第267話 終結
ーヤマト皇国「樹海」辺境 エリア071ー
ドオオオオオンンンーーッ!
ビコッ!
「艦長、敵重巡航艦大破ッ! 轟沈しますッ!」 バッ!
ドゴオオオーーンンッ! ブワアアアアーーッ! ドドドドドオオオオーーー!
攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」の艦橋にあるメイン情報モニターに、艦体中央がいきなり大穴を開け融解し、数秒後に大爆発を起こし、地表へ落下してさらに大きな爆発していった、ココル共和国、完全自動無人艦隊の旗艦「ヴェルデ・リュージュ」の状況が映し出されていた。
「残骸が落下、地表にて2次爆発ッ! 延焼中ッ!」 ババッ
ゴオオオオーーッ! ボウボウ モクモクモク…
「す、凄いッ! 重巡航艦を一撃で… 艦長、アレはいったい…」 ググッ…
「「「 おお… 凄い… 見ろよ轟沈だ… 」」」 ガヤガヤ ざわざわ…
攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」の艦長、青山少佐を除き、副官である松田大尉と艦橋要員達は、大型情報モニターに映る、重巡航艦「ヴェルデ・リュージュ」の撃沈の様子を見て驚いていた。
「大尉… アレは恐らく重巡クラスからの攻撃だろ、しかもあの破壊力… 46cm三連装砲、主砲のフォトンレーザーだったかな、『ミョウコウ』クラスの重巡にのみ装備された艦隊決戦用秘匿兵器だよ。 しかし、試験射撃の時とは威力が桁違いだ、重巡航艦の装甲をこうも容易く貫くとは… 凄まじい破壊力だな」 ムウ…
「重巡ッ⁉︎ では近くに友軍の艦隊がッ…」 サッ!
副官の松田大尉がそう言いかけた時、「ユキカゼ」のセンサーが多数の艦影を捉えた。
ビーーーッ! ピピピ ビコビコッ!
「センサーに感ありッ! 方位1128、距離22000、高度3200、速度58ノットオーバー、インディコ15、マークポイントアルファ11、グリーンブラボーッ! 友軍艦隊ですッ!」バッ!
「艦長!」 バッ!
「連絡のあった増援艦隊だな、しかもあの識別信号… 重巡航艦「ミョウコウ」、徳川大将閣下配下、井伊直弼中将の高速打撃艦隊の旗艦だ」 サッ!
ビーーーッ! ポンッ!
「接近中の友軍艦隊よりコンタクト! 旗艦『ミョウコウ』より映像通信ッ!」 ピッ ピコ
「うむ、通信士、繋いでくれ」 コク
「了解、メイン情報モニターに接続、通信回線開きます」 ピッ
ブウウン パッ!
艦橋内にあるメイン情報モニターに、地表で燃え盛る重巡航艦「ヴェルデ・リュージュ」の映像から、威厳のある軍服の男性の映像に切り替わった。
ザッ! ババッ!
「井伊中将提督ッ!」 サッ!
『うむ、久しいな、青山少佐』 サッ ピッ
「はッ! 二月前の艦隊合同会議以来です!」
『そうだな、まあ貴様と『ユキカゼ』が無事でなによりだ!』 ピッ
「はッ! この度の援軍、感謝します」 ペコ
『なあに、我が領土に大軍を持って無断侵入し、剰え戦闘を仕掛け、我が国の領土と艦艇に被害を与えたのだ、当然の結果だ!』 ピッ
「その事ですが提督、あの艦隊は分艦隊、まだ他にも敵の艦隊が存在します」 サッ
『うん? ああ、国境付近を隣国、ココル共和国へと航行している艦隊のことか?』 ピッ
「はッ! 大型の正規空母を伴った機動艦隊です、国境を越え、ココル共和国に逃げ込まれてしまうのでは?」
『なら心配はいらん!』 ニヤ ピッ
「と言いますと?」
『既に我が艦隊麾下の機動部隊が追撃中だ! ふむ、そろそろだな… 今頃はもうたぶん…』 ニイイッ!
モニター内に映る井伊直弼中将は、自分の腕時計を見ながら不敵な笑みを浮かべていた。
「閣下?」 サッ
・
・
・
ー同時刻、ヤマト皇国「樹海」辺境エリア071 国境周辺上空 5000mー
シュギュアアアアーーーッ! ドウウウウウウーーーッ! ピ ピピピピピッ! ビコッ!
『マスター、前方下方に敵艦隊反応』 ピッ
「見つけたぞッ! 全機突撃ッ! 我に続けえッ!」 カチカチ グイッ!
バウウウウウーーッ! シュバアアアアーーッ!
『『『『 了解ッ! 』』』』 グイイッ! ピピッ!
ギュワアアアーーッ! バウウウウウーーッ! シュバババババーーッ!
攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」と重巡航艦「ミョウコウ」の艦隊が合流しようとしたその頃、ここ、ヤマト皇国とココル共和国の国境周辺上空5000mの位置に、ヤマト皇国国防軍、井伊直弼中将配下の機動部隊所属ブレードナイト部隊、第1波60機が、国境を越えようと航行しているココル共和国、完全自動無人艦隊正規空母「ギュルテルティーア」の艦隊を発見し、攻撃の為、急降下をし始めた。
ギュウウウウウウウンンンンンーーーーーッ! ピ ピピピピピ ビコビコッ!
