第290話 「青龍隊」発艦
-正規空母「ヒリュウ」第二格納庫発艦デッキー
ビイイーーッ! ビイイーーッ! ビイイーーッ!
ポン!
『第二格納庫、「青龍隊」が発艦する! 修理点検整備員は退避を! 繰り返す、第二格納庫…』 ピッ!
ビイイーーッ! ビイイーーッ!
ワーワー バタバタ ウィイイイン ガコオオン ビコ!
「いいかあッ! 中佐の『SHIDENKAI』を先に出す! その後に『ZERO11型』2個小隊6ッ機の単機発艦だあッ! 14番から20番ッ! 電磁カタパルト用意ッ!」 バッ!
「「「「 はッ! 」」」」 バタバタ ワーワー
ビイイーーッ! ビイイーーッ!
発艦デッキでは、発艦用作業員が電磁カタパルト周辺を忙しく走り回って発艦準備をしている中、アラン中尉達は、ブレードナイト「ZERO 11型」の操縦席のハッチを開け中に乗り込み、起動させていった。
ウィイイイインン カシュン! ピ ピピ バクンバクン ドサッ!
「うん、操縦系統は帝国の物とそう大差はないな、よし!」 バッ
ピ ピ ピピ カチカチ ピコ ヴウウン ビコ! ビコビコ! ヒュウウウンン…
ビコビコ ポン!
『初めましてマスター、私は「ZERO 11型 J218号機」のライナー支援啓発システムです、これよりマスターの補佐及び機体の支援、啓発を承らせていただきます』 ピッ
「了解だ『ZERO』、僕はアラン、アラン・フォン・ウィルソンだ、よろしく頼むよ」 カチカチ ピ
『了解しましたマスターアラン』 ピッ
「さてと、全周囲モニターにサブモニター、無線回線に火器管制システムっと、あとは… ん? 対追尾弾シールドは… ああこれか! 後こいつもだな」 ピ カチカチ ピ ピピ ビコ! ビコ! ヴウウン!
アラン中尉にとって、ブレードナイト「ZERO 11型」は初めて乗る機体であったが、まるで長年乗り慣れた機体の様にブレードナイト「ZERO 11型」を起動していった。
ヒュウウウウウンンンッ! ビコッ! ビコビコッ!
『マスターからの魔力供給スタート、エーテルリアクター始動、ジェネレーター出力上昇中、全システムオールグリーン、発動機アイドリング正常、発艦可能状態です』 ピッ
ヴオン! ガシュン! プシュウウウウ…
「よし! マイロ! ジェシイカ! 準備はいいかい?」 ギュッ ギュッ
ピコ
『僕は準備できましたよ』 ピッ
『私も出来てるわ』 ピッ
「よし、じゃあ行こうか!」 グッ
ビコ!
『マスター、少しお待ち下さい』 ピッ
「うん? 『ZERO』何か不具合でも見つかったのかい?」
『いいえマスター、僚機の三井准尉の機体「ZERO 11型 J401B号機」の発艦準備が終わっていません。 今しばらくお待ちください』 ピッ
「そうか、どれぐらい待ちそうなんだ?」
『準備完了まで、あと300秒は必要かと推察します』 ピッ
ピコ!
