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第257話 アニス対八咫烏(創造神ジオス)

ーヤマト皇国「樹海」辺境 平原ー


シュンッ! ザザッ! シュバババババーーーッ! ドオオオオンンッ! バラバラバラ… ヒュンシュババッ! ババッ! ドカッ! ザザ シュンッ! 


ドゴオオン――ッ! ブワアアーーーッ! パラパラパラ… カラ…


「ぬうッ! 近接術ッ!《天破旋斬ッ!》」 ブンッ! シュバッアアーーッ!


「ん! 剣技ッ!《イージス.エッジ!》」 シュンッ! シュオオオオーーッ!


ギュウワアアーッ! バアアアンンンーッ! パラパラ…


シュバババババーーッ!


「くッ 流石だな、アニスッ!」 シュンッ! シュバッ! ダダダダッ!


ヤマト皇国にある霊山「フジ」の麓に存在する広大な森、迷いの森、迷宮大森林と呼ばれる「樹海」、その辺境から国境までの間にある広大な平原の中で今、アニスと創造神ジオスの意識下にある、ヤマト皇国国防軍、公安部隊隊長である八咫烏こと佐藤中尉が、魔法や術、剣技を駆使して高速戦闘をしていた。


アニスは創造神ジオスの意識下にある八咫烏の攻撃のその全てを躱し、剣技や魔法で相殺していた。


シュンッ! サッ サッ キンッ! 


「アニスめえええ… これでどうだッ! 爆砕術ッ!《帝虎強襲撃破斬ッ!》」 シュバッ!


ドオオオオオオーーーッ! ギュワアアアーーッ!


「じゃあ、帝級剣技ッ!《グランツ.カッツエッ!》」 チャキッ! シュンッ!


ドゴオオオオオオオオーーーーーッ! ビュゴオオオオーーーーーッ!


「なにいッ⁉︎」 ササッ! ババッ! グッ!


ギュワアアアーーッ! ドオオオオオオーーーンンッ! ブワアアーーッ!


「うおおおーーッ」 ビュウウウーーッ ザザザアアアアーーーッ! ピタッ!


「うん… どうしましたか創造神ジオス、その様子では私には勝てないよ?」  シュバッ! ピタッ! サッ!


「ふん、それはどうかなッ! 《縮地ッ!》」 シュバッ! シュンッ!


「ん!《縮地》」 シュンッ!


アニスとの創造神ジオスの意識下にある八咫烏の攻防は、激しくなっていった。

          ・

          ・

          ・

「す、凄ええ… おい楓、あれって、本当におまえが主任務として聞いた保護対象の聖女様なのか?」 スッ


「え… ええ、彼ら勇者がアニス様と指すならば、そのはずだわ」 コク


「あれが聖女様か…」 ジイイ…

          ・

          ・

          ・

シュバババババーーーッ! シュンシュンッ! ザッ! シュバッ!


「ぬううッ! 風水術ッ!《水破旋風ッ!》」 キン シュパパパッ!


「おっと、剣技ッ!《エアノーマル.エッジッ!》」 シュンッ! シュバババッ!


バシッ バシッ バシッ! バアアアンンンッ! シュウウウ…


「クソッ!」 シュンッ! シュバババババーーッ ササッ!


「逃がさないからね」 ニコ シュンッ! シュバッ!

          ・

          ・

          ・

「なッ! あの術を咄嗟に返したッ! どうやったら返せるんだよッ!」 グッ!


「ふふ、アニスちゃんなら当然だよね」 ニコニコ


「ああ、そうだね… あの人は、僕たち2人がかりの全力攻撃を平気で躱し、反撃してくるもんな…」 はは…


勇者サトシは、アニスの作った異空間での特訓を思い出していた。


「だが、さすが八咫烏様だ… 見ろよ楓、あんな術は初めて見るぜ! しかも八咫烏様の使うあの《疾風》、俺たちのとは早さが全然違う! 目で追うのがやっとだぜッ!」 グッ! ジイイッ…


「ええそうね… (いつもの八咫烏様ではない… しかもあの《疾風》… 本当に《疾風》なの? 違う気がする。 そして、その八咫烏様を相手に聖女様、アニス様の方が圧倒している… 八咫烏様も凄いけど、アニス様はそれ以上、あの2人は私たちとは何かが違う…)」 ジイイ…


勇者のサトシよスズカ、公安部隊上位隊員の隼と楓、4人はアニスとの創造神ジオスの意識下にある八咫烏の戦いの行く末を、その場でお互い争いもせず見守っていた。

          ・

          ・

          ・

シュンッ シュバババババーーッ! ビュオオオオーーーッ!


