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第249話 「ライデン」と「ユキカゼ」

ーヤマト皇国「樹海」近郊国境ー


アニスと創造神ジオスが遭遇した頃、ココル共和国とヤマト皇国との国境を、高速で通過した大型のラウンドシップ、アトランティア帝国、大陸艦隊所属の強襲巡航艦「ライデン」がそこにいた。 


シュゴオオオーーーッ! ゴゴゴゴ! ドオオオオオオーーーーッ!



ー強襲巡航艦「ライデン」ー


ビーーーッ!


「艦長ッ! 『ライデン』現在国境を通過ッ! ヤマト皇国領内を進行中ッ!」 ピッ ギシギシ ゴゴゴッ!


「うむッ! さあ、後はなるようになるさッ!」 ニイッ! ゴゴゴッ!


バウウウーーッ! シュバアアアーーッ! ビュンビュンッ! ザザアアーーッ!


ヤマト皇国の警戒装置や探査センサーなどに見つからないように、強襲巡航艦「ライデン」は、地上から70mという低高度の高さで、65ノットという高速で進んでいた。 たまに背の高い木々が「ライデン」の艦底を掠め、艦内では時折、激しい揺れを感じていた。


ビーーーッ! ビコビコッ!


「後部SPYセンサーに反応ッ! 艦後方に敵艦隊ッ!」 ピッ ピッ ピッ!


「構うなッ! 進路そのままッ! 国境から離れろッ!」 バッ!


「アイサーッ! チャートNo変わりますッ! エリア、ヤマト皇国領、チャートNo.508ッ!」 ピコ 


シュバアアアーーッ! ゴゴゴゴ


ビーーーッ! ビコビコ!


「艦長ッ! 艦後方の敵艦隊、国境を突破ッ! 以前、当艦を追尾ッ!」 ピコピコ ピッ


「国境を超えているんだぞッ! それを艦隊規模で異国の国境を越えるなど奴ら正気か⁉︎」 グッ


単艦や偵察型ブレードナイトで異国の国境を越え、その国を偵察や威嚇をする行為はこの世界、どこの国もやって来た。 ただ、皆がすぐに引き返すという軽度の領空、領内侵犯で、事ある毎に国同士の話し合いで解決していた。しかし、十数隻にも及ぶ艦隊が侵入するということは、軍事行動、侵略戦闘行動に外ならず、もはや国同士の話し合いの域を超えていた。



ーココル共和国、大陸自衛艦隊、全自動無人艦隊ー


ゴウンゴウンゴウンッ! ゴゴゴゴ シュゴオオオーーッ!


ブ〜ン ピッ


『目標大型未確認艦艇、ヤマト皇国領内陸ヘト進行中』 ピッ


ブ〜ン ピッ


『目標ヲ見失ウナ、艦隊速度ヲ増速』 ビコ


ヒイイインッ! ババッ! ババババッ! バウウウウウウウーーッ! ゴゴゴゴ!


躊躇なく国境を越えヤマト皇国領に侵入したココル共和国大陸自衛艦隊、全自動無人艦隊16隻は、先を行くアトランティア帝国大陸艦隊所属の強襲巡航艦「ライデン」を見失うまいと、速度を上げ追跡を続行した。



ー強襲巡航艦「ライデン」ー


ピッ ピコピコ


「チャートNo.508 エリア068 マーク16デルタ オレンジアルファ  チャーリーッ!」 ピコ!


ビビ ビコッ!


「目標、コース000 速度48ノット増速 距離75000 高度580m 大型艦を先頭に16隻、当艦を追尾、接近ッ!」 ババッ!


「ふん、艦隊行動速度ではそれが最速だろ、あれが奴らの限界だ。この『ライデン』の高速に追いつけるものかッ!」 グッ


「しかし艦長、このままでは…」 サッ


「ああ、わかってる。 奴らの目と足を奪うッ! 艦尾ッ 空間魚雷発射管開けッ!」 バッ


「アイサーッ! 艦尾空間魚雷発射管開きますッ!」 カチカチ ピピ 


ガコンッ! シャ シャ シャッ!


