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第25話 パルマ近郊攻防戦

ーパルマ大地ー


拠点防衛陣地、言い方はすごいが実際到着してからたった1日2日。陣地とは名ばかりで兵員用のテントと炊事場、簡単な囲い柵に3段式の物見台。唯一、防衛陣地らしいのは中央に建てた大型テント内の通信、魔力測定などの魔道具がある場所だった。しかし、第2騎士団全員がこの地に着いた時から、士気は高く皆決死の覚悟でここにいた。必ず守る、何が来ようと、何があろうと。そしてそれは来た、設備能力不足は魔道士や従魔使いに頼るしか無い。その従魔使いの従魔から一報が入る。


「偵察中の1番従魔より報告、ディアル皇国方面より接近する大型の翼竜を確認!」


その報告を受け他の兵が有るだけの設備で報告する。


「接近中の翼竜、数は7から8、国境を越えこちらに急接近、これは戦闘行為です!」


「総員戦闘配備! 対空中、翼竜戦装備、急げ‼︎」


第2騎士団は精鋭揃いである。叩き上げの生粋な騎士ばかりで、他の追随を許さない一騎当千の騎士団であった。その団長であるアーデルベルトは白金等級アーベントの位を持つ、そうあの【閃光のマシュー】と同じなのだ。その彼が今、陣地中央に立ち愛刀の神剣『アルザード』を抜き天に向け叫ぶ。


「ここより先、はいらせぬ‼︎」


ーパルマ近郊上空ー


「隊長、国境を越えました!目標まで約10分」


「よし、全方位索敵、異常魔力を検知次第報告!それを確認、確保回収するぞ」


クラウンは侯爵に言われた要件を実行に移した。皇帝の勅命は絶対だからだ。が、索敵にいち早く反応があった。


「隊長!前方に反応! 敵騎士団、数およそ500!」


「さすが聖王国、動きが早い。もう守備隊が来て陣地構築とは」


「隊長、索敵獣魔です!発見されました。このままでは遭遇戦に入ってしまいます!」


「そうだな、仕方がない。(こちらは拠点攻撃兵装の『アルカノイド級』だ、聖王国騎士団は運がなかったな)だがこれも定め。お互い様だな。よし、総員武装展開、攻撃態勢やるぞお!」


発見されては仕方がない、とクラウンは配下全員に攻撃を命じた。長期戦は考えておらず短期決戦で事を終える、翼竜に取り付けてある魔道兵器、『フレイム.ボンバー』の装備4発同時に発射した。


「悪く思うなよ、一気にやって苦しまずに行くがいい。」


クラウンの駆る大型の翼竜『ヤクトグランデ』は増速に増速重ねて高速で第2騎士団の陣地に接近した。


「照準ッ! 固定ッ! フレイム.ボンバー、全弾発射アアーッ!」 パチッ! 

ボムボムボムボムッ!


発射ボタンを押すと、4発の魔道兵器の大型の炎の球が高速で発射された。続いて他7体も同様に攻撃する。


「これで一気に片が付く」


ドオオオオオンンンンンッ!! 陣地付近に着弾した32発の炎の球はあたりを光と炎の海にした。が、瞬時に炎が収まりそこには何ごともなかった様に騎士団一同がいた。それは、アーデルベルトの防御魔法の威力であった。


「なぜ、あれが当たっても無傷でいられる? 並の魔法士ではない?」


「隊長、波状攻撃で行きます。我に続けえーー!」


「「オオーッ!!」」


「ま、待てぇ―ッ!」


クラウンは部下たちを止めたが、すでに突撃体制で加速し、ゲイルを先頭に敵陣地へ急降下して行った。


「よし、もらっ.....ッ!」  ザンッ‼


ゲイルは照準に敵陣地をおさめ引き金を引こうとした瞬間、自分の視界がくるくる回り、その視界の中に、自分の首のない胴体とそれにまたがる翼竜が翼を絶たれ落ちていく姿が見え、やがて視界が暗くなり意識を失った。突入した翼竜のうち他2体が同じく、騎乗兵は首を絶たれ翼竜は翼や首を切られて地上に落ちて行った。


「な!ゲイルゥ――ッ!」


クラウンは副官の名を呼んだが、彼はそのまま、切られた他の仲間と共に、緑の森の中に落ちて行った。そして彼は地上にいる一人の男を見て愕然とした。そこにいたのは、【アーデルベルト・テラ・アインゴット】聖王国第2騎士団団長、侯爵の爵位を持ち、三大天【天撃のアデル】の二つ名を持つ白金等級アーベントの騎士で、その騎士が神剣『アルザード』を振り自身の魔法と剣技で『アルカノイド級』の『ヤクトグランデ』を乗騎兵もろとも3騎撃ち落としたからだ。


