第258話 高位存在と先駆者
ーヤマト皇国「樹海」辺境平原エリア071上空ー
ドゴオオオオオーーンッ! バキバキバキ メラメラ ギュウウウウウンッ!…
「僚艦 駆逐艦『ユキカゼ』応答なしッ! 急速に降下中ッ!」 ピッ ビコッ!
ドオオオオオオンンンーーッ! ブワアアアアアーーッ! モクモクモク バリバリバリ!
ビーーーーッ!
「「「 うわああッ! 」」」 ビシッ! ビリビリッ! グラグラ…
「ううッ!状況報告ッ!」 ビリビリビリッ!
「僚艦、駆逐艦『ユキカゼッ!』 落下地点付近で爆発ッ!」 ピッ ピーーーッ!
「ダメですッ! 強力な爆風と放電ノイズ、及び大量の魔素と爆炎がが吹き荒れ、状況が掴めませんッ! 落下地点探知不能ッ! 僚艦、駆逐艦『ユキカゼ』ロストッ! 状況不明ッ!」 ピッ ピピ バッ
ブワアアアーーッ! ドドド モクモクモク パリッ! パリパリッ! ドオオオンンー…
「くッ! 青山少佐…」 ググッ…
ヤマト皇国国防軍、一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」は、不意の対艦ロケット弾の攻撃を受け、地表へと落下し、その地表付近で大爆発がおき、一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」の艦体は、その姿を強大な閃光と爆発、爆風、放電現象を伴った黒煙と炎の中に消えて見えなくなった。強襲巡航艦「ライデン」のセンサーをもってしても、その存在を探知する事ができなかった。
強襲巡航艦「ライデン」の艦長、グレイ中佐はその様子を艦橋内の大型情報モニターでその様子を見ていた。
ビーーッ! ビーーッ! ビコビコッ! ピッ
「右舷に反応ッ! 方位0215ッ! 距離600ッ! 対艦ロケット弾ッ! 急速接近ッ!」 ババッ!
「至近距離ですッ! 弾数12ッ!」 バッ! ピコッ!
シュバババババーーーーーッ! シュンシュンッ! シュバーーッ!
「これはッ! 『ユキカゼ』を襲ったやつかッ!」 ググッ!
「対艦ロケット弾、放射状に広がり本艦に接近して来ますッ! 着弾まで後18秒ッ!」 バッ! ビーーッ!
「艦長ッ!」 バッ!
「むッ! 操舵手、取舵20ッ! 機関最大ッ! CICッ! 右舷『ハウンドロック』全弾発射ーッ! PDS起動ッ! 撃ち落とせええッ!」 ババッ!
「アイサーッ! 機関最大ッ! 取舵20ッ!」 ピッ タンタン グイッ!
バウウウーーッ! ググッ ゴゴゴゴッ!
「CICより艦橋ッ! 右舷『ハウンドロック』全弾発射ッ! PDS起動しますッ!」 カチ ピピ ピコッ!
ヒイイインッ! バウウウーーッ! ゴゴゴゴッ!
バクンバクンバクンバクンッ! シュドドドドドドオオオーーーッ! バババアアアーーッ!
ウイイイイイン カシュン ピピピピピ ビコッ!
進路を変え、回避行動を取る強襲巡航艦「ライデン」の右舷側から、迎撃用ロケット弾「ハウンドロック」24発が発射され、放射状に迫ってくる対艦ロケット弾に向かって飛んでいった。それと同時に右舷側にある近接防御兵装のPDS、7基が艦体内部から競り上がり、迎撃体制に入った。
シュバババババーーーーーッ! バババーーッ! ギュワアアアアーーーッ!
ドドドドオオオオオオンンンンーーーッ! ブワアアアーーッ! バアアアアンンッ!
シュバシュバッ! シュババーーーッ!
「『ハウンドロック』全弾起爆ッ! 中央部分は迎撃ッ! 敵ロケット弾残数2ッ!、右舷艦首と艦尾に接近ッ!」 ピッ ピッ ピピピピピ ビコ!
シュバババババーーーーーッ! ピッ!