『ええ〜、5分ッ? あと5分も待つのッ⁉︎ 何やってんのよ! 使い慣れた自分の機体でしょ? 準備が遅すぎるわ!』 ピッ
『まったくですね、今回が初めてでもあるまいし、何をしてるんでしょうか?』 ピッ
「なあ『ZERO』、彼は何に手間取ってるんだい?」
『はいマスター、三井准尉の機体「ZERO 11型 J401B号機」は魔力増幅装置搭載の特別仕様機体で、魔力不足の三井准尉専用機体です。 准尉の魔力を増幅し、機体に十分な魔力を供給するのに多少の時間を要します』 ピッ
『魔力増幅装置ですって? そんな物があるんだ…』 ピッ
『知りませんでしたね、ですがそんな物を使用してライナーは大丈夫なんでしょうか?』 ピッ
「わからない、帝国には無い技術だからな… 魔力増幅装置か、やはり彼はブレードナイトに乗る程の魔力が無かったんだな、だがなぜ彼はブレードライナーに成れたんだ? 魔力不足はライナーとして致命的なはず、ライナーに成るどころか訓練許可さえ出ないはずだ、そんな彼がどうしてライナーとしてここにいる?」
『マスター、三井准尉の家系が華族だからだと推測します』 ピッ
「華族かあ… 帝国で言うところの上級貴族かな、伯爵とか侯爵、いやさらに上の公爵ってところか… なるほど、彼はその華族三井家の嫡男、家名を継ぎ次期当主にとなるにはライナーであることが必須という事なんだろうな」 フリフリ
アランやマイロ、そしてジェシカ達3人も、アトランティア帝国内では上級貴族、共に侯爵家の出であり、三井准尉の立場を理解した。
『でも魔力増幅装置なんか使っていいの? すぐに力のなさがわかるわよ?』 ピッ
「ジェシカ、たぶん彼は当主になってしまえばその後なんてどうでも良いんだよ」
『どうでもって、じゃあ今回の学徒動員参加は? ライナーとしてはどうするの?』 ピッ
「彼は生きて帰れば次期当主、ブレードナイトに乗る必要がない身分が保証される。 その為の実績や証が欲しいだけの学徒動員参加、別にライナーを重要視していないんだろ、ライナー資格があればいいって事じゃないのかな?」
『はああ? 何それッ⁉︎ 私たちの国では考えられないわッ!』 ピッ
『僕も同感です! 当主になるという事はそんなに甘い物ではないと言うのに』 ピッ
「うん、だけどこの国ではそれが罷り通る。 例えそれがどんなに無能で無力な次期当主でも実績と証があればいい、当主にさえなれば後は周りの者が手を貸し、持ち上げるだけなんだと思う」
『まったく、信じられないわ!』 ピッ
『まあ、僕たちの国とは事情が違うからしょうがないよ、そうだろアラン?』 ピッ
「そうだな、僕たちには関係ない」 フッ…
アラン達がそんな会話をしていた時、彼らに無線通信が入ってきた。
ピッ!
『青龍隊各機、聞こえるか? 井伊だ! 全機発艦用電磁カタパルトになぜ着かない? 直ちに発艦するぞ!』 ピッ
それはブレードナイト「SHIDENKAI 21型 H001」、青龍隊の臨時隊長を務める井伊直政中佐からだった。
「アランです中佐、少しお待ちください、青龍隊第二小隊、13番機の三井准尉機がまだ準備ができていません!」
『なに? ああ〜… 増幅装置か、アレは時間食うからなあ、仕方ない今少し待つとする、他の者は準備はいいか?』 ピッ
「はい、第一小隊は全機準備完了、第二小隊も11番機12番機共に準備はできているはずです」
『うむ、では第二小隊の三井准尉機が準備でき次第発艦とする』 ピッ
「了解しました」
その後、5分が経ったのであろう、アラン中尉機のライナー支援啓発システムが三井准尉の機体が準備を終えた事を報告した。
ピポ
『マスター、三井准尉機「ZERO 11型 J401B号機」準備完了、発艦可能です』 ピッ
ポン!
『やあ待たせたな!』 ピッ
『本当によ、待ちくたびれたわ!』 ピッ!
『ふん! ブレードナイトさえ動けば俺は最強なんだ! お前ら、いまに見てろよ!』 ピッ
『はいはい、それは良いから第二小隊長なんでしょ? 私たちに続きなさい』 ピッ
『そ、そんな事わかってるッ! 俺に命令するなッ!』 ピッ
『だそうよ、アラン』 ピッ
「よし、じゃあ行こうかみんなッ!『ZERO』!」 グイッ! ギュッ!
『了解しましたマスター』 ピッ
「マイロ、ジェシカ、電磁カタパルトへ発艦位置に着くぞ!」
『『 了解ッ! 』』 ピピッ!
