表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
238/311

第238話 アニスと無人ステルス部隊

ーヤマト皇国側「樹海」国境付近ー


シュザザザザッ! ババッ! ザザッ! タンッ! シュバババババーーッ!


一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」が、見えない敵に攻撃される少し前、ヤマト皇国「樹海」中層部より外縁にあたるココル共和国との国境に向け、4人の人影が高速で鬱蒼とした森の中を疾走していた。


ザザッ! タン シュバババババッ!


「ほう…あの者ら、やるではないか、アニスと我によくついて来る」 二ッ


ザザザッ! タンタン ババッ! シュザザザザッ! バサッ!


「はッ! クッ!」 シュザッ! ババババッ!


「えい! はあッ!」 シュンッ! シュバッ! タン バババッ!


シュンッ シュンッ タタ シュバババババーーッ!


「…いい動きだ、流石はアニス、短時間でよくここまで仕上げたものだ」 ジイイ


入り組んで鬱蒼と茂った森の中を高速移動しながら、この「樹海」の主である、人化した「ヤマタノオロチ」は自分と同じ高速移動術を使い、自分達について来る勇者の2人を見ていた。


ザンッ! シュバッ! タタ シュザザザザアアアーーッ!


「ん、ほいほいッと!」 シュッ シュバッ! ササッ! タン タンッ!


「クククッ アニスにとってはこの『樹海』の大森林など、なんの変哲もない森のようなものなのだな… コレだけ入り組んだ樹々や岩をものともしない…」 二ッ シュンッ! ババババッ! ザッ!


勇者2人とは対照的に、アニスは高速移動術で「樹海」の中を苦もなく余裕の表情で疾走し、それを見て人化した「ヤマタノオロチ」は自分よりも遥かに上位の存在に笑みを浮かべていた。


シュンッ! シュバッ! タッ タタッ! シュバッバッバーーッ!


「んッ!」 ババッ! ザザザーーッ! ピタッ! ヒュウウウ…


しばらく「樹海」の中を高速で移動していた時、先頭を走っていたアニスが急に立ち止まった。


「「「 むッ! わッ! えッ! 」」」 ババババッ! ザザザザーーーッ ピタッ! ヒュウウウ…


先頭のアニスが急に立ち止まったのを見て、後続の3人もその場に立ち止まった。


「………」 ジイイ…


「アニス、急に止まってどうしたんですか?」 ザッ ザッ


「ハアハア…ふうう…ほんと…アニスちゃん…どうしたの?」 ハアハア…


「で…ハアハア、でもよかった…ちょっと疲れた…ハアハア…」 ゼエゼエ…


「樹海」中層部からここまで約1時間、全力で高速移動術を使い止まった時、アニスと人化した好青年の「ヤマタノオロチ」は汗ひとつかかず平気な顔をしていたが、勇者の2人、サトシとスズカの2人は両手を膝につき、肩で息をしていた。


「アニス?」 ザッ


「ん? ああ、急に止まってごめんね、ちょっと変なのが見えたから止まったんだ」


「変なのですか?」 ふむ…


「ん、ヘビくんや2人は気付かなかった?」 クルッ! ファササア…


アニスは白銀髪の振り向きながら髪を靡かせ、3人に聞いた。


「ハアハア…なんだろ…気付かなかったわ…」 ハアハア…


「ハアハア…僕は…ついてくので、ハアハア…精一杯だから、ハアハア、わからなかったよ」 ゼエゼエ…


「まったく… この程度で疲れてどうする!」 


「す…すみません、ハアハア….」 ペコ


「ほんと…ハアハア…ごめんなさい…」 ペコ


「ん〜、サトシとスズカはここでちょっと休憩していてね」 ニコ


「「 はい…ハアハア… 」」 ドサッ…


「ヘビくんは私と来てくれる?」 サッ


「当然です、私は御一緒させていただきます」 ペコ


「ん、じゃあこっちだよ!」 シュンッ! シュバッ!


「はい、アニスッ!」 シュバッ! シュザザッ!


