第289話 「青龍隊」出撃準備
ー正規空母「ヒリュウ」第二格納庫ハンガーデッキー
正規空母「ヒリュウ」の艦内にあるブレードナイト第二格納庫、その格納庫内の整備作業デッキの隣にある、ブレードナイト格納用ハンガーデッキで、アトランティア帝国の英雄、アラン、マイロ、ジェシカの3人と、ヤマト皇国帝都学園の学徒動員兵、三井、住友、安田の3人が、ライトニングセイバーでの決闘を始めようとしていた。
3人同士並んで対峙し、先にライトニングセイバーを起動したのは学徒動員兵のブレードライナー、三井、住友、安田の3人だった。
ヴオン! ビシュウウウッ! ヴヴヴ ブン!
「むふふ、なんだあ? お前ら、ライナーのくせにセイバーも起動できねえのか? それとも俺たちの魔力を見て怖気ついたのか? だがもう遅いぞ、叩きのめしてやる!」 ニヤア! ブン!
「ククク、なあ三井みろよアイツら、たいしたことなさそうだぜ」 二ッ
「ああ、俺たちを見て身動きもできない。 腰が抜けて、怯えてるんじゃないか?」 ニヤ
「あは、なら僕1人でも勝てちゃうよ、やろうか?」 ブンブン!
「まあ待て、あの女は俺の獲物だ、お前らは手を出すなよ」 ニヤ ヴオンン!
「「 ああ!(うん) 」」 ザッ
ライトニングセイバーを起動して、まるで自分達は無敵、最強にでもなったかのような3人に対し、アトランティア帝国の英雄の3人はライトニングセイバーを未だ起動せず、そんな彼らを冷めた目で見ていた。
「なあマイロ、ジェシカ、アレどう思う?」 ジイイ スッ
「僕は降ります。 彼ら相手にやる気が起きませんね」 ヒラヒラ
「私もがっかりだわ… 階級が准尉だって言うから、最初は力を隠してるのかなって思ってたけど… 何よアレ、全然ダメじゃない! 私たちが相手をするほどではないわ」 サッ ファサ…
英雄の三人のうちマイロは彼らを見てやる気を無くし、ジェシカはセミロングの金髪を靡かせて呆れていた。
「そうだよなあ… アニスさんや神獣様達を相手に模擬戦や訓練をしていた僕らに、彼らはその… 言いにくいんだけどあまりにも弱… いや非力、全く脅威を感じないし、そもそも彼らは魔力不足なんだよ、全然足りて無い。 よくあんな魔力量でライナーになんか成れたもんだよ」 はああ… フリフリ
「それね、私たちとそう歳も違わなさそうだけど… 何かそれを補う方法でもあるのかしら? それに、なんであれであんなに偉そうなの? 自信過剰ってやつかしら?」 ファサファサ…
「で、どうしますかアラン? 彼らはやる気満々ですよ?」 ニコ
「マイロ〜 わかって言ってるんだろ? 彼らじゃ僕らと勝負にもなりはしないよ、はああ… どうするかな〜…」
「ねえ? アニスちゃんならこういう時、どうしたんだろ?」 ニコ
「そうだねえ、アニスさんかあ… たぶん彼らなんか相手にしないんじゃないかな? 『ん? なに? ん〜、君たちに興味ないから、またね』なんて言ってさ、どっか行っちゃうんだ」 サッ
「「 あはははは! それだ!(そうね!) 」」
マイロがしたアニスの真似を見て、アランとジェシカは大笑いしていた。 だが、そんな彼らをライトニングセイバーを起動し、構えていた学徒動員兵の三井ら3人は怒りの表情を見せていた。
「お前たち! 何が可笑しいッ! さっさと構えろッ!」 チャキ ヴオン!
「「 そうだそうだッ! 」」 ヴンッ!
「あははは… ふうう、うん、やめた! 僕らは君たちと争う気も戦う気もないッ!」 ザッ!
「なッ! なんだとおッ!」 ザッ! ヴオンッ!
「本多中尉」 サッ チャ!
アランはそう言うと、起動していないライトニングセイバーを、この場の審判役で整備班長の本多中尉に向けて差し出した。
「え? アラン中尉?」 サッ
「これは返すよ、僕らは戦わない」 ニコ
「そういうことで、はい中尉、私もこれは返すね」 サッ チャ!
「僕も返します」 チャ!
「え? あ、ああ…あの…」 カチャカチャ
「「「 じゃあッ! 」」」 ササッ! クルッ ファサ! ザッ!
カツカツカツ トコトコ
英雄の3人は向きを変え、第二格納庫の出口へと歩き出した。
「なッ⁉︎ お、お前らッ! 待てッ! 逃げるのかッ!」 バッ
「ふんッ! どうせ、俺たちが怖いんだ! そうだろッ⁉︎」 ザッ
カツカツ ザッ ピタ!
「は? 逃げる? 怖い? なにを勘違いしてるか知らないが、ライナーなら相手の力量くらい瞬時に見極めれるはずだよ? 僕らを鍛えてくれたあの人は真っ先にそれを教えてくれた。 『相手の力量を見極めれないとダメだよ、瞬時に見抜くんだ、そうすれば無駄な争いをしなくて済むからね(ニコ)』ってね、君たちは僕らを見てなにも感じなかったのかい?」 ザッ
ヴンッ! シュバアアーッ!
