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第281話 ヤマト皇国 皇国内反乱2

ーヤマト皇国帝都「トキオ」中央 国防軍総本部ー


ヤマト皇国の帝都「トキオ」全域で突如起きた天帝【卑弥呼】の義弟、【月詠命】による反乱、その帝都の中央に位置するここ、ヤマト皇国国防軍総本部の中央司令部内は、200人を超えるオペレーターの兵士が対応に追われていた。


ビーーッ! ビーーッ! ビーーッ! ザワザワ ガヤガヤ ドタドタ バタバタ


「おい、帝都東区の反乱の状況はどうなっている?」 ガヤガヤ バッ


「ダメだッ! こっちの端末ではわからん! そっちはどうだ?」 ザワザワ バタバタ


「その情報はもう古い! そっちのリアルタイムのを回せ!」 ピピ! ビーーッ!


「了解! 転送します!」 ザワザワ ピ タンタン ピコ!


「こちら総本部、こちら総本部、帝都全防衛部隊、各隊状況を報告せよ!」 ザワザワ ピピ ピコピコ!


ガヤガヤ ザワザワ バタバタ


「報告! 総本部内における敵反乱兵部隊の排除を確認! 総本部内はクリアー! 警報は解除!」 ビコビコ!


ビッビーーッ! ポン!


「帝都西区の工場区に反乱兵を確認ッ! 南区の商業区にも反乱兵です!」 ピッ ピピ ピコピコ!


ビーーッ!


「帝都防衛部隊より援護要請! 『商業区に回せる兵が不足、直ちに増援を!』との事です!」 バ!


「この状況下でそんな余裕などないぞ! 誰か手の空いてる者は対処してくれ!」 バタバタ!


「現在、豊臣大将閣下率いる本部付き護衛部隊が帝都内にて鎮圧行動を実行中、大将閣下に南区への援護要請だします! なお、皇居宮廷内の反乱はほぼ鎮圧を完了、宮廷内の安全を確保、天帝様、御身の御無事も確認しました!」 ガヤガヤ ピッ! ピッ!


慌ただしい総司令部内の司令官席で、司令部内にある大型情報パネルに次々と新たな情報が映しだされていった。 その現在の帝都内の情報と、帝都内の様子が映った映像を見ていた国防軍総司令官【織田信長】元帥は、事の成行を見ながら的確な指示をだしていた。


「ふむ、これで皇居の方は心配いらぬな、このまま皇居の守りは防空と装甲敵弾兵の両師団に任せる。 猿に伝えよ!『早急に南区への援護を出し、帝都内の反乱兵どもを全て排除せよ』とな! 北区に回した兵の半分を西区にッ! 敵、反乱兵の数、決して多くは無いぞッ!」 バサ!


「「「「「 はッ! 」」」」」 ババ!


そこへ、大型情報パネルの一部が切り替わり、帝都湾岸「五稜郭要塞」を示す位置に赤ランプが点滅しブザーが鳴った。


ピピッ ビーーーッ!


「緊急警報ッ!」 ビコビコ ピ!


「むッ! 今度はなんだッ⁉︎」 ザッ!


「『五稜郭要塞』にて緊急事態ッ! 重巡航艦『ナチ』が謀反! 同要塞と湾内で砲撃交戦中です! 『五稜郭要塞』及び要塞司令官、徳川上級大将閣下との通信が途切れました!」 ザッ! ピピ!


「なッ⁉︎ 馬鹿な! どういう事だ! 要塞で一体何が起きたッ!」 バサッ! ザッ!


ブウウンッ! パッ!


総司令部の情報用大型パネルの一部に、「五稜郭要塞」の現在の様子が映し出され、そこには巨大な重巡航艦「ナチ」が、要塞司令部に向けて主砲砲撃をしている姿が映し出されていた。


ワーワー ザワザワ モクモク ドオオンン! ガアアアンンッ! バラバラ ビービー!


