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第26話 クラウン特攻!

ーパルマ大地近郊の森ー


遊撃隊、それが我々に与えられた任務である。団長のアーデルベルト様の命を受け、ハリーとオスカー、ローガンの3人の部隊は森の中を今疾走して敵翼竜の真下付近まで接近していた。そんな時上空で3体の翼竜が近くの森の中に落ちていった。そこで我々は2手に分かれ1隊は落ちた翼竜の状況偵察、残り2隊は未だ上空に飛んでいる翼竜を攻撃するために走行進軍していた。


「ハリー殿、どうやら落ちた3体の翼竜はすべて団長が落としたみたいです」


「よし、我々もやるぞ!オスカー殿、俺をあそこ迄とばしてくれ!着地はなんとかする」


「ケラーとフランツはここで援護を!」


「「ハッ! ご武運を!」」


「迎撃開始ッ!」 


ハリーの掛け声と同時に、魔導騎士のオスカーは飛翔魔法をかける。


「宮廷魔法!《ベルザー.ヴェルト》ッ!」


詠唱を終えると、ハリーの体が少しぶれ、瞬時に上空の翼竜一体目掛け高速で垂直移動した。


ーパルマ近郊上空ー


クラウンは特必兵器を使うため、残りの部下達に命令する。


「今から我が国の特必兵器を使う。時間がいる、お前達で陽動と時間稼ぎを頼む!」


「「「「ハッ!了解しました。直ちに散開します」」」」


彼の部下達はそれぞれに散開した時、左端の翼竜騎乗兵の直ぐ真横にいきなり人影が現れた。魔法垂直上昇してきたハリーであった。ヒュンッ!


「えっ! なにいッ!」 


「悪いがここまでだ、剣技!《破斬》ッ!」 シュンッ‼


「ハへッ!...」


一瞬の出来事であった、乗騎兵の横にいきなり現れ、瞬く間に剣技を使い一刀のもと首をはねた。ハリーは乗騎兵をはねた後、その翼竜の手綱ベルトにロープのかぎ爪をかけ、そのロープで翼竜より飛び降り森へ降りていった。ハリーが降りる最中に別の翼竜が襲ってきた。


「こいつ、よくもラルツをやっ...ガッ‼..」  トシュッ!


がその翼竜の乗騎兵がいきなり倒れ森の中に落ちていき、翼竜のみ主を失ったせいかあたりをぐるぐる飛んでいた。


落ちて行った乗騎兵の頭に一本の矢が刺さっていた。ロープを使って下に降りながらそれを見たハリーはひとこと。


「相変わらずいい腕をしておる。ローガンの奴、ひとまずは助かった!」


横目で眼下の森を見る、一人の騎士が弓を構え他の翼竜を牽制していた。


「宮廷弓技!《シュバルツ.バッシュッ》  ハリー、一つ貸しだぞ」


アーデルベルトの三人の高級士官たちは、自らの剣技と采配で敵騎乗兵を倒していく。なぜか彼らもいつもより体がよく動き能力も増していた。さすがに『アルカノイド級』の翼竜は倒せないが、身体能力、魔法能力、武技の能力全てにおいて向上していた。


クラウンは焦っていた。最強の翼竜を従えて、絶対の自信でやって来たが、結果は散々たるものだった。


「『アルカノイド級』の翼竜だぞ。なぜこうもたやすく倒される? 何が起きている? 何が起こった?」


すでにこの時点でクラウンは撤退すべきなのである。この世界の軍隊にとって3割の損失は『作戦失敗』5~7割損失で『全滅』を意味する。だがクラウンには(特秘兵器がある。それをもってすれば)、という考えをしていた。これはクラウンの信念だったかもしれない。そして残った2体の乗騎兵に言う。


「できるだけ時間を稼げ、その後は本国に帰投せよ!」


「「ハッ!」」


2体の翼竜は、あるだけの速度を出しながら、持てる重火器類を打ちまくり、眼下よりの攻撃を防いでいた。そんな中、クラウンは自分の翼竜に取り付けられている魔導機に手を置き特秘兵器を作動させる。


「頼むぞ、お前が俺たちの切り札だ!」


そう言うと機械から音声が出る。


「バーミング、作動を確認!これより魔力注入に入ります。搭乗者は魔力を注いでください」


「はあ、なんだこの兵器、俺の魔力を注げだと⁉」


疑問を持った瞬間、クラウンは強制的に機械に魔力を吸われ始めた。


「ぬぐぐぐッ‼..や、やめろおおおーー!」


「チャージ完了まであと5分」


無機質なアナウンスが流れクラウンは魔力を吸われ続けていた。


ーパルマ近郊の森ー


「マシュー見ろまた翼竜の乗騎兵が2体落ちた!」


「第2騎士団もやるなあ!どう鍛えたんだか」


そんな時アニスに思念会話が入る  ポンッ!