放射状に接近して来た対艦ロケット弾を、迎撃用ロケット弾「ハウンドロック」で中央部分の10発を落とす事はできたが、両端の2発は迎撃を免れ、「ライデン」の艦首と艦尾に向けて突き進んでいた。
「PDS迎撃始めッ!」 ピッ
グインッ! カシュン ピッ ヴオオオオオーーーッ! ドドドドドドッ!
シュバババババーーー ビシッ! ビシッ! ガンガンッ! バシイイッ! ドオオンッ!
「PDS、残弾を迎撃ッ!」 ビコッ!
「「「 おおおーーッ! 」」」 ザワザワ!
「艦長、やりました!」 バッ
「うむ……」 ジイイ…
全ての対艦ロケット弾を迎撃し、強襲巡航艦「ライデン」艦長グレイ中佐は艦橋の窓から、対艦ロケット弾が現れた辺りを見ていた。
「むうう… (至近距離まで探知できないとは、まるで『ユキカゼ』の空間魚雷と全く同じではないか… まさかな…)」 ジイイ…
その時、艦橋内警報音とともに緊張が走った。
ビーーーッ! ビーーーッ! ビーーーッ!
「センサーに反応ッ!」 ピッ タンタン ピコッ!
「右舷前方ッ! チャートNo.508 エリア071 マークポイント11 コース633 高度3000 距離38000 速度40ノット オレンジアルファー チャーリーッ!」 ピッ ビコビコッ!
ブウウウン パッ! ピッ ピッ ピッ ビコビコッ!
「むうう… 敵の本隊か…」 ジイイ…
艦橋内の大型情報モニターには、大型艦艇を先頭に接近して来る敵艦隊の最大望遠映像が映し出された。
「接近中の艦隊に4軸以上の大型艦艇2隻を確認ッ!」 ビコビコ ピッ!
「艦長、敵艦隊が接近中です。彼我の戦力比は10対1、どうしますか?」 サッ
「むうう! ブレードナイトデッキ!」 カチ ピッ
『甲板長のダゴスです!』 ピッ
「ブレードナイト、レオハルト中佐の小隊は出せるか?」 ピッ
『艦長、無茶言わんで下さいッ! 小隊全機、先ほど帰還したばかりで今、補給と整備を始めたばかりですよ! しばらくは無理です!』 ピッ
「そうか、そうだな… 無理を言ってすまん」 ピッ
『艦長… (おい、ちょっと変われ!) わあッ! 中佐殿ッ!』 ピッ
「うん?」 サッ!
『グレイ艦長、俺だッ!』 ピッ
「レオハルト中佐」 ピッ
『どうした? さっきの爆発音と何か関係があるのか?』 ピッ
「中佐、ヤマト皇国の駆逐艦『ユキカゼ』が沈んだ!」 ピッ
『なにッ⁉︎ 『ユキカゼ』の乗組員はどうなったッ! 生存者はッ⁉︎』 ピッ
「まだ分からん、敵の本隊が近づいて来ている… 残念だが捜索隊を出す時間がない、『ライデン』を動かす、地表で生存しているであろう『ユキカゼ』の乗組員には悪いが、彼らに危害が及ばぬ様、ここより離脱、戦場を移動する。中佐にも悪いが、アニス様の事は後になりそうだ… すまん…」 ピッ
『うん? グレイ艦長、アニスの事は大丈夫だ、心配には及ばない! それよりも敵が近づいて来てるんだな!』 ピッ
「ああ、一個艦隊、11隻だ。そのうちの2隻は艦隊旗艦級の超大型艦がいる」 ピッ
『重巡航艦級がいるのか… グレイ艦長、アラン達の機体は無理だが俺の… いや、アニスの機体『アウシュレッザD型FARアウディ』だけなら出せる!』 ピッ
「なにッ⁉︎ だが甲板長は整備が始まったばかりだと言ってたぞ?」 ピッ
『グレイ艦長、アニスの機体は他のブレードナイトとは違う、すぐにでも出せる!』 ピッ
「はああ? どういう事だッ!」 ピッ
『ん〜、なんていやあ良いかな… とにかくだグレイ艦長、アニスの機体… アレは別格なんだ! 後で説明する! 俺を出せッ!』 ピッ
「しかし、中佐…」 グッ…
ビーーーッ!
「センサーに反応ッ! 敵艦隊からブレードナイトが発進ッ!」 バッ! ピッ ピコピコ!