息を切らし、疲れて地面に腰を下ろしている勇者2人をその場に残し、アニスと人化した「ヤマタノオロチ」は再び高速移動術に入り、その場から消えた。


ザザッ シュンッ! ザザアアーッ ピタッ! テクテク ザッ ザッ スタ…


アニスは少し移動した所で高速移動を止め歩き出し、巨大な大岩の所で止まった。「ヤマタノオロチ」もそれに続いて止まる。


「ん…」 ジイイ…


「アニス?」


「ヘビくん、アレ」 スッ!


巨大な大岩の影から、アニスが覗いた先を指さした。


ガサガサ ユラユラ ブ〜ン ブ〜ン ジジ ジジジッ ユラユラ


「なんだアレは?」 ジイイッ!


2人のいる場所から約100m、そこに見たのは、「樹海」の中をゆっくりと動く何か、その姿は周りの景色に溶け込み、そこだけ空間が歪んで見え、確かに何かが存在し移動しているのがわかった。


「アニスッ! アレは一体ッ!」 グッ


「ん〜… なんだろ、ちょっと見て来るね」 ニコ サッ! シュンッ!


「あッ!アニスッ!」 バッ!


そう言うと、アニスはその場から消え、一瞬でその得体の知れない歪んだ空間の前に現れた。


ブ〜ン ブ〜ン ピピピ ピポポポ! ガサガサ


シュバッ! タン スタ…


「こんにちは」 ニコ


ビイイイイイッ! ピタッ!


姿が見えないそれは、アニスが進行方向直前に突然現れ、それに驚いたかのような高い音を出し、その場で止まった。


「ん〜、なんだコレ?」 ブヨンブヨン!


アニスは歪んだ空間を軽く手で触ってみた。そのすぐ背後に、人化した「ヤマタノオロチ」も現れた。


シュバッ! ザザッ!


「アニスッ! いきなり近づくのは危険ですッ!」 サッ


「そうなの? んッ!」 バッ!


その時、周囲に溶け込んでいたそれが、空間の歪みを解き姿を現した。


ピピピッ! バシュウウウーーッ! ブオオンンッ! ピピピッ! ブ〜ン ブ〜ン!


『捜索対象者二非ズ!』 ピピッ!


「うわあッ! なんか出たッ!」 サッ!


「ぬッ! こやつッ! 人間どもの機械かッ!」 ババッ! ザザーッ! シュリンッ!


そこに姿を現したのは、ココル共和国の無人ステルス護衛艦から地上に下ろされた捜索用探査プローブ「シード」であった。 足はなく空中を浮遊し、ドーム状の頭に筒状の胴体、頭の部分には各種センサーと短い棒状のアンテナが数本出ており、周囲を捜査していた。


その姿を見て、アニスは少し驚き、人化した「ヤマタノオロチ」は腰にある剣を抜き、少し飛び退いてそれを構えた。


ブ〜ン ブ〜ン ブ〜ン ピポポポッ!


『捜索対象者外、非対象者ト断定、非対象者ノ敵対行動ヲ確認 非対象者ヲ敵ト認定、排除スル!』 ピポ ブ〜ン ピッ!


ガシュンッ! チャキッ!


剣を抜いた人化した「ヤマタノオロチ」を見て、探査プローブ「シード」の頭から警告音声が流れると、筒状の胴体左右から腕が出て、その手には自己防御用のフォトン機銃が握られていた。


「んッ!」 サッ!


「ぬッ!」 チャキッ! ザザッ!


『排除開始ッ!』 ピッ


ドガガガガガガガッ! バババババッ!


「うおおおッ!」 ググッ!


「んッ!」 サッ!


無数のフォトン機銃弾が至近距離からアニス達に襲いかかった。


シュンシュンッ! シュバババババーーッ!


「《アルテミスリングッ!》」 パアアアンンッ!


バババババッ! シュバッ! ジュッ! チンッ! チュインッ!


それはアニスのオリジナル絶対防御魔法だった。いかなるものも絶対に通さぬ隔絶の壁、それを瞬時に展開し、アニスは探査プローブの攻撃を防いだ。


『ビイイイイイッ⁉︎ 先制攻撃効果ナシ』 ガシュンッ! シュウウウウ… ブ〜ン ピッ


シュウウウウ… パラパラ…


「ん、ヘビくん大丈夫?」 ヒイイイン ヒイイイン…


「ア…アニス、コレはいったい…」 サッ


「ん、私の防御魔法だよ。 いやあ、びっくりだね、いきなり撃って来るとは思わなかったよ」 えへへ


「はああ… アニス、あなたは凄すぎます。普通、あの様な場合は防ぐ事などできません、それをあなたは…」 フリフリ


「そうなの? でもできたよ?」 スッ


「アニスだけですよ! そんな事できるのはッ!」 ガアッ!