「通信士ッ! 通信はどうした! なぜ家康と映像通信ができない⁉︎」 ザッ!


「申し訳ありません総司令官閣下、通信障害が発生しています! 『五稜郭要塞』とのリアルタイム映像通信が使用不能です!」 ビコビコ!


通信障害これ反乱部隊やつらの仕業か! おのれええ… 反乱兵部隊やつらは重巡航艦『ナチ』を奪い、我らの動きを封じる手段に利用する気なのだ!」 ググ!


ピピ ビコビコ ポン!


「『五稜郭要塞』は現在、重巡航艦『ナチ』と交戦中! 被害状況詳細は不明!」 バッ!


「ぬうう…(光秀… いいや、愚弟月詠めええ、天帝様に対する数々の所業… この借りは大きいぞ、覚悟するがいいッ!)」 ドン!


ヤマト皇国国防軍総司令官 織田信長元帥は、鬼の形相で情報用大型パネルを睨み、自身の司令官席のデスクを叩いていた。




ーヤマト皇国帝都「トキオ」湾岸 「五稜郭要塞」司令室ー


ヤマト皇国国防軍 大陸艦隊所属 重巡航艦「ナチ」、皇国国防軍大陸艦隊最強の大型艦で、艦隊旗艦級重巡航艦「ミョウコウ」型姉妹艦の4番艦である。 艦長は【大谷義継】中将、【徳川家康】上級大将配下の分艦隊旗艦でもあった。 その艦隊旗艦を務める程の最強大型艦が今、「五稜郭要塞」湾内にて、主砲による艦砲射撃を、母港の「五稜郭要塞」に向け開始していた。



シュババババアアーーーッ! ドンドンッ! ドゴオオオオンンッ! バアアアンンッ!


ビーーーッ! ビーーーッ! ビーーーッ!


「「「「 うわああああッ! 」」」」 ドゴオオンッ! ビリビリ! バチバチバチッ!


ガタガタガタ グラグラグラ ゴゴゴ パラパラ…


「ぬうううッ! 被害報告ッ!」 グググ! グラグラ ビリビリ!


ビーーーッ! ビコ ビコビコ ピピピピ ポンポンポン!


「要塞正面に『ナチ』の主砲弾が着弾ッ! 第1区画、第1第3監視所及びL12ブロックからL22ブロックまで大破炎上中!」 ババッ!


「なッ! 兵はッ⁉︎ 詰めていた者達は無事かあッ!」 バサ! ザッ!


ピ ピ ピピ ビコッ!


「ダメです! 同区画の施設、ブロックは完全に消滅! 生存者なしッ!」 バッ! 


「馬鹿なッ! あそこには500名以上の兵が詰めていたはずなのだぞ!」 ザザッ!


「全滅です! 生存者は有りません! 全員戦死!」 ビーーッ!


帝都「トキオ」の湾岸に位置する「五稜郭要塞」、建造されて以来、ただの一度も攻撃などされた事のない要塞である。 その要塞が初めて攻撃され被弾をした。 要塞司令官である【本多忠勝】中将は、要塞建造以来の出来事に驚いていた。


第1区画には、港に係留されている艦船の乗組員や兵士、港湾作業員などが詰めていた。そこへ、重巡航艦「ナチ」の主砲、40.3㎝連装フォトン砲5基10門から発射されたフォトン砲弾が全弾命中し、要塞正面第1区画の左側は完全に破壊され、跡形もなく吹き飛び、瓦礫の山となって炎と煙を吐いていた。


ゴゴゴゴ ボウボウ メラメラ モクモク ガラガラガラ…


その惨状に向け、重巡航艦「ナチ」は速度を上げつつ、再び主砲に続き、副砲にロケット弾、空間魚雷と持てる全ての攻撃可能火器を使用し、攻撃を続行し始めた。


シュバババババッ! ドンドンドンドン ドゴオオンっ!


シュゴオオオオーーーーッ! ドドドオオンンッ! シュバババアアーーッ!