『考えてる暇無いぜッ! 俺に任せろッ!』 ピッ
「すまんッ!」 サッ! ピッ
シュバアアアアアアアーーッ! ゴウンゴウンゴウンッ! ゴゴゴゴ
強襲巡航艦「ライデン」は速度を上げ、一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」の爆発ポイントから離れていき、ブレードナイト発艦デッキ内は慌ただしくなっていった。
ーココル共和国大陸自衛艦隊 完全自動無人艦隊ー
シュゴオオオオオーーーッ! ゴンゴンゴンゴン ゴオオオーーッ! ピッ ピッ ピッ
ココル共和国より国境を越えヤマト皇国に侵攻して来たココル共和国大陸自衛艦隊の完全自動無人艦隊の本隊が、彼らの斥候前衛艦隊を全滅させたヤマト皇国国防軍、一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」とアトランティア帝国大陸艦隊、強襲巡航艦「ライデン」に向け、侵攻して来た。
完全自動無人艦隊は、「ユキカゼ」と「ライデン」を補足したと同時に、長射程の秘匿兵器を使用して攻撃をしかけた。 旗艦である大型艦艇のココル共和国大陸自衛艦隊所属の重巡航艦「ヴェルデ・リュージュ」の巨大な艦橋内には人は1人も乗艦しておらず、ただ艦橋内の設備だけが無人で動いていた。
ブウウンン ブウウウン ピッ ビコビコッ! ポン!
『ステルス対艦弾『スティール.アタッカー』目標点二到達、命中ヲ確認、敵駆逐艦ハ大破、戦線ヲ離脱』 ピッ
ブウウンン ビビッ! ピッ ピッ ピコッ!
『主目標、巡航艦『ライデン』ハ健在、ステルス対艦弾、『スティール.アタッカー』ノ攻撃ヲ全弾回避離脱、攻撃ノ失敗ヲ確認』 ピッ
ピコ ピコ ピコ ピピッ!
『ムウウ… 各艦艇、制御システム二連絡事項アリ』 ピッ
ピッ ピッ ピッ ブワアアアン ビヨンッ! パッ! パッ! パパパッ!
そこは、彼らココル共和国国防軍の無人艦隊の制御システム達が使用する仮想空間で、何もない空間に巨大な円テーブルと椅子が11脚、その椅子に次々と艦長服を着た男性型アバターが現れた。どのアバターも皆同じ背格好で、区別がつかなかった。
ダンッ!
『アリエナイッ! ドコカニ演算ノミスガアッタノカ? アノ攻撃ヲ躱ス事ナド不可能ナハズダッ!』 ピッ
ピポッ!
『ダガ、結果ガ事実ダ、演算ノミスハ無イ、現二副目標ノ駆逐艦ハ大破シテイル、目標ノ『ライデン』ダケガ攻撃ヲ全テ回避、アノ巡航艦ダケガ異常ナノダ、我ラ二ミスハ無イ』 ブウウンン
ピポッ!
『フム、流石ダナ『ライデン』、我ラノ最新兵器ヲ持ッテシテモ沈メルドコロカ、命中スラ敵ワヌトハ… 我ラガ無視出来ナイ最強ノ艦艇ダケノ事ハアル』 ブウウンン
ピポッ!
『モハヤ悠長ナ事ヲシテイル場合デハナイッ! 全力デ、アノ忌々シイ巡航艦、『ライデン』ヲ沈メルノダ』 ピッ
ピポッ!
『意義ナシッ! 幸イ、アノ厄介ナ空間魚雷ヲ持ツ駆逐艦ハ沈黙シタノダ、残ルハ我ラノ脅威、我ラノ高位存在ノシナリオヲ狂ワス、忌々シイ巡航艦『ライデン』1隻ノミ!』 ブウウンン バッ!
ピポッ!
『タカガ1隻、ダガ侮ッテハイケナイ、斥候前衛艦隊ガ全滅シタ事ヲ考慮シ、我ラノ全戦力ヲ持ッテ、巡航艦『ライデン』ヲ沈メルノダッ!』 ピッ
ピポッ ピポオオッ!
『『『『『『 意義ナシッ! 』』』』』』 ババババッ! ピイイーーッ!
ピポッ!