アラン達3人は彼らに分かるようにあえて、軽く魔力をその身に纏った。
「なッ!(これが中尉たちの魔力か… 凄ええ、こりゃあ、あの3人じゃ無理だ相手にすらならん、いや格が違いすぎるんだ…)」 グッ!
アランたち3人を見た整備班長の本多中尉は、軽く纏った魔力を見ただけで、アラン達3人の力量を瞬時に把握し、理解した。 だが…
「はッ! なんだその薄ぼんやりとした魔力は、それのどこが凄いのか全くわからないぜ!」 ふん!
「そうだよ! まだ僕の方が凄いさ! 見ろッ!」 ググッ シュバアアーッ!
「俺だってッ! お前らよりもっと濃い魔力を纏ってやるッ!」 ザッ! シュバババアーッ!
アラン達に負けじと、住友と安田の2人は魔力を放出し始めた。
シュバババーーーッ! ボッ ボボッ! ボッ!
「ほ、ほら! どうだ! 凄いだろッ!」 ハアハアハア… ふら…
「ぼ、僕も…どうだッ!」 ハアハアハア ふらふら…
2人はなんとか立ってはいたものの、魔力放出しただけで体力を急激に消耗し、息を荒くしながら身体がふらつき始めていた。
「はああ… 貴方たち、そのままだと倒れるわよ? 早くやめなさい」 サッ
「そうだぞ、それ以上は… 」
ジェシカが彼らに注意をし、アランが魔力放出を止めようとしたその時、第二格納庫内に警報が鳴り響いた。
ビイーーーッ! ビイーーーッ! ビイーーーッ!
「こ、これはッ!」 バッ!
「なッ⁉︎ まさかッ!」 ザッ!
「「「 うん? 何だろ?(何かな?) 」」」 ササッ! キョロキョロ
整備班長の本多中尉と、ライトニングセイバーを構えていた三井准尉はその警報に驚き、アラン達3人はそれが何の警報かその場で周りを見渡していた。 そこに艦内放送が聞こえてきた。
ポン! ビイーーーッ! ビイーーーッ! ビイーーーッ!
『艦隊右舷前方より敵ブレードナイト大編隊接近中、ブレードナイト各隊は全機発艦体制を! 各員第一級戦闘配置ッ! 繰り返す、艦隊右舷…』 ピッ!
ビイーーーッ ビイーーーッ!
「こりゃいかんッ!」 バッ! ダダダダダッ!
艦内放送を聞き、整備班長の本多中尉は整備換装作業中のハンガーデッキへと駆け出していった。
ビイーーーッ! ビイーーーッ! ビイーーーッ!
「なんだ敵襲か…」
「そうみたいね、私たちはどうするのアラン?」
「ジェシカ、僕たちは客人扱いですからね、ここはやはり大人しく部屋で待機でしょ」 サッ
「ん〜 そうだな、マイロの言うとうりだ、僕らは部屋に戻ろうか? なあ君たち… うん?」 バッ
アランが学徒動員兵の3人に目を向けると、彼らはその場で立ち尽くしたまま震えていた。
「て、敵? 敵が来た…」 ブルブル
「い、いい、今、全機発艦って、僕らもなの?」 ブルブル ガクガク
「お、落ち着け、訓練どうりにすれば俺たちは無敵なんだ! それに先輩たちがいる、その後ろにいればいいんだ」ガクガクガク
そこへ1人の整備員が駆けてやって来た。
タタタタ ザッ! サッ
「三井准尉ッ! 学徒動員部隊にも発艦命令が出されました。 13番機、三井准尉の機体までの13機が発艦可能です、直ちに準備してください!」 サッ
「お、俺の機体までだと? こ、ここ、こいつらのはどうした?」 ガクガク
そう言って、三井准尉は、後ろで震えている住友准尉と安田准尉を指さした。
「はッ! 両准尉の機体はまだ換装作業が終了されていません、今回の出撃は不可能です」 サッ
「「 はあああ… (よかった) 」」 ヘナヘナ
「じゃ、じゃあ、俺と他に12機だけか!」 バッ
「はッ! 申し訳ありませんッ! 三井准尉に於きましては学徒動員部隊『青龍隊』隊長として出撃していただきます。 ただちに発艦準備をッ! ではッ!」 サッ クルッ タタタ…
そう言って、整備員は帰って行った。
ビイーーーッ! ビイーーーッ! ビイーーーッ!
「お、俺が… 隊長だと?」 ブルブル
「は、ははは、しょ、しょうがないよなこれは!」 ふう
「そ、そうだよね、整備が終わってないんじゃ僕らは出られないよ!」 うんうん
「な、お前ら!」 バッ
「三井、俺たちの分も頑張って来てくれ!」 バッ
「そうだよ、頑張って!」 コクコク
「くうう、お前らあ… くそッ! やってやるッ!」 バッ ダダダッ!
三井准尉はそう吐き捨てると、ライナー待機室へと駆け出していった。 その様子をアラン達3人はじっと見つめていた…
・
・
・
ー第一機動艦隊旗艦、正規空母「ヒリュウ」艦橋ー
ビーー ビーー ビーーッ!