ヴオンッ! プシュウウウッ! グワアアッ! ガコオオンン ガコオオン!
ブレードナイトハンガーデッキにいた青龍隊第一第二小隊の『ZERO 11型』6機が一斉に動き出し、発艦用電磁カタパルトへと歩いていった。
ガコオオンン ガコオオンン ガコオオン…
『マスター、青龍隊僚機、全機準備完了、電磁カタパルトに移動中です』 ピッ
「おッ! やっと準備ができたみたいだな、CICコントロール!」
ピコ
『こちらヒリュウCIC』 ピッ
「青龍隊発艦準備完了した、位置に着く情報をくれ!」
『了解、現在当艦隊は進路を変え、高度1800、艦隊速度30ノットで南下中、艦隊前方約20000の空域にて、第一機動大隊第一第二中隊が敵ブレードナイト部隊と接触交戦、第三中隊は艦隊上空を直掩中です』 ピッ
「そうか、戦況はどうなっている?」 カチカチ ピ
『先程より、交戦中の部隊からの通信が途絶、戦況は不明! されどセンサーには反応がありますので全機健在かと思われます』 ピッ
「ふむ、(通信が途絶? 2個中隊60機全部がこの距離でか? あり得ないだろ、戦闘空域で何かが起きたのかもしれん…)」 むうう…
ガコオオンン ガコオオンン ドン ドン ガシュン プシュウウ! ビコ!
ビイイーーッ!
『井伊中佐、青龍隊ブレードナイト『ZERO 11型』2個小隊、全機電磁カタパルトに装着完了、位置につきました』 ピッ
「ん、そうか001、行くぞ!」 グッ!
『了解ですマスター』 ピッ
ヴオンッ! プシュウウウー
ビイイーー ビイイーー ビイイーー
『ヒリュウCICより青龍隊へ、電磁カタパルト射出準備完了、進路クリアー、発艦を許可ッ!』 ピッ
「了解、青龍隊全機、準備はいいな?」 ギュウウ!
『もちろんです中佐、僕らはいつでも出れます』 ピッ
「ふ、さすがだなアトランティア帝国の英雄、三井准尉ッ!」
『は、はいッ!』 ピッ
「発艦する時は腹に力を入れろ! いいか、魔力で全身を覆い前をよく見るんだ! 気をしっかり持ち、決して目を瞑るなよ!」
『りょ、了解ですッ!』 ギュウウッ! グッ ピッ
「柴田、山下ッ! お前らもだぞ! 加速に備えろッ!」
『『 はい! 中佐殿ッ! 』』 ピピッ
「よしッ! CICッ!」
ヴヴヴヴヴヴウウウウウウウイイイイーーッ パリッ パリパリッ!
ピコンッ!
『ヒリュウCICより、14番から20番、電磁カタパルト臨界ッ! 青龍隊全機発艦せよ!』 ポン
「おうッ! 『SHIDENKAI 21型 H001ッ!』 井伊直正発艦するッ!」 グイッ!
ビイイーーッ! ガシュンッ! シャアアアアアアーーーッ! ドオオオオオオーーッ!
「青龍隊第一小隊1番、『ZWRO 11型 J218 』アラン! 続きます!」 グイッ
「同じく青龍隊第一小隊2番!『ZERO 11型 J233』マイロ! 行きます!」 グイッ
「同じく青龍隊第一小隊3番!『ZERO 11型 J251』ジェシカ! 出ます!」 グイッ
ビイイーーッ! ガシュンガシュンガシュンッ! シャアアアアアーーッ! ドオオオオーーッ!
井伊直政中佐が発艦した2秒後、アラン達第一小隊3機が立て続けに発艦して行った。
バババアアアーーーッ! ピ ピ ピ
「へええ、なかなか良いブレードナイトじゃないか」 シュバアアーーッ
『そうですね、さすがは『アウシュレッザ』の兄弟機、操縦性能は抜群ですね』 ピッ
『そう? 私にはもうちょっと出力が欲しいかなって思うんだけど?』 ピッ
「ははは、ジェシカの『ウルグスパイアー』と一緒にしないほうがいいよ、元々の仕様が違うんだからね」
『そうね、我慢するわ』 ピッ
「よし、隊長機と編隊を組むぞ! 高度2000mまで上昇ッ!」 グイッ! ギュウウッ!