「『ナチ』、速度増速ッ! 湾外に進みつつさらに発砲ッ! 空間魚雷、ロケット弾も多数接近ッ!」 ピピ ピピ ビコビコ! ビーーーッ!


ギュワアアアアーーーッ!


「くッ… 『ナチ』… 大谷中将…」 ギュウッ!


速度をあげ、攻撃を続ける重巡航艦「ナチ」に、高速で近づいて行く小型艇が数隻現れた。 小型艇は瞬く間に「ナチ」の舷側に近寄った瞬間、「ナチ」に強制接舷用のアームを使用して「ナチ」と繋がった。 そして完全武装の特殊突撃要員達が「ナチ」の防水扉のロックを強制解除して開け、中へと突撃して行った。


ビーーっ!


「湾内警備艇 105ッ!106ッ! 『ナチ』に強制接舷! 特殊突撃部隊、艦内に突入を開始!」 ピピ!


「うむ、突撃部隊に命令! 『速やかに、艦の制御を奪取し、攻撃と機関の停止、艦長の大谷中将の身柄を拘束せよ!』」 ババッ!


「了解しました!」 ササ ピ タンタン ピコ!



ー重巡航艦「ナチ」突撃部隊ー


バンッ! ギイイ… タタタタッ! ザザッ! チャキチャキ シ〜ン…


湾内警備艇から特殊突撃要員60名が、重巡航艦「ナチ」の艦内に突入していった。 艦内は、フォトンフィールドが張り巡らされたのか、艦外の激しい砲撃や攻撃の音などが一切聞こえなくなっていた。


「よし、ここには誰も居ないな、ここで隊を二手に分ける! B班は【坂本】、貴様が指揮をとり機関部を制圧しろ! 俺はA班と共に艦橋に向かい、大谷中将の身柄と艦の制御を奪取する!」


「はッ! 土方大尉殿! 坂本中尉、B班と共に機関部に赴き、機関部を制圧します」 サ!


「うむ、気をつけて行けよ坂本」 サッ


「はッ! よし行くぞ!」 バ


「「「「 はッ! 」」」」 ザ タタタタ


「ふ、では俺たちもいざ艦橋へ!」 サ!


「「「「 はッ! 」」」」 ザ!


バタタタタタタタッ! カチャカチャ ザザ タタタタ!


小型フォトンライフルと片刃の刀、対人用TSマインなどで完全武装をした特殊突撃要員60名が、二手に分かれ、巨大な重巡航艦の艦内を艦橋と機関部に向けて走り出した。


タタタタ サッ! ジイイ…


「よし、行くぞ!」 ササ


タタタタタ ササ タタタタ ザザアー サッ!


A班29名を率いる【土方歳三】大尉は、重巡航艦「ナチ」の艦内を艦橋へと進む間にある違和感に気がついた。


ピ ピピピ プシュー ガコン!


「む! ここもか…」 ザッ ザッ チャカ…


「土方隊長、おかしいです」 サッ キョロキョロ


「ああ、確かにおかしい、これはいったいどういう事だ?」


土方大尉だけでなく、同行のA班全員がこの異様な状態に気がついた。


「『ナチ』の乗組員がいません、随分艦橋に近づいているはずなんですが、1人も出会わないのはおかしいです」


「確かにな、出会わないどころか気配すら感じられん… 後、3ブロック先が艦橋のはずだ、少数精鋭でこの大きな艦を動かしているのか?」 むうう…


「それにしても少なすぎます。 駆逐艦や警備艇ではないのですよ、歴とした重巡航艦で流石にこれは…」


「とにかく急ぐぞ! 途中のブロックに居るかもしれん! 艦橋まで行けばすぐに分かる事だッ! 気を抜くなッ! 行くぞッ!」 ザ! タタタタ


「「「「 はッ! 」」」」 カチャカチャ タタタタタッ!