カチャカチャカチャ ピ ピ ピコピコ ビーッ!
艦隊旗艦であり正規空母「ヒリュウ」の艦橋内は、急接近してくる未確認の大編隊に蜂の巣を突いたかのような騒ぎになっていた。
ビーーッ!
「司令ッ! 第107警戒艦『ユウギリ』より入電ッ!」 ピッ カチカチ ピコ!
「むッ! 反乱軍 敵かッ⁉︎ 電文読め!」 ガタッ!
「はッ! 『発 「ユウギリ」 宛 第一機動艦隊旗艦「ヒリュウ」へ ワレ艦隊右舷前方方向二未確認ノ大編隊ヲ確認ッ!』」 ピコ
「むう、索敵員! 電波管制解除ッ! 索敵開始! SPY-7センサー起動! レンジ最大ッ!」 バッ
「了解ッ!」 カチカチ ピコ ブウウン!
ビーーー! ピコ!
「センサーに感ありッ! 方位0125 距離28700ッ! 高度3000ッ! 速度720ノット 高速接近する大編隊を補足!」 ピピ
「チャートNo.018 、エリア188、マークポイント46、オレンジアルファッ! 敵機です!」 バッ!
「司令ッ!」
「向こうから来たか… 全艦戦闘体制ッ! ブレードナイト全機発進ッ! 敵機を迎撃せよッ!」 バサッ!
「「「「 了解ッ! 」」」」 バッ! カタタタタ カチカチ ピコ!
ビイーーーッ! ビイーーーッ!
「全艦戦闘体制、第一第二格納庫へ、ブレードナイト全機発艦準備!」 ピッ
ポン!
『艦隊右舷前方より敵ブレードナイト大編隊接近中、ブレードナイト各隊は全機発艦体制を! 各員第一級戦闘配置ッ! 繰り返す、艦隊右舷…』 ピッ
ビイイーーーッ! ビイーーーッ!
「井伊中佐」 ギシ…
「はッ」
「彼らを頼む!」 サッ
「わかりました、できる範囲で彼らを援護します!」サッ バッ ダダダッ!
井伊直政中佐は、自身も出撃するために艦橋から出ていった。
・
・
・
ー正規空母「ヒリュウ」第一格納庫ー
ビーーッ! ビーーッ! ワーワー バタバタ ガヤガヤ
「急げえッ! 全機発艦だあッ! システム起動ッ! 電磁カタパルト準備いーッ!」 バッ
「「「「 了解ッ! 」」」」 バタバタ
ウィイイイン ガコオオン ガコオオン ビコ!
「全員整列ッ!」 ザッ
バタバタバタバタ ザザッ! バッ!
元帝都防空隊の第一機動大隊のブレードライナー88名が発艦用デッキ内にあるライナー待機所内に整列した。
「よし全員いるな」
「副長、隊長がまだ来ていませんッ!」 サッ
「うん? ああ、隊長なら今は艦橋だ! すぐに降りてくる! そのままで待機ッ!」
「「「「 はッ! 」」」」 ザッ!
「いいか! 先に出撃の概要を説明しておく! 攻撃目標は当艦隊に接近中のブレードナイト部隊だ!」
「相手の機種と規模はわかりますか?」 サッ
「規模は一個中隊46機! 機種は…」 むうう…
「副長?」
「ああ、すまん、機種は反乱軍に寝返った機体、おそらく友軍機と酷似、いや友軍機だ!」 バッ
ザワ!
副隊長の言葉にその場に集まったブレードライナー達がどよめき出した。
「では、見た目では敵味方がわからないのか…」 ドヨッ!
「そうだな、姿形が似て、機体のマークも自国のものだ、これはやりにくいぞ」 ガヤガヤ
「100機以上の機体が混ざり合い、撃ち合うんだ、乱戦状態では同士撃ち、フレンドリーファイヤーもある、どう対処する?」 ザワザワ
「「「 どうすれば? いやこうだろ? あーだ こーだ… 」」」 ガヤガヤ ザワザワ
「静かにッ! 対策はある!」 バッ
ザワッ… ピタ!
「敵味方の判別方法、同士打ちを防ぐ方法ですか?」
「うむ、今回に限り敵味方識別信号を変える、各機のライナー支援システムにも瞬時判別機能を組み込む!」
「信号をですか… それでは支援システムの判断を確認してから撃てと? 瞬時に引き金が引けないのか…」
「高速戦闘中に一瞬のタイムラグができるぞ… それはとんだ手間だな」 むうう…
「そうだ、だから我が隊のブレードナイトには天帝様のお許しを得て、全てにコレを飾り描いた!」 サッ!
「「「「 おおおーッ! 」」」」 ザワッ!
副隊長は彼らに待機所外の整備済みブレードナイト「SHIDENKAI 21型」を示した。 その機体の右肩には普段は国籍を表したマークがあったが、今回は反乱軍討伐の意味を込め、この国の最高位である天帝の紋章! 紅蓮の鳳凰のマークに書き換えられ、機体には三つ星の白い流星ラインが描かれていた。
ヤマト皇国国防軍のブレードナイトは緑を基本とした濃緑色、その機体の右肩に所属の国を表す白枠に赤の丸いマークが記されいた。 これはどの国のブレードナイトも共通の仕様で、アトランティア帝国のブレードナイト「アウシュレッザ」の機体も灰色に右肩には帝国のマークが記されている。
「なるほど、これなら瞬時にわかる、右肩にこの紅蓮の鳳凰と白い流星ライン、これがない奴は全て敵だ!」
「うむ、この三つ星の白いラインなら、かなり離れた場所からでも判別できる! 乱戦中の高速戦闘中にでもだ!」
「「「「 ああ! うむ! 」」」」 コク!