「艦尾発射管全門解放ッ!」 ピコ


「艦長、他国の領土内で戦闘行動は不味いのではないでしょうか?」 サッ


「副長、誰が誰にそうしたんだ?」 ニヤ


「え?」 ピク


「我々の存在は誰にもバレてないし、相手は無謀にも国境を越えてくる艦隊だ。攻撃しても、されても誰も文句は言うまい?」 ニイ


「艦長… わかりました、やりましょうッ!」 バッ!


「うむ、砲雷長ッ! 艦尾発射管1番から4番ッ!『スタンビート』、5番6番ッ!『シーカーディスターブ』装填ッ!」 グッ!


「アイサーッ! 艦尾発射管、1番から4番『スタンビート』、5番と6番『シーカーディスターブ』、各発射管装填開始、走行、起爆データを入力」 カチカチ ピッ ピピ タンタン ピコ


「砲雷長、腕の見せ所だぞ」 ニッ


「はい艦長、任せてくださいッ!」 ピピッ! タンタン ピコッ! グッ!


強襲巡航艦「ライデン」の砲雷長の座る席の前にあるコンソールパネルには、各魚雷に事細かく走行、起爆データーが入力されていった。6本全て、個別に入力され、同じものは一つもなかった。


ウィイイイインン ガシュンッ! ピッ ググ ガチャ ビコッ! 


強襲巡航艦「ライデン」の艦尾空間魚雷発射管室内では、巨大な空間魚雷6本が、それぞれの発射管に滑り込み、ハッチが閉じられ、安全装置解除のランプが点灯した。


「艦尾発射管、全門発射準備よしッ!」 バッ!


「全弾ッ 奴らの鼻っ先に撃ち込めッ! 全門発射ーーッ!」 グッ!


「アイサーッ! 艦尾発射管全門発射」 ピッ


シュバババババーーーーッ! シュゴオオオオオーーーッ! ドドドオオオオオオーーッ


「空間魚雷、全弾目標に向け疾走中 5秒後にランダム回避走行開始ッ!」 ピッ ピッ ビコ!


強襲巡航艦「ライデン」の放った空間魚雷は、易々と迎撃されないように、ランダムで走行方向を変え、まるで自分の意思があるように、確実に標的へと向かっていった。その軌跡は、ランダム設定をした撃て手、砲雷長の手作業調整で、その動きが読めないものだった。



ーココル共和国大陸自衛艦隊、全自動無人艦隊ー


ビーッ ビーッ ビーッ!


ブ〜ン ピッ


『前方 未確認大型艦艇ニ発射反応アリ 空間魚雷 雷数6ヲ確認、接近中』 ピッ


ブ〜ン ピッ


『タカガ6本ノ空間魚雷、全艦、迎撃セヨ 各主砲発射、PDSキドウ』 ピッ


ウィイイイインン ガシュン ククク ピタッ!


ドンドンドンドンドンドンッ! バババババッ! バムバムバムッ!


ココル共和国大陸自衛艦隊、全自動無人艦隊16隻が、一斉に搭載されている主砲や副砲、近接防御兵装のPDSを接近する強襲巡航艦「ライデン」の空間魚雷に向け撃ち始めた。


シュバババババッ! バッ バッ バッ グイイイインンッ! シュゴオオオーーッ!


一個艦隊、16隻からなる迎撃用の凄まじい弾幕がなされたが、どの迎撃弾も強襲巡航艦「ライデン」の放った空間魚雷のランダム回避走行に追い付けず、ただ虚しく明後日の方向へと逸れていった。


ビーーーッ!


『バカナッ! ナゼ補足デキナイ、乱数補正ノ枠ヲ超エテイル? コレガ人間ノ技ニヨルモノナノカ? 理解不能』 ピッ


ガンガンガンガン! ドンドンドンッ! ババババッ! ババババッ!


シュゴオオオオオーーッ! ピッ ピピピピピ!


ブ〜ン ピッ


『敵魚雷至近ッ!』 ピッ


バッ! ドゴオオオオオオオオーーーンンッ! ブワアアアーーッ! ゴオオオオーーッ!


