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第28話 戦士達と陣中談義

ーパルマ防御陣地ー


その日の夕方、私は第2騎士団、パルマ大地防御陣地の中にある指揮用詰所テントの中にいた。いや連れてこられた。テント内には騎士団団長のアーデルベルト、相棒のマシュー、それと数人の騎士達がいた。


「さあ、アニス、話してもらおうか?」


マシューが尋問してきた。ようは、さっきの神級魔法の説明をしろという事らしい。


「ん、何を話せばいいんだ」


「ほう、解っているのだろう。あの翼竜を消しちまった光のことだ、お前なんだろ、やったの?」


「(やはりマシューは感づいていたか)いわなきゃだめ?」


上目遣いで人差し指を口元に当て、マシュー達を見ながら質問した。その仕草を見て2人とも顔を赤くしていた。マシューは(ク〜ッ、こいつなんで無自覚にこんな表情ができる、か、かわいいじゃあねえか、くそう)と思っていた。


「んーッ、さすが僕の妻、かわいいじゃあないかあっ!」


ゲシッ! マシューがアーデルベルトに拳骨を入れた。


「がッ!な、何をするマシュー、痛いではないか!」


「アニスはてめーの嫁じゃあねえ、バカやろう!」


マシューとアーデルベルトの言い合いで、テント内がいきなり賑やかになる。同伴していた騎士達も呆れ顔で笑っていた。アニスは騎士達に尋ねた。


「いいんですか、あのままで」


「いやあ、よくは無いんですけど、我々に三大天の方や騎士団長を止めるほどの技量も無く成り行きに任せるしか..」


「おっとお、言い合いをしている場合じゃあねえ!」


マシューの言葉にアーデルベルトも本題に入る。


「そうだった、マシューの言う通りだ」


2人は意気投合したかのようにアニスに振り向いた。


「「さあ、アニス(ちゃん)ッ!もう一度聞く(よ)アレはなんだったんだ(い)‼︎」」


2人同時に同じ質問をアニスにして来た。アニスは仕方無く話し始めた。


「話す前にいいかな、今から話すことは他言無用でここにいる人だけにして下さい」


その場にいる全員がうなずいた。


「先ほどの、翼竜を消し去った光は確かに私の魔法です」


「魔法? あれが魔法だというのか? あれだけの威力を秘めた光の束が?」


マシューに驚かれアニスはうなずく。


「ちょっと待ってアニスちゃん、あれが魔法だとしても君の魔力量はどうなっているんだい?」


「どうしたアデル、そんなに慌てて何か変なのか?」


「変なんてものじゃあない、さっきのあれをこちらの魔力測定器が測定していて、いくつが出たと思う?」


「ま、まああれだけの威力だ、2、300は出てたんだろう?」


「2メルテラン...」


「は? 今なんて言った?」


「だから、あの光の威力に2メルテラン以上の魔力量が測定されてたの!」


「に、2メルテラン?そんな数字聞いたことねえぞ! 俺たちが使う最高位の帝級魔法でも300メルガノンくらいだぞ、それが2メルテラン以上だと! 確か1000メルガノンが1メルテランだっけか、だとすると2メルトランは2000メルガノン⁉..本当にか?」


「事実だ、その測定器はその数字を叩きだして壊れてた。だから、アニスちゃんに聞いたんだ」


マシューがアニスに近づき両肩を両手でつかみ問いかける。


「あ、アニス、体は大丈夫なのか? アレだけの魔法が使えるお前は何もんだ?」


「ん、体は大丈夫なんともない、ただ何者かと言われても、アニスはアニスだよ」


「ああ、そうだった、こいつはそういうやつだったな」


「じゃあ、魔法の事は言えるかい、アニスちゃん」


「ん、少しだけなら、あの魔法は、私の個人魔法で、目標対象を消滅させる魔法」


「消滅って、えらく物騒な魔法だな」


「そんな魔法をなぜ使ったんだい?」


「必要だったから」


「そういえば、以前言ってたね、(『魔法は使わないのかい?』『使う程のことがなかったから』)と、ということは今回は魔法が必要だったと判断していいのかい?」


アニスは無言で頷き、マシューは問いかける。


「必要?あんだけ強力な魔法が必要だったてのか?」


「ん、マシュー、あの時私が言ったこと覚えてる?」


「ああ、確か翼竜が抱いてる酒樽みたいな物を落とさせるな、だったな、それが何か?」


「そういえば、この陣地に突っ込んできた翼竜の腹になんか抱いてたねえ。アレかな?」


「そう、アレが落とされたり破裂したら、ここ一帯は、人、森や草原も全て吹っ飛んで、不毛の大地になっていた。アレは使ってはいけない兵器」


その場にいる者全てが、驚愕の表情を浮かべ驚いていた。アーデルベルト達はこの地を死守するつもりでここに陣地を作っている。それがあの翼竜がここに落ちたらこの一帯がなくなる。そんなことを聞いて驚かないはずがなかった。


「それであの魔法を使ったと?」


「ん、あのままではここにぶつかる勢いだったから、その前に消し去るのがいいと判断して使った」


「まあ、あの状況じゃあなあ、俺は離れてたし、アデルは魔力残ってなかったからな」


そこへ、給仕兵がお茶を運んで入ってきた。良質の香りのよい紅茶であった。

若い給仕兵は一人一人に紅茶を入れていく。そんな中一人の少女に目が留まり動きも止まる。彼は一目で彼女に見惚れてしまい呆然としていた。


「ん、どうかしましたか?」


アニスが問いかけると慌てて給仕に戻る。


「し、失礼しました、紅茶ですどうぞ」


「ありがとうございます♡」 ニコッ!