「敵艦視認ッ! 周辺に直掩機ッ! 戦闘機隊ッ! 奴らを叩けッ! 艦爆隊ッ! 25番投弾用意ッ!」 グイッ!
『『『『『 了解ッ! 散開ッ! 』』』』』 バッ! ギュイイイイイイーーッ!
「山本隊行くぞおッ! 全機突貫ッ! 直掩機を叩き落とせええーッ!」 グイッ! ピッ
『『『 おおーーッ! 』』』 ピピッ! シュバアアアアーーッ!
シュゴオオオオオーーーーッ! ブオンッ! ギュワアアアアアアアアーーーーッ!
ーココル共和国、完全自動無人艦隊、正規空母「ギュルテルティーア」ー
シュゴゴゴゴ ゴウンゴウンゴウン ゴゴゴゴ ピッ ピッ ピッ
『巡航艦『ライデン』、国境ヲ越エ、ココル共和国ニ侵入』 ピッ
『エエイ、コレ以上侵入サセテハナラナイ、追エッ! 追ウノダッ! ブレードナイト部隊ッ! 巡航艦『ライデン』ヲ捕捉次第攻撃セヨ!』 ピッ
ココル共和国、完全自動無人艦隊の正規空母「ギュルテルティーア」は、強襲巡航艦「ライデン」の欺瞞誘導による偽の強襲巡航艦「ライデン」を追い、ココル共和国方面に航行していた。 搭載機のブレードナイトは直掩機を残し、全機出撃し、偽の強襲巡航艦『ライデン』を追っていた。
正規空母『ギュルテルティーア』の艦艇制御システムは、欺瞞誘導の強襲巡航艦「ライデン」に目を奪われ集中していた為、自分達の上空に接近していたヤマト皇国のブレードナイト部隊に気が付くのが遅れた。
ビーーーッ! ビーーーッ!
『ナニゴトダッ!』 ピッ
『本艦上空ニ敵ノ大編隊ッ! 敵機直上ッ! 急降下ッ!』 ピッ
『シマッタアアーーッ! 全艦対空防御ッ! PDS起動ッ! 直掩機迎撃セヨッ!』 ビビイイッ!
ブオンッ! ビ ピコッ!
『『『 了解、迎撃ヲ開始シマス 』』』 ビビッ! ガシュンッ!
ヒイイイイイイインンッ! バウウウウウーーーッ!
正規空母「ギュルテルティーア」を囲み、空中護衛していた12機の自立思考型無人ブレードナイト「グリフォスD/FAV7」が、高速急降下してくるヤマト皇国のブレードナイト部隊を迎撃する為に、急上昇して行った。 また、「ギュルテルティーア」を護衛していた巡航艦「ゼルダ」、軽巡航艦「リンク」、護衛駆逐艦「ビット5」から「ビット8」が迎撃体制に入った。
ギュワアアアアーーーッ! ピピピピピ ビコッ ビコビコッ!
『マスター、敵迎撃機接近ッ!』 ピッ
「今頃気付いても遅ええーーッ!」 ピピピピピ ビコビコッ! カチ ピッ!
ヴオオオオオオオオオオーーーーッ! シュババババババババーーッ!
高速急降下中の戦闘機、山本隊、ブレードナイト『ZERO 52型 AF』24機が、主兵装の対ブレードナイト用200mmインパクトカノンを打ち始め、急上昇迎撃に向かってきた12機の自立思考型無人ブレードナイトの「グリフォスD/FAV7」に、その全てが吸い込まれていった。
ピッ!
『ビイイイイイーーッ!』 ガンガン ビシッ! ドカアッ! バシイッ!
ドオオオオオンンンーーッ! ブワアアアアーーッ!
『カッ! 回避ガッ…』 ビシビシッ! バキイイインッ! ドオオオオオンンンーーッ!
メラメラ バアアアアアーーッ! ドオオオオオンンンーーッ!
山本隊からの一斉射により、迎撃に来た自立思考型無人ブレードナイト「グリフォスD/FAV7」の数機が、あっという間に被弾し、爆散していった。
ピッ
『マスター、7機の撃墜を確認しました』 ピッ
「残り5機ッ! 1機たりとも艦爆隊に向かわせるなッ!、全て落とせッ! 近接戦闘ッ!」 カチカチ ピッ
「「「 了解ッ! 」」」 ピピッ!
ブオン ビシュウウウーーッ! ブン! シュバババババーーッ!
ピピッ!
『人間ドモメエッ!』 ブオン ビシュウウウーーッ!
高空からの高速先制攻撃、数にも勝る山本隊のブレードナイト「ZERO 52型 AF」に、迎撃に向かった直掩機の自立思考型無人ブレードナイト「グリフォスD/FAV7」は、最初の戦闘で、7機を失った。 残った5機はそれでも怯まず、ライトニングセイバーを起動し山本隊へと突っ込んでいった。山本隊も隊長の山本武雄大尉に続き、同じく近接戦闘用のライトニングセイバーを起動し、接近していった。
シュバアアアーーーーッ! ビュンビュンッ! ジジッ! ブン ブン!