しかし、艦橋の入り口の前に着くその間のブロックにも、1人の兵士の姿を見る事はなかった。


ピ ピ ピコ ピ ピ ピコ


「隊長、この先が艦橋です。やはりこの艦はおかしすぎます! これは何かの罠でなないのでしょうか?」


「ふう、むう… それを今考えていた所だ。 坂本中尉たちの方はどうだ? 機関部に着いたのか?」


「それが、定時連絡の時間を過ぎているのですが、 B班からの応答がありません」


「どうしたのだ? 坂本中尉あいつらしくない…」


「土方隊長いかがいたしますか? あまり時間もありませんし…」


「むう、機関部よりも先に指揮系統の艦橋と艦長の身柄を確保するのを優先すべきだろう。 よし、我々だけで先に仕掛けるッ!」 ババッ!


「「「「 はッ! 」」」」 ザザザッ! チャカチャカチャカッ!


A班の特殊突撃要員は、艦橋の入口の扉の前で各々の装備を確認し、突入に備えた。


「扉は?」


「はッ ロックされていません行けますッ!」 サッ


「よし、3、2、1、突入ッ!」 バッ!


プシューッ! ドタドタドタ ザザッ! チャキッ!


「全員その場を動くなッ!」 ババ ザッ! チャキッ!


艦橋への扉が開いた瞬間、土方大尉を先頭にA班の全員が艦橋内に突入し、フォトンライフルを構えた。 艦橋内には大谷中将をはじめ、艦橋要員の兵士達十数名がいるはずだった。 が、しかし…


「なッ⁉︎ はッ? えッ!」 キョロキョロ


「た、隊長ッ! これはッ!」 ザワッ


ピ ピ ピコピコ ピピ  タタタタタタ タタタタタ ピコ ピコ


ピピピピ ビコビコ ピッ! カチ! ドドドドドドドオオオオオーーーッ


重巡航艦「ナチ」の艦橋は広く、操艦と機関、各種センサー、通信席がある1段目、本艦の各種兵器を扱う火器管制システムのCICがある2段目、そしてこの艦の指揮をする艦長以下、上位の士官達が詰める3段目といった艦橋構造で、特殊突撃要員A班を率いる土方大尉は今、その最上位段の3段目にいた。


重巡航艦ほどの艦橋要員ともなると、通常は艦長、下士官を含めて30名程が艦橋内で艦を運用していた。 しかし、土方大尉達A班が突入した艦橋内には、大谷中将はおろか、艦橋要員の全てが忽然と姿を消し、ただ艦の制御をするセンサーや情報機器端末が、まるで何者かの意思を忠実に守るかのように動き、完全自動で「五稜郭要塞」に向けて攻撃を続行していた。


ピ ピ ピコピコ ブ〜ン ピピピ ビコビコ…


カチッ ピッ ドドオオンンッ! シュバババババーッ!


「誰もいない…」 サ…


「隊長! 艦橋内には誰もいませんッ!」 ザッ


「とにかく『ナチ』を止めるんだ! その後で乗員を探し身柄の確保だ!」 サッ


「「「「 はッ! 」」」」 ササッ! バババッ!


土方大尉の部下たちは、重巡航艦「ナチ」を制御停止をするため、階下の火器管制制御のCICや、最下段の艦の動きを制御する操舵席や機関制御席へと降りていった。


その間に土方大尉は、最上段の艦長席の辺りを調べ始めた。 すると、艦長席の下に将官を示す中将の階級章が落ちていて、それを拾い上げた。


「これは… 大谷中将閣下の、どうして中将の階級章がこんなところに… 」 ジイイ…


土方大尉が拾った階級章を見ていると、階下より大尉の部下の誰かが1人、足取り悪く上がってきた。


タンタン タン ヨロヨロ ザ…


「むッ! そっちはどう…」 ザッ!


「た、隊… 長…」 ヨロヨロ ドサッ!


「お、おいッ!」 ダダダッ ザザアアーーッ!