「追いついた♪」 シュンッ! シュバッ! 


「なッ⁉︎ 馬鹿なッ!」 ババッ! シュバババババーーッ!


距離を取っていたはずのアニスがすぐ脇に現れ、創造神ジオスの意識下にある八咫烏は驚愕した。


「さて、佐藤の身体から出てくれるかな?」 サッ! チャキッ!


アニスは創造神ジオスの意識下にある八咫烏の側で、神器「アヴァロン」を構えた。


シュバババババーーーーッ! ササッ バッ バッ!


「ふんッ! 火炎術ッ!《飛燕連弾ッ!》」 キンッ!


シュバババババーーーッ! ドドドドオオーーーッ!


「んッ!」 シュバッ! シュンッ! シュババーッ! ザッ! タタタンッ!


創造神ジオスの意識下にある八咫烏は、アニスを牽制する為、咄嗟に火炎術を放ってきた。


シュバッ! ビュンビュンッ! ドババッ! シュシャシャシャシャッ! スタッ! ザッ!


「んッ やッ! ほいっと!」 ササッ! クルクルッ! シュンッ! トン 


「クソッ! 調子に乗るなあッ! 《飛燕連弾ッ!》《飛燕連弾ーッ!》」 キンッ! キキンッ!


ドバババババッバーーーッ! ドオオオオーーッ!


八咫烏の放った火炎術による攻撃、《飛燕連弾》全てを、アニスは高速移動術の《縮地》を使いながら、左右に移動したり、時には体を捻って華麗に躱していった。


創造神ジオスの意識下にある八咫烏は、そんなアニスに向けて絶え間ない攻撃を続け、アニスもまた、そんな八咫烏、創造神ジオスの攻撃を高速移動回避しつつ、隙を見つけて反撃をした。


シュババッ! サッ!


「よっと! そこッ!《リヒトランサーッ!》」 シュバッ! キュンッ!


シュバッ! ドドドドドドオオオーーーッ! シュンシュンッ!


「うおッ⁉ ぬうッ!《ガードナーッ!》」 サッ パアアンンッ! シュバッ!


ドドドドカドカッ! ガンガンッ! バアアアアンンッ! バラバラバラ…


創造神ジオスの意識下にある八咫烏も今は神、アニスの隙を突く魔法攻撃を咄嗟に魔法を使って防いだ。


「ん、あれは範囲防御魔法… 佐藤の身体だけど流石は創造神、やるね!」 ニコ シュンッ!


シュウウウ… チリチリチリ…


「おのれえ、アニスッ! はあッ!《ヴィルヴェル.ヴィントッ!》」 バッ!


キュンッ! グワアアッ! シュバババババーーッ!


「わあッ!《ヴィルヴェル.ヴィントッ!》」 バッ!


キュンッ! グワアアッ! シュバババババーーッ!


シュンシュンシュバッ! ドオオオオンンーーッ! パラパラパラ モクモク…


「ふうう… 驚いたあ、まさかあの身体で爆裂系魔法を打つとは思わなかったよ…」 フリフリ


アニスは八咫烏、佐藤中尉という人の身体で創造神ジオスが神級極小範囲爆裂破壊魔法を打つとは思っておらず、躱せばこの辺り一帯が吹き飛ぶのを防ぐため、同じ魔法を使用し、対消滅でその威力を相殺、消滅させた。

          ・

          ・

          ・

「なッ なんだ今のはッ! あれも術なのかッ⁉︎」 ババッ!


創造神ジオスの意識下にある八咫烏が放った爆裂魔法を見て、隼が叫んだ。


「ち、違うわッ! あんなの術じゃないッ!」 フリフリ


「ねえサトシ、あれって…」 スッ


「そうだよ、あれは魔法攻撃、それもかなり強力なやつだね、彼らが言う術とかじゃないと思うよ」 はあ…


「あれは… あそこにいるのは私たちの知っている八咫烏様じゃないッ!」 グッ!