『消エ去ルガイイッ! 人間ドモーッ!』 ビシュウウウーーッ ブンッ! ピッ
「そうはいくかッ!」 カチカチ グイイッ! ピッ
バッ ババッ! ブンブンッ! ジュバアアアアーーッ! シュバッ! ザンッ!
迎撃に上がってきた先頭の「グリフィスD/FAV7」が、山本隊隊長の山本大尉の機体に、ライトニングセイバーを起動し斬りつけてきた。 しかし、山本大尉は素早くそれを躱し、逆に相手をライトニングセイバーを起動して、袈裟懸けに斬り裂いてしまった。
『ハ、速イッ… オ… オノレ、人間ーーッ!』 ビビッ!
バチバチバチッ! ジジジッ! ドオオオオオンンンーーッ!
残った5機も、山本隊の精鋭ライナー達による、近接戦闘になす術もなく、全機が撃墜されていった。
「敵、直掩機排除ッ! 艦爆隊ッ! あとは任せたッ!」 グイッ! ピッ
シュバアアアーーーーッ! ギュウウウウウウウンンンンンーーーーーッ!
迎撃に来た直掩機を全機撃墜した山本大尉の戦闘護衛部隊、山本隊は反転急上昇していき、後続の艦爆隊の艦艇爆撃の邪魔にならぬ様、その場を離れていった。
「了解ッ! 全機25番、投弾攻撃用意ッ!」 カチカチ ピッ ピピピピピッ!
『『『『 了解ッ! 』』』』 カチカチ ピピッ!
ウィイインッ! カシュンッ! ピッ! ギュワアアアアアアアアーーーッ!
山本隊と入れ替わり、正規空母「ギュルテルティーア」に向け、高速急降下していったのは、江草大尉率いるヤマト皇国国防軍、正式艦上爆撃機、ブレードナイト「SUISEI 12型 D4Y AB」36機だった。
ブレードナイト「SUISEI 12型 D4Y」は、艦艇攻撃型ブレードナイトとして設計され、汎用型が多いこの偽世界のブレードナイトとしては珍しい、攻撃に特化したブレードナイトとして、このヤマト皇国のみに存在していた。
『第1、第2小隊は俺に続け、正面の空母を攻撃、第3から第6小隊は護衛の艦艇を攻撃せよ!」 ググッ ピッ
『『『『『 はッ! 散開ッ! 』』』』』 ピピッ! バアアアアアーーッ!
グワアアアアアーーーッ! ピピピピピ ビコビコッ! ピッ!
『マスター、敵艦を投弾クロスゲージに固定、照準完了』 ピッ
「ああ、きっちり捉えてる!」 ググッ!
隊長機、江草大尉の操縦席の前にある、照準器に、正規空母「ギュルテルティーア」がしっかりと収まっていた。
シュバアアアーーーーッ! ビュンビュンッ! ビュンッ!
ビーーーッ! ビーーーッ! ビーーーッ!
『直掩機ロストッ! 敵機散開ッ! 直上急降下接近ッ!』 ビビッ!
『グッ! 対空防御ッ! PDS撃チ方始メッ! 対空噴進弾発射ーーッ!』 ビビッ!
グインッ ピッ! ブオオオオオオオオオーーーッ! ババババババーーッ!
バクンバクン ピッ ドドドドッドオオオオーーッ! シュババババアーーッ!
正規空母「ギュルテルティーア」及び護衛の艦艇は、その持てる対空火器全てを使用し、直上から急降下攻撃中の江草大尉率いいるブレードナイト「SUISEI 12型 D4Y AB」に向け迎撃を開始した。
シュババババババーーッ! バシバシッ! ドオオオオオンンンーーッ! ダアアンンーーッ!
ピッ
『3番機! 4番機被弾ッ! 15番機! 23番、26番機も被弾ッ!』 ピッ
「かまうなッ! 全機そのままッ! 投弾用意ッ!」 ピピピピピ
シュババババアーーッ! ゴオオオオーーーーッ!
ピコッ! ビコビコッ! ピッ!
「全機全弾投下ーーッ!」 カチッ! ピッ
シュバババババーーーーッ!
31機、186発の25番、250kg対艦鉄鋼炸裂フォトン弾が、正規空母「ギュルテルティーア」と、その護衛の艦艇に向け放たれた。
25番と名付けられた250Kg対艦鉄鋼炸裂フォトン弾、弾体自体がブレードナイトの機体から離れるとフォトン粒子の膜に覆われ、目標のフォトンフィールドを中和し、弾体自体が直接、目標の本体装甲に直撃する仕様の、酸素空間魚雷と並ぶヤマト皇国の特殊兵器だった。
ただし、フィールド中和効果時間は短く、破壊力は絶大だが、目標近くまで接近しなくては威力を発揮できない対艦弾でもあった。(投弾時は自機のフォトンフィールドを切っておかねばならず、自機の装甲と回避運動で、敵からの迎撃を回避しなくてはならない)
ピピピ ビコビコッ! ピッ!
『敵機5機ヲ撃墜』 ピッ
『ヨシッ! 残ッタ敵機モ全テ撃チ落トスノダッ!』 ビビッ!