階下から上がって来たのは土方大尉の部下の1人で、彼は身体中傷だらけになって血を流し、よろけてその場で倒れてしまった。 それを見た土方大尉は彼の元へ駆け寄り、彼を介抱するように上半身を抱き上げた。


「おいッ しっかりしろッ! おいッ!」 ガバッ!


「ハアハアハア、うぐ… た、隊… ちょ… ゆ、勇者が… は、早く退却を… あぐ!」 ガクガク


「なんだ? よく聞こえないぞッ! 勇者がどうしたッ!」 ユサユサ


「あ、ああ… うう… (か、神は… こ…この世界の… じょ、じょじょ… 浄化を… 我ら、ひ、ひ、人は罪深き…そ、在… 罪を… この世界か… の… 除を…)」 ガクガク バタ…


「おいッ! 聞こえないぞッ! おいッ!」 ガッ!


キラキラキラキラ パアアア…


土方大尉が部下は、何か重要な事を言いかけたがその場で絶命し、その身体は魔素還元され、光の粒となって大尉の腕の中で消えて行った。 そんな時、部下が来た階下より上がって来る者がいた。


コツ コツ コツ ザッ!


「ああ、いたいた あなたが隊長さんだね」 サッ


「なッ! おまえ… いや貴方は我が国の勇者ッ! ヒカル様ッ!」 ババッ!


「うん! そうだよ、よく知ってるねえ」 ニコニコ


そこに現れたのは、勇者サトシやスズカ、ケンゴ達と同じ世界からこの偽世界「アーク」へと召喚された、ヤマト皇国の勇者ヒカルだった。


「勇者の貴方がなぜここに? まさか、私の部下をったのは貴方かッ⁉︎」 ザザッ!


「うん、そうだよ! いやあ、たくさん居たけど、僕にかかれば一瞬だね、悲鳴すら聞こえなかったでしょ?」


「ううッ 何故こんな事を… 貴方は我らの勇者、彼らは皆、貴方の味方なのですよ! それを何故ッ⁉︎」 バッ!


「そりゃあ、神様の指示だからに決まってるからさ。 僕たち勇者は神様によって、この偽世界「アーク」に来てやったんだよ? 神様がそうしろって言えばそうする、いわば僕ら勇者は神様の使徒なんだ。 当然だろ?」 うん?


「神様の… 指示ですと?」


「うん、君たちが不要… いや邪魔なんだって、この世界から消した方がいいってさ!」 ニコニコ


「なッ 我々が不要? 邪魔…」


「ああでも、月詠たちにはまだ利用価値があるから、手を貸してやれって言ってたかな?」 ポリポリ


「なッ ではこの『ナチ』の乗員は… 大谷中将はッ!」 ザッ


「うん、邪魔だから消えてもらったんだよ。 いやあ、彼頑固でね、最初は『月詠の仲間にどう?』って誘ったんだけど、彼もその部下たちやこのふねの乗組員、皆んな拒否したからさ、君の部下たち同様に僕が消してあげたんだ」 ニコ


「ううッ…(この勇者は異常だ… 人を亡き者にする事など、何の抵抗もなく成し遂げる。こんな者を勇者になど、神はいったい何を考えておられるのだ)」 ググ カチッ ピッ!


「さあ、あなたもここで消えてもらおうかな、神様の指示は絶体だからね」 スウウ チャキンッ!


勇者ヒカルは、ストレージから、一本の神剣を取り出した。


「さあ、僕の神剣『リヒト・ソウラス』、また頼むよ」 シュバアアーーッ!


「あれはッ! 勇者のみ持つ事の許される神剣!(勇者にフォトンライフルや銃、ライトニングセイバーは効かない… 魔法では魔力量の差で話にならん、あとは… )コイツのみかッ!」 シュリンッ! チャキン!


