三井様ッ!」 シュバアアッ!
ギュワアアアアーーーッ! ブオンッ!
「ウ… ウウ… 邪魔者ハ排除… 勇者ヒカル様ノ為ニ… 」 グググ… ピピピピピ ビコ!
「ハ… 排除… 邪魔者ハ排除…」 ググ… ピピピピピ ビコビコ! ピッ!
学徒動員兵の三井准尉らのブレードナイト3機を必要に追いかけ、今まさに銃撃の照準を3機に合わせようと、2機のブレードナイト「ZERO 32型」の姿がそこにあった。
「「 ウググ… 排除ダ! 命令… 邪魔物ハ排除… 」」 グッ
「「「 うわあああッ! 」」」 ギュウウッ!
3人は銃撃を覚悟した。 が、そのとき…
「はあああッ! 『クーゲル・シュナイダーッ!』」 ブオンッ! ビシュウウーッ! シュザッ!
ビュンッ! ザシュバアッ! ザンッ!
「ガア!… アア… 邪魔… 者… メ…」 ジッ ジジジ… ドガアアアアンンッ! ドオオオオオーー…
突如、銃撃をしようとした敵ブレードナイト「ZERO 32型」の眼前に、ジェシカ中尉のブレードナイト「ZERO 11型 J253」が現れ、瞬く間に2機のブレードナイト「ZERO 32型」をフォトンソード、ブレードナイト用ライトニングセイバーで切り裂き、撃墜してしまった。
ブワアアアーーー バキバキ モクモク ババーーッ!
「「「 うわあああーー! 」」」 バッ
「なッ! こ、これが戦場… ブレードナイト同士の本気の戦い…」 ううう…
三井准尉は目の前で容赦なく切り裂かれ破壊されて爆散していくブレードナイト「ZERO 32型」を見て、戦場という場の空気の凄さと恐怖を感じ取っていた。
ババババアアーーー シュウウウウウウーー…
ピコ
『マスター、2機の撃墜を確認』 ピッ
「ふうう、間に合ってよかったわ!」 グッ
「「「 あ、あああ… う… 」」」 ガクガクガク ブルブルブル…
ヒイイイイイイイインンン シュバアアアア… ヴオン!
「大丈夫? 貴方たち怪我はない?」 ブン! シュウウウ…
「ジェシカ中尉ッ! た、助かりました、 ありがとうございます!」 ふうう…
「本当です、もうダメかと思いましたよ、ねえ三井様」 フリフリ…
「あ… う、うう…」 ガクガク…
「「 三井様? 」」
三井准尉はジェシカ中尉の闘いぶりを見て、思考が停止していた。
「まったく… 三井准尉ッ!」 バッ
「あッ は、はいッ!」 ビクッ!
「しっかりしなさいッ! 貴方は生きて帰るんでしょっ!」
「はッ… そ、そうだ、俺はこんな所で死んでいい人間じゃあないんだ! 生きて、生きて帰るんだ!」 グッ!
「ふふ、ならしっかりなさい、まだ敵機がいるわ!」 サッ
「うッ!」 バッ!
ギュウウウウウンンンッ! バババババッ! ドオンッ… キュウウウンッ! ビュンビュンッ!
三井准尉がジェシカ中尉の示唆した先を見ると、隊長の井伊直政中佐や第一小隊のアラン中尉とマイロ中尉の3人が、いまだ健在の敵ブレードナイトと激しい空中戦を展開していた… そんな中、1機の高速で動き回るブレードナイトが巧みな操縦技術で動き回り、敵ブレードナイトを撃墜した、
ギュウウウンンッ! ヴオオオオオオーーーッ! ドン ガンガン! ドオオンンーーッ!
「アラン中尉… 同じ修練機でもあんな動きができるんだ…」 ジイイ…
ヒュウウンンッ! シュバアアアアーーーッ! ビュンビュンッ! ゴオオオオーーー…
その時、井伊直政中佐の機体が3機の敵に追われているのが見えた。
「「「 隊長ッ! 」」」 ババッ
「いい? 私は行くけど、貴方たちは3人1組で1機の敵に当たりなさい!」
「ジェシカ中尉…」
「大丈夫、オフェンスは三井准尉、柴田曹長と山下曹長はデフェンス、准尉の攻撃の時の援護をするのよ!」
「「 はいッ! 」」 サッ
「いいわね? 三井准尉!」
「あ… ああ、分かった… 言うとうりに…そうする!」 ググ…
「ふふ、じゃあね! 行くわよ『ZEROッ!』」 ニコ グイッ!
『了解です、マスター』 ピッ
ヒイイイイイインンッ! バウウウウウウーーーッ! シュバアアアアーーーッ!
ジェシカ中尉の「ZERO 11型 J253」は、スラスターを全開にして、急上昇していった。
・
・
ヒイイイイインンッ! ババババアアアアーーーッ! ピ ピ
ビイイーーッ! ピコ
『マスター、敵機が3機、後方より接近』 ピッ
「ああ、わかってるぜ! 001!」 グイ グイッ!
ゴオオオオオーーッ! ブオンッ!