ビーーーッ! ビーーーッ!
『警告ッ! 敵編隊、当艦ニ向ケ攻撃ヲ開始』 ピー!
『クッ! 回避ダッ! 全速回避急ゲーッ!』 ビビビッ!
バウウウウウーーッ! ゴンゴンゴン ゴオオオオーーッ!
正規空母「ギュルテルティーア」の制御システムは、咄嗟に判断し指示を出したが、巨大な艦体を持つ正規空母がそう簡単に回避行動が取れるはずもなく、まるで亀のようにゆっくりと向きを変えていった。
『マスター、全機投弾完了! 敵艦が回避行動を開始』 ピッ
「よしッ! 全機フォトンフィールド最大ッ! 最大加速、全速急降下ッ! 正規空母の両脇を全速ですり抜けるッ!」 カチカチ ピッ グイッ!
『『『『『 了解ッ! 』』』』』 ピピッ
ブウウンッ! ヒイイイイイイインンッ! バウウウウウーーッ! シュバアアアーーーーッ!
25番、250Kg対艦鉄鋼炸裂フォトン弾を投下した江草隊31機は、スラスターを全開にし、放った対艦鉄鋼炸裂フォトン弾、25番を追い抜いて、正規空母「ギュルテルティーア」の両脇を抜けていった。 PDSなどの迎撃弾は、強固なフォトンフィールドと爆撃機特有の装甲で弾き、撃墜される事なく全機が通過していった。
ビピピ ビコッ! ピッ!
『敵編隊ガ当艦ノ両脇ヲスリ抜ケマスッ! 敵弾、多数接近ッ』 ピッ
シュンシュンッ! シュバババババーーッ!
『クッ! フィールドガアルノダッ! 噴進弾デモナイアノヨウナモノッ… ナッ ナニイイッ!』 ビ
シュバアアアーー ズボッ! ブワンッ! ドドドドドオオオオオーーーッ!
『敵弾、フォトンフィールドヲ通過ッ! 直撃来マスッ!』 ピッ
『バカナッ!』 ビビッ!
江草隊が投下した25番、250Kg対艦鉄鋼炸裂フォトン弾が、正規空母「ギュルテルティーア」の艦体に突き刺さっていった。
シュバババババーーッ! ドンドンッ! ドカアッ! ダアアンンッ!
『直撃ッ! 数ハ不明ッ!』 ピッ
ドガアアアーーーンンンッ! ドオオオオオンンンーーッ! バアアアンーーッ! ブワアアアアーーッ!
『ウオオオーーッ! ヒ、被害報告ヲッ! ウワアッ!』 ビビッ! ゴオオン グラグラ ガタガタガタ ドオオンン!
ビーーーッ! ビーーーッ!
『警告ッ! 集電探室大破、センサーノ全テガ機能停止、第1第2ブレードナイトデッキ大破炎上中、フィールドジェネレータニモ被弾、フォトンフィールド消失、機関部ニ直撃弾、機関停止、推力ゼロ、高度維持不能、降下中、当艦ハ全テノ機能ヲ消失シマシタ』 ピッ
ドオオオオオンンンーーッ! メラメラ バアアアアアーーッ!
『護衛ノ艦艇ハドウシタッ! 何ヲシテイル サッサト… ウッ!』 ピカアッ!
ドゴオオオーーンンッ! バキバキバキ ドドドド ドオオオオオンンンーーッ!
ピッ
『護衛ノ巡航艦『ゼルダ』大破爆沈、軽巡航艦『リンク』通信途絶、地表ヘト落下中、護衛駆逐艦『ビット5』『ビット6』炎上迷走中戦闘不能、『ビット7』ハ空中分解ニヨル轟沈、『ビット8』ハ既ニ地表ニ落下爆散、存在シテイマセン。我艦隊ノ艦艇ハ全テ戦闘不能状態デス』 ピッ
『ク、クソオオッ! 人間ドモメエーーッ! ウワッ!』 ピカッ!
ドゴオオオオオーーンンッ! ブワアアアアーーッ! ゴゴゴゴ モクモク
ドオオオオオンンンーーッ! メラメラメラ ゴオオオオ…
正規空母「ギュルテルティーア」は、艦艇支援システムから報告を受けた直後、艦艇制御システムとその全てが集約されていた艦橋自体が吹き飛び、コントロールを完全に失い、静かに炎と煙を吐きながら、地表へと落下し爆発四散していった。
全ての艦艇が活動を停止し、やがて爆発してその姿を消していった。
ピッ
『マスター、敵艦隊の撃滅を確認しました』 ピッ
「よし、全機反転、母艦に帰還するッ!」 グイッ ピッ
『『『『『 了解ッ! 』』』』』 ピピッ!
ギュウウウウンンッ! バウウウウウーーッ! シュバアアアーーーーッ!
