表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
254/311

第254話 前哨艦隊戦

ーヤマト皇国「樹海」辺境 平原エリア071上空ー


ゴウンゴウンゴウン シュゴゴゴゴゴ バアアアアーーーッ!


ビーーーッ! ビーーーッ! ビーーーッ!


『急報ッ! 先行、制空権制圧ブレードナイト部隊ヨリメーデー受信ッ!』 ピピッ!


ビコビコッ! ビーーーーーッ!


『制空権制圧ブレードナイト部隊通信途絶ッ!』 ピッ


『ドウ言ウ事ダ、最新鋭ノブレードナイト部隊ガ通信途絶⁉︎ イッタイ何ガ起コッテイルノダッ!』 ピッ


レオハルト中佐の共同迎撃部隊がココル共和国、斥候前衛艦隊から出撃した自律思考型無人ブレードナイト部隊を迎撃、全滅した頃、その斥候前衛艦隊全艦に警報が鳴り響き、各艦艇の制御システムは混乱していた。


ビーーーッ! ビーーーッ! ピピピピピ ビコビコ 


『緊急事態ッ! 制空権制圧ブレードナイト部隊反応消失、全機識別信号ロスト!』 ピピ


『ヤマト皇国チャートNo.508 エリア073 マークポイント6アルファ 高度2400 距離25000 速度760ノット イエロー23 チャーリー 敵ブレードナイトヲ確認、味方ブレードナイト12機ハ全テ反応ナシッ!』 ピッ


『アリエナイッ! 計算デハ、ブレードナイトノ数ヤ、ソノ性能差デ勝ル我等ガ有利ノハズ、シカモ、人間ドモノブレードナイトノ行動パターンハ把握済ミ、ソレナノニ人間ドモノ損失ガゼロダト? 理解不能』 ピッ


ピピッ!


『左舷前方ッ! 『ライデン』ト駆逐艦ッ! 急速接近ッ!』 ピッ


シュバアアアーーーーッ! ゴオオオオーーッ! ドオオオンッ!


『『ライデン』発砲ッ! 方位000 標的ハ当艦ッ!』 ピッ


『回避ッ! 左舷スラスター最大噴射ッ! フォトンフィールド最大ッ!』 ピッ


カシュンッ カシュンッ カシュンッ! バウウウウーーッ! グググッ!


シュバアーーーッ! ドオオオオンンーーッ! バキイイッ! ブワアアアーーッ!


ビーーーッ ビーーーッ ビーーーッ! グラグラグラ ガタガタガタ!


『敵フォトン弾命中ッ! フォトンフィールド崩壊、消失ッ!』 ピッ


『バカナッ! フィールドガ消エタダトッ⁉︎』 ピッ


強襲巡航艦「ライデン」の主砲弾は、斥候前衛艦隊旗艦「テスラ2」の防御用のフォトンフィールドに命中すると、そのフィールドを破壊し、消し去ってしまった。


『遮蔽フィールド展開ッ!』 ピッ 


ブワンッ! ボボボボッ! シュワッ!


遠距離センサー攻撃を防ぐ為、斥候前衛艦隊旗艦の巡航艦「テスラ2」は、遮蔽フィールドを展開して、一時的な対抗処置とした。



ー強襲巡航艦「ライデン」ー


ピッ ピコピコ


「主砲、第二射命中、されどフィールドに阻まれ効果なし」 ピコ バッ!


「艦長、敵艦の反応がセンサーより消失、遮蔽フィールドです。長距離センサー砲撃ができません」 サッ!


「遮蔽フィールドか、そう長くは持つまい、接近して、直接照準攻撃に切り替えろッ!」 ババッ!


「アイサーッ! 主砲照準システム切り替えます」 ピッ タンタン ピコ


強襲巡航艦「ライデン」は主砲による遠距離攻撃をやめ、接近しての攻撃に切り替えた。



ーココル共和国大陸自衛艦隊 斥候前衛艦隊旗艦 巡航艦「テスラ2」ー


ピコピコ ピコピコ カタカタカタカタ ジジジッジジジッ!


『緊急指令、前衛艦隊、各艦艇制御システムハ旗艦ニオンライン、接続セヨ』 ピコ


ブウウンン パッ パパパパッ!