「は、はい!では失礼しますっ!」


若い給仕兵は顔を赤くして、慌ててその場を後にした。その様子を見て、マシューとアーデルベルトの二人はほくそえんでいた。


「アニスちゃんはもてるねえ、うちの給仕兵が一発だ」


「こいつ、これで自覚なしにやってるからな、自然体というか無意識にって言うか」


「やっぱり僕の妻にならないかい?」


「お前、まだ言うか。ダメって言ったろ、こいつは俺のパートナーなんだからな」


「はは、やっぱりだめかあ。アニスちゃんその気になったら言ってね」


「ん、期待しないでほしい。それよりマシューちょっといいか?」


紅茶を、コクっと飲みマシューに尋ねる。


「なんだ?」


「聖王都に行くと言っていたが、行き先を変えたい」


「ど、どこに行く気だ?」


「ディアル皇国」


「はあ!なんで急に変えるんだ⁉それもディアル皇国だあ、敵国じゃあねえか!」


「今回のことが原因、私はあそこを先に行ってやることができた」


「なんだよそれ、今回のってまさか、樽状の、この辺りを吹っ飛ばすような兵器が関係しているのか?」


アニスは頷きながら答えた。


「ん、あれはこのままにしてはおけない。でなければ...この世界が滅亡する!だから私が..」


「なんでお前がそこまでするんだよお! お前がしなきゃならない事なのかあ⁉︎」


マシューがアニスにいろんな感情をこめて勢いよく尋ねる。


「ありがとう マシュー。でもね、これは私以外誰もできないから...(私の使命だから)」


「どうしてもか?」


「ん、どうしても」


一旦沈黙の間があったあと、マシューが大きなため息をついてからが口を開く。


「しゃあねえ、付き合ってやるかあっ! お前一人にしとくのはまずいしなッ!」


「な、ずるいぞマシューッ! アニスちゃんと二人で異国へデートするなんて!」


「ん、で、デートなんて...(なぜ動揺する、この体が反応してるのか?)」ポッ!


「デートじゃあねえよ、アデルちょっとこっち来い!」


そう言って隅の方にマシューはアーデルベルトの腕を掴んで移動した。そして、周りに聞こえない様に小声で話した。


「よく考えろアデル、あんな見た目は貴族の様な女の子を、皇国に一人で行ったらどうなると思う?ましてやあの殲滅兵器みたいな魔法が使える後ろ盾のない少女、一発で向こうの奴等に取られるぞ!」


「は、そ、そうだ僕の妻が危ないッ!」


「妻じゃない!、それにアイツ、剣技も魔法もめちゃくちゃ強えぜ、下手すると向こうの貴族や皇族がほっとかねえ、絶対取り込もうとするはずだ。そうなったら誰があいつを守れる? お前は聖王国の第2騎士団、他国の騎士団員それも団長はあの国に入国できねえ。そこで俺だあ、俺は今、どこにも所属していない冒険者だ。冒険者ならギルドカードを見せるだけで入国できる。それにアニスも冒険者だから、パーティーだと言って入れるからな」


アーデルベルトは悔しそうにしていたが、マシューの言っていることはごく当たり前なことなので我慢することにした。


「しかたがない。マシュー、アニスちゃんを頼んだよ」


「おうよ!任せとけ、誰もアニスには触らせねえから!」


「特に皇国の皇族や貴族、騎士連中には気をつけてくれよ」


「ふふふっ そんな奴らは俺の剣技のサビにしてくれる。アニスは誰にもやらん‼︎」


二人は、再びアニスのいるところに戻り、席に座って残っている紅茶を飲み干しながら アニスにマシューが決まった事を話した。


「話はまとまった。俺もついて行く、よろしくな」


「いいのか?マシューにとって何にも得る物はないぞ?」


「得るものかあ〜、そうでもないなあ、充分あると思うぜ」


「ん、そうか、ならいい一緒に行こう(え、体が、この子喜んでいるのか?)」


アニスは自分の感情とは別の何かが自分の体に存在し始めたのを感じ始めていた。それが今後自分に何か影響があるのか無いのか、これからそれが成長するのか消えて無くなるのか成り行きに任せる事にした。夕食を皆で取ったあと、テントを出て騎士団よりあたえられた寝泊まりするテントに向かって歩いていた時、アニスは何か聞いた気がした。


.........(ア..ニス様...マシュー...さま....だ....すき.....まだ.....!..).......


「ん、マシューなんか言ったか?」


「いや、何も言ってないが。何か聞こえたのか?」


「.......いや、なんでも無い。気のせいだったかな?」


こうしてテント内の話し合いは終わり、翌朝からアニスとマシューは隣国、ディアル皇国へ向かう事になった。
























「う〜休み明けはきついよ〜、アニスちゃ〜ん、ミ、ミズ..」

「お帰り、ユキヤマ.ん、ミミズ欲しいのか?」

「ちがあう!水だよ水!ウォーターだあ!」

「なんだ水かよし《クリエイトウォーター》」ざばばっばあばあ!

「ガボバアッ! って加減してえええ!」

次回も出来次第投稿します。

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