公安部隊上位隊員の楓は、離れた場所で、今も高速戦闘を続けている自分達の隊長、八咫烏を見て叫んだ。

          ・

          ・

          ・

ヒュウウウウ… モクモク  サササアアアアア…


「ちッ! やはりこれも返すか… ならばッ!」 チャキッ!


創造神ジオスは、八咫烏が装備していた方刃の黒刀を腰の鞘から抜き、左手に短刀、右手に黒刀と二刀流に構えた。


「ん、今度は剣が2本か…」 サ スッ! クルクルッ! チャキ!


アニスもまた、神器「アヴァロン」を手の中で回し、逆手に持ち替えた。

          ・

          ・

          ・

「八咫烏様が二刀流ッ⁉︎ 初めて見たぜッ!」 グッ!


「うう… (違うッ! アレは八咫烏様じゃないッ! 八咫烏様は本来戸隠一刀流の免許皆伝者、その様な方が多流派の剣技を使用するなどあり得ないッ! あの八咫烏様はいったい…)」 ググッ…


公安部隊上位隊員の隼と楓は、自分達の隊長が二刀流に剣を持った事に驚きと戸惑いを見せていた。


「おいスズカ、 アニスさんのアレってまさか…」 はは…


「アニスちゃんがミドルダガー『アヴァロン』の持ち方を変えた… アレは不味いわよ。 アニスちゃんが本気になったのかも」 サッ


「はあッ⁉︎ おいお前ら、本気ってなんだよッ!」 ババッ! ザッ!


隼は、勇者サトシとスズカの会話を聞いて叫んだ。


「ふう… 聞いてのとおりよ、今までアニスちゃんは全く本気を出していないわ。アニスちゃんと戦った事のある私たちが言うから間違いないの!」 ササッ


「そんな馬鹿な…」 グッ


「今までのアレが本気じゃないって… 聖女アニス様っていったい何者なのッ!」 ババッ!


「ええっと… 」 サ…


「そうねえ、アニスちゃんかあ…」 う〜ん…


ポンッ!


「「 食いしん坊の最強無敵女神様だッ!(よッ!) 」」 ドンッ!


勇者2人は揃って言い放った。

          ・

          ・

          ・

「うおいッ! サトシとスズカッ! なに言ってんだよッ!」 ガアッ!


離れた場所で、アニスは勇者2人の言葉をしっかりと聞いていた。


「よそ見をするとは余裕だなアニス…」 チャキッ


「あ、いやあのね、勇者たちが私のことを変に言ってたからねえ…」 はは…


「ふん、相変わらずだな、行くぞアニスッ!《縮地ッ!》」 バッ! シュンッ!


「ええ、いつでも《縮地》」 バッ! シュンッ! 


創造神ジオスの意識下にある八咫烏とアニスは再び《縮地》を使った高速戦闘に入った。


シュバババババーーーッ!


「おおおッ! 神級剣技ッ!《ツバイ.グラン.ソリッドッ!》」 シュバッ! 


ビュビュンビュンッ! シュバアアアアアアアーーッ!


創造神ジオスの意識下にある八咫烏から、二刀流の強靭な刃が無数、アニスに襲ってきた。


「ん、神級剣技ッ!《バーゼル.グラン.リッパーッ!》」 キンッ! シュバッ!


シュバババババババーーーッ! ヒュンヒュンッ! ヒュオッ!


アニスからも同等数の刃が放たれた。


シュバババババッ! キンキンキンッ! バシバシ ビシッ! シュバッ!


「はあッはははははッ! どうだアニス、だがまだまだッ!」 ビュンビュンッ!


シュバババババーーッ! ビュビュンビュンッ!


創造神ジオスの意識下にある八咫烏は神級剣技を使い続け、二刀流から次々と強靭な刃がアニスを襲い続けた。


シュンッ シュバババババッ! キンキンッ! シュバッ!


「ん〜、きりがない、避けちゃえッ!」 シュバッ! ササッ! シュンッ バッ バッ!


アニスは創造神ジオスの意識下にある八咫烏の攻撃を剣技で受け弾くのをやめ、高速で華麗にその全てを躱していった。


「ええいちょこまかと… これならばどうだッ!」 ババッ! ササッ バッ バッ シュバッ!


二刀流の剣技、《ツバイ.グラン.ソリッド》を華麗に躱していくアニスを見て、創造神ジオスの意識下にある八咫烏はさらに高難度の攻撃を放ってきた。


ブワアアンンッ! パリッ! パリパリパリッ! バババババッ! バチバチバチッ!