土方大尉は隊長のみが持たされている「恩賜の軍刀」 片刃の剣の刀を抜き構えた。


「へええ、刀じゃないか、それで僕に勝てるといいね」 チャキ


「クッ! 勇者ヒカル、貴方にいくつか聞きたい」


「うん? いいよ、何かなあ?」 ビュンビュン!


「機関部に行った俺の部下たちはどうした?」


「機関部う? ああ、階段をコソコソと降りていった連中のことだね。 だったらもう彼らはこのふねには存在しないよ! 先にこの僕が全員消しておいてあげたからね」 ニコ ビュンッ!


「なッ! 阪本中尉… この艦をこの後どうするつもりだッ⁉︎ 乗員、兵士を全て消し去って、貴方1人でこの艦を動かす事など不可能、どうすることも出来ないぞ!」 グググ…


「うん? ああ、それなら心配いらないよ、このふねは完全自動で誰の手も借りずに動いてるんだ。 とある場所に向かうよう指示されてるんだよ。 そう、神様の力による指示でね。 僕が居ようが居まいが、無人で動きそこへと向かっていく、それを邪魔をする者は何人であれ攻撃をするんだ。 いやあ、凄いよねこれ、このふねはまるで自分の意思を持ったみたいに動くんだよ」 トントン!


「まさかこの艦を、『ナカ』を反乱部隊… 月詠様に…」


「おッ! さすが隊長さん、鋭いねえ。 そうだよ、この大きなふねはこの後、そのとある場所で月詠たちの物になる、反乱部隊の戦力の中核になるのさ」 サッ


「ううッ だがたとえ重巡航艦と言えどたった1隻で何ができる! 我がヤマト皇国の国防軍には数多くの強力な艦船が存在するのだぞ!」


「はああ、やれやれ、月詠の反乱にこの1隻な訳ないでしょ」 フリフリ


「まさか、ほかにもッ⁉︎」 ザッ!


「そう、そのまさかだよ。 既にこの国の、軍艦の何隻かはかなり前から、神様の指示が入って動いているのさ。 今日、この日が来るためにね。 今頃は乗組員の意思に関係なく、このふねと同じ行動を取ってるんじゃないかな」 二ッ


「そんな… それでは今回の反乱騒動は…」


「そう、やはりあなたは鋭い、月詠の反乱なんて大間違いさ。 全て神様の『シナリオ』通りの、既に決定されていた、この国の歴史なんだ」 ニコ


「は? あ、ああ… え?」


「彼ら、月詠や明智だったかな? まあ、反乱に加担している人間はどれも皆、神様に踊らされている人形、手駒の一つ、行く行くは月詠たち彼らもこの世界から消滅する事が決まってるみたいなんだ」 くくく


「神の人形… 人は神の手駒だと…」 ググッ!


「そして、あなたがここで僕に消される事もね!」 ビュンッ! シュバッ ザンッ!


「あッ がああッ!」 ズバアアアーーッッ! ドサッ! ポタポタポタッッ!


突然、勇者ヒカルは話の最中にいきなり土方大尉を斬りつけてしまった。 話の内容に聞き入っていた土方大尉は完全に不意を突かれてしまった。


「はい、お終いっと じゃあね隊長さん、僕にはまだやらなきゃいけない事があるからね、さようなら」 ビュン チャキンッ! ザッ


コツ コツ コツ…


そう言って、勇者ヒカルは床に血を流し倒れた土方大尉を置いて去っていった。


コツ… シ〜ン…


「うぐぐ… お、おのれえ… 勇者ヒカル… 」 ボタ! ボタボタ! ググ! 


勇者ヒカルがその場から去った後、土方大尉は大量の血を流しながら、うつ伏せから仰向けに身体を動かした。 そして、ズボンのポケットから小型の長方形の機械を取り出した。


ゴソゴソ カチッ! ピッ!


「ハアハアハア… と、棟梁… 聞こえましたか? ろ、緑影ろくかげ… 歳三です。 ううッ ハアハア…」 ガクガク


ピッ!