『デハ諸君、攻撃目標ヲ巡航艦『ライデン』ト定メル、正規空母『ギュルテルティーア』二司令、巡航艦『ライデン』二向ケ、貴艦のブレードナイトヲ全機発艦セヨ!』 ピッ!
ピポッ!
『了解』 ブウウンン フッ!
すると、一体の男性型アバターがその場から姿を消した。
ピポッ!
『デハ諸君、我ラノ偉大ナル高位存在ノ為二ッ!』 バッ! ピッ
ピポポッ! ザッ!
『『『『『『 高位存在ノ為二ッ! 』』』』』』 ババッ! ピピッ! フッ フフッ!
全員がそう言うと、一体を残して仮想空間から全ての男性型アバターが、その場から消えていった。
シ〜ン………… トン…
ピポッ!
『コレデ宜シイデスカ、我ガ偉大ナル高位存在… 創造神ジオス様ッ!』 ピッ ササッ!
パアアアンンッ! シュバッ! ドオオンッ! バサバサバサ スタッ!
仮想空間内に残った1人の男性型アバターの前に、長身金髪の上下黒い服装にマントを靡かせた、創造神ジオスが現れた。
「うむ、それで良い我が僕よ、このまま続けてくれ」 サ
ピポッ!
『ハイ、デハ『ライデン』ヲ沈メ、ソノママコノ国、ヤマト皇国ヲモ攻メ、人間ドモヲ殲滅イタシマス』 ピッ
「うん? ああ、出来るのならなッ! やってみるがいい』 バッ! ザッ!
ピポッ!
『ハッ! 我ガ偉大ナル高位存在、ジオス様ッ!』 ブウウンンッ! フッ!
そう言って、残った1人の男性型アバターは消えていった。
シ〜ン…… ザッ ザッ ピタッ!
「ふッ… 貴様たちでは無理だな、この国には既にアニスがいる。これで3つ目か… ぬううッ! またしてもシナリオの内の1つが狂い始めた… だが、他は順調にいっている。 さて、そろそろケンゴの元に行かねばな、ヤツも無事に国外に出た頃だ、アニスよ待っているがいい…」 ククク… シュバッ! ヒュンッ!
仮想空間にいた創造神ジオスは、男性型アバター達がいなくなったその直後、創造神ジオスも一瞬で消えていった。
ーココル共和国大陸自衛艦隊旗艦 重巡航艦「ヴェルデ・リュージュ」ー
ゴウン ゴウン ゴウン ゴウン シュゴオオオオオーーッ! ピッ ピッ ピッ
ブウウンン ピッ
『全艦全速前進ッ! 正規空母『ギュルテルティーア』ハブレードナイトヲ全機発艦セヨ!』 バッ! ピッ
ーココル共和国大陸自衛艦隊 正規空母「ギュルテルティーア」ー
ビーッ! ビーッ! ビーッ!
『我ガ同胞タチヨ、起動セヨ、順次発艦後我ラノ敵、巡航艦『ライデン』ヲ撃沈セヨッ!』 ピッ
ヒュウウウンッ! ブオンッ! プシュウウウッ! ガコン ガコン ガコン
ココル共和国大陸自衛艦隊の正規空母「ギュルテルティーア」のブレードナイトデッキには、無数の自立思考型無人ブレードナイト「グリフォスD/FAV7」が順次起動し、広いデッキ内を発艦用デッキに向かって歩き始めていった。
ガコン ガコン ドン ドンッ! プシュウウウーーッ! ビコッ!
『グリフォス大隊、発艦準備完了』 ビコッ!
ピポッ!
『全機発艦セヨッ!』 ピッ
『了解』 ピッ
ビーーーッ! ガシュンッ! シャアアアアアーーッ! ドオオオオオオーーーッ!
正規空母「ギュルテルティーア」の発艦デッキから、次々とブレードナイト「グリフォスD/FAV7」が発艦していった。
ーアトランティア帝国大陸艦隊 強襲巡航艦「ライデン」ブレードナイトデッキー
ビーーッ! ビーーッ! ビーーッ! ポンッ!