「ククク… アニスよ、この攻撃は躱せまいッ!」 ニヤ バチバチバチ!


ゴオオンッ! モクモクモク ヒュウウウウーーッ! バリッ バリバリッ! バチッ!


「あれは、雷撃系の魔法?」 シュンッ! タタタッ! ピタッ!


「これは、この者が持つ最大の攻撃術らしい、それに私の攻撃を付加させたものよッ!」 ニヤッ!


「なッ!」 バッ!


グワアアアアアーーッ! ゴゴゴゴッ! ババ バチバチバチッ ゴオオオオオオーーーッ!


アニスの達の遥か上空に、一瞬で暗黒の雲が渦を巻き、その中心に丸い光り輝く穴が開き、異常な魔力を帯び始めた。辺り一帯に静電気と強風が吹き始めた。

          ・

          ・

          ・

ヒュウウウウーーッ! バサバサバサ バババババッ!


「み、見ろッ! 八咫烏様がッ!」 バッ ヒュウウウウーーッ ビリビリ!


「アレは、もしかして奥義中の奥義ッ! 禁術ッ⁉︎」 ババッ! バサバサバサ!


「なあスズカ、アニスさん大丈夫かな?」 サッ パリパリ ババ バサバサ!


「わからない、あんな強大なもの、初めて見たから…」 フリフリ ヒュウウウウーーッ!


強風と静電気が発生する中、勇者と公安部隊上位隊員の4人は、上空にできた巨大な雲の渦を見ていた。

          ・

          ・

          ・

「はははははッ! これでも喰らうがいいッ! アニスーッ! 風雷術秘奥義ッ!《金剛雷神槌ーーッ!》」 キュインッ!


ドゴオオオオオオオオーーーーーッ! ブオオオンンッ! ゴゴゴゴオオオーッ!


その瞬間、巨大な渦を巻いた雲の中心から、青白い巨大な光の球体が、放電しながらアニスに向かって放たれた。


「わああッ! あれッ《トール.グラン.ハンマー》じゃないかッ!」 ババッ! ピタッ!


ギュワアアアーーーッ! ゴオオオーーッ! バチバチバチッ!


アニスには見覚えがあった。 それは、神界の神々が使う神の鉄槌、地上の人々に与える神罰の一つ、その地を全てを破壊する雷神の魔法、《トール.グラン.ハンマー》に酷似、いやそのものだった。

         ・

         ・

         ・

ドゴオオオオオオオオーーーーーッ! バチバチッ! ビリビリビリ!


「うぐうッ! や、八咫烏様ーッ!」 ビリビリビリッ! バババアアアーーッ!


「八咫烏様ッ! 貴方は、私たちも… 私たちも、この地もろとも吹き飛ばすおつもりですかッ⁉︎  八咫烏様ーーッ!」 ググッ バサバサバサッ!


「ううッ! スズカッ!」 サッ ビリビリビリッ! ビュウウウーーッ!


「サトシ… 今はアニスちゃんに任せましょ、アレではどこに逃げても変わらないわ」 ニコ バサバサ ビュウウウーーッ!


「そうだね… わかった、僕もアニスさんに任せるよ」サッ ギュッ! バサバサ


隼と楓は、隊長の八咫烏がアニスに向けて放った術を見て愕然とし、勇者のサトシとスズカはこの地域全体が吹き飛ぶのを予見し、それに対峙して構えるアニスに全てを任せて、お互いの手を握って見ていた。

          ・

          ・

          ・

アニスが出現し、迫ってくる術の本質を《トール.グラン.ハンマー》と見当てた時、創造神ジオスの意識下にある八咫烏が誇らしげに叫んだ。


ドゴオオオオーーーッ! バリバリバリ シュバアアアアアーーーッ!


「いかにもッ! 創造神たる私が使うのだ、なんの不思議もなかろうッ!」 ククク!


ギュオオオオオオオーーーッ! ドドドドオオーーーッ!


「はああ… 仕方がないね」 チャキッ! シュバアアッ!


アニスは自分に落下してくる巨大な白熱化し放電している《トール.グラン.ハンマー》に対し、魔力を高め神器「アヴァロン」を構えた。


「ふんッ! 無駄だ無駄ッ! それを防ぐなどもはや皆無ッ! 私とてそれは不可能ッ! 創造神たる私からの神罰だッ! その地もろとも吹き飛ぶがいいッ! アニスよッ!」 ババッ!