『『 了解ッ! 』』 ピピッ! グイイッ! ギュウウッ!
シュバアアアアーーーッ! ヴヴオンッ! ギュウウウウンンッ! バアアアーーーッ!
発艦を終えたアラン達3機は、機体の感触を確かめつつ上空の高度2000mの位置で飛行している井伊直政中佐の隊長機、ブレードナイト「SHIDENKAI 21型 H001」の元へと編隊を組むために急上昇していった。
『マスター、青龍隊第一小隊発艦完了! 当機左翼に展開、編隊を構築』 ピッ
「ほう、指示をしなくても最適な位置に着くか、いい判断だ! しかも3人とも腕も良い」 二ッ!
ヒイイイイイイーーー ピ ピ ピ
「ん? おい001ッ! 第二小隊はどうした? どこにいる?」 キョロキョロ
『はいマスター、第二小隊はいまだ発艦していません!』 ピッ
「なにいッ⁉︎ おい第二小隊ッ! 三井准尉! 何をしている! 早く発艦しろ!」
「は、はいッ! 発艦だ… 発艦するぞ!」 ググッ ブルブル
『三井様、早くしてください!』 ピッ
『そうですよ、第二小隊長の三井様が発艦しないと僕らも発艦できないんですよ!』 ピッ
『マスター、発艦準備は完了しています。直ちに発艦を! マスター』 ピッ
「わ、分かっているッ! 黙っていろ401ッ!」 グッ
『了解』 ピッ
第二小隊の小隊長三井准尉は、発艦用電磁カタパルトに着いた瞬間、その先の広がる広大な大空を見て怖気付いてしまっていた。
帝都学園での訓練では上空100から200m程度を飛行し、射撃やフォトンソード、ライトニングセイバーでの戦闘訓練は地上戦のみ、ましてや電磁カタパルト射出訓練は訓練用のただ発進するだけの訓練だったため、今回のように正規空母用高出力電磁カタパルトや、地上ではなく海上の高度1800mという高度は彼らに恐怖心を抱かせるのに十分だった。
「ちッ 仕方がない、ちょっと荒療治と行くか… ヒリュウCICッ!」 ピッ
ピポ
『こちらヒリュウCIC受信』 ピッ
「青龍隊隊長の井伊だ! 発艦デッキの3機! 第二小隊を射出しろッ!」 ピッ
『井伊中佐、宜しいのですか?』 ピッ
「隊長命令だッ! いいから出せッ!』 ピッ
『ヒリュウCIC了解ッ!』 ピッ
ー正規空母「ヒリュウ」第二格納庫発艦デッキ電磁カタパルトー
ビイ ビイ ビイッ!
「「「 え? は? なッ⁉︎ 」」」
ポン
『『『 マスター、CICより当機の強制射出を確認、電磁カタパルト始動、発艦体制を! 進行方向に注意して下さい 』』』 ピッ
「「「 はあああッ⁉︎ 」」」 バッ ギュウッ!
ポン
『ヒリュウCICより第二小隊各機へ発艦始めッ!』 ピッ
ビイイーーッ! ガシュンガシュガシュンッ! シャアアアアーーーッ! ドドドオオーーーッ!
「わあああーーッ!」 グウウッ! バアアアアアーーーーッ!
「速い速い速いいいーーーッ!」 シュゴオオオオーーーーッ!
「ひッ! ひいいいーーーッ!」 シュバアアアアーーーーッ!
ドオオオオオオーーーーッ!