「うわあッ! ヘビくんが怒った!」 サッ!


その時、探査プローブの「シード」が音声を発した。


ピピッ! ブ〜ン ピポ!


『援護要請、当機ノ保有火器デハ排除不能ト断定、『ソルジャー』二伝達、脅威度B 至急援護ヲ求ム、敵対スル非対称者ヲ排除セヨ』 ピッ ピイイイッ!


「む、アニス、こやつは仲間を呼ぶ様です!」 ザッ!


「そうみたいだね」 シュン… キョロキョロ


アニスは絶対防御魔法を解き、辺り周辺を見渡した。


「アニス、わかりますか?」


「ん、あそことあそこ、この子と同じ様に姿を消してるね。物凄く静かにこっちに近づいてるよ」 スッ スッ!


アニスの指さした先には、やはりただの鬱蒼とした樹々しか見えなかったが、人化した「ヤマタノオロチ」がその蛇眼でよく目を凝らすと、僅かに揺れる歪みが見て取れた。


ギンッ!


「見えたッ! しかしアニス、この森の主の私でも気付かないのに、よくわかりますね?」


「ん〜… 私の目が良いからね、確か魔眼…神眼だったかな、そう聞いてるよ」


「はは… よく分かりました、あなたはやはり…」 


バサバサッ! ガサッ!


「来るよッ! ヘビくんッ!」 ザッ! スッ チャキッ!


近づく何者かが急に動いたことを察知したアニスは、腰裏にある神器ミドルダガーの「アヴァロン」を抜き構え、人化した「ヤマタノオロチ」にそれを告げた。 それに対応し「ヤマタノオロチ」も自身の持った細身の剣を構えた。


「うぬッ!」 ザザッ! チャキッ!


シュザッザッ! ヴオンッ! チャキッ!


『目標ヲ確認、『シード』へ、排除行動二入ル』 ピッ


ドババババババババーーッ!


探査プローブ「シード」の後方から、光学迷彩で姿を隠し接近してきたのは、自立型戦闘用ドローン「ソルジャー」で、そのフォトン機銃弾による攻撃がアニス達を襲った。


「ヘビくんッ!」 シュンッ! シュバッ!


「むッ!」 シュンッ! ババッ!


ドドドドッ! バシッ! ビシビシッ!


すかさず2人は襲ってきたフォトン機銃弾を避け、その場から消えた。2人がいた場所には無数のフォトン機銃弾が突き刺さった。


ユラッ ピピッ!


『目標ヲロスト、補足不能、アリエナイ! ソルジャー2、ソルジャー3、ソルジャー4ッ! 周辺二注意ッ!』 ピッ


『『『 了解 』』』 ピピッ!


ユララ ユラ ガササ ガサ ガサ!


それは、今の時点でこの偽世界最高のドローン、ココル共和国が制作した最新鋭の自分で考え行動する、自立型戦闘用ドローン『ソルジャー』だった。 光学迷彩と遮音力場を使用して、その姿は僅かに空間に歪みが見える程度、駆動移動音は完璧に消されていた。 ただ、機体のそばの揺れる草葉の音のみが聞こえていた。


ピッ ユラ ユラ


『捜査中、捜査中… 目標ヲロスト、ドコダ?』 ブ〜ン


シュンッ! パッ!


「ヘビくん、そこ!」 スッ 


シュバッ! ザザッ!


「はッ!」 ググッ!


『ピイイイーーッ‼︎ バカナッ! 理解不能ッ!』 クルッ! ユララッ! ブヨヨウンッ!


自立型戦闘用ドローン「ソルジャー」部隊の指揮を取っていた「ソルジャー1」は、自分のすぐ背後に突如現れた、アニスと人化した「ヤマタノオロチ」に振り向いて驚き、それが理解出来なかった。


「このッ 姿をあらわせッ! 無礼者があああッ! 剣技ッ!《蛇撃烈斬抜刀牙ッ!》」 ビュンッ! シュバアアアアーッ!