ブレードライナー達が今回の機体仕様に納得した時、彼らの隊長である井伊直政中佐がライナースーツに着替えてやってきた。
ピッ プシュウウーッ! カツカツカツ ザッ
「すまん!少し遅れた!」 サッ
「「「「「 隊長ッ! 」」」」」 ババッ! ザッ!
「うむ! 副隊長、準備はいいか?」 二ッ!
「はい、出撃内容、機体の仕様など概ね伝達は終わってます」 サッ
「よし! いいか、接近中の編隊はおそらく反乱軍、それも無人機のはずだ! 遠慮はするな! 全機叩き落とせ!」
「「「「「 はッ! 」」」」」 ザッ!
「それと指揮は副長! 榊原大尉に任せる!」
「は? 隊長はどうするんですか?」
「ああ〜 艦長… 艦隊司令に頼まれてな、学生どもの引率だ!」 ポリポリ
「なッ! 隊長があんな素人どもの世話をするんですか!」
「仕方ねえだろ、面と向かって頼まれちゃあ断れねえんだよ!」
「しかし…」
「なら副長、貴様が司令に掛け合って俺と変わってくれるか?」 二ッ
「さ、さあ! と言う事で指揮は俺が取る、全員いいなッ!」 バッ!
「「「「「 はッ! 」」」」」 ザッ!
「はははッ!(副長のやろう、逃げたか) まあいい! いいか副長、気を抜くなよ!」
「了解です!」 サッ
ビイーーーッ! ポン
『井伊中佐、ブレードナイト全機発艦準備完了、搭乗願います』 ピッ
「よしッ! 第一機動大隊! 総員搭乗ッ!」 バッ!
「「「「「 おおおッ! 」」」」」 バババッ! ダダダダッ!
正規空母「ヒリュウ」の第一機動大隊90機のブレードナイトが迎撃のために動き出した。
ー正規空母「ヒリュウ」艦橋ー
ビーーッ!
「司令! ブレードナイト全機発艦準備完了!」
「うむ! CICブレードナイトを出せ! 操舵手、機関最大! 第一戦速ッ!」 バサッ!
「了解ッ! 機関最大 速度増速第一戦速ッ!」 ピピ タンタン ピコ グイイッ!
ヒイイイイイインンッ! バウウウウウウウーーッ! ゴオオオオオーーーッ!
「CICより第一格納庫へ、1番から10番電磁多発カタパルト充填開始! ブレードナイト全機発艦用意!」 ピ
電磁カタパルト、ブレードナイトを高速で射出する装置で、通常の艦艇で巡航艦以上が普通4基から6基、駆逐艦に至っては1基から2基ほどで、一度に一機づつ発艦できる。 だが正規空母となると、より多くのブレードナイトを射出するために8基から10基、超大型空母で14基の電磁カタパルトを備えている。
ヤマト皇国国防軍の正規空母「ヒリュウ」の電磁カタパルトは特殊装備で、多発式の電磁カタパルトを使用している。 これはヤマト皇国のみの技術で、1基の電磁カタパルトで1度に1小隊分、3機のブレードナイトを立て続けに発艦させることができた。 その為、大出力の電力を確保する為に、機関を最大にする必要があった。
正規空母「ヒリュウ」は10基の電磁カタパルトを一斉に起動し、一度に1個中隊30機を発艦させ、約10数分で1個大隊、90機を戦場に展開することができた。 但しこれは第一格納庫のことで、第二格納庫にも同様の設備があり、第二格納庫にも同数の90機が格納されていれば、都合180機、2個大隊を運用することができた。 (但しライナーの保有人数のことを考えると、これはできると言う性能であり、第二格納庫は予備機を置く格納庫である。 今回の第二格納庫使用は特例で、討伐戦のための機動戦力補充の学徒動員兵を格納配備したまでである)
ー正規空母「ヒリュウ」第一格納庫ー
ビイーーーッ ビイーーーッ ビイーーーッ!
けたたましく鳴る警報の中、井伊直政中佐は自分の愛機のもとへとやって来た…
タタタタ
「整備員ッ! 出すぞお!」 タタタ
「中佐殿ッ! ご武運をッ!」 サッ
「おうッ!」 カチ ピッ
ウィイイイインン カシュン ピ ピ バクンバクン ドサ
井伊直政中佐は愛機の「SHINDEN 21型 H001」の操縦席のハッチをあけ、ライナーシートに体を任せ、機体を起動し始めた。
「よっと、さあいくぜ 相棒ッ!」 ピ ピピ カチカチ タンタン ピコ
ブウウン ヒイイイイイイ… ビコ ビコビコ ヴン!