そこは、以前紹介した仮想空間会議室だった。何も無い空間に円テーブルが1つと、椅子が5脚、前衛艦隊の艦艇数分の椅子が存在し、そこに艦長服を着た男性型アバターが5人現れた。


『ドウ言ウ事ダ、コレデハシナリオ通リニ事ガ運バヌ、予定ガ大幅ニ狂ッテ来ルゾ!』 ピッ


『人間ドモノ動キガ想定外ダッタノダ!』 ピッ


『演算処理ガ追イツカナイ、我等ノ主人ノシナリオデハ、現時点ニオイテ既ニ敵ハ壊滅、我等ハ無人ノヤマト皇国領内ヲ突キ進ンデイル予定ノハズダッタ、ソレガドウダッ!』 ピッ


『タシカニ、旗艦ハ被弾損傷、我等ノブレードナイト『グリフォスD/FAV7』12機全テノ信号ガ消滅、 前方ヨリ接近中ノ2隻ノ敵艦艇、シナリオガ… 予定ガ狂イ始メテイル… コレデハ全テガ… 理解不能』 ピッ


『ブレードナイト部隊ノ件、信号ガ消滅シタノハ索敵センサーノ不調デハナイノカ?』 ピッ


『索敵センサーニ異常ハ認メラレナイ』 ピッ


『デハヤハリ、人間ドモノ技量ガ上回ッテイタノカ』 ピッ


『バカナッ! 会敵シテカラマダ10分モ経ッテイナイノダゾ、イカニ人間ドモノ操縦技術ガ勝ッテイタトシテモダ、12機全テガ撃墜サレルナド、アリエルノカ?』 ピッ


『諸君、データーヲヨク見ルノダッ! 事実、我ガ方ノブレードナイトノ反応ハ、一切無イ』 ピッ


斥候前衛艦隊無の旗艦 巡航艦「テスラ2」とイントレットビット級駆逐艦「ビット1〜4」の自律思考艦艇制御システムは、このエリア073空域で圧倒的優位の自分達が負けるなど微塵も思っていなかった。


『トニカクダ、我等ガ主人、高位存在ノアノ御方ノシナリオハ絶対デアル、モハヤ『ライデン』ハ後ニ廻スベキデハナイカ?』 ピッ


『ソレハ容認デキナイ、却下ダ!』 ピッ


『『『 ソウダッ! 却下 却下ッ! 』』』 ピピッ!


『後廻シナドシテイル余裕ハ無イッ! 『ライデン』ハスグソコマデ迫ッテイルノダゾッ!』 ピッ


『『ライデン』ダッ! アノ艦艇ガ我々ノ前ニ現レテ以来、全テノ予定ガ狂イ始メタノダッ!』 ピッ


『『『『 ソウダッ! 』』』』 ババッ ピピッ!


『本隊ガ来ル前ニ『ライデン』ヲ沈メルノダッ!』 ピッ


彼等が仮想空間に集まり、会議をしていたのはほんの数秒、そんな時、仮想空間内にもわかる激しい揺れと爆発音が響いた。


ドゴオオオオオオオオーーンッ! グラグラグラグラ…


『ドウシタッ! 何事ダッ!』 ピッ ガタガタガタガタ


ジジジッジジジッ! ビビビビッ! ガガッ ガガガッ!


『アアアアーーッ! ビビビッ!』 ガクガクガク フッ!


『『『『 ッ! 『ビット3ッ!』ガ消エタ⁉ 』』』』 ババッ! ピッ


5人の男性型アバターのうち、駆逐艦「ビット3」のアバターの姿が急に乱れ、その姿が仮想空間から消えた。


『緊急事態ダッ! 各艦艇制御システムハ自艦ニ戻リ、事態ヲ把握セヨッ!』 ピッ


『『『『 了解ッ! 』』』』 ピピピッ!


フッ! フッフッフッフッ! シ〜ン…


仮想空間会議室にいた全ての男性型アバターが消え、やがて円テーブルや椅子も消えて行き、静かな何も無い空間になっていった。



ドゴオオオオオオオオーーンッ! ボウンッ! メラメラ バキバキバキ モクモクモク


ゴゴゴゴ ヒュウウウウウ…… グワアアアンンンンッ! ボウンッ! メラメラ


ビーーーッ! ビーーーッ!