『ピイイイーーッ! ナッ⁉︎』 ブワッ! バッ!


ザンッ! ビシイッ! ドオオオオオオンンンーーッ!


『ビビイイイイイーーーッ!』 ビュオオオオオーーッ!


ビュンッ! ドンッ! ガンッ! ドカッ ドゴオオオンンーーッ!


ジッ ジジジッ! ビビビ… ガラガラ ガラッ パラパラバラ….


「ふんッ! たわいもない…」 ビュンッ! チャキンッ!


光学迷彩で姿の見えないはずの「ソルジャー1」を、アニスと人化した「ヤマタノオロチ」は的確に捉え、「ソルジャー1」に対し人化した「ヤマタノオロチ」は、自身の固有剣技を使い一撃を与えた。 その一撃を受けた「ソルジャー1」は勢いよく吹き飛び、姿を消す光学迷彩機能が停止し姿が現れたまま、勢いよく大岩に当たり、大岩を砕いて止まった。


「わああ… すごいねヘビくん」 


「アニスのおかげです。奴の的確な位置をありがとうございます」 サッ!


ピピピッ! ビコ! ブオン ユラユラ


『状況確認、「ソルジャー1」は機能停止、ヨッテ「ソルジャー2」ガ指揮ヲ継続、ソルジャー3、ソルジャー4ッ! 光学迷彩解除、全力デ目標ヲ補足次第、殲滅セヨッ!』 ピッ


『『 了解ッ! 』』 ピピッ! ブオン!


探査プローブ「シード」の前面に3体、自立型戦闘用ドローン「ソルジャー1」と同型が、迷彩服にフォトン機銃を構え現れた。


「む、まだ3つもいたか機械ども」 ググッ!


「ん〜、ねえ君たち、やめにしない? こんなの無意味だよ?」 サッ!


ピピッ!


『目標ヲ確認、攻撃用意』 ピピ ガシュンッ!


『『 確認ッ! 』』 ピコ ブオンッ! ガシュンッ!


「アニス、無駄な様です。あやつらは聞く耳を持ちません、貴女と私を殺すつもりでしょう」 グッ


「そう… 残念だね…」 フリフリ


ブオンッ! ジャキンッ!


『フォーメーションッ! 殲滅ッ!〔アサルトアタックッ!〕』 ピッ!


『『 了解ッ! 』』 ババッ! ダダダダッ! ジャキジャキンッ! ピピピ


「ん? 私が標的なんだ」 サッ! バッ!


3体の自立型戦闘用ドローン「ソルジャー」は、目標を距離的に近いアニス1人に絞り、3体同時に攻撃に入った。 その動きは、まるでよく訓練された人間の様にスムーズに動き、とてもそれが機械、ドローンとは思えないほどの動きだった。


「アニスッ!」 バッ!


「大丈夫、ヘビくんはそこにいてね」 クルクルッ! チャキ ググッ!


アニスは右手に持っていた神器ミドルダガーの「アヴァロン」を逆手に持ち替え腰を下ろし、こちらに迫って来る3体の自立型戦闘用ドローン「ソルジャー」に向かって構えた。


「なッ! アニスが構えを変えた?」


ダダダダッ! ブオン ジャキッ!


『攻撃ッ!』 ピッ カチッ!


ドガガガガガガガッ! バババババッ! シュンシュンッ! シュバッ!


3体の自立型戦闘用ドローン「ソルジャー」からフォトン機銃のフォトン弾が無数、アニスに向かって放たれた。 その最初の1発がアニスに命中するその瞬間、アニスのその姿が少しぶれた。


「《ファントムッ!》」 ブンッ!


ドガドガガガッ! バババババッ! ビシビシビシッ!ババアアアアーーッ!


「アニスーッ!」 ババッ!


アニスがいたそこは無数のフォトン機銃弾が降り注ぎ、土煙をあげ、何も見えなくなってしまった。


ドガガガガガガガッ!


