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第23話 アニスとそれぞれの早朝

ー新成パルマ大地ー


第2騎士団はマゲラルを出て翌日早朝に、城塞都市パルマ跡地付近に到着していた。騎士団長のアーデルベルトは驚きを隠せずにいられなかった。なぜなら、そこは緑豊かな森と草原、清らかな川、そしてさわやかな優しいそよ風、どこにも城塞都市があったという形跡や、人が住んでいた形跡そして、数日前にあったであろうディアル皇国との戦の形跡、全てがなく、人の手が一切入っていない自然があった。


「ここが城塞都市パルマなのか?この森林と草原が人の住んでいた土地なのか?」


アーデルベルトだけでなく、500名の騎士団全員が同じ気持であっただろう。だが、そんな状態の場所だったが、騎士団全員がなぜか癒されていた。おそらくアニス(ジオス)の創造魔法の余韻がまだ残っており、人の心に安らぎを与える効果が出ていた。憎しみや争いなど思いつかず、真の安らぎである。アーデルベルトは愛馬から降り、手の平で地面を撫でると、自然と涙があふれ、彼の本能が理解する。


「この大地は汚してはならない、人の手を加えてはならない、奪い合ってはならない。三大天になった私にはわかる、ここは、神が作りし場所だ、神がこの世界に降り立つ場所、聖域だと。私は、いやこの世界に生きるすべてのものは、ここを、この豊かな森と草原の大地を守らなければならない。もし、この土地が汚され、豊かな森や草原が失われたら、恐らく、この世界は消滅するだろう」


アーデルベルトは預言者ではない、だが彼の言った言葉は当たっていた。まだこの時は一人の騎士団長の独り言程度であった。


「ハリーッ!オスカーッ!ローガンッ!」


アーデルベルトは三人の高級士官を呼ぶ。


「「「ハッ‼」」」


「お前たち三人に申し渡す、これは厳命である!ここ、この大地を私と共に命ある限り死守せよ!」


「「「心得ていますアーデルベルト様、我ら一同も、この土地に付いてから同じことを思っておりました」」」


アーデルベルトの第2騎士団500名は不思議と皆同じことを考えていた。


「取り合えず大地外円部に拠点を設営、決して大地内には設営するな!」


「「「ハッ!了解しました。」」」


そう言って三人の高級士官は自分達の配下の兵士達を引き連れ、新成パルマ大地の境界に拠点守備陣地を設営した。


「(マシュー、俺は槌の居場所を見つけた。おそらくもうこの場所を、この大地からを離れることはないだろう。たとえ、王命があっても、何人もここを汚す存在は私が叩きのめす)だから私の敵になるなよ」


アーデルベルトが拠点守備陣地を設営し終わり、マシューに自分の事を書きつねた手紙を伝令兵にマゲラルに送った翌日、ディアル皇国側より接近してくる巨大な八つの影を察知した。アーデルベルトは直ちに臨戦態勢に入り武器を構える。