ピッ
『こんにちはマスター『SHIDENKAI 21型 H001』全システムスタンバイ、起動開始、オールグリーン! 安全装置解除、発動機正常に稼働中、無線通信良好、井伊中佐、電磁カタパルト1番に移動して下さい』 ピッ
「ああ、行くぞっ! 001ッ!」 ギュッ グイイッ! グッ!
『了解』 ピッ
ヴオンッ! グワアアッ ガコオンン ガコオンン
ブレードナイト「SHIDENKAI 21型 H001」のライナー支援システムの指示に従って、井伊直政中佐のブレードナイト「SHIDENKAI 21型 H001」は発艦用電磁カタパルト1番に向かって歩き始めた。 同様に他の多数の第一機動部隊の機体「SHIDENKAI 21型」も各電磁カタパルトへと歩き始めた。
ガコオンン ガコオンン ガシュン ガシュン プシュウウウ… ビコ!
『電磁カタパルトに装着完了、発艦準備できました』 ピッ
「001、他の機体は配置についたか?」 ピ ピ ピコ
『はいマスター、現在「SHINDEN 21型 H027」が電磁カタパルトに装着、あと30秒で第一中隊全機の発艦準備が完了します』 ピッ
「よし、CIC、井伊だ! 発艦指示頼む!」 ピ
『ヒリュウCICより第一機動大隊第一中隊井伊中佐、進路クリアー、発艦始めッ!』 ピ
「おう! 『SHINDENN 21型 H001ッ!』 井伊中佐! 出るッ!」 ピッ グイイッ!
ビイイッ! ガシュンッ! シャアアアアアーーッ! ドオオオオオーーーッ!
井伊直政中佐が発艦したと同時に、10基ある多発電磁カタパルトより第一中隊の10個小隊、30機が一斉に正規空母「ヒリュウ」より発艦した。
ポン
『第一中隊発艦完了、続いて第二中隊発艦準備』 ピコンッ!
第一格納庫発艦デッキの10基ある電磁カタパルトに、第二中隊が発艦準備に入った。
・
・
シュバアアアアアーーーッ ピッ ピッ ピッ ヴオンッ!
「大尉、聞こえるか?」
『はい中佐、聞こえます』 ピッ
「これより俺は別行動だ、第一第二中隊は接近中の敵ブレードナイトを迎撃に向かえ! 第三中隊はこのまま艦隊上空を掩護! あとを頼むぞ!」
『了解です 中佐! お気をつけて!』 ピッ
「ふ、貴様もな」 グイッ! ギュッ!
バウウウウウウウーーーッ シュババババアアアアーーッ! ギュウウウウンン!
井伊直政中佐のブレードナイト「SHIDENKAI 21型 H001」は、敵編隊へと向かう第一機動大隊から離れ、第二格納庫発艦口周辺にやって来た。
シュウウウウーー… ピ ピ ピ
「うん? 学生共がいないな、001、周辺に友軍機はいないのか?」
『マスター、母艦、正規空母「ヒリュウ」周辺に友軍機はいません』 ピッ
「おかしいな、学徒動員兵にも出撃命令が出てるはずなんだが… 001確認してくれ」
『はいマスター、… … … 確認しました』 ピッ
「で、どうなってる?」
『はい、帝都学園学徒動員兵30名のうち、出撃命令が出ていますのは13名、13機です』 ピッ
「13機… 4個小隊程か、で、どこにいる?」
『第二格納庫内、発艦用電磁カタパルト付近で停止しています』 ピッ
「停止? なんだ? カタパルトが故障でもしているのか?」
『いえ、電磁カタパルトに故障はありません、正常に稼働中です』 ピッ
「じゃあなんだ! 何が起きているッ⁉︎」
『ブレードナイト「ZERO 11型」ライナーによる出撃拒否が原因かと』 ピッ
「ちッ(ここに来て臆病風に吹かれたか… )001ッ! 第二格納庫に降りる! アプローチッ!」 ギュッ!
『了解、第二格納庫に着艦します』 ピッ
ー正規空母「ヒリュウ」 第二格納庫発艦デッキー
ガンガンガンッ!
「何やってんだあッ! 発艦命令はとっくに出てんだぞッ! さっさと出せえッ!」 ブンブン
発艦用電磁カタパルト責任者が、いつまでたっても位置に付かない学徒動員兵のブレードナイト「ZERO 11型」の足を整備用の大型スパナで叩きながら怒鳴っていた。 その足を叩かれ、電磁カタパルト前で停止しているためブレードナイト「ZERO 11型」の操縦席内には警報が鳴り響いていた。
ブウウン ブウウン
ビイ ビイ ビイ!
『マスター、発艦命令が出ています、直ちに発艦して下さい マスター』 ピッ
「う、ううう… い、いやだッ! 行きたくないッ! 行きたくないいいッ!」 ガクガク ブルブル
『マスターの心拍数増加、アドレナリン分泌量過多、正常な精神状態ではありません、出撃はキャンセル、全システムログオフ、停止します』 ピッ
ピヒュウウウウンンン……
「班長ッ! ライナーの心拍数が異常値ッ! ライナー支援システムが緊急停止します!」
「ブレードナイト『ZERO 11型 J004』4番機緊急停止! システムダウンッ!」
「なッ! これで3機目かッ! これじゃあ何のために換装整備したかわからんではないか!」 ダンッ!