第二格納庫発艦デッキにある電磁カタパルト上にいた青龍隊第二小隊の3機の「ZERO 11型」が、井伊直政中佐の命令を受けたヒリュウCICによる強制射出で発艦していった。
ポン
『マスター、第二小隊発艦!』 ピッ
「ふむ、やっと出たかって何だあいつら、真っ直ぐにしか飛べんのか! やれやれ、アラン中尉」 ピ ピ
『はい中佐、何でしょうか?』 ピッ
「第一小隊はその場で待機、俺は学徒動員兵を迎えにいってくる。上空警戒を頼む!」
『了解しました。 第一小隊はこの場で待機、上空警戒をします』 ピッ
「よしッ任せたッ! 行くぞ001ッ!」 グイッ! ギュウウッ!
『了解!』 ピッ
ヒイイイイイインンン! バウウウウウウーーーッ! シュバアアアアーーーッ!
井伊直政中佐の機体は、上空高度2000の位置から正規空母ヒリュウから発艦し、そのまま編隊も組まず、ただ真っ直ぐに高度1800の位置を飛んでいる三井准尉ら3機の第二小隊の元へと急降下していった。
シュバアアアアーーーッ! ゴゴゴオオオーーッ! ガタガタガタ ピ ピ ピ
「う、うぐぐ… ど、どうすりゃあ良いんだよ!」 ガタガタ ビイ ビイ ビコビコ!
「操縦桿が… お、重い…」 グググッ ギュッ ゴゴゴゴ ビイ ビイ ビイ
「気が… くうう、こ… これでは…」 ガタガタ ギシギシ ビイ ビイ ビイ
三井准尉ら3人は、初めての正規空母からの発艦でその強力な重力加速度に事態を把握しきれていなかった。
ピコ!
『おいお前らッ! 何をしている! 魔力をもっと纏え! 機体が自分の身体だと思うんだ! 同化する感じにな!』 ピッ
「「「 隊長ッ! 」」」
シュバアアアーーーッ! ヴオンッ!
「ほらさっさとしろ!」 ニイッ!
『『『 了解ッ! 』』』 ギュウウッ!
シュワッ! ブウウン! グイッ!
ゴオオオオーーーッ! ヴオンッ! シュバババアアーーッ!
「やった! 動く! ちゃんと動くぞ!」 グイイッ!
「ふうう、助かったあ…」 グッ
「隊長、ありがとうございます!」 サッ
シュバアアーーーーッ ヒイイイイイーーー
「よし、機体は安定したな、良いかお前ら、ブレードナイトの操縦は基本魔力で行う、自分たちの意志を魔力で伝え操るんだ! 操縦はあくまでも補佐で、まず最初は地平線を見るんだ、遠方の地平線を基準に機体の体制を保ち操縦しろ! 高度は操縦席の情報パネルにある表示を見て速度は体感で覚えるんだ!」
『『『 はいッ! 』』』 ピピッ
「ふうう… これで何とかなったか… まあ、まだ彼らはまだ学生だからな、これからしっかりと覚えればいい、広大な空の広さとそしてブレードナイトの操縦の仕方を…」 ギュウ…
シュンッ! シュンッ! シュバッ! ヒイイイイイイーーー
射出されてからしばらく経つと、彼ら第二小隊の3人はブレードナイトの扱いと1800mという高度に慣れたのか自由に正規空母「ヒリュウ」の周辺を飛び回っていた。
「お前らだいぶ慣れたようだな」
『はい隊長、もう大丈夫です』 ピッ
「よし、このまま上空2000まで上昇! 第一小隊と合流する!」
『『『 上昇ッ⁉︎ 』』』 ピピッ
「そうだ! さああ行くぞ!」 グイッ!
バウウウウウーーーッ! シュバアアアアーーーッ!
『うわああ! 隊長ッ!』 ピッ
『そんな急にッ! 待って下さいッ!』 ピッ
『三井様、着いて行くしかないですよッ!』 ピッ
『うう、くそお、行くぞお前たちッ!』 グイッ!
『『 了解ッ! 』』 ピピ グイッ!
バウウウウウウウーーーッ! シュババアアアーーッ!