『アニス様聞こえますかあ?』


『ん、聞こえるぞ、何かわかったか?』


『いろいろ分かりましたが、あの翼竜を止めてください』


『なんだ、大事か』


『大事どころじゃないです。とにかく資料を送ります』


『資料?なんだそ..』 ビュン!


目の前にスフィアからの資料と音声が入る。その間にも資料が表示される。

ポン、カカカカカカッ!、一行ごとに音が鳴る。


『個体名スフィアよりの詳細な資料が来ました、資料検討の時間は2分、緊急を要します』


アニスは目を見開いた。その資料の中に、翼竜の一体が危険な兵器が搭載されている事、また今現在その兵器が使用準備に入っている事、使用された後どのような結末になってしまうかと言う事。アニスは瞬時に判断する。


「マシューッ‼ お願いがある!」


「な、なんだ急に、まあ聞いてやるなんだ?」


「あれ、あの翼竜の腹についている酒樽のようなもの、あれを落とさせないでくれ!」


「ああ、あいつだけなんか抱いてるな」


「あれは落としてはだめだ、私は今からいろいろ準備する、マシューはあれを止めてくれ!」


「なんかわからんが、あれを落とさせなきゃあいいんだな?」


「そう、頼む!」


「ああ、任せな、行ってくる」


そう言うとアニスはその場で馬から飛び下りた。マシューはそのまま走って行き、クラウンの乗る翼竜に近づいていく。


―パルマ近郊上空ー


「チャージ終了まであと2分、投下地点を表示してください」


クラウンはなんとか持ちこたえたが、魔力をごっそりと持っていかれてしまった。


「もうすぐこの戦いも終わる、あの力さえ手に入れれば。 投下用意!」


投下スイッチを押す寸前、クラウンに衝撃が走る。マシューの攻撃だった。馬上のマシューは大剣を構え、気力を練り上げる。そして魔法と剣技を放った。


「アニスの頼みだ!大技行くぜぇ‼、 飛翔!《ベルザー.ヴェルトォッ!》 帝級剣技ぃーッ!《グランツ.カッツエーッ!》」


ビュホオオンンンッ! 今上空に向かってマシューが高速で飛び、剣技が放たれた。


ビシイィィィ―――ッ! バキャアアンンッ!ザンンンッ!


マシューの剣技によってクラウンの乗った翼竜の魔核爆弾の投下装置は破壊され、クラウン自体も左腕を吹き飛ばされていた。


「ぐわああ、なに..が..おき..た?..うッ⁉ 左腕が..くそ、これでお,,わり..だ と.投下ああっ!」 ぱちッ! シーン


「え、..なぜ、おち..ない?」


「それは破壊させてもらったぜ!」


その声を聴き眼前にいる人物を見て、絶望感に至る。


「せ、【閃光のマシュー】ッ⁉..ここにも三大天が..」


「じゃあな!」


そういうとマシューは高度を下げ森へ降りていった。飛翔の魔法効果が切れたためである。下へ降りて行くマシューを見てただ呆然とするしかなかった。1人でも災害級クラスの力を持つ三大天、それがここに2人もいる。仕方がない事だった。そんな中、周りを見るとまた1人翼竜と共に騎乗兵が墜ちていく。またあの天空からの斬撃だ。


「後退もままならぬか...」


そう考えていると、クラウンの頭上にアーデルベルトの剣技が降り注ぐ!。


「隊長オーーッ、よけてーーッ...アッ!」  ザンッ!


最後に残った翼竜もクラウンを庇い騎乗兵ごと切り裂かれ、森の中に落ちていった。


「是非もない、ケジメは付ける。行くぞおおっ!」


最後に残ったクラウンは翼竜を防御陣地へと向けた。渾身の力を持って手綱を片手で握り突進していった。


「落とせないなら....このまま突っ込む!」


彼の乗った翼竜は更に増速していった。


「アーデルベルト様!最後の一体がこちらに突っ込んできます」


「な、防御魔法を...ってだめだ、魔力を使いすぎた..総員退避ーーッ!」


すでに大きな魔法を連発していて、アーデルベルトの魔力は枯渇していた。すぐそこまで、クラウンの駆る『アルカノイド級』の大型翼竜が迫ってきた。


「ディアル皇国に栄光あれええええーーッ‼︎」


クラウンの決死の特攻であった。












「アニスちゃん買ってきたよ―プリ..ン?」

「もぐもぐもぐ、ん、おかーりもぐもぐ」

「アニスちゃん、なにたべてるの?」

「.....もぐもぐ」

「あ・に・す・ちゃ~ん?」

「ここに入ってたバナナケーキなるもの」

「私のだああああッ!」

次回もでき次第投稿します。

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