艦爆隊の江草大尉は、反転急上昇して、自分たちの母艦へと帰っていった。その様子を上空警戒していた山本隊の戦闘隊が見ていた。
ヒイイイイイイインンッ! シュバアアアーーーーッ! ピッ ピッ ピッ
「ふん、我が領土に土足で踏み込んで来た者の末路だ! 思い知ったかッ! 柴田中尉ッ!」 ピッ
『はッ! 隊長!』 ピッ
「偵察の連中から敵艦載機の報告は来てるか?」 カチカチ ピコ
『はッ! 国境周辺に出ている『SHIUN E15K A-103』より報告が来てます』 ピッ
「それで、連中は何と?」 グッ
『はッ! 読み上げます。『目標の敵ブレードナイト編隊248機はココル共和国ヘと越境飛行中、随伴に小型哨戒艇を含む、なお、敵編隊を追い、アトランティア帝国軍の物と見られる純白のブレードナイトが追跡、そのままココル共和国内へと侵入し、反応が消えた』との事です』 ピッ
「そうか… 我が領土にはもう敵はいないのだな」 ジイイ ピッ ピッ
『現状ではそういう事になります』 ピッ
「よし、ここでの戦闘は終了、全機帰還する」ピッ グイッ!
ヒイイイイイイインンッ! バウウウウウーーッ! シュバアアアーーーーッ!
『『『『『 了解ッ! 』』』』』 ピピッ! グイイッ!
ヒイイイイイイインンッ! バウウウウウーーッ! シュバババアアアアアアーーッ!
ヤマト皇国領に侵入したココル共和国の無人艦隊による侵攻戦はここで幕を閉じた。
ー強襲巡航艦「ライデン」ー
ゴウン ゴウン ゴゴゴゴ ピッ ピッ ピッ ビコビコッ!
「艦長、敵艦隊が全滅しました。 現在、アルファ小隊が帰還中! 着艦ゲート開きます」 ピッ
「ふう、終わったな…」 ギシ…
強襲巡航艦「ライデン」の艦長、グレイ中佐は、敵艦隊の全滅を聞き、艦長席に深く座り、深く息を吐いた。
ビーーーッ
『アルファ小隊帰還しました。ブレードアーマー『タンカー』が損傷、損傷度は中破、ライナー1名が負傷してます』 ピッ
ピポン!
『医療班はブレードナイト着艦デッキへ、繰り返す、医療班は…』 ピッ
アルファ小隊が「ライデン」に帰還すると、ブレードナイト着艦デッキ内は慌ただしくなっていった。
「それで艦長、この後はいかがいたしますか?」 サッ
副官のシュトラウス大尉が聞いてきた。
「どうにもならんさ」 ヒラヒラ
「そんな、艦長…」
「仕方がなかろう? 『ライデン』がこうも損傷を受けるとは思ってもいなかったしな、このまま嬢ちゃ… アニス様を再び探し、招き入れるとなると、いやはや、なんとも…」 フリフリ
「はあ、まあ確かに、センサー類は40%が使用不能、ジェネレータは良いんですが機関の損傷が激しく、応急処置で最大34ノットが限界、武器弾薬は欠乏し、艦内は負傷者が多数、死者が出なかったのが幸いです。 しかもブレードナイトが3機のみですからね」 ササ
「ん? 3機? 未帰還機がいるのかッ!」 ババッ!
「はい、レオハルト中佐の『アウシュレッザ』が未だ未帰還、帰って来ていません」 サッ
「中佐が? むう… まあ中佐の事だ、今しばらく様子を見よう」 サッ
ビーーッ! ビーーッ!
「艦長、前方に大型の高熱原体を探知、4軸以上の大型艦、重巡航艦クラスの物と推定、こちらに向かって接近中、速度50ノット」 ピピ ピコ!
「方位1125、距離18000、高度3000、マークポイント11アルファ、グリーンイエロー28、識別、ヤマト皇国、国防軍の艦隊です!」 ババッ!
「やはり来たか… まあこうも派手にドンパチやってたら気付かんわけがないか」 ははは…
ピピ ビコ ポン!
「艦長、僚艦、『ユキカゼ』より通信」 バッ
「うん、繋いでくれ」 サッ
ブウウン パッ!
『グレイ中佐、今前方から我が軍の艦隊が接近中だ』 ピッ
「うむ、確認してます。それで、我々はどうしたら良いと思いますか? 青山少佐」 サッ
『私が事情を説明します。グレイ中佐、貴方と『ライデン』はこの場にて停止、少し待っていて貰いたい』 ピッ
「分かりました、『ライデン』はこの場にて停止、あなた方に判断を委ねます」 コク
『ああ、悪いようにはしない、では!』 サッ ピッ ブン
攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」艦長、青山少佐との通信が切れた。
ヒイイイイイイインンッ! シュゴオオオオオーーッ! ゴゴゴゴ!
攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」は、スラスターを全開にして、強襲巡航艦「ライデン」の横を追い抜き、接近中のヤマト皇国の艦隊へと進んでいった。
「さて、ここは青山少佐に任せるしかないな」 ニッ!
ピッ ピッ ピッ ポン! ピッ ピッ ピッ ポン!
強襲巡航艦「ライデン」の艦長、グレイ中佐は、艦橋内にある大型情報パネルに映る、こちらへと接近中のヤマト皇国艦隊の多数の光点と、そこへ向かう駆逐艦「ユキカゼ」の光点を見て呟いた。
ーヤマト皇国 国防軍徳川艦隊所属、高速打撃艦隊旗艦 重巡航艦「ミョウコウ」ー
ゴウンゴウンゴウン ゴゴゴゴ シュゴオオオオオーーッ! ピッ ピッ ピッ
ビーーーッ! ピピ ビコッ! ビコビコッ! ピッ!