「そうでもないよ、対処方法はあるんだ。こうするんだよ…」 ググッ!


シュオンッ! シュバアアアアアアアーーッ!


「なにッ! なにを言って… うッ!(アニスの魔力が増大した? なんだあの量はッ! あの身体のどこにッ‼︎)」 ググッ!


アニスの体全体が青白く輝き始め、右手の神器「アヴァロン」が黄金色へと輝き、刀身に神語であるヒエログリフが現れ始めた。


ビュオオオオオッ! キイイイインン!


「いくよ… 神級撃滅剣技ッ!《アルテナ.グラン.バスターッ!》」 シュンッ! シュバッ!


ドギュウウウウウウーーーーーーッ! ドゴオオオオオオオオーーーーーーーッ!


「なにいいいッ! うわああッ!」 バッ!

          ・

          ・

          ・

バッ! ドギュウウウウウウーーーーーーッ!


「「「「 うわあああッ! 」」」」 バババババッ! ズバアアアアアアーーーッ!


「ア、アニスちゃん…」 バサバサバサッ! ババババアアアアーーッ!

          ・

          ・

          ・

シュギュヲオオオーーーーッ! ジュワアアアアーーッ! ビュホオオオオオオオーーーー……


アニスが使った神級撃滅剣技、《アルテナ.グラン.バスター》によって、創造神ジオスの意識下にある八咫烏が放った風雷術秘奥義《金剛雷神槌》こと《トール.グラン.ハンマー》は、その威力全てを飲み込み掻き消され、漂っていた渦巻き状の黒雲と共に、遥か上空へと消えていった。


「ん、消えたね」 コクン チャキンッ! スタ… ファサファサ ササアアーー…


アニスは神器「アヴァロン」を背中腰の鞘に収め、《金剛雷神槌》と《アルテナ.グラン.バスター》が飛び去っていった遥か上空を、青みがかった銀髪と純白のスカートを靡かせ、眺めていた。


「そ、そんな… 神の鉄槌を防ぐなど聞いたことがないぞおッ!」 パアアンッ!


シュドドドドドオオオーーーッ! バババババッ!


創造神ジオスの意識下にある八咫烏は、動揺しながら無意識に《飛燕連弾》をアニスに放ってきた。


「うん、《縮地》」 シュバッ! ササッ バッ バッ! シュンッ!


ドババババババッ! シュン シュバッ!


「なぜだッ⁉︎ なぜ神の鉄槌が消えるッ! なぜお前はそんな事ができるのだッ!」 ババッ! 


ババッ!シュンシュンッ! ドドドドッ! ドカドカッ! ドオオンッ!


「創造神ジオス、君にはわからない。 簡単なことだよ、それにその術はもう効かないよ」 ニコ シュバババババッ! ササッ!


もう既に、アニスにとって《飛燕連弾》は余裕で躱すだけのものになっていた。その時、平原からかなり離れた遠方より、大きな爆発音が聞こえてきた。


ドオオオオオオーーーンンン………


「おのれええ… うん⁉︎…… ふん、斥候前衛艦隊が全滅したか、予定より早いな…」 ジイイ…


その爆発音は、ヤマト皇国国防軍一等級駆逐艦「ユキカゼ」とアトランティア帝国大陸艦隊所属の強襲巡航艦「ライデン」が、ココル共和国大陸自衛艦隊の間全自動無人艦隊斥候前衛艦隊を壊滅させた音だった。


「ん、どうしたんだ、創造神ジオス?」 ササ ザッ ピタッ!


動きを止め、国境方面をじっと見ている創造神ジオスの意識下にある八咫烏をアニスは動きを止めて見ていた。


「ちッ、時間稼ぎもできぬとは… いや、これもアニスに関わった事による弊害だな、全く、アニスが関わると全てシナリオが狂ってくる… 忌々しい奴め… だが、大凡のシナリオは進んでいるし本隊を動かせば事は済む、まだ進行中だしな」 ニヤ ググッ バッ!


創造神ジオスの意識下にある八咫烏は、口元を緩ませ、ほくそ笑んでいた。


ヒュウウウウ… クルッ! バッ!