「次ッ! 9番機ッ! 電磁カタパルトへ」 ビイーーーッ!
「9番機ッ! どうした? 返事をしろッ! 9番機ッ!」 ピッ
シ〜ン ピ ピ ピ
「まさか… おい!ハッチ強制解放ッ!」 バッ
「はッ!」 ピ ピピ ピコ!
ポン! バクンバクン タタタタ
「どうだ?」
「ダメです! ライナー、気を失っています! 9番機出撃不能!」 バッ ササ ササ
「おいおい… 他の機体はどうだッ!」
「5番機、ライナーは突然の腹痛でトイレに! 7番機、8番機のライナーは自室から出て来ませんッ!」 ザッ
「かああ… これが後日、国を背負っていくライナーたちになるのか… (まあ、15、6歳になったばかりの少年たちにいきなり戦場に出ろなんて酷だよな…)」 フリフリ
第二格納庫の整備班長、本多中尉は頭を抱え、首を振っていた。 その時、第二格納庫内に着艦警報が鳴った。
ビイイーーッ!
『16番着艦デッキに着艦機あり、整備作業員は退避せよ!』 ポン
「うん? 着艦だと?」 クルッ バッ!
整備班長の本多中尉が振り向くと、着艦デッキに1機のブレードナイトが着艦してきた。
ヒュウウウウウッ! シュバアアッ! ドオオオッ! ギュウウウウウッ! プシュウウ…
シュウウウ… シュウウウ…
「こりゃあ、井伊中佐の『SHIDENKAI』じゃないか」
ガコオンン ガコオンン グウウンン プシュウウ ピ バクンバクン
着艦用電磁制動ブレーキラインに着艦した井伊直政中佐のブレードナイト「SHIDENKAI 21型 H001」は、発艦用デッキの方向に歩き、電磁カタパルト手前で片膝をついた状態に屈んで停止すると操縦席ハッチを開いた。
ザッ! ウィイイイイン カシュン タン
「どうしたッ! 早く発艦しろッ!」 カツカツ
「井伊中佐! それが…」 チラ
本多中尉は発艦用デッキの隅で、気絶や震えてしゃがみ込んでいる学徒動員兵のライナー達を見た。
「ん? はああ、やっぱりそうか…」 フリフリ
「すみません中佐!」 バッ
「何があった?」
「はあ、それが学徒動員兵の1番機が発艦に失敗しまして、それを見た後続のライナー達が怖がってしまって発艦を拒否してるのです」
「発艦を失敗? ただまっすぐ出るだけだぞ? 障害物も何もないこの大空でどう失敗した?」
「1番機のライナーが発艦時に起きるG、重力加速度に耐えられず気絶してしまい、そのう…」
「なんだ?」
「自動強制帰還した機体の操縦席内を見たら汚しまくってしまって、ドロドロに…」
「わ、それは見たくねえな」
「ええ、ライナー自身もえらい事になってまして、他のライナーがその姿を見てしまったんです」
「ああ… なるほどねえ、確かにそんな醜態、誰も晒したくねえからな、 だがあいつらだって一応は学徒動員されるほどのライナーなんだろ? 学園では訓練してこなかったのか?」
「訓練用の電磁カタパルトと正規空母『ヒリュウ』の電磁カタパルトじゃあ比べ物になりませんからね、びっくりしたんでしょ」
「ああ… 訓練用か… そりゃあ違うわな、ただ出るだけと、全力出撃じゃあ全然ちがう、さてどうするか…」
ビーーッ! ポン
『CICから第二格納庫へ、『青龍隊』なぜ発艦しない、直ちに発艦し、艦隊上空を掩護せよ!』
「やれやれ、CICから催促が来ちまったぜ… うん? 『青龍隊』だと?」
「ええ、学徒動員兵のライナー達が作るブレードナイト部隊の名前です」
「『青龍』ねえ… で、動けそうなのはあと何人いるんだ?」
「はッ 『青龍隊』の部隊長【三井】准尉他2名が動けます」 サッ
「三井? あの華族の三井家の三井か?」
「はい… その華族の三井准尉です」
「後は?」
「学年首席の優等生だった、【柴田】曹長と次席の【山下】曹長です」
「華族に優等生の3人か、1個小隊しか無いじゃないか」 チラ
発艦用電磁カタパルトから少し離れたところに、ライナースーツにヘッドギアを持った三井准尉と柴田曹長、山下曹長の3人が膝を震わせながら立っていた。
「機体はあるのですがライナーたちがあれではどうしようもなく…」
「むうう… ん?」
井伊直正中佐が学徒動員兵を見てどうするかと思っていた時、視界の隅に3人の若者の姿が目に止まった。
「あは! いい所にいるじゃないか」 ニヤ ザッ カツカツ
そう言って、井伊直政中佐は彼らの方へ歩き出した。
「え? 中佐! どこへ行くんです⁉︎ 中佐ッ!」
カツカツカツ ザッ!
「よう! お三方、見学はもういいかな?」
「井伊中佐! おかげさまで色々と勉強になりました」
「ほう、アトランティア帝国の英雄が、この艦でまだ教わることがあったんですかな」
「ええ、それこそ色々と… 特にあちらの准尉さんにはね」 ニコ
「うん? 三井准尉が何かしたのか?」
「実は…」 サ
「「 わああッ! ジェシカッ! ストップストップ! 」」 ババッ!