『駆逐艦『ビット3』大破撃沈ッ!』 ピピ


『バカナッ! 『ビット3』ガッ‼︎』 ピッ


仮想空間会議室から旗艦 巡航艦「テスラ2」の艦艇制御システムに戻った彼は艦隊右舷に位置していたイントレビット級駆逐艦「ビット3」が炎を吹き、地表へと落ちて行くのを見た。 280mの艦体の至る所に穴が空き、炎と煙をあげ、指揮を取る艦橋はその姿が吹き飛び存在していなかった。 


やがて、コントロールを失った駆逐艦「ビット3」はなす術なく、地表に落ちて爆発炎上していった。


『『ビット3』ガ… 敵艦カラノ砲撃カッ⁉︎』 ピッ


『遮蔽フィールドハドウナッテルッ⁉︎』 ピッ


『遮蔽フィールドハ正常ニ作動中』 ピッ


ピピピ ピコピコ ビビッ! ピッ!


『違ウッ! 敵艦カラノ砲撃デハナイッ!』 ピッ


ピコピコ ビーーーッ!


『右ダッ! 右舷上方ッ! ヤマト皇国チャートNo.508 エリア073 距離15000二敵機ッ! ブレードナイトカラダッ!』 ピッ ビコビコッ!


『アリエナイッ! 遮蔽フィールドガ役ニタッテナイノカ⁉︎』 ピッ


『バカナッ! ブレードナイト程度ノ火器ト機能デコノ遠距離ヲ 狙イ駆逐艦ヲ撃沈スルダトッ⁉︎… イッタイドウヤッテ…』 ピッ


遥か遠距離、15000もの離れた場所から駆逐艦「ビット3」は狙われ、攻撃を受けて撃沈していった。それもラウンドシップの主砲ではなく、ブレードナイトが装備する火器による攻撃に、旗艦「テスラ2」の自律思考型艦艇制御システムの彼は理解ができなかった。


斥候前衛艦隊は気が付いていなかった。彼等艦隊の遥か上空に3機の小型浮遊機体が彼等を監視している事を、マイロ中尉のブレードナイト「アウシュレッザD型R32 サニー」の専用特殊装備、「ファンネル・シーカー」その機体はあまりにも小型で探知されにくく、長さ88cm、直径25cmの円筒形をした黒い浮遊物体で、その円筒形の上方には浮遊用の羽を4枚展開し、円筒形の真下は監視用レンズカメラが備わっていた。


ピッ ピッ ピッ ピッ ピッ! ジイイッ! ジイイッ! ピコ!

          ・

          ・

ーヤマト皇国「樹海」辺境 平原エリア073上空ー


ヒイイイイインンンッ! ババババッババーーッ! ジャコンッ! キンンッ! シュウウウ…


ココル共和国大陸自衛艦隊、完全自動無人艦隊の斥候前衛艦隊から15000の距離の離れたエリア073空域上空に、ココル共和国の斥候前衛艦隊に向け大型のフォトンライフル『イーグルスナイパー』を構えた、英雄マイロ中尉のブレードナイト「アウシュレッザD型R32 サニー」が空中で静止していた。


ピッ ビコビコ ピポ!


『マスター、『ファンネル・シーカー』より受信、全弾命中、敵駆逐艦の撃沈を確認しました』 ピッ


「ありがとうサニー、君のおかげだよ」 サッ


『あら、それは違いますわ、マイロ様の腕とその能力があっての事、私はサポートをしたに過ぎません』 ピッ


「いや、僕だけの力じゃ無いさ… サニー、君と他に類を見ない君だけの特殊装備、15000もの超遠距離射撃が可能とする観測器『ファンネル・シーカー』があっての事さ、感謝してる」 サッ


『いいえ、たとえ観測器『ファンネル・シーカー』があったとしても、流石に15000もの先の目標に命中させるのは間違いなく、マイロ様の技量、この超遠距離を確実に当てる事など他の誰にもできませんわ』 ピッ


「ありがとうサニー」 グッ


カチカチ ピッ


「残弾ゼロか…」 ピコ ピコ ピコ


『駆逐艦に対して撃ち尽くしましたからね』 ピッ


マイロ中尉は、遥か離れた所を遮蔽フィールドで姿を隠し航行している駆逐艦「ビット3」に対し、対艦用APHE徹甲炸裂弾を持ち弾の全弾を撃ち込んでいた。観測器「ファンネル・シーカー」にとって、遮蔽フィールドは何の役にも立っていなかった。


放たれたAPHE徹甲炸裂弾は全て、駆逐艦「ビット3」の艦体に吸い込まれ、命中した箇所は内部で爆発し、艦体を破壊していった。 艦橋に命中した1発は、艦橋そのものを跡形もなく吹き飛ばし消滅し、駆逐艦「ビット3」はあっという間に地表へと落ちていった。轟沈である。



シュバアアアーーッ! ゴオオオオッ! ヒュウウンンンッ!