『攻撃中止ッ!」 ダダダダッ! ピタッ! シュウウウウ…


『『 了解ッ! 』』 ダダダダッ! ピタッ! ヒュウウンンン…


モクモクモク 


『目標ヲ確認中…』 ピッ ピッ ピッ


「アニス… おのれ…機械風情がああッ!」 シュリン!


ササアアーーー…


人化した「ヤマタノオロチ」は、「ソルジャー」達に怒りを露にし、腰の剣を抜いて構えた時、激しい銃撃の土煙がやがて晴れ、アニスがいた場所がはっきりと見えてきた。


ピッ ピピッ!


『目標をロストッ! 消エタッ! ドコダッ⁉︎』 ブオン グイーン グイーン!


『『 ドコダ、ドコダ、 』』  ブオン グイーン グイーン! 


「おおッ! 流石はアニスッ! でも、どこに…」 キョロキョロ


アニスがいた場所にアニスはいなかった。 人化した「ヤマタノオロチ」と3体の自立型戦闘用ドローン「ソルジャー」は辺り周辺を見渡し、アニスの姿を探した。


ピピッ!


『消エタ、目標ヲ完全ニロストッ! ドコニ消エタッ!』 ピピッ! ガシュンッ!


自立型戦闘用ドローン「ソルジャー2」がそう叫んだ時、突然、清んだ少女の声が「ソルジャー2」の背後から聞こえた。


シュバッ! スタッ!


「ここだよッ!」 ニコ


ピッ‼︎


『ビイイイイイーーッ! バカナッ!』 ピッ グイーンッ!


「アニスッ!」 バッ


「ん、神級撃滅剣技ッ!《アルテナ.グラン.バスターッ!》」 キュインッ!


ドゴオオオオオオオオーーーッ! シュバアアアアーーッ!


「うおおおッ! コ、コレはッ!」 ババッ!


ギュオオオオーーッ! ザシュッ! ザシュザシュシュッ! ジュワッ!


『『 ピッギイイッ! 』』 シュバッ! ジュオオオッ!


『防御シー… ビビビイイイイイイイーーーッ!』 シュバッ! ドオオオオオオンンン!


シュゴオオオオオーーーッ! ズワアアアーーッ!   チリチリチリ…


アニスの神器ミドルダガー「アヴァロン」の攻撃で、3体の自立型戦闘用ドローン「ソルジャー」達は一瞬で切り刻まれ、その剣撃の速さで起こる高熱により機体は溶け、蒸発して消えていった。


ヒュウウウ… クルクルクルッ! チャキンンッ! ファサ〜


そこには、青みがかった銀髪と純白のスカートを靡かせ、神器ミドルダガーの「アヴァロン」を背中腰にある鞘に戻し、颯爽と立っているアニスがいた。


「なんと… (コレがアニスの真の実力… なんという力、とうてい我では敵わないな…)」 ニッ!


ピッ ピポピポッ! ビーッ!


『緊急事態 緊急事態ッ! 捜索活動ヲ即時中止ッ! 異常事態発生ッ! 母艦「ソード1」へ、 緊急撤退許可願イマス』 ピッ


護衛の自立型戦闘用ドローン「ソルジャー」を全て失った捜索探査用プローブ「シード」は、これ以上活動はできないと判断し、自分の母艦である無人ステルス護衛艦「ソード1」に緊急通信を送った。


「ん? まだ君がいたんだ」 スッ テクテク


ビーッ ビーッ ビーッ!


『退避ッ! 緊急退避ーーッ!』 ピポピポ シュウウウウンンッ!


アニスが捜索探査用プローブに気付き、近づいたところ、捜索探査用プローブ「シード」は危険を察知して速度を上げ後退を始めた。


「あッ アイツ逃げたッ!」 スッ!


「ぬッ! 逃がさんッ!《縮地ッ!》」 シュンッ! ザッ!


アニスが後退を始めた捜索探査用プローブ「シード」を指さした時、人化した「ヤマタノオロチ」が即座に動き、高速移動術を使って後を追った。


ヒュウウウウンン! シュシャアアアアーーッ! ピポピポ ピピッ!


『報告ヲ… 今回ノ全テノ記録ヲ報告…』 ピピ シュウウウウーーッ!


「無駄だッ! それは阻止させてもらうッ!」 シュンッ! シュキンッ!