「ジャ、邪魔者… 消セ… 勇者… ヒカル様ノ… 二…」 ググッ…
ピピ カチ
「おい聞こえるか『32型』のライナーッ⁉︎ 俺は皇国軍ライナー井伊直政中佐だ! 同じ皇国軍ライナー同士、話をしようじゃないか⁉︎」 ピッ
『ジ…ジジジ… ブツブツ…』 ピッ
「おい! 3機のうち誰か、誰でもいい返事しろッ!」
『ブブブ… ジジ… 邪魔者…』 ピッ
「なにッ!」
『邪魔者ハ… 消セ…』 ピッ
「貴様ら、何を言ってる! 正気を戻せッ!」 バッ
『全テハ…勇者ヒカル…様ノタメ…』 ジイイイ…
「なッ! 勇者ヒカルだとッ⁉︎ まさか、勇者の洗脳か… (ありゃもうダメだな…)」 グイッ!
バウウウウウーーーッ! クルッ! ブオンッ! プシュウウウーー… ジャキッ!
井伊直政中佐は、ブレードナイトを急制動で止め向きを変え、追って来ていた3機のブレードナイト「ZERO 32型」に向けて、200mmインパクトカノンを構えた。
ゴオオオオオーーーッ! ピ ピ ピ
『マスター、敵機が3機接近中です』 ピッ
「ああ… 分かっている… 苦労してライナーになったのにな、その姿は哀れだ…」 ピピピピ ビコ!
ゴオオオオオーーーッ! ジャキンッ!
「ウウウ… 邪魔者…邪魔者ハ消セ!」 ピ ピピピピ ビコ! カチ!
ブオオオオオオーーーッ! シュバババババッバババッ! シュンシュンシュンッ!
井伊直政中佐を追って来た3機のブレードナイト「ZERO 32型」は、中佐のブレードナイト『SHIDENKAI 21型 H001」に向けて、200mmインパクトカノンを撃ってきた。
「001ッ! 空戦フラップ展開ッ! フォトンフィールド最大行くぞおッ!」 グイッ!
『了解ッ!』 ピッ ブウウンッ!
ヒイイイイイイイインンンッ! バウウウウウウウウーーーッ! シュバアアアアーーーッ!
シュンシュンッ! ビュンッ! ピ ピピピ ビコビコ! ビコビコ!
向かって飛んでくる200mmフォトン炸裂弾を巧みに交わし、井伊直政中佐はその照準に3機を捉え、射撃スイッチに指を添えた。
シュンシュンッ! ブオオオオッ! ブオオオオーーッ!
「せめて、ライナーとして終わらせてやる… 日の本の国、ヤマトに幸あれ…」 ピピピ カチ!
ブオオオオオオオーーーーーッ! シュッバババババアアアーーーッ!
ビュンビュンッ! ドドッドドドオオオッ! ガンガンッ! ドカッ! ビシッ! バキッ!
「ア、アアア…… ガアッ…」 グシャッ!
ドオオオオオンンンッ! ドガアアアアンンッ! バアアアアアーーー…
井伊直政中佐の200mmインパクトカノンのフォトン炸裂弾が、同じ200mmインパクトカノンを撃ちながら迫って来るブレードナイト『ZERO 32型」3機に吸い込まれていった。 やがて3機はその姿をボロボロに破壊され、ライナーの命を奪い、火を吹いて落下していった。
シュバアアアーーッ! ゴオオオオオーー ブオン! ジャキン! シュウウウ…
『マスター敵機3機を撃墜、確認しました』 ピ ビコ!
「…………」 ググッ…
『マスター?』 ピッ
「うん? ああ、すまん001、旗艦「ヒリュウ」に状況報告だ… 『勇者が反乱軍についた、寝返った兵士、ライナーは味方にあらず、味方にならず、その全て撃墜撃破せよ』とな」 ググ…
『了解ですマスター、高速暗号通信で送信開始します』 ピピッ!
「月詠に光秀の反乱、そして勇者ヒカルの暴挙… この国は神から見放されたのか?」 むうう…
ビーーッ! ビコビコ!
『マスター! 前方より敵機接近!』 ピッ
「ちいッ! 行くぞおおッ!」 グイッ!
ヒイイイイインン! バウウウウウウウーーーッ! シュバアアーーーッ!
・
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ーヤマト皇国国防軍 第一機動艦隊旗艦 正規空母「ヒリュウ」ー
ピピピ ビコビコ!
「反乱軍敵ブレードナイト大編隊接近!」 ピピ
「方位0125変わらず! 距離10000、チャートNo.017、エリア166、マークポイント86、グリーンオレンジデルタ、速度700ノット、高度3000、最終防衛ラインに入ります」 バッ
「司令!」
「ク… 中佐からの報告はまだか?」 バサッ
ピッピイーーッ!
「強行偵察隊『青龍隊』隊長、井伊直政中佐より高速暗号通信!」 ピコ!
「解読しろ!」 バサッ
「はッ! ……… 読み上げます! なッ… ゆ、『勇者が反乱軍いついた!』」 バッ
「「「 なッ! 勇者がッ! バカなッ! 」」」 ザワザワ…
「むうう、続けよ!」 サッ
「はッ!『寝返った兵士、ライナーは味方にあらず、味方にならず、そのすべて撃墜撃破せよ!』です!」 ササッ!
「むうう… そうか、仕方がないな。」
「では!」
「うむ、全艦、VLS解放! 対空噴進弾全弾発射ーッ!」 バサッ!
「はッ!」 ササッ!
バクンバクンバクンバクンッ! ピッ!
ドドドッドドドドドドドーーーーッ! シュバババババアアアアーーーッ!
旗艦、正規空母「ヒリュウ」をはじめ、護衛艦から駆逐艦、すべての艦艇から無数の対空用噴進弾が発射され、遥か上空へと飛んでいった。
いつも読んでいただきありがとうございます。
次回もでき次第投稿します。