アランとマイロがジェシカの口と体を抑え制止した…
「むぐぐッ! むううッ! (なによおおッ!)」 むぐむぐ ジタバタ
「(ジェシカだめだよ、ここは穏便に、自分の国じゃないんだよ)」 ヒソヒソ
「むうう、(わかったわよ)」 コクン
「うん? どうした3人とも?」
「あははは、中佐殿、なんでもありません」
「そうか? まあ大体は察しはつくがな、なんかすまん!」 ペコ
「「「 いえいえ、頭を上げて下さい 」」」
「そうか?」 サッ
「ははは、そうです。 では僕たちは自室の方へ…」 サッ クルッ
「待てッ!」
「「「 は? 」」」 ピタ!
「なあお前たち、あれに乗ってみたくはないか?」 スッ ニイイッ
「「「 え? 」」」
「いやあ、うちのライナーたちがどうも急病にかかってな、出撃できないのだ。 だがどうしてもブレードナイトの数を揃えなきゃならなくてな、そう足りないんだ」
「はあ… それが僕たちにどんな関係が?」
「そこでだ、代わりに乗っちゃあくれないか?」
「「「 はい? 」」」
「頼む! 時間がないんだ! あと、あいつらに手本を見せてやってくれ!」
「手本ですか? でも僕たちのを見て何か参考になるのかな?」
「さあ?」
「いや、あいつらに電磁カタパルト自体は安全だと見せてやりたいのだ」
「じゃあ中佐殿が見せればいいんじゃないんですか?」
「いや、俺のは見てもしょうがないんだ、同年代の君たちのを見た方が効果的でね」
「どうしようかアラン?」
「そうだなあ… マイロはどうだ?」
「そうですねええ… 見本はともかく、他国のブレードナイト、ちょっと乗ってみたくありませんか?」
「ああッ! それッ! 私乗ってみたいッ!」 ワッ!
「でしょう。 アランはどうです、あの機体、聞けば『アウシュレッザ』とは兄弟機らしいですよ?」
「へええ…そうなんだ、『リーザ』の親戚みたいなものか… よしッ 井伊中佐! その申し出を受けます!」
「む! すまんな! 恩に切るよ。 早速だが時間が惜しい、ライナースーツは予備が待機所にあるからそれに着替えてきてくれ!」
「「「 はいッ! 」」」 タタタタ…
3人はライナースーツに着替えるために、ライナー待機所へと駆け出していった。
「ふうう、これでよしっと… さあて、後はあいつらか」 クルッ カツカツカツ
井伊直政中佐は、隅で震えている三井准尉と柴田、山下曹長の元へと向かっていった。
ガクガクガク ブルブルブル
「う、ううう、畜生… 俺はあんな目に会うのはごめんだぜ!」 ブルブルブル
「怖い怖い、行きたくないよおお」 ガクガク
「………」 ブルブルブル
「そこの3人ッ!」
「「「 はいッ! 」」」 ビクッ!
「第一機動大隊の井伊中佐だッ!」 ザッ!
「「「 中佐殿ッ! 」」」 ババッ! サッ
「うむ、今から俺がお前らの隊長になってやる、俺について来いッ!」
「し、しかし… お、俺、いや自分はこんな凄い電磁カタパルトを見た事がなくて、自分にはこれを使って発艦など出来ません!」 バッ
「自分もですッ!」
「…私も…です」
「馬鹿野郎ッ! 出来る出来ないじゃねえんだよ! やるんだよ! 貴様らライナーなんだろ? これくらいのG! 耐えて見せろ! いや慣れろッ! 慣れて平気になれッ!」
「しかし…」
「いやなら銃殺だあ〜」 ニヤア ジャキン
「「「 わあ! ややや、やりますッ! やらせて下さいッ! 」」」 ババッ
「わかりゃいいんだよ! さっさと自分たちの機体で準備をしろおッ!」 カチ ダアーーーンッ!
「「「 わあああッ! 」」」 ドタバタドタバタ ダダダ…
「ふうう… 全く、らしくない。 演技も楽じゃねえな」 ふん!
「中佐殿」 トントン
「うん? おう! 本多中尉、何かな?」
「はいこれ、始末書です」 サッ
「はああッ⁉︎ え? なに? なんで?」 バッ
「中佐殿、艦内は発砲禁止、ましてやブレードナイトデッキは火器厳禁なんですよ! お忘れですか?」
「あッ! なあ中尉、なんとかならんか始末書」
「無理ですね、中佐の動向はバッチリ、監視カメラを通じて艦橋にいる艦長、司令官に知れてますから」
「わああッ! ううう、仕方がないか…」 カキカキ サッ
ビイーーーッ! ポン
『第一機動大隊、敵ブレードナイト部隊と接触、現在交戦中!』 ピッ
「始まったか…」
そこへ、ライナースーツに着替えたアランたち3人がやってきた。
タタタタ ザッ
「「「 お待たせしました中佐 」」」 サッ
「ほう、様になってるな」
「それで、どの機体に搭乗すればいいのでしょうか?」
「本多中尉、どれが空いてる?」
「はッ 5番7番8番機が使用可能ですが、搭乗者登録がまだ出来てません」
「よし、じゃあすぐに済ませちまおう、ついでに一緒に出撃する連中を紹介する」 サッ
「「「 はい 」」」
「本多中尉頼む!」
「了解です!すぐ準備します!」 ダダダ!