『ビイイイイイーーッ!』 ビビビッ! シュウウウウーーッ!


緊急退避後退中の捜索探査用プローブ「シード」のすぐ背後に、人化した「ヤマタノオロチ」は剣を片手に現れた。


『ビイイイイイーーッ! 緊急ッ! 緊急ーーッ!』ピピ ピピポオオーーッ!


「ぬんッ! 我が森に無断で侵入し、アニスに敵対した事を後悔するがいいッ! 剣技ッ!《蛇撃烈斬ッ!抜刀牙ーッ!》」 ビュンッ! シュバアアアーーッ! ザンッ!


『ビイイイイイーーッ ビビビイイイイイーーッ!』 ピココッ!


ザンッ! ビシイッ! ジ、ジジジ ドオオオオオンンーーッ! バラバラバラ…


捜索探査用プローブ「シード」は、頭から真っ二つに斬られ、その場で爆発四散していった。


シュン ザザッ! スタッ スウウッ! チャキンンッ!


「ふん、この痴れ者どもが…」 ザザッ!


ボウボウ メラメラ パチパチ…


ザワザワ グオグオッ メキメキ ザシュウウ…


「ふ、すまぬな『樹海』よ、後を頼む…」 サッ! シュンッ!


破壊され燃えていた捜索探査プローブ「シード」を「樹海」の樹々が少しづつ動き、火を消し地面の中にと引き摺り込み、やがてそこには何もなかった様な、いつもの「樹海」の風景となっていった。


シュザッ! ザッ ザッ スッ!


「アニス、ただいま戻りました」 サッ


「ヘビくん、あの機械は?」 スッ


「はッ 丁重に葬りました。もう、跡形もないでしょう」 スッ


「そう、仕方ないよね」


ガサガサ ババッ! タタタッ!


「アニスちゃ〜んッ!」 タタタッ! フリフリ


後方の草むらが揺れ、そこから休憩をしていた2人の勇者、サトシとスズカが駆け寄ってきた。


「ん、サトシ、スズカ、もういいの?」


タタタ ザザッ!


「ええ、もう十分休んだわ」 ニコ


「僕も大丈夫です」 ニッ


「お前たち、もっと体力をつけるんだな」 


「「 はい 」」 ササッ


「それよりさっき、ものすごい音がしたんだけど何かあったの?」 キョロキョロ


スズカは辺りを見渡したが、そこでアニス達と自立型戦闘用ドローン達の戦闘があった形跡はすっかりと消え、ただの森と化していた。


「ん、何でもないですよ」 ニコ


「「 はあ… 」」


ドオオオオオオンンン……… ビリビリ…


「ん?」


「少し遠い…『樹海』の外れですな」 ふむ…


かなり遠くから爆発音と空気が振動して伝わってきた。


「サトシ、さっきの駆逐艦かな?」 サッ


「多分そうだよ、何かと戦ってるのかもしれない」


「アニスッ!」 バッ


「ん、行こうか」 サッ


「「「 むッ!(はいッ!) 」」」 コクンッ!


「「「「 《縮地ッ!》 」」」」 シュバッ! バババッ!


アニス達4人は再び高速移動術を使い、その場から音が聞こえた方向へ消え去った。

          ・

          ・

          ・

ーヤマト皇国『樹海』辺境 国境周辺上空ー


ドオオオオオオンンンーーッ! ブアワッ! モクモクモク


ビーッ ビーッ ビーッ!


シュバアアアーー… ドオオンッ! グラグラ…


ヤマト皇国とココル共和国との国境周辺にて、一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」はセンサーに捉える事のできない、正体不明の敵から攻撃を受けていた。


ビーッ ビーッ ビコビコ!


グラグラ ドオンンッ! ガタガタガタ ゴンゴンゴン…


「艦首発射管室に被弾ッ! 負傷者多数ッ!」 ビーッ! ピコ ピピッ!


「くそッ! 索敵員ッ! まだ敵がわからないのかッ⁉︎」 バッ グラグラ…


ピッ ピッ ピッ ピポッ!


「申し訳ありません副長ッ! センサーには全く何も… うわッ!」 ドオオンッ! ガタンッ!