「アニスよッ!、お前の希望どうり、この身体は返すとしよう… もうここにいても仕方がないからな!  私にはまだやる事があるのだ、今はここから去るとしよう。 だが、その後の事は知らぬぞ! ククク」 ニヤ


「待てジオスッ!」 ババッ!


「そもそも脆弱な人の身体で貴様に勝とうとは思わん、ここでの目的はほぼ達成した、次に会う時にはお前をこの偽世界から消し去る準備も整うッ! それまで待っているがいい、ククク」 シュパアアーーッ!


「ん!」 チャキッ!


「おっと、やめておくんだな、この身体はもう、私の物ではないぞ、お前の剣技なんか使ったら、この男は一瞬で消え去ることを忘れるな! ははは、さらばだ、また会おうぞアニスよ! はははは…」 シュパアアアアアーー…….


「ん、逃げた、消え去ったか…」 チャキン… ヒュウウウウ…


ドサッ バタンッ!


意識を支配していた創造神ジオスが去り、八咫烏こと佐藤中尉はその場で地面に崩れ落ちた。アニス達と公安部隊の戦闘はここで終わった。


テクテク ザッ!


「この人もなんの因果か、難儀なやつに憑かれちゃったねえ…」 ススッ!


アニスは地面に崩れ倒れた八咫烏こと佐藤中尉の様子を見た。


「ううう… 」 ピクピク


「ん、大丈夫そうだね、少し無茶な動きを強制的にさせられたせいか、消耗しきってるだけだね」 うん


タタタ ダダダッ!


「「 おおおお〜い 」」 フリフリ ダダダッ!


「アニスちゃ〜んッ!」 ササ フリフリ タタタ!


アニス達の元に、離れて見ていた勇者のサトシとスズカ、公安部隊上位隊員の隼と楓の4人が駆け寄ってきた。


「ん、これで終わったかな」 スクッ! ニコ ファサッ!


ダダダダッ! ガバッ!


「アニスちゃんッ!」 ギュウッ!


「うわあッ! スズカッ!」 ギュウッ!


スズカは駆け寄った勢いでアニスに抱きついた。


「さすがだね、アニスちゃん」 ギュウ…


トコトコ ザッ! ザッ! ススッ! サッ!


「聖女アニス様ッ! 此度の件、公安部隊の代表として謝罪します」 サッ  ペコ


「しゃ、謝罪します」 サッ ペコ


抱き合ってる2人の元に、公安部隊上位隊員の隼と楓の2人が跪き、アニスに向け謝罪をした。


「ヘ? 聖女? はは、なんだかわかんないけどいいですよ、今回のことは全て創造神かやった事だからね」 サッ!


「「「「 創造神ッ! 」」」」 ババッ!


「ん、だから君たちに非はないよ、ただ…」 ちら…


アニスは地面に崩れ倒れている八咫烏こと佐藤中尉を見た。


「「 八咫烏様ッ! 」」 ババッ!


「ああ、大丈夫だよ、気を失ってるだけだから」 サッ


「「 ふうう… 」」 ススッ


隼と楓の2人は安堵の表情を見せた。


「ん、(ただ、彼が目を覚ました時、彼の精神が持てばいいけど…)」 フ…


創造神ジオスが言ったとおり、『その後の事は知らぬぞ』とはこの事であった。 人が、神と接触し、その身体を自由にされたのである、その記憶は残り、精神がそれに耐えれるか本人次第であった。


「それより2人とも、さっき私のこと、なんか言ってたよね」 ニコ


「「 え? 」」 ピクピク


「たしか、『いやしん坊のだめ神』だったっけ?」 ニコニコ ギロッ!


「ぎゃーッ! なに言ってんだよこの人ッ! そんなこと一言も言ってないッ!」 ブンブン


「ア、アニスちゃんッ! 聞き間違いよ、『食いしん坊の最強無敵女神』って言ったの! サトシはそう思ったかも知れないけど私はぜんッぜんッ!違うからねッ!」 ブンブン


「ス、スズカお前もなに言ってんだよ!」 ババッ!


「へええ、サトシはそう思ってるんだ」 ジイイ…


「思ってないッ! 思ってないッ!」 ブンブン!


「じゃあ連帯責任で… 2人とも、アニスの無責任空間へご招待ッ!」 ニコニコ バッ!


「「 ぎゃああああーーッ! 」」 ドタバタ ワーワー!