ココル共和国大陸自衛艦隊、全自動無人艦隊の先頭艦艇のすぐ目の前で、6本全ての魚雷が一斉に自爆した。


バリバリバリッ! ドドオオオンッ! ブワアアアーーッ ガタガタガタガタ グラグラ 


ブ〜ン ブ〜ン ビビビッ! ビビ!


『艦隊前面、敵空間魚雷一斉自爆』 ピッ グラグラ ギシギシ


ジ ジジジ ビリビリ バチバチバチ ゴゴゴ


『自爆? アノ高機動ヲ誇ル人間ノ空間魚雷ガ 自爆ダト?』 ピッ


無人で16隻もの艦隊を率いて制御していた制御システムは、あれだけの迎撃弾幕を見事に躱し、艦隊の直近まで迫っていた空間魚雷が、艦艇に命中せず、艦隊の最前列にいる艦艇の100m程手前で全てが自爆したのに戸惑いを隠せなかった。そしてその時、全自動無人艦隊16隻全ての艦艇に異変が起きた。


ビーーーッ! ガクンッ! ヒュウウウウンン… ググググ…


ブ〜ン ピッ


『機関停止ッ⁉︎ 速度低下、艦隊停止中? ナゼ機関ガ止マル、何ガ起キタノダッ⁉︎』 ピッ


ココル共和国大陸自衛艦隊、全自動無人艦隊16隻の機関が全て停止した。だが、それだけではなかった。


ジジッジジジッ! ボンッ! パンッ! ボワアアッ! ボウボウ メラメラ 


ジリリリリ!


『火災警報 火災警報 直チニ消火開始 繰リ返ス 火災警報 火災…』 ジリリリリッ!


各艦艇の艦橋内にある各種センサーのコントロールパネルとスイッチ類がいきなりショートし、燃え上がった。


ブ〜ン ピッ


『ナニ、探査コンソールガ… SPY、パッシブ、全テノ探索機器ダウン、大型未確認艦艇ロスト、探知不能、機関完全停止、航行不能、コレデハ身動キガ出来ナイ』 ピッ


ゴゴゴ シュウウン ピタッ 


ブ〜ン ピッ ビーーーッ!


『フォトンジェネレーターモ完全停止 速度0 全艦隊行動不能、緊急事態! 繰リ返ス、緊急事態ッ!』 ピッ


ヤマト皇国領内を進行していた、ココル共和国大陸自衛艦隊、全自動無人艦隊16隻は、その場で全艦が停止し、身動きができなくなっていた。



ー強襲巡航艦「ライデン」ー


「艦長、各魚雷敵艦隊全面で起爆、効果絶大ッ! 敵艦隊進行を停止ッ!」 ピッ ピコ!


「よし、うまくいったな」 ニッ


「流石です艦長、敵艦とはいえ、他国の領土内で許可も無く撃沈して領土内に落とす訳にはいきませんからね」 サッ


「まあな、これで奴らもしばらくは動けまい、時間を稼げるだろ 進路このまま、前進するッ!」 バッ


「「「 アイサーッ! 」」」 ババッ!


強襲巡航艦「ライデン」の放った空間魚雷「スタンビート」と「シーカーディスターブ」、この魚雷はアトランティア帝国、大陸艦隊特有の空間魚雷で、撃沈、破壊を目的としてでは無く、相手を無力化するのが目的の弾頭だった。「スタンビート」は、主に目標の機関、及びフォトンジェネレーターに影響を及ぼし、「シーカーディスターブ」は探査機器を使用不可にするものだった。


ピッ ビコ ポン


「現在、艦速度65ノット コース248 進路50822.6 ヤマト皇国領霊山『フジ』麓の森林地帯、『樹海』近郊ッ!」 ピッ タンタン ピコ


「傍受した通信内容ではこの辺りのはずだ、索敵員ッ 地上をしっかり探査せよッ! アニス様を見失うなッ!」


「アイサーッ! 探査レンジ対人モード」カチカチ タンタン ピコ


シュバアアアーーーーッ! ゴゴゴゴ ピッ ピッ ピッ 


ビコビコ ピッ! ポン!