「提督、進路前方より僚艦駆逐艦『ユキカゼ』が接近、映像通信が来てます」 ピッ ピッ ピッ
「うむ、通信士、繋いでくれ」 サッ
「はッ! 駆逐艦『ユキカゼ』、コンタクト」 カチカチ ピッ
ブウウン! パッ!
重巡航艦「ミョウコウ」の艦橋内にある、大型情報パネルの隅に、攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」艦長、青山少佐の姿が映った。
『敵艦隊の殲滅、お見事でした提督』 サッ
「青山少佐、まだ油断はできん、何処かにまだ、奴らの残党がいるやもしれん」 ムウ…
『はッ! 確かに… それで私の後方にいるアトランティア帝国軍の巡航艦の事なのですが…』 ピッ
「ああ、総司令、織田閣下よりの命令を受けておるぞ、『天帝様からの勅命である、アトランティア帝国軍巡航艦を拿捕し聖女アニス様を保護、帝都【トキオ】の皇居に召還せよ』との事だが?」 ふむ…
『拿捕ッ! 撃沈ではないのですね⁉︎』 ピッ
「うむ、撃沈では無いな、要するに『巡航艦は拿捕し艦隊本部に、聖女様は天帝様の元にお連れしろ』との事だな! どうかしたのか?」 ギシ…
『いえッ! それではこの『ユキカゼ』がエスコートします』 ピッ
「無茶を言うな、貴様の『ユキカゼ』は損傷しておるでは無いか、無理だ、エスコートには我が艦隊の第2戦隊の軽巡『ナガラ』、その護衛に第3駆逐戦隊の『フブキ』と『シラユキ』を当てる、良いなッ!」 ジイイッ!
『はッ! しかし…』 ピッ
「まあ、貴様の艦もその状態では、どうせ艦隊本部のドック入りだろうて… ならばアトランティア帝国軍の巡航艦と共に随伴するが良い」 ニイッ!
『ありがとうございます』 ピッ
「アトランティア帝国軍の巡航艦艦長も聞いておるのだろ? そう言う事だ、我々と一緒に来てもらう」 ニイ…
ピッ ブウウン パッ!
大型情報パネルの隅にもう一つ、ウィンドウが開き、青山少佐の横にグレイ中佐の姿が映し出された。
『初めまして、アトランティア帝国、大陸艦隊所属、強襲巡航艦「ライデン」艦長、【アレックス・グレイ中佐】です」 サッ ピッ!
「うむ、ヤマト皇国国防軍、徳川艦隊所属、高速打撃艦隊旗艦艦長【井伊直弼中将】である」 サッ!
『この度、不測の事態とはいえ、貴国の領土侵入及びここでの戦闘、誠に申し訳ない』 サッ! ピッ
「ははは、なに、謝罪は良い。 貴公らにも事情があったのであろう? 要人の捜索と救出、その要人が我らの言う聖女である事、ココル共和国の奴らの不可侵条約違反、武力による侵略と戦闘行為、まあ、我が領土内での戦闘に関しては、我が僚艦、『ユキカゼ』の援護という事にしておく、何も気にすることはない」 むふふ…
『そう言っていただけると有り難い』 ペコ ピッ
「だがな、一応、我が艦隊本部には来ていただく、宜しいかな?」 ジイイッ
『当然そうなりますかな、そうでなければ提督の名を汚してしまいますからな』 ピッ
「ふむ、では聖女様と共に来ていただく」 ザッ
『あ、いや… そのう…』 ピッ
「ん? どうしたのだ? グレイ中佐」 サッ
『実はアニスの嬢ちゃ… いや聖女様は今現在、当艦に座乗していませんので…』 ピッ
「なにッ! では何処に座せるッ! 我らの第一の使命が聖女様の帝都召還なのだぞ!」 ババッ!
『はッ 実は彼女、聖女様は『樹海』辺境の平原で我らが来るのを待っておられます』 ピッ
「何と、ではその位置はわかっておるのか?」 バッ
『はい、おおよその位置は、今から探し、お迎えに行こうかと…』 ピッ
「むう… よし、全艦で聖女様を迎えに向かうッ! 探すのなら数が多い方がよかろう。 グレイ中佐、案内を!」 ザッ
『はッ!では当艦、『ライデン』の後に続いてください』 ピッ
「うむ、では案内を頼む!」 ババッ!
『はッ!』 ピッ ブウウン
「青山少佐」 ジッ!
『はッ! 提督ッ!』 サッ! ピッ
「『ユキカゼ』も『ライデン』に帯同せよ!、良いか、聖女様の安全が第一だ、意して行動せよッ!」 ザッ!
『了解しましたッ!』 サッ! ピッ ブウウン
両者との交信が終わり、各艦艇がアニスがいるであろう「樹海」辺境の平原へと一斉に動き出した。
ヒュウウン ヒュウウン ババ ババ バシュウウーーッ ゴウン ゴウン ピッ ピッ ピッ
ー強襲巡航艦「ライデン」ー
「皆んな用意は良いか?」 サッ
「「「「 アイサーッ! 」」」」 ササッ!