『赤影だ歳三、いや緑影、全て聞いた任務ご苦労… 後は任せろ、涅槃で待つがいい、後で俺も行く』 ピッ


「御意…」 ガク… シュバッ キラキラキラ パアアアアーーー…


特殊突撃部隊隊長、土方歳三大尉は影の一員であった。影の棟梁である赤影に今までの会話を聴かせた後、力尽き、その身体は光の粒子となって魔素還元され消えていった。


シュゴオオオオオオーーーッ! ドオオンッ! ドオオンッ! ゴゴゴッ!


重巡航艦「ナチ」は、艦内艦橋でそんな事が起きていても関係なく、神の指示通り要塞を攻撃しながらさらに速度をあげ、湾外へと出ていった。



ーヤマト皇国帝都「トキオ」湾岸 「五稜郭要塞」指令室ー


ビーーーッ ビーーーッ ビーーーッ!


「重巡航艦『ナチ』湾外へ、速度増速28ノット 進路7.336 マーク26 イエロー18」 ピピ


「おのれえ、取り逃したかッ! 特殊突撃部隊から連絡はないかッ!」 バサ!


「突撃部隊からの応答はありません! だめです、通信はロスト!」 ピピピ ピコピコ


「ぬうう、返り討ちにあったか…」 ドンッ!


ドゴオオオンンッ! メラメラメラ ズウウウンンッ! 


「湾内接舷設備は大破、巡航艦『タカオ』『マヤ』は中破、航行不能! 駆逐艦『ユウギリ』『アサカゼ』『アヤナミ』は大破炎上中、各艦修理には数週間かかります!」 バッ


「くそう、動ける艦艇は直ちに出港せよ! 『ヨコスカ軍港』に命令、軍港内全艦は直ちに出航せよ!『成田航空団』にも連絡ッ! 攻撃機を出し、反乱艦『ナチ』を索敵攻撃せよとなっ!」 バサッ!


「「「「 はッ! 」」」」 ババッ!


「そう、易々とこのわしから逃げきれると思うなよ!反乱部隊どもめ!」 ググ! ザッ!


艦隊総司令の徳川家康上級大将が、反乱艦、重巡航艦「ナチ」の追撃を命令した時、新たな緊急事態の情報が入ってきた。


ビーーーーッ!


「急報ッ! 『ヨコスカ軍港』へ帰港中の第3航空艦隊より離反艦ッ! 小栗警務艦隊からも離反艦ですッ! 各艦とも。こちらの指令を受け付けず、速度をあげ離脱航行中!」 ババ ピピピ ビコ!


「まさか、『ナチ』意外にも反乱部隊やつらに同調する艦がいると言うのかッ!」 バンッ!


「司令ッ!」


「全艦の出航を待てッ! 各艦の全てを再点検、乗員の身元を確認せよッ!」


「「「「 はッ! 」」」」 ザザッ!


「下手に動き、これ以上反乱部隊の戦力を増やすわけにはいかん! 追撃はそれからだ!」 むうう…


艦隊総司令の【徳川家康】上級大将は、すべての艦艇の洗い出しと、乗員、兵士の身元確認を徹底的に行った。 だが、この行動は正しかったが、反乱部隊、月読命達にとっては、戦力の再編をするのに十分な時間を与えてしまった。


重巡航艦「ナチ」が、「五稜郭要塞」の索敵範囲から外れると、警報は解除され、損傷箇所の復興が始まった。


「忠勝ッ!」


「はッ お館様」 サッ


「わしは中央総本部、織田元帥閣下に会ってくる。 要塞司令の貴様はここにて復興と警備に留意せよ!」 ザッ!


「はッ!この本多忠勝、要塞司令の任、指揮を務めますがゆえ、安心して織田元帥閣下の元へお出かけください」 ササ


「うむ、頼んだぞ! それと直弼のやつにもな、『いつでも出向できるように用意せよ』と」 ザッ ザッ ザッ!


「はッ 必ず伝えます!」 ササッ!