「反応ッ! チャートNo.508 エリア088 距離18800ッ 人と思われる熱反応を感知ッ!」 ピコ


「よしッ! 最大戦速ッ! 急行せよッ!」 バッ!


「アイサーッ! 『ライデン』最大戦速ッ! コース082に固定ッ!」 ピッ グイッ!


ヒイイイイイインンッ! バウウウウウウウーーーーッ! シュバアアアーーーーッ!


強襲巡航艦「ライデン」は、スラスターを全開にして、センサーに反応のあった地点に飛んでいった。



ー同時刻、ヤマト皇国国防軍所属、一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」ー


シュゴオオオオーーーッ! ピッ ピッ ピッ!


「ダメです艦長、敵ステルス艦を見失いました 反応ありません 敵艦ロストッ!」 ピコ


「むうう… 取り逃したか…」 グッ!


ヤマト皇国領に侵入したココル共和国のステルス護衛艦「ソード1」を一度は補足攻撃した一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」だったが、ステルス護衛艦「ソード1」のステルス機能と反撃、逃走用の偽装爆発を駆使され、「ソード1」を見失っていた。


「艦長どうしますか?」


「引き続きステルス艦の行方を探せ!」 バッ!


「了解しましたッ!」 サッ!


一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」の艦長、青山少佐は、見失ったステルス護衛艦「ソード1」の捜索続行を指示した。


ビーーーッ! ピポッ!


「右舷方向、接近する機影を確認ッ! コース001 距離98000 速度460ノット マークポイント2 グリーン18α 友軍機ですッ!」 ピコッ!


「右舷前方の友軍機、「ZERO」2機が帰還ッ! 白井小隊2番坂本機 3番吉田機と確認ッ!」 ピッ ピコ


「うん? 白井中尉はいなのか?」 スッ


「指揮官機白井中尉の1番機はいません、3番吉田機被弾損傷ッ! ライナー吉田少尉、負傷してますッ!」 ピッ


「ムッ! 着艦デッキ、緊急着艦態勢ッ! 医療班は着艦デッキへ、吉田少尉が負傷しているッ! 急げッ!」 ババッ!


ビーッ! ビーッ!


『こちら着艦デッキッ! 了解しましたッ!』 ピッ


ポン


『医療班、受け入れ態勢、準備に入ります』 ピッ


一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」の艦内は慌ただしくなっていった。


ヒイイイイイインンッ! バウウウウウウウーーーッ!


バフバフバフ ヨタヨタ ババッ ババババーーッ!


ピッ


「吉田ッ! もうすぐ『ユキカゼ』だッ! 大丈夫かッ⁉︎」 ピッ


「ああ、坂本… なんとか行けそうだッ!」 ピッ


ピッ


『マスター、スラスター出力低下、機体ガ右ニ流レテイマス、注意シテクダサイ』 ピッ


「ああ… 『ZERO 』… すまない…」 グイ カチカチ ピコ


ガクガクンッ! ババッ ババババーーッ!


「よし、もうちょっとだ、頑張れよッ!」 ピッ


「了解…だ… うう…」 ピッ


シュバババババーーッ!


2機のブレードナイト「ZERO 21型」は、母艦である一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」へと飛んでいった。



ビーーーッ!


『吉田機、第1着艦デッキへ コースそのままッ! 着艦よしッ! 着艦ッ!』 ピッ


シュバアアアーーーッ! ガシュウウウンンッ! ギュウウンンッ! プシュウウウーッ!


バチバチバチ モクモク ボウッ! ジジジ


『白井小隊3番機、吉田機着艦終了ッ! 救護班急げッ! 機体消火開始ッ!』 ピッ 


シュバババババッ! ジュウウウ… ビーーーッ! ビーーーッ! ウ〜 ウ〜


「急げえッ! 操縦席メインハッチ強制開放ッ!」 ピッ


「了解ッ」 サッ! 


ピッ バクンバクン モアア… タタタ ババッ! ザッ!