『第1発艦デッキ発艦準備ッ! 発艦作業員は発艦体制を! 繰り返す、第1発艦デッキ…』 ピッ
ワーワー ザワザワ バタバタ ドタバタ ダダダ ウィイイイン ガンガン
「急げえッ! 中佐の『アウシュレッザ』を出すぞおッ! 高速戦闘装備だッ! 1番コンテナ解放しろッ! モタモタするんじゃねえッ!」 ババッ!
「「「「 はいッ! 」」」」 バタバタ ドタドタ ワーワー!
ガガガ ウィイイイン ガコン プシュウウウーーッ!
「ったくッ! コイツは本当に大丈夫なのかあ?」 ジイイ
甲板長のダゴスは、レオハルト中佐の愛機、「アウシュレッザD型FARアウディ」を足元から見上げて呟いた。
ザッ ザッ ザッ
「よう、甲板長」 フリフリ
「中佐殿ッ!」バッ
「はは、作業中に悪いな、どうだ準備の方は? すぐに出たいんだが?」 サッ
ライナースーツに身を固めたレオハルト中佐がそこに立っていた。
「準備も何も、今急ピッチで換装をしてまさあ! 高速戦闘装備ですが、あと5分下さい。 それよりも中佐、さっき艦長に言っていたあれ、本当ですかい? 自分には到底信じられませんが…」 サッ
「流石は甲板長、アレは全部出鱈目だあッ!」 ははは!
「なッ! じゃあ!」 バッ!
「ああ、コイツには無理させちまうが、今は俺が少しでも敵を抑えないとな!」 ニイッ!
「無茶ですッ! 分かってるんですかい! 中佐の戦闘スタイルは速度を生かした高速格闘戦ッ! ただでさえ機体に強烈な負荷がかかるものを、整備も儘ならぬこんな状態で出たら!」 ババッ!
「そうだな、出撃して30分、それが限界だろ」 ジイイ!
「中佐… えッ⁉︎」 クルッ! バッ!
ヴオンッ! ピッ ピッ ピピピピピ ガコン! グインッ! ピッ!
その時、整備用ハンガーデッキにあるブレードナイト「アウシュレッザD型FARアウディ」の瞳に光が宿り、突然動き出した。甲板長のダゴスは、それに気づき振り向いた。
ピッ
『Rog. レオン、私なら大丈夫ですよ、敵ブレードナイトの反応を感知しました、すぐにでも出撃できます』 ピッ
ヒイイイイインンッ! プシュウウウーーッ!
「なッ! なななッ なんで勝手に起動をッ⁉︎ まだ換装中だと言うのにッ!」 バッ
「ああ、すまんな甲板長、後で説明するよ。で、どう大丈夫なんだアウディ?」 バッ
『Rog. 私の機体はアニス様によって常に自己修復機能が働いています。多少の損傷や摩擦、機体への摩耗や疲労など、武器弾薬以外は大気中の魔素から変換補充補填補修されます』 ピッ
「「 はあああッ⁉︎ 」」 ババッ!
レオハルト中佐と甲板長のダゴスは、ブレードナイト「アウシュレッザD型FAR アウディ」の語った言葉に驚いた。
「なんですとおおッ! 究極の整備要らず、永久活動可能なブレードナイトじゃないですかあッ!」 ババッ!
「アウディッ! おまえ、いつそんな機能が付いたあッ!」 ザッ!
『Rog. あ、先程、地上にてアニス様に会った時ですね、あの時に付与されました』 ピッ
「ア… アニスうう… 」 グググッ!
「わあッ! ちゅ、中佐殿?」 サ…
「あれほど『触るな』って言っただろおおッ! アニスーーッ!」 ダアンッ!
レオハルト中佐は、叫びながら怒り任せに床を踏みつけた。
ーヤマト皇国「樹海」辺境 平原ー
「う〜ん はうッ!」 ゾクウッ! ブルッ!
ヤマト皇国「樹海」の辺境にある平原で、2人の勇者と公安部上位隊員の隼と楓達と話をしていたアニスは、いきなり背中に悪寒が走った。
「どうしたんですかアニス様」 サッ
「あ… いや、あはは… なんかヤバいかも… 」 あはは…
「「「「 うん? 」」」」 はて?
アニス以外は何の事か分からなかった。
ーアトランティア帝国大陸艦隊 強襲巡航艦「ライデン」ブレードナイトデッキー
「ハアハアハア… うううッ!」 ググッ!