そう言って、艦隊総司令官の徳川家康上級大将は、ヤマト皇国国防軍総司令官の織田信長元帥の元へと足を運んだ。



ーヤマト皇国帝都「トキオ」中央 国防軍総本部ー


ビーーーッ!


「帝都内での反乱部隊による反乱は全て鎮圧、帝都全域の警報解除!」 ピ!


「うむ、で、あるか… 猿よ、よう出来でかした、褒めてやるぞ」 二ッ


「各方面に反乱艦、相模湾三浦半島上空にて、重巡航艦『ナチ』を中心に集結中」 ピピ


「むうう…」 ジイイ…


国防軍総司令官の織田信長元帥が、大型情報パネルに映る反乱した艦艇の動向を見て唸っていた。


ピ ポン!


『総司令官閣下、「五稜郭要塞」より艦隊総司令、徳川上級大将閣下がお見えになりました』 ピッ!


「うむ、会おう、わしの部屋に通してくれ」


『了解しました』 ピッ!



ピ プシュウウーー ザッ ザッ ザッ


「信長殿」 サッ


「ふふふ、家康よ、してやられおったな」 ニヤ


「は、月詠めにこうも搦手からめての行動力があるとは… 全くもって弁解のしようない」 サッ


「で、あるか… だが家康よ、此度の騒動、どうやら月詠あやつらだけで起こしたものとは違うようだぞ」


「それは、月詠、明智以外の誰かが、という事ですかな?」


「うむ、わしの影どもが総動員して探っておる。そのうち分かるであろうな」 むうう…


信長と家康しかいない総司令官室に、彼らの背後に1人の男が現れた。


シュンッ! シュバッ! ザッ


「御館様、赤影、ただいま戻りました」 サッ


「うむ、何かわかったか?」


「はッ! まずはこちらを、これは私の部下が命を賭して得た情報です」 サッ!


それは、重巡航艦「ナチ」の艦内で倒れた土方歳三大尉こと、緑影と勇者ヒカルとの会話の音声記録だった。

          ・

          ・

「信長殿ッ! これはッ!」 バサッ!


「ククク… そうか、そうであったかッ! わっはははははッ!」 バサバサッ!


「御館様…」


「これで合点がいったわッ! 月詠や光秀など単なる小物ッ! 真の敵は神であったかッ!」 バッ!


これまで、ヤマト皇国内で起きた反乱の全てが、神による「シナリオ」との事を聞き、織田信長元帥は大笑いをし、全てを納得した様子だった。


「神か、いいだろう、この信長が相手をしてやるッ!」 ググッ!


「ですが信長殿、相手は紛う事なき神、我ら人の力で勝てましょうか?」


「家康、わしを誰だと思っておるか? ヤマト皇国の覇王と呼ばれるわしに不可能はないッ!」 バサバサッ!


「分かり申した… この家康、全力を持って信長殿を支援致しましょうぞ!」 ザッ!


「うむ、よくぞ申した。 赤影ッ!」 バサッ!


「はッ!」 サッ


「まずは月詠と光秀が先だ、奴らの動向は掴めておるな?」


「はッ 帝都を脱出した月詠ら反乱部隊は、三浦半島上空の反乱艦隊と合流、一路南へと移動を開始しました」


「ふむ、月詠めらはどこへ行くと思う?」


「恐らくは、奪取した艦の補給整備が可能な、いずれかの軍事施設へと向かうでしょう」


「で、あるな。 わしもそう思う… それで、どこだと思う」


「はッ 恐れながら、難攻不落の硫黄島『父島要塞』かと」 サッ


「なッ! 信長殿ッ!」 ババッ!


「ほう、そうか『父島要塞』か…」 ニヤッ!


織田信長元帥は、月読命達、反乱部隊の行先が、大陸より少し離れた海上に存在する硫黄島、そこに存在するヤマト皇国の最強要塞の1つ、「父島要塞」と聞き、不適な笑みを浮かべていた。




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