「うん、よし、『ライデン』全速前進ッ! 目標、『樹海』辺境平原ッ!」 ババッ!
ヒイイイイイイインンッ! バウウウウウーーッ! シュバアアアーーーーッ!
ー攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」ー
「艦長、僚艦『ライデン』発進しました。目標『樹海』辺境平原方面ッ!」 バッ!
「よし、本艦も『ライデン』に続けッ! 全速前進ッ!」 ババッ!
「了解ッ!『ユキカゼ』機関最大ッ! 『ライデン』に続く、全速前進ッ!」 グイッ!
ヒイイイイイイインンッ! バウウウウウーーッ! シュバババアアアアアアーーッ!
ー高速打撃艦隊旗艦、重巡航艦「ミョウコウ」ー
「提督、アトランティア帝国軍巡航艦『ライデン』及び僚艦、駆逐艦『ユキカゼ』機関始動、『樹海』辺境平原方面に移動を開始ッ!」 バッ! ピッ ピピ ビコッ!
「うむ、全艦、両艦艇に続けッ! 全艦発進ッ!」 ババッ!
「了解、全艦発進します」 ピッ カチカチ グイッ!
ヒイイイイイイインンッ! バウウウウウーーーッ! ドオオオオオオオーーッ!
強襲巡航艦「ライデン」を先頭に、大小十数隻の艦艇が、「樹海」辺境の平原を目指して飛んでいった。
ーヤマト皇国「樹海」辺境平原、異空間ー
シュバババババッ! ザンッ! ギイインッ! ダダダ バアアンッ!
ヤマト皇国「樹海」辺境平原内の異空間で、いまだに勇者と公安隊員の訓練が続いていた。
ドオオンンッ! シュンッ! シュバッ!
「くううッ! このおッ!」 バシイッ! バキイイインッ!
ドオオンンッ! ブワアアアアーーッ!
「よしッ! サトシ! 俺に任せろッ! はああッ! 上級風火術ッ!《流星連弾ッ!》」 キンッ!
シュドドドドドドドーーーッ!
「ほう、やるようになった、ふんッ! 神級剣技ッ!《蛇槍閃ッ!》」 キュイン!
シュバババババーーーッ!
ドゴオオオーーンンッ! バラバラ パラパラ
シュンッ! スタッ! チャキンッ!
「ククク、良い、実に良いぞ2人とも、良い連携攻撃だ!」 ニカッ!
「くそう、今のは絶対にいけたと思ったのにッ!」 ググッ!
「うん、良い感じだったよ隼、ヤマタノオロチ様相手によく出来た方だよ!」 トン
「だけど一撃もあたえてないぞ! 悔しいじゃ無いかッ!」 ググッ!
「いや、今のは当たってるさ、ほらッ!」 スッ!
勇者サトシが指差したそこには、ヤマタノオロチの袖口が少し焦げていた。
「当たった… やったぞサトシ、俺は遂にヤマタノオロチ様に一撃を当てたんだッ!」 ワッ!
「おめでとう、隼」 ニコ
「ふん、掠っただけだ、だが、ここまでよくやった、合格だ」 ニイイッ! グッ!
ヤマタノオロチは、勇者サトシと公安上位隊員の隼に、訓練終了の合図を出した。
「「 ありがとうございますッ! 」」 ササッ!
2人がヤマタノオロチに頭を下げた時、彼らの後ろから声がかかった。
テクテク ザッ!
「ん、ヘビくん終わった?」 ニコ
「はいアニス、期待値以上に仕上がったものと思います」 サッ
「ん、」 ジイイ…
アニスはサトシと隼の2人を見つめた。
「「 アニスさん(様)? 」」 ビク
「ん、これなら良いかな、じゃあ行こうかッ!」 サッ ザッ!
「あのう、アニスさん、スズカたちはどうでした?」 ザッ
「ん?ああ、あの2人ならもうとっくに終わって、あっちで寛いでるよ!」 スッ!
アニスがそう言って指差した方向には、勇者スズカと公安上位隊員の楓が、人化して元の妙練な女性に戻ったアコンカグアと一緒にお茶を飲んでいた。
「スズカ… 確かに前とは違う、また強くなったようだ…」 ジイイ…
「ああ、楓もそうだ、以前とは全くの別人みたいだ…」 ジイイ…
「ん、わかる? でも君たちも同じ位、上達してるよ!」 ニコ テクテク ファサ
「「 はいッ! 」」 ザッ! ダダダ!
異空間の外の戦闘が終結したと同じく、勇者、公安上位隊員達の訓練も終結した。
「皆んな、準備はいいかい?」 サッ!
「「「「 はい、アニスちゃんッ!(様ッ!)(さんッ!) 」」」」 コクン!
「ふふ、」 ニコ
「うん? どうしたのだカグア?」 ザッ
「いえ、あの子達が元の世界でどれ程強くなったか楽しみでつい…」 ニコニコ
「そうだな、神獣である我らが鍛えたのだ、奴らに敵うものはもういないのでは無いか?」 ふむ
「だといいですけど…」 ンフ!