「うう… なんとか着いたぜ…」 グッ… ガク…


シュ〜 シュ〜 シュ〜 バチバチ ジジ… ジッジジ…


「少尉ッ! いかん、気絶してるぞッ! おい!タンカだッ! 少尉を医務室へッ! 急げッ!」 ババッ!


「「「 はッ! 」」」 ババッ! ダダダッ!


ワーワー ザワザワ ガヤガヤ バタバタ


被弾し煙を吐いていた吉田機は、フラつきながらも母艦の一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」の第1着艦デッキに無事着艦し、そのまま着艦デッキ内で消火剤を浴び、火と煙が消えたのと同時に、救護班が駆け付け、負傷した吉田少尉を医務室へと運び出した。


ピッ ポンッ!


『続いて着艦機、接近ッ!』 ピッ


ビポンッ! ピポンッ! ブーッ!


『第1着艦デッキは封鎖中、坂本機、第2着艦デッキへ』 ピッ


「こちら坂本、了解した」 ピッ


ビーーーッ!


『白井小隊2番坂本機、コースそのままッ! 着艦よしッ! 着艦ッ!』 ピッ


シュバアアアーーーッ! ガシュウウウンンッ! ギュウウンンッ! プシュウウウーッ!


『白井小隊2番機、坂本機着艦終了ッ! 着艦デッキ全て閉鎖、ハッチを閉じます』 ピッ


ウィイイイインン ガコオオンッ! 


ピコ ポンッ!


「艦長、帰還機収容完了、3番機吉田少尉は重傷、医務室に運び込みました」 サッ


「うむ、吉田少尉には後で見舞いに行く、索敵員、白井中尉はどの辺だ?」 スッ


「はッ 当艦右舷前方 エリア00 方位1402 距離にして19800の位置にいますッ!」 ピコ


「よし、白井中尉を追うぞッ! 『ユキカゼ』機関最大、最大戦速ッ!」 ババッ!


「了解ッ! 機関最大、フォトンジェネレーター最大出力ッ!」 ピッピッ グイッ!


ヒイイイイイインンッ! バウウウウウウウーーーッ! シュゴオオオオオオーーッ!


「速度60… 65… 70ッ! 機関一杯ッ!」 ピコッ!


ゴオオオオオオオオオーーーッ!


ヤマト皇国国防軍、一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」は、最大戦速70ノットの高速で白井中尉のブレードナイト「ZERO 52型 202」のいる地点に向け飛んでいった。



ーヤマト皇国「樹海」外縁部 平原ー


その頃に、アニスと白井中尉は再開していた。


ピッ


『白井中尉ッ! センサーが大型の熱量を感知ッ! こちらに向かって高速で接近中ッ!』 ピッ


「なにッ⁉︎」 ザッ!




ー強襲巡航艦「ライデン」ー


シュゴオオオオオオオオオオオーーッ! ゴゴゴゴーーーッ!


ピッ ピッ ピッ ピコ ビコビコッ!


「現在、艦速度65ノット、目標まで後10分ッ!」 ピコ


「他国の領土内だ、何が起こるか分からん、周辺警戒を強化ッ!」 サッ


「アイサーッ! SPYセンサー感度最大ッ!」 カチカチ ピコ!


ピッ ピッ ピッ ビコッ!


「え? なッ! あッ! あああーッ!」 ガタッ!


「観測員ッ! 何事だッ!」 バッ!


「艦前方ッ! 高速で接近する熱源を感知ッ!」 バッ!


「なッ 何いいーーッ!」 バッ!


ビーーーッ! ビーーーッ! ビーーーッ!


「方位000 距離2000ッ! 速度70ノットッ! 駆逐艦クラスの艦船ッ! コリジョンコースッ!」 ビコッ!


強襲巡航艦「ライデン」の前方警戒探査センサーに映ったのは、高速で接近するヤマト皇国国防軍、一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」の姿だった。



ーヤマト皇国国防軍、一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」ー


シュゴオオオオオーーーッ! ゴゴゴゴーーーッ!