第二小隊のブレードナイト「ZERO 11型」3機は、先に急上昇して行く井伊直政中佐のブレードナイト「SHUDENKAI 21型 H001」の後を追い、スラスターを全開にして急上昇して行った。
・
・
・
ーヤマト皇国エビス高緑地上空3000mー
ゴウンゴウンゴウン ゴゴゴゴゴ シュゴオオオオオーー ゴンゴンゴン ピ ピ ピ
海上を航行している正規空母「ヒリュウ」率いる第一機動艦隊から離れること50Km地点、ヤマト皇国の広大な高緑地上空を巨大なラウンドシップ、超重巡航艦「ヤマト」が単艦一隻で、第一機動艦隊を追うように航行していた。
ブウウウン ピ ピピ
「定時報告、『ヤマト』現在ヤマト皇国領エビス高原を通過中、間も無く海上に出ます! 進路5.050 マーク22 速度27ノット、高度3000 艦内全艦異常なし!」 ピ タンタン ピコ!
ビイーーッ!
「電探に反応! チャートNo.018 エリア188 マークポイント46/60ッ! オレンジグリーンデルタ! BET11:12 、13、14… 空母「ヒリュウ」の戦闘機隊と敵が接触、交戦中のもよう!」 ビコビコ!
「第一機動艦隊進路変更! 速度増速! 進路5.001 マーク34、速度30ノット、高度1800!」 バッ
超重巡航艦「ヤマト」の第一艦橋内には多数の兵が詰め、数多くの情報処理や艦の運行に携わっていた。 その艦橋の最上段、最高司令官だけが座ることが許される場所に、ヤマト皇国国防軍の総司令官、織田信長元帥と青みがかった銀髪を靡かせた少女,アニスの姿があった。
「ふむ… 主力艦隊を迂回して機動艦隊を攻撃してきたか、光秀めやりおるわ」 ふふふ
「………」 もぐもぐもぐ
「しかし、第一機動艦隊を攻撃するには数が足りん! やはり主力は要塞に温存しておるのだろう、小癪な奴め」
ぱくぱく もぐもぐもぐ ゴクン
「ん〜、美味しいいッ! スプーンが止まらないね」 カキカキ スクッ ぱく!
「お、おいアニス、ここは第一艦橋、それもそこはワシの席、総司令官席だぞ!」
「ん? 知ってるよ」 ぱく もぐもぐもぐ
「だからここで物を食うなッ! てか、それはなんだ! うまそうじゃないか! わしにもくれッ!」 バサ
「ん〜、やだ!」 もぐもぐ
「うぐぐ! だ、だいたいどこからそんな物を持って来たッ!」 サッ
「ん? お腹が空いたから私の手持ちからだよ?」 ぱく もぐもぐ
「手持ちッ⁉︎ それをいつも持ってるのかッ?」
「ん〜、これだけじゃなく、他のも色々と大量に色々持ってるよ」 スクッ ぱく もぐもぐもぐ
「あああッ とにかく食うか話すかどっちかにしろ!」
ぱくぱく もぐもぐもぐ ゴクン ぱく もぐもぐもぐ
「おのれえ… アニスめ、食う方に走ったか!」 わなわな
「ん、これは絶品だよ」 ぱく
「うッ! よしわかった! こうしよう」 バサ!
「ん?」 もぐもぐもぐ
「アニスよ、それをワシにもくれ! くれたら良い物をやろう!」
「ん? 良い物?」 もぐ…
「そうだ! どうだ?」
「良い物ってなに?」 ゴクン
「ふふふ、それはだなあ、ワシの娘になれる権利だ!」 バサッ!
「却下!」 ぱくぱく もぐもぐもぐ! ゴクン!
「わああ! 待て待て待てッ! 無くなる! 無くなってしまうではないかッ!」
「これはアニちゃんのだ! 信長のじゃない!」 サッ!
「うぐぐ!」 グウウ〜
「ん? 何だ本当にお腹が空いてたの?」
「ま、まあな、職務上どうしてもな、ワシは信用のおける者が作った食事しか口にしない! だから昨日の晩から何も口にしておらんのだ!」 グウウ〜
「私の物なら口にできるの?」
「もちろんだ! アニスよ、お前は信用に値する! だからそれをワシにも分けてくれ!」
「分かりました… はい、お腹が空いてるのはいけないですよ? 良い判断ができません」 ニコ
「は、ははは… すまんな、ではいただこう」 グッ ばく! もぐもぐもぐ ゴクン!