『Rog. レオン落ち着いて、今はそんな事より早く行きましょう。 敵が接近しています』 ピッ
「ふッ! そうだな、今回のはアニスに感謝しておくか」 バッ!
『Rog. そうしてください』 ピッ
「じゃあ、中佐… 中佐の機体は…」 ササッ!
「そうだッ! 整備は既に済んでいる状態だ。武器だけ頼むッ!」 バッ!
「了解しましたッ!」 バッ! ダダダッ!
「ふッ 行くぞアウディッ!」 ババッ!
『Rog. 了解』 ピッ
ウィイイイイイン カシュン バッ! ドサッ! ピッ ピッ ピコ タンタン
レオハルト中佐は、ブレードナイト「アウシュレッザD型FARアウディ」の操縦席まで登り、中に入ってシートに座り、スイッチ類を押し発艦体制に入った。
ヒュイイイインッ! ビコ ビコビコッ! ブウウンンッ! パッ!
『Rog. 発艦準備完了、レオンいつでも行けます』 ピッ
「おうッ!」 ピッ タンタン
「「「 隊長ーーッ! 」」」 タタタッ! フリフリ
そこへ、アラン、マイロ、ジェシカのアルファ小隊の3人が駆け寄ってきた。
「おう、おまえら、ちょっと行ってくるッ! 『ライデン』を任せたッ!」 二ッ!
「そんなッ! 待ってください、俺たちも行きますッ!」 バッ!
「そうです、ちょっと待ってください!」 ササッ!
「隊長1人なんて無茶ですッ! 私たちがサポートしますからッ!」 サッ!
「ダメだッ!」 サッ
「「「 隊長ッ! 」」」 バッ!
「おまえ達の気持ちはわかる、だがお前たちの機体はまだ整備中だッ! そこで待ってろ!」 カチカチ ピコ
「では、整備が終わり次第出ますッ! それまで、無茶はやめてください!」 ササッ!
「おう! じゃあなッ!」 ニイッ! バクンバクンッ! プシュウウウーーッ!
そう言って、レオハルト中佐はブレードナイトの操縦席ハッチを閉めた。
ピッ
『Rog. いいんですかレオン、彼らをほっといて?』 ピッ
「ああ、いいんだよ、アイツらはアニスの弟子なんだ。大丈夫さ」 グイッ!
プシュウウウーーッ! グワアアッ ガコオン ガコオン ガコオン
レオハルト中佐のブレードナイト「アウシュレッザD型FARアウディ」は、整備用のハンガーデッキから歩き出し、発艦用電磁カタパタルトへと移動していった。
ビーーッ!
『レオハルト中佐のブレードナイトが発艦する、発艦作業員は発艦準備開始、武装は主兵装と近接格闘戦装備を装備』 ピッ
グイイイン グイイイン ガシュン ガコオン ガチャガチャ ジャキンッ! ブオンッ!
発艦用電磁カタパルトへと向かう途中、必要な兵装が次々と付随され、発艦用電磁カタパルトに着いた時には、武装装備が全て終了していた。
ピッ
「艦橋CIC、発艦指示をくれ」 ピッ
ビーーーッ! ポン
『こちら艦橋CIC、第1電磁カタパルト充填完了、レオハルト中佐、進路クリアー 発艦どうぞッ!』 ピッ
「おうッ! 『アウシュレッザD型FAR アウディ/レオハルト』発艦するッ!」 グイッ!
ビーーッ! ガシュンッ! シャアアアアアーーーッ! ドオオオオオオーーーッ!
レオハルト中佐のブレードナイト、「アウシュレッザD型FARアウディ」は強襲巡航艦「ライデン」から勢いよく発艦していった。
シュバアアアアアアアーーーッ ピッ ピッ ピッ
「さあてと、あそこが落下地点か…」 ジイイ…
モクモクモク
少し離れたところに、地上から黒煙が上っている場所が見えた。
「待ってろよ『ユキカゼ』、【白井】中尉、無事でいろよ…」 グッ!
ヒイイイイインン バウウウーーッ! シュバアアアアアアアーーッ!
ピッ ピッ ビーーッ! ビコビコッ!