『マイロやったな』 ピッ


『凄いじゃない、こんな遠距離、新記録でしょ!』 ピッ


「アラン、ジェシカ、ははは、ありがとう」 ピッ


マイロ中尉の機体のすぐ近くに、同じ英雄のアラン中尉とジェシカ中尉の2人のブレードナイトが近づいてきた。


ジャキンッ! 


『まだ狙えそうなの?』 ピッ


「いやジェシカ、もう弾がないんだ、それに僕らの母艦『ライデン』が近い、ここまでかな」 ピッ


『そうだな、『ライデン』とヤマト皇国の駆逐艦『ユキカゼ』が敵艦隊に接近してる、援護射撃はここまでだろ』 ピッ


「アランの言う通りさ」 ピッ ニコ 


シュバババババーーッ! ブオンッ!


「おう! お前ら凄いじゃないか」 ピッ ニイ


『『『 隊長ッ! 』』』 ピピピッ!


レオハルト中佐も白井中尉と坂本少尉を引き連れ、彼等と合流した。


『むう… ここから駆逐艦を狙って落としたのか… 坂本、貴様ならどうだ?』 ピッ


『隊長、そんなの無理に決まってます、ここからどれだけ離れていると思ってるんですか? 聞かないでくださいよ』 ピッ


『そうだよな、ではマイロ中尉の腕は相当良いと言う事か…』 ピッ


ヤマト皇国の白井中尉と坂本少尉は、マイロ中尉が遠距離にある移動中の駆逐艦を撃沈した事に驚いていた。


ピッ


『Rog. レオン、『ライデン』がヤマト皇国の駆逐艦『ユキカゼ』と共に攻撃を開始します』 ピッ


「ああ、了解だッ! 話は後だな、全機、艦隊上空を抑える、白井中尉と坂本少尉も宜しいか?」 ピッ


『『 はッ! 中佐殿ッ! 』』 ピピッ!


ピッ


『Rog. レオン、先行する駆逐艦が突入、艦隊戦に入りました』 ピッ


「よしッ! 全機、俺に続けッ!」 ピッ グイッ! ギュッ!


ヒイイイイイインンッ! バウウウウウウウーーッ! シュバアアアーーーーッ!


『『『『『 了解ッ! 』』』』』 ピピピッ! グイイッ! ギュギュッ!


ヒイイイイインンンッ! バウウウウウウウーーッ! シュシュバアアアーーッ!


レオハルト中佐のブレードナイト「アウシュレッザD型FARアウディ」を先頭に、5機のブレードナイトが後に続き、スラスターを全開にして飛んでいった。



ーココル共和国大陸自衛艦隊 斥候前衛艦隊旗艦 巡航艦「テスラ2」ー


ビーーーッ! ビーーーッ!


『敵ブレードナイト部隊ニ続キ、左舷前方ニ敵艦隊至近ッ! チャートNo.508 同一エリアニ侵入 エリア073 方位1022、距離35000 速度65ノット強 高速ッ!』 ピッ


ピコ ピコ ピコ ピコ ピコ


『敵艦2隻サラニ増速ッ! 速度70ノット増速ッ! マークポイント2 イエロー23 コース866 高度2800 距離30000 チャーリーッ!』 ピッ


『70ノットダトッ⁉︎ 速イッ! 早過ギルッ!』 ピッ


『予想ヨリモ接近速度ガ速カッタノダ!』 ピッ


『駆逐艦及ビ『ライデン』ヲ補足、確認ッ! 主砲、砲撃用意ッ!』 ピッ


ガコンッ! ウィイイイインン カシュンッ! ピッ!


斥候前衛艦隊旗艦 巡航艦「テスラ2」の20.3cm連装フォトン砲が、急接近してくる一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」と強襲巡航艦「ライデン」に向け動き出した。


ビーッ! ビコビコッ! 