「さあ、元の平原に行くよ!」 サッ! パアアアンンッ! シュワアアアアーーッ!
アニスが右手を翳した先には、人が通れるほどの円形の輪が形成され、その向こうには、ヤマト皇国「樹海」近郊の平原が夕陽を浴びて広がっていた。
「よし、さあ帰ろうッ!」 サッ!
アニスがそう言うと、皆は順序よく輪をくぐり、元の「樹海」近郊の平原へと帰っていった。
シュバアアアーー ザッ! ヒュウウウウーーッ ソヨソヨ サワサワ ササアアーーー…
夕暮れ時の平原には、心地よい風が吹いていた。
テクテク トコトコ ザッ ザッ スタッ!
「さて、ここで野営しようか、今、夕飯の準備をするね」 サッ! ブウウン!
ドオオンン ドオオンン ダアアンン!
アニスは異空間庫から、いろんな食材とテーブル、椅子、調理道具や水に飲み物、皿など食器類を出した。
「わああ、アニスちゃん凄い!」 サッ
「アニス様、私も調理のお手伝いをします」 サッ
「じゃあ、私も、いいよねアニスちゃん」 ニコ
「ん、じゃあスズカは魚を切って、楓は野菜の方を、サトシッ! 竈門に火を、隼はテーブルや椅子、食器類の配置をしてくださいね」 ニコ
「「「「 はいッ! 」」」」 バタバタ ワイワイ ザクッ! ボウッ! メラメラ カチャカチャ…
「アニスよ、我らはどうする?」 ザッ
「ヘビくんとカグアは食事がいらないんだよねえ…」 ん〜…
「「 ああ!(ええ) 」」
「2人は自由に辺りにいてくれるかな?」 サッ!
「うむ、では『樹海』の様子を見てくる、しばらく放っておいたのでな!」 ザッ! シュンッ!
「では私も、眷属達の様子を見てきますわ」 シュンッ! シュバアアアーー…
神獣であるヤマタノオロチとアコンカグアは、自分たちの本来の居場所、「樹海」の中へと消えていった。
「さて、じゃあ調理を始めますか」 グイッ! シャキンッ!
アニスは食材をまな板に乗せ、調理用ナイフで大きな肉の塊を切ろうとしたその時、彼らはやってきた。
ヒイイ…
「ん? なんだ?」 バッ!
シュバアアアーーーーッ! ゴオオオオーーーッ! ブワアアアアーーーッ!
「「「「 うわああッ! (きゃああーッ!) 」」」」 バサバサ ドオオオオオオオーーッ!
ガチャーンッ! パリーンッ! ゴワアアーーッ! バタバタッ!
「ぎゃあああーーッ! アニスのご飯があああーーッ!」 わああッ!
ブワアアアアーーッ! バサバサッ! バシャーーーッ!
ピッ ピッ ピッ ビコッ!
「アニス様発見ーーッ!」 バッ!
「見つけたかッ! 艦停止ッ! 逆噴射ーーッ!」 バッ!
「アイサーッ!」 ピッ カチカチ ピコ!
ガシュンッ! ドオオオオオオオーーーッ
ブワアアアアーーッ! バババババアアアーーーッ!
「ああッ! お肉ーーーッ!」 ドン グシャーッ! バラバラ…
ドオオオオオオオーーッ! ヒュウウウウンン… ピッ ピッ ピッ
アニス達の上空に現れたのは、アトランティア帝国、大陸艦隊所属の強襲巡航艦「ライデン」であった。
「艦長、『ライデン』艦停止、地上にてアニス様の反応を確認しました」 サッ!
「よし、上陸用意、モニターに映像をッ!」 サッ!
「アイサー、映像出します」 カチ ピッ
ブウウン パッ!
「「「 わああッ! ア、アニス様がッ! 」」」 ザワッ!
「うおッ! あ… ま、まずいッ! 」 びくびく
強襲巡航艦「ライデン」の大型情報パネル内のモニターには、食器や食材、椅子やテーブルがバラバラに散らばり、その中を数人の人物が慌てふためき、その中心にアニスがボロボロになった肉の塊を持って、こちらを睨んでいた。
その様子を見たグレイ中佐は、以前レオハルト中佐に言われたことを思い出した。
『いいかグレイ艦長、絶対にアニスを怒らせるな! アイツを怒らし、手を出そうものなら国が吹っ飛ぶぞッ! 絶対に怒らせるなよ! 絶対にだッ! いいなッ!…』
「ははは… 副長、どうしよう?」 サッ!
「……」 ブンブン!
そうこうしているうちに、次々と大小の艦艇がそこに集まってきた。
ドオオオオオオオーーーーーッ! ゴオン ゴオン ゴオン ゴゴゴ ピッ ピッ ピッ
それはこの国、ヤマト皇国国防軍、高速打撃艦隊だった。
「ふむ、アレが聖女様か…」 ニヤ
艦隊旗艦、重巡航艦「ミョウコウ」の艦長、井伊直弼中将はアニスを見て不敵な笑みを浮かべていた。
いつも読んでいただきありがとうございます。
次回もでき次第投稿します。