「どうしたアウディ?」 サッ! ピッ ピコ
『Rog. レオン、前方28000の位置に反応、敵ブレードナイトを補足しました』 ピッ
「おう、で、数はどれくらいだ」 ピッ
「Rog. 敵ブレードナイトの数、索敵エリア内でおよそ300、ブレードナイトの巡航速度600Km/hでこちらに向かって飛行中』 ピッ
「へええ、300かあ… ヤツらには空母がいるなこりゃあ」 ギュッ!
『Lst. 数から推定すると間違いないですね』 ピッ
「よし、アウディ、ヤツらを『ライデン』から引き離すッ!」 グイッ!
『Rog. 了解ッ!』 ピッ
ヒイイイイインンッ! バウウウウウウーーーッ! シュゴオオオーーーーッ!
レオハルト中佐のブレードナイト「アウシュレッザD型FARアウディ」は、スラスターを全開にして飛んでいった。
ーアトランティア帝国大陸艦隊 強襲巡航艦「ライデン」ー
ピッ ピッ ピッ ピコ ビコビコッ!
「敵艦隊よりブレードナイトが発艦、数318機ッ!」 バッ!
「艦長、この数は…」 サッ
「空母がいるな… それも正規空母だろう」 ムウウ…
「艦長、流石にこの戦力差ではッ!」 バッ
「そうだな、『ユキカゼ』救助の事もあるし、話し合ってみるか… 通信士ッ!」 サッ!
「はッ!」 サッ
「敵艦隊に通信、『会話を求む』と送れッ!」 ササッ!
「アイサーッ! 『接近中の艦隊へコンタクト』」 ピッ ビコッ!
『ツーーーーーーーーー』 プ プ プ
「返事はないか…」 ウ〜ン
「ですが艦長、相手の受信信号は確認されてます」 バッ!
「ふむ、もう一度やってくれ」 サッ!
「アイサー、再度送信ッ!『接近中の艦隊へ、アレンジフルコンタクト』」 ビコビコッ!
ピッ
「返信来ましたッ! モニターに切り替えます」 タンタン ピコッ!
「うむ、さて、どう出るかな?」 ザッ!
強襲巡航艦「ライデン」の艦長、グレイ中佐は、艦橋内の大型情報モニターの前に立ち通信に備えた。
ブウウウン パッ! ジジジッ! ジジ!
「こ、この男が敵艦隊の司令官か…」 ジイイ
大型情報モニターには、仮想空間と同様の艦長服を着た男性型アバターが映し出された。
ジジジ ジジジ
『我ラ二何用カナ人間』 ピッ
「うッ⁉︎」 バッ!
「「「 なッ⁉︎ はあッ⁉︎ 」」」バババッ! ザッ!
「貴様ッ! 無礼にも程があるぞッ! それが武人としての態度かッ‼︎」 ザッ!
ザワザワ ガヤガヤ
強襲巡航艦「ライデン」の艦橋内は、大型情報モニター内の男性型アバターの申し様に騒然となり、副官の【ノイマン・シュトラウス】大尉は激怒した。
「 まあ、落ち着くんだ大尉、私が話そう」 サッ
「はッ 艦長、すみませんでした」 サッ
艦長にグレイ中佐は、大型情報モニターに映る男性型アバターに怒っている副官のシュトラウス大尉をなだめ、グレイ中佐から話しかけた。
「私は、アトランティア帝国大陸艦隊所属 強襲巡航艦「ライデン」の艦長、アレックス・グレイ中佐だ、君の官、姓名を教えて貰いたい」
ブウウンン…
『我ラ二官、姓名ナド無イ、我ラハ偉大ナル高位存在ノ指示ノ元、動ク者デアル』 ピッ
「なにッ⁉︎ それはどう言う事だ? 高位存在とは君たちの国、ココル共和国の上司、或いは指導者達たる人間のことか?」 サッ!
ブウウンン… ブウウンン… ピッ
『ククク… アアッハハハハハハッ!』 ピッ
大型情報モニターの男性型アバターは、グレイ中佐の質問を聞き大笑いをしだした。
「くッ! き、貴様ッ! 艦長が尋ねていると言うのに大笑いするとは何事だあッ!」 ババッ!