「白井中尉機、地上へと降下、目標を発見したものと思われます」 ピコ


「よし、『ユキカゼ』もその地点へ急げッ!」 バッ!


「了解ですッ! えッ⁉︎ あッ! 艦長ーーッ!」 バッ!


「うん? どうしたッ⁉︎」 サッ


ビーーーッ! ビーーーッ! ビーーーッ!


「『ユキカゼ』進路上に大型の熱量を感知ッ! 方位000 距離2000ッ! 速度65ノットッ! 高速ですッ! 衝突コースッ!」 ババッ! 


「なんだとおーーッ!」 ザッ!


一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」の艦長、青山少佐は艦長席から立ち上がり、艦橋内にある大型モニターに映る、接近してくる大型の点を凝視していた。


この時、偶然にも強襲巡航艦「ライデン」と一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」の艦橋内両者の乗組員は全く同じ言動と行動をとった。



ー「ライデン」「ユキカゼ」艦橋内ー


「「 艦長ッ! 接近中の艦艇との距離1800ッ! 」」 ババッ!


「「「「「「「 わああああああーーーッ! 」」」」」」」 ババババッ!


「「 落ち着かんかああーーッ! 」」 ササッ!


「「「「「「 艦長ッ! 」」」」」」 バッ!


「「 取舵一杯ッ! 全、左舷スラスター全開、機関停止逆噴射ーッ! 重力アンカー最大ッ! 躱せえええーーーーーッ! 」」 ザザッ!


「「アイサーッ!(了解ッ!) 」」 ササッ! ピピ タンタン カチカチ ピコッ!


シュウウンッ! ヒイイイイイインンッ! バウウウウウウウーーーッ!


カシュン カシュン カシュンッ! ババババーーッ! グググッ! ガクンッ!


バアアアアアアアアーーーッ! バリバリバリッ! グググググッ! ミシミシミシミシ…


強襲巡航艦「ライデン」と一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」の両艦は、それぞれの艦長の指示のもと、全く同じ動きをし、両艦とも右に向きを変えながら急制動をかけ急接近し、周囲には強力な放電現象と大気の乱流が起きた。


ビーーーッ! ビーーーッ! ビーーーッ! ビーーーッ! ビーーーッ!


ポンッ!


『『 警告ッ! 警告ッ! 接近警報ッ! 接近警報ッ! 衝突シマスッ! 衝突シマスッ! 警告ッ! 警告ッ! 』』 ビーーーッ! ビーーーッ!


「「 正面ッ! 艦艇直近ッ!」」 ピッ ババッ! ミシミシ ガタガタ…


「「「「「「「 わああーッ ダメだあああーーッ! 」」」」」」」 ガタガタガタガタガガーーッ!


ギュワアアアアアアアアアーーーッ! ゴオオオオオオオオオーーーッ!


急制動や逆噴射、重力アンカーを持ってしても、速度が落ちず、両艦は急接近していった。


「「 まだだッ! 」」 ググッ! ガタガタガタ…


「「「「「「「 艦長ッ⁉︎ 」」」」」」」 ババババッ!


「「 遅延信管2ッ! 左舷ミサイルポット、短噴進弾全弾発射ーーッ!」」 ババッ! ガタガタガタタッ!


「「 アイサーッ!(了解ッ!) 」」 ピピ カチカチ ピコッ!


バクンバクンバクンバクンッ! ババババババッ! 


ドドドドドドオオオオオオンンンッ! ブワアアアアアーーッ!


「「 短噴進弾自爆ーーッ! 」」 ババ ガクン ガクン ガタガタ…


「「「「「「 わああああああーーッ! 」」」」」 ガクン ガクン ガタガタ…


両艦の左舷側にある、ミサイル発射用ポットより、短距離ミサイルが全弾発射され、発射後2秒で自爆、その爆発の反動で、両艦の勢いを相殺した。


ブワアアアアーーーッ! ビリビリビリビリッ! ザザザザアアアアーーーッ!