「お味はどいうですか?」 ファサ…
「美味いッ! 何だこれは! 美味すぎるぞッ!」 カキカキカキッ! ばくばくばく ゴクン!
「うわああ… 何だこの人、すごいねええ… 食べ物を食べ物じゃなくて飲み物みたいに食べてるよ…」 あはは…
ばくばくばく ゴクンッ! ハアハア ばくばくばく ゴクンッ!
「アニスよ! お代わりだッ! これはなんと言う料理だッ⁉︎」 サッ!
「これですか、これは… なんだろ?」
「はあ? アニスよ、お前はこれが何かもわからずに食っていたのか?」
「いや、変わった川魚とは思ってたんだけどねええ… なんか長いし、ヌメヌメしてるし、わかんないから開いて蒸して、焼いてタレをつけたんだけどだめ?」 うん?
「いや良い! こんなに美味いものは久しぶりだ! もう一杯くれぬか?」 ニカッ!
「はああ、いいですけど、食べ過ぎには注意ですよ?」 サッ
「心得ておる! 心配するな!」 ばくばく カキカキ ばくばく もぐもぐ ゴクンッ!
二杯めのそれも一気に織田信長元帥は食べ尽くしていった。
カチャン!
「うむ!、馳走になったぞアニスよ!」 パン!
「満足しましたか?」 こぽこぽこぽ サッ
アニスは食後の緑茶を湯呑みに注ぎ、元帥に差し出した。
「うむ、 おッ すまんな茶まで」 ゴクン はああ…
ピ ピ ピ ピコ ピコ ブウウン ブウウン カタカタカタ
「ん? ん〜…」
「む! アニス、どうしたのだ?」
「ねえ信長、あの大型モニターの数字、あれなに?」 スッ
「うん? どれどれ…… どの数字のことだアニスよ」 バサッ
「あそこ、右上の46/60とその下の15:00と表示のあるやつ」
「おお、あれの事か、あれはな、上のが敵が46機に対し味方が60機という表示だ、その下のは双方が接触し、戦闘が始まって15分が経過という表示でな、敵味方の数が減るとあそこの数字も減っていくと言うことだ!」
「15分…」 う〜ん
「何だ? 何かおかしいのか?」
「ん、敵味方、両方で100機以上が15分も戦って損失0ってのがねえ…」
「はッ」 バサッ! ジイイイ…
織田信長元帥は、アニスに言われ大型モニターのIFF46/60と、その下のBET16:01、02、03…の数字を凝視した。
「むうう…(確かに、アニスの言う通りだ、16分を経過したにもかかわらず双方に損失がなしだと? それはあり得ない、一機も撃墜、撃破無しなどあり得ん! なんだ? 嫌な予感がする…)」 ググッ
「ねえ信長、急いだ方がいいかもだよ?」
「で、あるな! 操縦手!」 バッ
「はッ!」
「『ヤマト』全速前進ッ! 機関最大! 戦闘配置ッ!」 バサッ
「了解! 機関最大ッ! 黒30ッ! メインリアクター最大へ! ジェネレーター出力最大!」 ピ タンタン ピピ カチカチ ピコ!
「総員戦闘配置! 繰り返す、総員戦闘配置ッ!」 ピコ!
「艦、進路そのまま、第一機動艦隊と早急に合流する!『ヤマト』最大戦速ッ!」 バサッ!
「了解! 機関一杯ッ! 速度最大戦速へ上昇! 『ヤマト』最大戦速ッ!」 グイッ!
ヒイイイイイイインンンッ! ババババウウウウウウウウウーーーッ! ゴゴゴゴオオオオオーーッ!
超重巡航艦「ヤマト」は、第一機動艦隊へと出せる最大速度で向かっていった。
いつも読んでいただきありがとうございます。
次回もでき次第投稿します。