攻撃してくる敵を捕捉できないまま、次々と被弾していく「ユキカゼ」であった。


ゴオン ゴオン モクモクモク ゴゴゴゴ…


「艦長、このままでは…」 グラグラ ガタガタ


「むうう…こうも高性能のステルスだとはな… とにかく、フォトンシールド最大にしろッ! 艦尾VLS開放ッ! 88式対潜弾発射用意ッ!」 バッ


「はッ! わかりましたッ!」 サッ!


カチッ ピッ ピピッ!


「私だ、ブレードナイトデッキッ!」 ピッ

         ・

         ・

ー一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」ブレードナイト発艦デッキー


ビーッ ビーッ ビーッ! ガタガタ グラグラグラ!


ザワザワ ガヤガヤ ワイワイ ワーワーッ!


「おらあッ! チンタラやってんじゃねえッ!」 ババッ!


「「「 はい、甲板長ッ! 」」」 ババッ! ダダダダ 


「全く、何が起こってやがる」 グッ!


ドオオオオオオンンン グラグラグラ…


ビーッ! ポン


『艦橋CICよりブレードナイト発艦デッキへ、全機発艦命令ッ! ブレードライナーは直ちに発艦体制をッ! 繰り返す、全機発艦…』


ザワザワ ガヤガヤ


「む…こりゃあ、ただ事じゃあねえな!」 ザッ!


一等級攻撃型駆逐艦「ユキカゼ」のブレードナイト発艦デッキ内は慌ただしくなった。


ササ ギュ ギュ パチンパチン ギュウッ!


「よしッ! 坂本ッ! 吉田ッ! 準備はいいかッ!」 ザッ! ニイッ!


「「 はッ! 白井中尉ッ! 」」 ババッ! ザッ!


「よしッ! 行くぞおッ!」 バッ!


「「 はいッ! 」」 ダダダダッ!


駆逐艦「ユキカゼ」のブレードナイト搭乗員、白井中尉達3人のライナーは、ライナースーツに身支度を終え、ブレードナイト発艦デッキへとかけていった。


ピピーッ! ピピーッ! ガコンッ! ジジジ ジジ ガンガン ゴオンッ!


「甲板長!」 サッ!


「うん? おお、白井中尉!」 サッ!


「いつもすまない、首尾の方は?」 ジイイ…


「勿論ッ! 完璧ですぜッ! 整備補給は完璧です!」 サッ!


「ありがとう! よしッ!全員搭乗ッ!」 バッ! 


「「 はッ! 」」 ザッ ババッ!


ウイイイイイインンン カシュン ピッ バクンバクン!


「よっとッ!」 サッ! ドサッ! カチカチ ピッ ピピ ピコ!


白井中尉は自分の愛機、ブレードナイト「ZERO 52型 202」の操縦席に乗り込み、発艦準備に入った。


ピッ ピピッ! ヒュインンンッ! カチカチ ビッ ビコビコッ! ヴオンッ!


ブレードナイト「ZERO 52型 202」のスイッチを捜索していると、ライナー啓発システムの『ZERO』が白井中尉に話しかけてきた。


ピッ


『こんにちは、白井中尉、緊急事態ですか?』 ピッ


カチカチ ピッ ピッ ポン タンタン ピコ


「ああ『ZERO』、厄介な敵だ、こちらのセンサーに全く反応がない」カチカチ ピピ 


ピッ


『反応? この「ユキカゼ」を高速で包囲している2機の事ですか?』 ピッ


「なッ!『ZERO』おまえッ! 敵の位置がわかるのかッ⁉︎」 ババッ!


ピッ


『はい、当艦「ユキカゼ」の進行方向に対し、高速で艦首2時方向と艦尾6時方向に1機づつ、コレはステルスですかね、私には丸見えですが高速で移動し、波状攻撃を続けています』 ピッ


「はは…流石だ『ZERO』ッ! 敵の位置が分かればこっちのものだッ!」 

カチ グイッ!


パシュー! バン バン バン グワアアッ! ガコオオン! ガコオオン!