副官のシュトラウス大尉だけで無く、艦橋内にいる全ての者が同じ思いをし、大型モニターの男性型アバターを睨みつけた。
『ククク… 人間ダト? 人間カ、ソンナ物、モウ我国ニハ存在シナイ、ココル共和国ハ、人間ナドト言ウ愚カナ生キ物ヲ排除シタ、高位存在ガ求メタ理想ノ国二ナッタノダッ!』 ババッ! ピッ!
「「「「 なッ‼︎ 」」」」 ガタタッ! バッ! ザワッ!
大型情報モニターの男性型アバターの発言に、強襲巡航艦「ライデン」の艦橋内にいる全員が立ち上がり、その内容に絶句した。
「に、人間が… 人が存在しない… 排除とはどう言うことだ!」 グッ!
『ムウウ、ヤハリ人間トハ愚カナ存在ダナ、理解ガ出来ナイラシイ』 ブウウンン ピッ
「答えろッ! ココル共和国の国民はどうなった⁉︎ 10億人はいた筈だぞッ!」 バッ!
『ソンナ物、我ラガ偉大ナル高位存在ニヨッテ、既ニ存在シテイナイ、コノ世界カラ全テ排除、消滅シタノダ』 ピッ
「馬鹿な… 国一つの人間が全て消えたと言うのか… 貴様達は一体何者だッ! 人間では無いのかッ!」 ググッ
『当然ダ、我ラハ人間デハ無イ、偉大ナル高位存在ガ創造シ、愚カナ人間ヲ排除スベク為ニ存在スル、【先駆者】デアル』 ブウウンン…
「高位存在の創造した先駆者だと…」 グッ!
『ソウダ、ソシテ次ハコノ国、ヤマト皇国ノ番ダ、我ラハ偉大ナル高位存在ノ先駆者トシテ、コノ国ノ人間ドモヲ抹殺、消滅ヲ執行スル為ニ来タッ! ダガ、ソノ前二、先駆者デアル我ラガシテオカナケレバナラナイ事ガアル』 ピッ
「何だそれは⁉︎」 サッ!
ブウウンン… ブウウンン… ピッ
『『ライデン』』 ブウウンン ピッ
「は?」 バッ!
「「「 何だ何だ? 」」」 ザワザワ
『巡航艦『ライデン』、我ラ偉大ナル高位存在ノシナリオヲ事アル事ニ、妨ゲル驚異的存在ノ艦艇、貴艦ノ存在ハ有ッテハナラナイ、許サレナイ、障害デシカナイ! シタガッテ…… 貴艦ヲ撃滅、撃沈スルノダアアアーーッ!』 ブワアアンッ! ビコッ! ピーーー…
いきなり大型情報モニター一杯に映った男性型アバターは、叫びながら通信を切った。
「艦長、通信途絶ッ! 一方的に切られました!」 ピッ タンタン ピッ
ビーーッ! ビーーッ!
「敵艦隊増速ッ! ブレードナイトを展開しつつ急速接近ッ!」 ビコッ!
「「「 艦長ッ! 」」」 バババッ!
ピッ ピッ ピッ ピコッ!
「先駆者… 高位存在だとお… ふざけた事を… 人を… 人間を舐めるなあーッ!」 ダンッ!
グレイ中佐は、艦長席肘掛けを思いっきり叩き叫んだ。
「「「「 おおおおーーッ! 」」」」 バババッ!
「操舵手ッ! 機関出力最大ッ! 全艦、砲雷撃戦用意ッ! フォトンフィールド最大ッ!『ライデン』発進ッ!」 ババッ!
「「「「 アイサーーッ! 」」」」 ササッ! ピッ タンタン ピコッ!
「全艦砲雷撃戦用意、主砲起動ッ! 前部後部VLS装填準備ッ!」 ピッ タンタン ピコッ!
ウィイイイイインンン ガコンッ! カシャカシャッ! ピッ!
「フォトンフィールド展開ッ!」 ピコ
シュバアアアアアアアーーッ! ブワンッ!
「機関出力最大ッ! 最大戦速ッ! 『ライデン』発進しますッ!」 ビコッ! グイイッ!
ヒイイイイインンッ! バウウウウウウウウーーーッ! シュゴオオオオーーッ!
強襲巡航艦「ライデン」は、スラスターを全開にして、ココル共和国大陸自衛艦隊、完全自動無人艦隊に向け発進していった。
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