『右舷上空ニモ反応ッ! 敵ブレードナイト部隊接近ッ!』 ピポッ!


『対空防御ダッ! PDS起動ッ! 後部甲板VLS解放ッ! 艦対空ロケット弾装填ッ!』 ピピッ!


ウィイイイインン ピピッ! バクンバクンバクンバクンッ! シュウウウ…


斥候前衛艦隊の旗艦、巡航艦「テスラ2」をはじめ、艦隊全ての艦艇が対艦対空攻撃準備に入った。


『ブレードナイト部隊ニ対シテハ自動迎撃、駆逐艦ト『ライデン』ニ対シテハ補足次第砲撃セヨ!』 ピッ


『『『 了解 』』』 ピピピッ!


ウィイイイインン ククク ピタッ ヒイイイイインンンッ! ドウンッ! バンバンバンッ!


斥候前衛艦隊は、急接近してくる一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」と強襲巡航艦「ライデン」に対し、連続砲撃を開始した。



ーヤマト皇国の国防軍 一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」ー


シュゴオオオオオーーッ! ゴウンゴウンゴウン


ピピピピピ ピコ ビコビコッ!


「右舷前方に敵艦隊確認ッ!」 ピポンッ!


「艦長ッ! 敵主砲転回ッ!砲撃が来ますッ!」 バッ!


「構うなッ! 艦首フォトンフィールド最大 速度、最大戦速ッ!」 ババッ!


「了解ッ!『ユキカゼ』速度最大戦速ッ! 艦首フォトンフィールド最大ッ! 速度78ノットッ!」 バッ! ビコッ!


ギュワアアアーーッ! バウウウウーーーーッ! シュゴオオオオオーーッ!


ゴゴゴゴッ! ガタガタガタ!


「僚艦『ライデン』はどうだッ⁉︎」 バッ!


ピッ ピッ ビコッ!


「はッ! 僚艦『ライデン』、本艦後方800ッ! 凄い…『ユキカゼ』と同速を維持ッ! 単純陣を形成ッ!」 ピッ ピコ


シュゴオオオオオーーーッ ドオオオオオオーーーッ! ゴゴゴゴッ!


ヤマト皇国国防軍、一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」が、その速度を最大限で疾走しているのに、アトランティア帝国大陸艦隊所属の強襲巡航艦「ライデン」は、その大きな艦体に似合わず余裕で「ユキカゼ」に追従し、2隻による艦隊単純陣を保っていた。


ピッ ピッ ピコピコ ゴゴゴゴッ!


「ほう… やるじゃ無いか」 ニヤ


「艦長、やはりただの巡航艦では無いようですね」 ジイイ…


「単艦で国境を越え、国の要人を捜索、救出を可能とするふねだ、 あれ一隻で一個艦隊ほどの機能と戦力があるんじゃないのか…」 むう…


ピッ ピッ ビコビコッ!


「敵艦隊補足ッ! チャートNo.508 エリア073 マークポイント4 コース633 高度2800 距離25000 オレンジアルファ チャーリーッ!」 ビコッ!


「うん? 一隻足りんぞ?」 サッ!


「敵駆逐艦の一隻は既にロスト、友軍機アトランティア帝国のマイロ中尉機が攻撃、撃沈してます」 バッ


「ブレードナイトたった1機でかッ⁉︎」 ザッ


「はい、長距離狙撃による攻撃を確認、敵艦を轟沈しています」 バッ


「凄まじいな、この距離を当てて撃沈するのか…」 グッ


「ええ… 彼らが敵でなくて良かったです」 サッ


「まったくだ、艦長は優秀で、ふねは長射程の破壊力のある主砲を持ち、この『ユキカゼ』と同等の機動力のある巡航艦、搭載ブレードナイト部隊は精鋭揃いの凄腕超ベテランライナーばかり、ましてやあのアニス嬢と深く関わりがあるようだ。敵対などもってのほかだな」 フリフリ


一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」の艦長青山少佐と副長の松田大尉の2人は、改めて、強襲巡航艦「ライデン」の戦力と能力の高さに、これほど心強い友軍は他になく、敵対しなくて良かったと思っていた。その時、斥候前衛艦隊からの砲撃が始まった。


「敵艦隊さらに接近ッ! 距離20000ッ! 敵艦発砲ッ! 攻撃来ますッ!」 バッ!