「ここより先、はいらせぬ!」


ーマゲラル街中ー


ルビアを治療した翌朝アニスは朝食をすましマシューの元へ行こうとしていた。


「おはようアニスちゃん! 昨日はルビアを治してくれてありがとう!」


「おはようソフィー、どうルビアの容態は?」


「うん、まだ寝てるけど大丈夫!他のみんなも昨日遅くまで起きていたからまだ寝てるわ」


「ん、そうか。よかった、私はこの後用事があるからもう行くね。オリビアや他のみんなによろしく言っておいてね。また会おうって」


「うん、言っておく。アニスちゃん本当にありがとう、何もお礼できないけど..」


「その気持ちだけで充分!ソフィー、またね」


そう言いアニスが一蘭亭から出ようとした時、ソフィーがアニスの名前を呼んだので振り返った。


「アニスちゃんッ!」


「ん、何か..ッ!」


振り向いたその時、ソフィーはアニスに抱き着きいきなり唇を重ねてきた。アニスにとってファーストキスであった。一瞬後唇を放し、ソフィーは言った。


「いきなりごめんなさい、私にはこれが一番のお礼、最初にあったあの野営地での時からずっと....」


そこまで言ってアニスはソフィーの口に人差し指を当て言葉を止めた。そしてアニスも言う。


「ソフィーのお礼、しっかりもらったよ。その後は心にしまってね、ありがとう。じゃあ、行くね」


アニスは再び店の外へ、外套をひるがえし被りマシューの元へ出て行った。

街中を外套を被って歩くアニスだったが、心の中は穏やかでなく、顔は真っ赤で鼓動も激しくドキドキしていた。


「お、落ち着け落ち着け、深呼吸だ、まず心を制御しなくては」


スーハ―スーハ―と二回ほど深呼吸をしたら幾分か鼓動が収まり冷静になってきた。


「フー、これでいい。しかしいきなり口づけされるとは思わなかった、油断したなあ~..んッ」


落ち着いたはずだが、ついさっきの口づけのシーンを思い出すとまた顔が赤くなった。


「わわわッ!もう一回落ち着けアニス!自分には他にやることがあるんだろ!」


そう自分に言って、気持ちをとりもどしていった。


「とにかくメインコアと他6個を回収改変しなくては、マシュー起きてるかな?」


いつものアニスになり、ギルド会館前の酒場へ向かって歩いて行った。酒場は昼夜問わず扉は開けっ放しで、いつでも入れるようだった。アニスは開いている扉から中に入り周りを見渡すと、早朝のせいか、テーブル席やカウンター席、床などにだらしなく酔っぱらって寝ている、冒険者が多々見られた。だがその中にマシューはおらず、アニスはカウンターでグラスを磨いていたマスターに尋ねた。


「アニスと言いますが、マシューさんはいますか?」


「ああ、マシューの奴なら2階の奥の部屋でまだ寝てるな。鍵かかってないから入れるぞ」


「え、鍵かかってないんですか?」


「ああ、マシューの奴を襲うようなヤツはいねーからな。ま、嬢ちゃんなら襲ってもいいぞ!」


「はは、では、はいらせてもらいますね」


「おう、寝起きのマシューには気を付けろよ」


そうマスターに言われ階段を上り2階の一番奥の部屋の扉のノブに手をかけまわすと、やはり鍵はかかっておらず中に入れた。ベットにはマシューと見知らぬ女性がお互い裸で寝ていた。アニスはため息をつきマシューを起こす。


「マシュー、朝だよ聖王都に行くんだろ?早く起きて」


そう言うとマシューは寝ぼけ眼に起き上がり目をこする。そしてボウーッと周りを見渡し最後にアニスに目を向け焦点を合わすと、目を見開き慌てだした。


「な、アニスッ!こ、これは違うんだ!誤解なんだ!落ち着けッ!落ち着けよ」


マシューは取り乱し、浮気がばれ、現場を押さえられたどこかの旦那みたいなそぶりをした。そんな中女の方も目を覚ました。


「ん~、どうしたのマシュ~さま~ッて、きゃああ―ッ!だれだれなの?い、いやあああ..」 


そう言って裸の女は、自分の服とベットのシーツを一緒に体を隠しながら部屋を出て行った。残されたマシューとアニスがそこにたたずんでいた。


「とにかく服着て顔を洗ってきな。下で待ってる」


「おおう...」


アニスがそう言って部屋を出るとマシューは服を着だした。


「ま、マシューも男だし、この世界じゃあ普通なのかな」


そう言いながら1階の開いているテーブル席に着きマスターに紅茶を頼んで待っていた。


「アニスその~、あれはだなあ..何というかそのお..」


下に降りてきて紅茶を飲んでるアニスに歯切れの悪い言葉を出すマシューだった。


「マシュー、私は気にしてないから。大丈夫だよ」


そう言われますますマシューは(これはまずい)と思ったのかいきなり誤ってきた。


「すまんアニス!もうこんなことしねえから許してくれッ!このとうりだあッ!」


いきなり誤られ、アニスもびっくりした。特に問い詰める訳でもないのにと思い仕方なく言う。


「ん、もういいです。マシューも気を付けてくださいね」


「許してくれるのか?よかったあー」


「とにかく聖王都に行くのですから準備してきてくださいね」


「おう!ちょっと待ってろ、すぐ用意するから」


そう言ってマシューは2階の自分の部屋に荷物を取りに上がって行った。

その時マスターからひと言。


「アニスの嬢ちゃんはすげえなあ、あのマシューがしりにひかれてるぜぇ、こりゃあマシューも年貢の納め時、もうすぐ結婚かあ。よかったよかった」


マスターが不穏な言動をしたが無視してマシューを待つ。しばらくしていつものマシューが下りてきて出かける準備ができたので出発することにした。


「では行くか、聖王都へ」


「ん、聖王都へ」


それぞれの朝を迎え、アニスたちは聖王都カルナに向かって歩き出した。








「眠いよ~アニスちゃ~ん」

「ええい、はなせ、私もねたい!]

「むかしむかしあるとき~..」

「やめい!気になって寝れんくなる!」

「ぐうぐう..」

「ユキヤマ、先に寝たああ!」

明日は移動日でき次第投稿します。

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