井伊直政中佐は、ライナースーツに着替えたアラン達を引き連れて、ブレードナイトハンガーデッキにやって来た。
「こっちが5番機、あっちの並んで2つが7番機と8番機です」 サッ サッ
「どう? アラン」
「ん〜、どれも高速タイプの一撃離脱を主とした機体なんじゃないか?」
「ああ、そのとうりだ。 まあ元々学生たちが使う機体なんだ、格闘戦なんか視野に入れてないからな」
「じゃあ、僕はこれで」 スッ
アランは1番手前の5番機を指差した。
「それじゃあ僕はこっち、ジェシカはそっちでいいかい?」 サッ
「どれも同じようなものでしょ? 構わないわ、ただ…」 うん…
「なんだい? お嬢さん」
「あ、いえ、あれを追加装備できないかなっと思って」 スッ
ジェシカは武器格納ボックスの武器を一つ指差した。
「は? あれ?」
「はい、この機体にはダメですか?」
「いやダメじゃないが、あれはブレードナイト『TENZAN B6N』用の近接攻撃兵装だぞ? 扱いがとても難しいし、『ZERO』に装備した記録が無いんだが…」
「出来るんですよね?」 ファサ…
「ま、まあな、出来ることは出来る!」
「じゃあ、8番機にはそれを実装して下さい」 ニコ
「じゃあ僕もあの長射程機関砲をお願いします」 ビシ!
「アランはどうする?」
「僕かあ、武器はそのままで、そっち増速用ブースター2機をお願いします」 サッ
「は、はははは、中佐ああ、いいんですか?」
「ああ、それで頼む(流石だな、自分の戦闘スタイルに合わせてセッティングしている。 この歳で中尉に任官できるわけだ)」 二ッ
「はッ 第二格納庫整備ーッ! 機体仕様変更だああッ! 5番、7番、8番ッ! 再換装始めえッ!」
「「「「 了解ッ! 」」」」 バッ バタバタバタ ガガガ ウィイイイン ガコオン
「さあこっちだ、来てくれ!」 サッ
「「「 はい 」」」 ササッ
井伊直政中佐は、ブレードナイト「ZERO 11型」11番機と12番機、そして13番機の足元で、発艦に向けて準備していた3人のところにやってきた。
カツカツカツ ザッ
「三井准尉、柴田曹長、山下曹長、貴様らと一緒に出撃するライナーだ! 挨拶をしろよ!」
「「「 は、はい 」」」 バッ
「えッ!」
「あ〜、さっきぶりだね准尉」 サッ
「な、なんでお前らがここにいるんだよッ!」
「こら准尉ッ! 彼らはこれでも貴様らの上官、中尉だぞ! 敬礼せんかッ!」
「へ? ちゅ、中尉ッ⁉︎ し、失礼しましたあッ!」 ババッ! サッ
「ひいいッ!」 サッ
「いいか准尉、曹長、貴様らより先に中尉たちが3人が電磁カタパルトで出撃する! よく見ておけよ!」
「「「 はいッ! 」」」 バッ
「中佐あッ! 5番7番8番機換装完了! 搭乗者登録も変更終了です!」
「おう! よし全員搭乗ッ! 発艦準備だあ!」 バッ!
「「「「「 はい! 」」」」」 バッ タタタタッ!
「さてと俺も準備するか」 カツカツ ピッ
ウィイイイイン カシュン ドサッ ピピ バクンバクン プシュウウー ピッ!
ブウウン ブウウン
『マスター、おかえりなさい、「SHIDENKAI 21型 H001」出撃可能です』 ピッ
「001、小隊編成、2個小隊を率いる」 カチカチ ピ ビコビコ
『了解しました』 ピッ
ヒイイイイイイン ヴオン! グワアアアッ!
ビーーッ ビーーッ ビーーッ
ポン
『CICより第二格納庫、「青龍隊」発艦準備はよろしいか?』 ピッ
「おっとCIC、井伊だ! いまから『青龍隊』2小隊7機が発艦する! 発艦指示を頼む!」
『井伊中佐! 「青龍隊」で何をしてるのですか?』 ピッ
「俺が『青龍隊』の隊長を務める! 臨時隊長だ! いいな!」
『了解しました。 井伊中佐、発艦を許可、第14番から20番電磁カタパルトを使用して下さい』 ピッ
「CIC、『青龍隊』了解! 全員聞こえたな?」
「「「「「「 はい! 」」」」」」 ピッ
「各員ブレードナイト起動! 電磁カタパルトにつけ!」
「「「「「「 了解 」」」」」」 ピッ
ヒュイイイイイイイインンッ! ヴオン! ヴヴオオン! シュウウウウーー!
第二格納庫のブレードナイト7機、「青龍隊」が動き始めた。
いつも読んでいただきありがとうございます。
次回もでき次第投稿します。
震災の報に接し、心よりお見舞い申し上げます。
一日も早い再建をお祈りいたします。