「むッ! 右舷前スラスター噴射ッ! 躱せええッ!」 ババッ!


「右舷ッ!スラスター2番4番6番8番ッ! 全力噴射ッ!」 カチカチ ピコ タンタン


カシュンッ! カシュンッ! シュッババアアーーッ! ググググッ!


一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」は右舷舷側に装備する姿勢制御用スラスターを全開にし、艦の位置をずらし始めた。そこにココル共和国大陸自衛艦隊の斥候前衛艦隊が撃ち出した砲弾が降り注いで来た。


シュルシュルシュルッ! ババババッババーーッ! ゴオオオオーーッ!


「敵弾、全てを回避ッ!」 ババッ!


「『ライデン』は無事かッ⁉︎」 ササッ! バッ!


敵の砲弾を全て躱した「ユキカゼ」の艦橋から、後方800の位置につけていた強襲巡航艦「ライデン」の方を、青山少佐は見た。


シュバアッ! ガインッ! ゴンッ! ドオオオンッ! バアアンンッ! シュウウウ…


強襲巡航艦「ライデン」は、その強力なフォトンフィールドで、飛んで来た砲弾を全て受け止め弾き、何事も無いように駆逐艦「ユキカゼ」の後に続いていた。


「なんと言う防御力ッ! 巡航艦クラスの砲撃では『ライデン』に傷1つつける事はできないんじゃないか?」 グッ


「艦長ッ! 敵艦、砲撃しつつさらに接近ッ!」 ババッ!


両艦隊は急速にその距離を縮め、やがて肉眼でもその姿が見えるところまで来た。その間にも凄まじい砲撃は続いていた。


シュゴオオオオオーーーッ! ゴゴゴゴッ! ドオンッ! ドオンッ! バババッ!


「艦、進路、速度そのままッ! 反航戦ッ! 雷撃用意ッ! 全発射管起動、右舷方向へ指向ッ!」 ババッ!


「了解ッ! 雷撃用意ッ! 発射管起動ッ! 右舷方向へ!」 カチカチ ピッ ピコ!


ウィイイイインン カシュンッ カシュンッ! グリンッ! ピタッ プシュウウウッ! ピッ


「操舵手ッ! 回避行動は任せるッ!」 バッ!


「了解です艦長ッ! 任せてくださいッ!」 サッ! ピッ タンタン グイイッ!


シュゴオオオオオーーッ! ババッ! ババッ! ヒュンッ! ヒュンッ! シュババッ!


激しく降り注ぐ砲撃を、巧みにその全てを躱しながら、一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」の艦橋後部の上部甲板に、艦体内部から61cm5連装指向性空間魚雷発射管2基、艦体中央部真下からも同じく1基、合計3基15門の発射管が迫り出し、方向を右舷方向に向け現れた。


ドオンッ! グラグラ ドドオオンッ! ガタガタガタ ゴゴゴゴ


「さあ、一等級攻撃型駆逐艦の威力を見るがいい、索敵員ッ!」 グッ


「ハッ! 敵艦照準ッ! チャートNo.508 エリア073 マークポイント4 コース633から634へ 速度60ノット 高度2840 距離16000 オレンジ24ッ!」 バッ!


「砲雷長ッ! 全発射管、95式酸素空間魚雷装填ッ!」 ババッ!


「了解ッ! 全発射管、95式酸素空間魚雷装填、雷撃データ入力開始ッ!」 ピッ タンタン


ガコン ガコン ガコン グイインッ! カシュンッ! ピピッ!


3基15門の発射管に、大型の空間魚雷が装填されていった。


「インディゴ13、アルファー11から36方向へ、相対速度は140ノット、指向性パターンB18」 ピッ ピコピコ


ピピ ビコッ!


「全弾装填完了ッ! 照準よしッ!」 ピッ


「雷撃開始ーーッ!」 ババッ!


ーッ!」 カチ ピッ!


ババババッババシュウウウーーーッ! ドオオオオオオーーーッ!


一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」から15本の95式酸素空間魚雷が発射された。



ー強襲巡航艦「ライデン」ー


ドオオオンッ! グラグラ 


「砲撃さらに来ますッ!」 バッ!