アニスと勇者達が騒いでいたところへ、公安部隊上位隊員の楓がやって来た。


トコトコ スッ! ザザッ!


「聖女アニス様ッ! どうか折り入ってお願いがありますッ!」 サッ!


ワーワー ぎゃーぎゃー!


「ん?」


公安部隊上位隊員の楓はアニスに頭を下げてきた。

          ・

          ・

          ・

ーヤマト皇国「樹海」辺境 平原エリア071上空ー


シュゴオオオーーーーッ! ピッ ピッ ピッ


ゴウン ゴウン ゴウン ゴゴゴゴオオオーーッ! バウウウーーッ!


ーアトランティア帝国大陸艦隊所属、強襲巡航艦「ライデン」ー


ピッ ピッ ピコピコ ポンッ!


「敵前衛艦隊壊滅、周辺空域に敵の反応はありません!」 バッ!


「ブレードナイト、アルファー小隊帰還します! 着艦デッキ解放ッ!」 ピッ 


ヒュンッ! ヒュンッ! シュバババアアアアアーーッ!


レオハルト中佐率いるアラン、マイロ、ジェシカ達、アルファー小隊のブレードナイトが全機帰還してきた。


「アルファー小隊帰還中ッ!」 ピコ


「むう、よし、被害報告ッ!」 ドサ


ピッ タンタン ピッ タンタン ビコビコ!


「『ライデン』全艦異常なし、全て正常です」 ピコ


「ふむ、全艦第二戦闘配置」 サッ


「アイサーッ! 『全艦第二戦闘配置』」 ピッ


「ふうう…」 ギシ…


「お疲れ様です、艦長」 サッ


「ああ、だが私よりも彼の方が疲れてるんじゃないか?」 ス!


強襲巡航艦「ライデン」の艦長、グレイ中佐は、環境にある大型情報パネルに映る、ヤマト皇国国防軍、一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」を指さした。


「そうですね、あの空間魚雷には驚きました」 サッr


「うむ、発射後数秒で姿を消し、直撃間近まで探知できない空間魚雷、ヤマト皇国の秘匿兵器か…」 う〜ん


「ええ、まさしく最強の空間魚雷ですよ、雷撃手の腕次第では百発百中の超兵器ですな!」 二ッ


「全くだ…」 ふふん! ニヤ


グレイ中佐は、「ライデン」の前方200の位置を先行する、一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」を見ていた。 そんな時、「ライデン」の警戒システムが警報を鳴らした。


ビーーッ! ビーーッ! ビーーッ!


「右舷方向より高熱原体急速接近ッ!」 バッ! ピッ ビコビコ ピピッ!


「なッ! なにいいッ!」 ガタタッ!


「対艦ロケット弾ーッ!」 ババッ! ピーーーッ!


シュバアアアアアアアーーッ! ドゴオオオオオンンーーーッ! ドオオオオーーーッ!


「「「 うわああああッ! 」」」 ビリビリビリッ! グラグラグラ ガタガタ


「僚艦『ユキカゼ』被弾ッ! 損害不明ッ!」 ババッ!


ビーーッ! ビーーッ! ビーーッ!


「青山少佐ーーッ!」 ババッ! ギュッ!


パアアアンンッ! バキバキ ゴゴゴゴ モクモクモク


一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」は、その艦体中央に対艦ロケット弾が被弾し、黒煙を吐きながら降下していった。


「通信士ッ! 緊急通信ッ!」 ババッ!


「アイサーッ!」 カチカチ ピコッ!


「こちら『ライデンッ!』、『ユキカゼッ!』応答せよッ! 『ユキカゼッ!』応答せよッ!」 ザザザザアアアアーーッ! ガガガ… ピイイ…


降下していく一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」からは、何の返事も無かった。


ビーーーッ! ビコビコ!


「艦長ッ! センサーに反応ッ! 右舷前方に敵艦隊ッ!」 ピッ!


ブウウウン パッ! 


「なッ!」 ババッ!


ゴウン ゴウン ゴウン ゴゴゴゴ シュゴオオオーーーー!


強襲巡航艦「ライデン」の艦橋内にある情報パネルには、ココル共和国の完全自動無人艦隊が映っていた。


「艦長… これは…」 サッ


「むうう…敵の本隊か… 」 ググッ…


超大型艦艇を先頭に10数隻の艦隊が強襲巡航艦「ライデン」に向かって突き進んでいた。





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