「なんでこんな所を、三大天が守備に就く?...はッ! そうか、それほどの力がこの先にあるのか、三大天が守るほどの力が、ならば、その三大天でも防げぬ攻撃をして、ここを押しとおる‼」


この時地上にいたアーベント自身驚いていた。自分の技量に、翼竜のそれもあの様な『アルカノイド級』の攻撃を防ぐ防御魔法、その翼竜を一撃で3騎も落とした攻撃剣技魔法を、先日まではこの様な威力はなかった。今一度思い出していた、敵翼竜が総勢で攻撃してきた時無意識にはなった防御魔法などを。


「アーデルベルト様お逃げ下さい。アレだけの攻撃では持ちません!」


「私に任せよ、範囲防御魔法!《アルテミス.リング》ッ!」 パアアッン! 『えっ!』


魔法を放った自分自身が驚いた。防御魔法は成功した、だがその効果範囲と魔法効果強度に目を見張る。(いつもと違う!こんなに威力が大きなわけないのに)アーデルベルトはそう思ったと同時に翼竜の攻撃が、防御魔法に当たる。しかし防御魔法はそれを何事もなく受け止め、しばらくして炎は霧散していった。


「「「オオーーッ! 流石アーデルベルト様!」」」


周りの騎士たちが自分を褒めたたえる。がすぐに敵の翼竜がこちらに突撃をしてきたので、アーデルベルトは自分の得意魔法攻撃を繰り出した。身体を少し屈め、右足を下げ、腰の神剣に手をかけ魔法詠唱と同時に振り抜いた。


「帝級魔法!《グラシオス.シュラッツ》ッ‼」 ビュンンッ!


彼の【天撃】の二つ名はこの魔法に由来する。地上から放った魔法は、神剣を振り抜いたとき、それを通して相手の天空より斬撃の風の刃を降り注ぐ、眼前あるいは眼下にしか目が行ってない敵は、真上からの攻撃に逃げる間もなくその刃に倒れるのである。だが、この魔法も先の魔法と同じで効果が段違いであった。いつもは斬撃は一つなのに今回は6つの刃が翼竜を襲う、また効果もすごくあの『アルカノイド級』の翼竜の首や翼を難なく切り飛ばしたのである。三体の翼竜が落ちると他の翼竜は翻していった。


「「「なんとおーッ!アーデルベルト様お見事です!」」」


騎士たちはさらに興奮気味にアーデルベルトを称えた。当の本人は戸惑っていたが。


「なんでこんなに強くなった?」


技を繰り出した姿勢のまま、アーデルベルトは考えていた。


クラウンは一度体制を整えるため、残りの翼竜を集め、密集隊形を組む。そして特秘兵装の使用準備をする。それはディアル皇国の魔道者達の作った最終兵器、特秘兵器の魔核弾「バーミング」、都市制御コアを参考にただ破壊を目的とした戦術魔核爆弾であった。それを今回、隊長の翼竜のみに搭載していた。だが彼は知らない、その兵器の威力と効果を。 


―パルマ近郊の丘―


「大丈夫かアニス?」


「ん、大丈夫だ、それよりアーデルベルト達の方はどうだ?」


マシューは丘からパルマ方向を見る。


「ああ、どうやら無事みたいだ、あれだけの爆発があったのに燃えてねえし、煙も消えてらあ」


「そうか無事か、それより早く行こう」


「ああそうだな、うん⁉ ... あいつ、やるじゃねえか」


「ん、どうしたマシュー?」


「あいつ、アデルが翼竜を3騎落としやがった。腕を上げてるぜえ」


「ほう、では慌てることないかな?」


「いや、急ごう。なんか胸騒ぎがする」


アニスとマシューは再び馬に乗り、アーデルベルト達の元へ丘を駆け下って行った。今まさに、パルマ大地近郊の攻防戦は最終鏡面に入っていく、それぞれの信念のもとに。











「アニスちゃん、何見てるの?」

「ん、これなんだ?」

「うん?..見なかったことに...」

「これなんだ⁉︎」

「..プリンのカップ...」

「ユキヤマ..明日は血の雨が降るでしょう」

「ぎゃあああああ...」

次回もよろしくおねがいします。

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