シュバババアアーーッ! ガインッ! ゴンッ! ドオンンッ!


斥候前衛艦隊から激しい砲撃が降り注いできたが、どれも強襲巡航艦「ライデン」のフォトンフィールドに阻まれ、弾け爆発していった。


「ふむ、この程度の砲撃ではびくともしないな」 むう…


ドオオオンッ! グラグラ


「まったくです、流石は王家専用艦、フォトンフィールドの出力が違いますね」 サッ


「まあな、『王族は引かない、避けない、その全てを弾き返し、前へ進むのみ』とか言うの変な理念があるからなぁ、それに基づいているんだろけど、流石にここまで強力とは思わんかった」 ヤレヤレ


強襲巡航艦「ライデン」は、元々王家専用、皇帝陛下座乗艦として建造された、アキュラス級1番艦「アキュラス」を、大陸艦隊司令の策略で艦名を「ライデン」と変え、グレイ中佐が譲り受けた艦艇だった。 その思惑と経緯には皇帝陛下とその周りの者達による計らいもあった。


「僚艦『ユキカゼ』、敵艦隊に突入ッ!」 バッ!


「ほう、この砲撃の中を突入するか、操舵手はいい腕をしている」 ニッ


一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」の後方800の位置から、グレイ中佐はその動きを見ていた。 降り注ぐ敵の砲撃を巧みに躱し、その艦体から魚雷発射管が現れ、絶好の雷撃ポイントへと進む様子を見て、「ユキカゼ」の操舵手を誉めていた。


ピコ


「僚艦『ユキカゼ』空間魚雷を発射ッ! 雷数15ッ!」 バッ


「始めたかッ! 今だッ! 艦首VLS解放ッ! 対艦噴進弾『クラック・ハンマー』装填ッ! 目標敵旗艦ッ!」 バッ!


「アイサーッ! 艦首VLS解放ッ! 『クラック・ハンマー』装填ッ!」ピッ タンタン ピコ


ウィイインッ! バクン プシュー!


「艦首VLS、対艦噴進弾『クラック・ハンマー』準備よしッ!」 バッ!


ピッ ピッ ピッ ピッ ビコビコ!


「僚艦『ユキカゼ』発射の空間魚雷疾走中! 目標まで後3分ッ!」 サッ!


「『クラック・ハンマー』撃てえッ!」 バッ!


「アイサーッ! 『クラック・ハンマー』発射、目標敵艦隊旗艦ッ!」 ピッ


ドドドドオオオーーッ! シュバアアアーーッ! 


強襲巡航艦「ライデン」の前部甲板VLSから、1発の対艦噴進弾が発射された。その目標は斥候前衛艦隊旗艦、巡航艦「テスラ2」だった。



ーココル共和国斥候前衛艦隊ー


シュゴオオオオオーーッ! ドンドンドンッ! バババッ!


一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」と強襲巡航艦「ライデン」が反撃に出た頃、斥候前衛艦隊の全艦は、未だに全力砲撃を続けていた。


ビーーーッ!


『『ライデン』補足ッ! 主砲発射ッ! 駆逐艦補足ッ! 副砲デ攻撃』 ピッ


ドウンドウンッ! ドンドンッ!


『主砲弾、『ライデン』二命中、サレド効果ナシ、引キ続キ砲撃ヲ続行ッ!』 ピッ


駆逐艦「ユキカゼ」はともかく、斥候前衛艦隊の全主砲は全て、強襲巡航艦「ライデン」に狙いをつけ、撃ち続けた。しかし、一発として強襲巡航艦「ライデン」に命中せず、対艦用フォトン弾は強力なフォトンフィールドに阻まれ、爆散していった。


『ナゼダッ! ナゼ命中シナイ! イヤ、弾道計算ハ合ッテイル、コレモ計算外ダ!』 ピピッ!


ビーーーッ! 


『右舷方向ヨリ魚雷ッ! 雷数15ッ! 距離1800ッ!』 ピッ


シュババババアアアアアーーーッ!


『ナッ! 1800ダト? ナゼ魚雷ノ接近ヲ探知デキナカッタノダッ!』 ピッ


『イキナリ探知圏内二反応ッ! 魚雷至近ッ!』 ピッ


『アア、ピ、PDS起動ッ! 迎撃開始ッ!』 ピッ


グインッ! ピピピピピ ビコッ! ガシュン!