ヒュウウウウウンンン… ピタッ シュウウウウウ… ゴウンゴウンゴウン…


強襲巡航艦「ライデン」と一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」は艦首の向きが互い違いで、両艦お互いの間隔も40mというの至近距離で横並びで停止した。 そこはちょうどアニス達の頭の真上だった。


ピッ ピッ ピッ ピッ シュウウウウ… ゴウンゴウンゴウン


「ん? コレは… うん、また会えたね…」 ニコ バサバサバサササーー…


ヒュ〜ン ヒュ〜ン ピッ ピッ ピッ


アニスは上空で横並びに停止した2隻のラウンドシップ、「ライデン」と「ユキカゼ」を、青みがかった白銀髪と純白のスカートを靡かせ見つめていた。



ー強襲巡航艦「ライデン」ー


ピコ


『衝突回避、警報解除シマス』 ピッ


「ふうう、止まったか」 ギシ…


「「「 わあああッ! 生きてるッ! 俺たちは生きてるぞお 」」 ワアアッ!


ガヤガヤ ワイワイ ザワザワ


「流石は艦長、お見事です」 サッ!


「ふッ 3年前のゼルファ神帝国とのバゼラ空域戦の経験だよ…しかし…」 ジッ…


「はい、アレはこの国、ヤマト皇国の駆逐艦のようですね、あちらの艦長も艦長と同様、相当腕がいいですね」 ジッ…


「うむ、私と全く同じ方法を取るとは… どんな艦長か… 」 ふむ…


衝突回避で、歓喜に沸いた強襲巡航艦「ライデン」の艦橋の窓の外を、艦長のグレイ中佐と副艦長の2人は、40mという近距離で同高度に停止している一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」の艦橋を見ていた。



ーヤマト皇国国防軍 一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」ー


ピッ ピッ ピッ


『衝突ハ回避サレマシタ、警報解除、繰リ返シマス 衝突ハ…』 ピッ


「ふむ、止まったようだな」 ササ


「全艦停止、艦内異常ありません、 急接近艦艇、右舷40mの位置で停止中!」 ピッ


「ほう…でかいな、巡航艦…いや、重巡航艦クラスか? しかし、見た事の無いふねだな…」 ふむ…


「艦長、もしかしたらあのステルス艦の母艦か旗艦では無いでしょうか⁉︎」 ササッ!


「うん? 副長… いや違うな、奴らとは無関係だよ!」 フリフリ


「何故ですかッ!どう見ても我が国の、友軍艦艇ではありませんッ!」 バッ!


「副長、落ち着きたまえ」 サッ


「しかしッ!」 バッ


「アレだよアレ、よく見てみろ!」 スッ!


「えッ⁉︎ 」 クルッ! ジイイ…


艦長の青山少佐に示唆され、副艦長の松田大尉は両目を凝らし、「ユキカゼ」の艦橋から 40m隣の大型艦艇、強襲巡航艦「ライデン」の舷側を見た。


ヒュ〜ン ヒュ〜ン ピッ ピッ ピッ ゴウンゴウンゴウン…


「あッ! 艦長ッ! まさかアレはッ!」 スッ!


「わかっただろ、あのふねは我々の敵では無いさ」 二ッ


「アトランティア帝国の紋章ッ! ではあの艦艇はッ!」 ババッ!


「うむ、間違いない、行方不明で捜索願いが出ていた王族、【アニス・フォン・ビクトリアス/クリシュナ】嬢を捜索、探索していたふねだよ」 二ッ!


一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」の艦長、青山少佐は、真横に停止している大型艦艇、強襲巡航艦「ライデン」の事を見抜いていた。


ピッピーーッ!


「艦長、隣接の大型艦艇より通信、艦長と話がしたいようです」 ギシッ サッ!


「艦長」 サッ


「うむ、繋いでくれッ!」 サッ


「了解しました」 ピッ


ブウウウン パッ!


一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」の艦橋にある大型パネルに、強襲巡航艦「ライデン」の艦長、グレイ中佐の姿が映し出された。


「初めまして…」 二ッ!


パネルに映ったグレイ中佐は、柔かな笑顔で話しかけてきた。






いつも読んでいただきありがとうございます。

次回もでき次第投稿します。

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