白井中尉のブレードナイト、「ZERO 52型 202」が、整備用ハンガーデッキより離れ、発艦用電磁カタパルトへと歩き出した。


「坂本ッ! 吉田ッ! 遅れるなよッ! 俺について来いッ!」 ピッ


「了解です! 隊長ッ!」 ピッ グイッ! ガコオオン! ガコオオン!


「わかりましたッ! 今出ますッ!」 ピッ グイッ! ガコオオン!


駆逐艦「ユキカゼ」のブレードナイト発艦デッキ内を3機のブレードナイトが移動し、発艦用電磁カタパルトについた。


ガコオオン カシュンッ! プシュウウウウウーーッ! ピッ!


ドオオオオオオンンン  グラグラ  


ピコ


『艦橋CICより白井中尉へ、敵は以前正体不明、現在「ユキカゼ」に攻撃を続行中、目標はステルス機と推定します。 十分注意をッ!』 ピッ


「おうッ! 任せろッ! 出たらすぐに叩きのめしてやるッ!」 グッ!


ヒイイイイイイイイーーッ! プシュウウウウウーーッ!


ピコ


『発艦用ハッチ解放ッ! 電磁カタパルト1番2番用意よしッ!」


ヴヴヴヴヴウウウウウウーーーッ! ビコッ!


「さあ、かくれんぼはお終いだッ!」 カチカチカチ ピコ! ギュウッ!


ピコ


『電磁カタパルト1番、白井中尉、進路クリアーッ! 発艦どうぞッ!』 ピッ


「ブレードナイト『ZERO 52型 202』白井ッ!発艦するッ!」 ピッ グイッ!


ビーーッ! ガシュンッ! シャアアアアアーーッ! ドオオオオオオーーーッ!


ピコ


『続いて電磁カタパルト2番、坂本少尉、進路クリアーッ!発艦どうぞッ!」 ピッ


「ブレードナイト『ZERO 21型 212」坂本ッ!発艦しますッ!」 ピッ グイッ!


ビーーッ! ガシュンッ! シャアアアアアーーッ! ドオオオオオオーーーッ!


ピコ


『続いて電磁カタパルト1番再充電完了 吉田少尉、進路クリアーッ! 発艦どうぞッ!」 ピッ


「ブレードナイト『ZERO 21型 222」吉田ッ!行きますッ!」 ピッ グイッ!


ビーーッ! ガシュンッ! シャアアアアアーーッ! ドオオオオオオーーーッ!


ピコ


『白井小隊、全機発艦完了、ハッチ閉鎖』 ピッ


ウィイイイインン ガコンッ! プシュー




ヒイイイイイイイイーーーッ! バウウウウウウウーーーッ! ピッ ピッ


「さて…奴らはどこだあ?」 ピッ ピッ


ピッ


『白井中尉、前方下方に敵ステルス機! 表示します』 ピッ ブ〜ン 


パッ!


操縦席前にあるメイン情報パネルに、例のステルス機がはっきりと映し出されていた。


「おうッ! いたいた… 流石は『ZERO』大したものだ!」 ピピッ!


ピコ


『白井中尉、コレもアニスのおかげですね』 ピッ


「そうだな… さてと、騙し打ちとは卑怯な奴等め…」 グッ ピピ タンッ!


ピコ


『メインウェポン、200mmインパクトカノン準備よしッ!』 ピッ


「坂本ッ! 吉田ッ! 今から俺が撃つッ! 敵機が見えたら仕留めろッ!」 ピッ


「「 了解ッ! 」」 ピッ


ヒイイイイイイッ! ガシュンッ! チャキッ!


ピピピピピ ピッ! ビコビコッ!


シュバアアアアアアアアアアーーーーッ!  ブオンッ! ピッ!


ピッ


『目標を捉えました。射程内です』 ピッ


「喰らえええッ!」 カチッ!


ヴオオオオオオオオオオオーーッ! ドッバババババッ!


シュババババババーーーッ! ガンガンガンッ! メキイッ ドオオンンーッ!


白井中尉の、ヤマト皇国国防軍、主力艦上戦闘機「ZERO 52型 202」のメインウェポン、200mmインパクトカノンのフォトン炸裂弾が無数、姿を消しステルス機能を使って攻撃をしている敵ブレードナイトに吸い込まれていった。





いつも読んでいただきありがとうございます。

次回もでき次第投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