ヴオオオオオオオオーーーッ! ドドドドドッドッ! シュバババババーーッ!


バババッ! バシッ! ビシイッ! ドオオオンッ! バアアンンッ! タタタ


迫り来る多数の空間魚雷に対し、近接防備兵装のPDSにより、数発が迎撃された。がしかし、残りの空間魚雷、ヤマト皇国の誇る、大型の95式酸素空間魚雷は、ココル共和国の斥候前衛艦隊に命中した。


ビーーーッ!


『両舷全速ッ! 回避行動ッ!』 ピッ


ヒイイイイインンンッ! バウウウーーッ! ゴゴゴッ!


シュバアアアーーーーッ! ピピピッ!


『回避不能ーーッ!』 ピッ


ズシイインッ! ドゴオオオオンンッ! ドオオオオンンーー! ダアアアアアンンーーッ!


ベキイイッ! ドオオオンッ! メラメラ バキバキバキ ズゴゴゴゴ…


『操舵不能ーーッ!』 ビイイッ!


ドオオオオンンーーッ!


迎撃を免れた95式酸素空間魚雷は、駆逐艦「ビット1」と「ビット2」「ビット4」に同時に命中、眩い閃光と同時に爆発が起こり、3艦は一瞬でその場から地表へと落下していった。 旗艦の巡航艦「テスラ2」も被弾したが、その耐久力で辛うじて撃沈を免れた。


ドオオオオンンーーッ! メラメラ モクモクモク ガタガタ グラグラ ヨタヨタ


ジッ ジジジ バチバチバチ! ビビ ガガガ モクモクモク


『ジョ… 状況ヲ… ジジジ…』 ビビ…


『駆逐…ジジ…艦ハ全テ被弾、大破撃沈全…滅、ジジジ…ガガ… 当艦モ…ジジ… 空間魚雷3発ガ…命中、バチバチ…被害甚大、戦闘継続ハ…ジジ… 不能ッ!』 ピピ


『コ…ジジ… コノ状況…ヲ… バチバチ…後方ノ本隊二… ジジジ…報告…ヲ…ッ!』 ピッ ビビ…


モクモクモク ヨタヨタ バチバチバチ ボウンッ! フラフラ…


シュバアアアーーーーッ! ピッ ピッ ピッ ピピピピピッ!


被弾し、速度が落ちてふらついていた巡航艦「テスラ2」に向け、さらにトドメの一撃が襲ってきた。


ビーーーッ!


『直上より…ジジジ…ロ…ロケット… 弾ッ! バチバチバチ…カ…回避… ジジ…フフフ…不能ッ!』 ビイイイイイ


シュバアアアーーーー! ドコオオオオッ! ドオオオオオオンンンンーーーッ!


バキバキバキ メラメラ ボウンッ! ボオオオオーーッ! ドオオオンッ!


最後に命中したのは、強襲巡航艦「ライデン」の放った対艦用噴進弾「クラック・ハンマー」の一撃だった。斥候前衛艦隊の旗艦「テスラ2」は艦の中央部から大爆発を起こし、炎を上げながら地表に落ち爆散していった。


ここに、ココル共和国大陸自衛艦隊 完全自動無人艦隊の斥候前衛艦隊は壊滅した。



ーヤマト皇国「樹海」辺境 平原ー


バシッ! シュンシュンッ! ザンッ! クルクルッ! スタッ!


「うぐぐ… このおおッ! 《火炎斬ッ!》」 シュバッ! ブオオオオオオーーッ!


「ん、《リヒト.ラーケンッ!》」 シュピンッ! シュバババババーーッ!


ギイインンッ! ドオオオオンンーーッ! パラパラパラ… シュウウウウ…


「ハアハア、馬鹿なッ!… クッ! 貴様あッ!お前は一体なんなんだあああーーッ!」 バシッ!


「ん、私ですか? 佐藤、何度でも言うけど、私は【アニス・フォン・ビクトリアス/クリシュナ】ただの女の子です」 ニコ ファサ…


「「「「「 うそだああーーッ! 」」」」」 バババッ! ザザッ!


「ん?」 はて?


ヤマト皇国「樹海」辺境の平原に、勇者の2人と黒装束の者たちの声が響き渡っていた。





いつも読んでいただきありがとうございます。

次回もでき次第投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